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● ご注意。
 この旅行記は長いです。お家で見ている方は、このページと、写真、注、を最初にロードしておけば、電話を切って読んでもらえるように、全部で3ページにまとめました。外部へのリンクは注ページにまとめてあるので、このページにはありません。

 今回は、友人のけいこと2人旅です。これは初めての友達との海外旅行。2人一緒だ、ということが2人の気をゆるめてようです。そこに付け入る罠がはりめぐらせてあったことに全く気付かずに、通り過ぎていることもあります。旅行記として読むよりは、罠がいくつあるか探して読む罠探しとして読むと面白いと思います。もう済んだことなので、ああ、ばかー、と思いながら、読み流してやってください。
 当時は1B=4.5円でした。(今より約1円高い。)

行程表

1日目 2/3 札幌〜羽田、初めての本多劇場。れいことのんだくれる。
2日目 2/4 東京、観劇はしご。
3日目 2/5 東京、ウイニングチケット引退式。
4日目 2/6 東京〜バンコク、初のバンコク、ホテルの様子がなんだか怪しい。
5日目 2/7 バンコク、水上マーケット、ワットアルン、ローズガーデン、観光三昧。
6日目 2/8 バンコク、ショッピングデー。
7日目 2/9 免税店あるところに罠あり。
8日目 2/10 バンコク、犯罪/外科博物館、チャイナタウン、憧れのムエタイ。
9日目 2/11,12 バンコク、ワットポーでの散々な占い、極楽マッサージ。






● 2月3日(金)
 札幌で午前中に支払や連絡をばたばたとこなし、旅立つ支度をはじめる。かばんにものを詰めて、そのあと、北洋銀行にT/Cを替えに行ったら、ばったり友人に会う。結構よく遊んでいた仲なのに、そういえば勤め先を知らなかったんだ。びっくり。
 その後、千歳、羽田。荷物を新宿駅のロッカーに預けて、ガーデンプレイスの写真美術館へ行く。"写真都市TOKYO"を見る。瀬戸正人、鬼海弘雄の2名の作品がおもしろい。ストレートにわかりやすく愛情とか、作者の興味とかが伝わってくるから人物を撮ったものが好きだ。ほかの写真をみていたら、写真!!っていうような写真を見るよりは友達の撮ったバカ写真を見るほうが好きだな、なんて思う。
 恵比寿ガーデンプレイス内にある富沢商店は、調理機具や小麦粉の種類の多さに圧倒され、息がつまりそうなくらい興奮する。山田商店出張所以上のところは初めて見た。そこで過ごす時間はあっという間だった。芝居の時間が近づいてきたので、下北沢に移動。東京壱組の「違うチャフラフスカの犬」をみに行く。
 
 その後吉祥寺でれいこと待ち合わせをするが、1時間近く待ったのに、彼女は現われない。ストリートミュージシャンがたくさんいて、すごく上手い男の子たちがいたから、時間つぶしには困らなかった。
 会って、何人かで飲みに行って、ぐったりしてれいこの家に泊る。

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● 2月4日(土)
 昼過ぎから渋谷のPARCO劇場へ、メジャーリーグの"CLOUD9"をみに行く。PARCOの手前に、永瀬正敏の絵が大きく壁に描いてある。映画の宣伝。とてもかっこよい。
 "CLOUD9"のキャストは南果歩、上杉祥三、平田満、村田雄浩、銀粉蝶、松重豊、高畑淳子、そうそうたるものだ。これもかなり期待して行ったが、とても文学的で皮肉っぽい芝居だった。ちょっとわたしには合わなかったみたい。上杉さんと平田さんはとても魅力ある俳優だった。
 その後、新宿でホテルにチェックインして、アルタ前でけいこと待ち合わせ。待ち合わせ場所には、6時くらいなのになぜか酔っ払った相棒が登場し、かなりわたしをびっくりさせる。
 2人で、シアタートップスへWAHAHAのラブストーリー9を見に行く。これは、座長の佐藤正宏と、柴田理恵の二人芝居で、いつものWAHAHAの趣とは違う、ラブストーリーの短編4つのオムニバスだ。それぞれが、永六輔、君塚良一、小山薫堂、J・M・ワイルダーの作。柴田理恵は役によってブスにも美人にも見える。何より、全てが明解なのがわたしに合っていた。
 帰り、六本木にくりだし酔っ払って、結構東京タワー近いねー、行ってみよう!と歩き出すも、全然遠くて途中で帰る。

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● 2月5日(日)
 東京なのに雪ですごく寒い。東京に来てまでこんな目にあうとは思わなかった。西国分寺でれいこと、アニと待ち合わせ。そして府中へ。
 雪のためにレースの時間がめちゃくちゃ。チケゾーことウイニングチケットの引退式はお昼に行われる。人垣がすごくて見えない。ほんの少ししか見れなかった。あの美しい姿をもっと目に焼き付けておきたかった。彼の子供が出てくるまでは、こんなに夢中になれる馬は現われないだろう。わたしの中のブームとしての競馬が遠のいていく。

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● 2月6日(月)
 わたしにとっても、そしてけいことわたしの組み合わせにとっても珍しいことに、計画どおりにことがすすみ、ちょっと早めに設定していた成田エクスプレスに乗ることができる。
 成田エクスプレスにのって、成田で天ぷらそば食べてのんびりしていたら、結局チェックインがぎりぎりになってしまった。UAのカウンターになだれこむと、エコノミーが満席でCONNOISSEUR CLASS、要するにビジネスクラスにのれるということになる。これはケガの光明だ。席は広いし、食事は(エコノミーに比べて)全然いいし、窓際だし、言うことなし。
 18時にバンコクに着いて、リムジンタクシーのチケット(400B)を買って、ホテルに向かう。
 車は、窓を開けてガンガンとばしまくる。排気ガスがむちゃむちゃすごくて、目と眉間が痛くなる。渋滞と排気ガスの町、という噂はきいていたけど、体験してみなければわからないものだ。
 ホテルはスクンビットロードにあるWindsorHotelだ。スクンビットロードはビジネスホテル系の宿がかたまってある地区で、AppleHotelを通して予約を入れておいたところだ。外観は、すぐ隣に(正確にいうと、くっついて)エンバシースイートを建設中で、ホテル(windsor)の前に資材がたくさん積まさってあって、すさんだ感じがした。きくところによると今年の夏にはオープンする予定で建設をすすめているらしいが、見た感じどうやっても夏まではできないだろう。
 事前に入金は済ませて受け取っていたホテルチケットをフロントに出す、それでOK。ポーターのお兄ちゃんが、食事に連れて行ってやる、というのでついていくことにする。
 ホテルから歩いて10分もかからない場所で、スクンビットロード沿いのTICTACというタイ料理のお店に行く。まわりのお客は、タイの大学生っぽい男女いりまぜ6人くらいのグループが多い。タイで食べる初めてのタイ食は、太いきしめんに肉団子がはいったのと、トムヤムクンにする。まあまあ。正直なところそれまでトムヤムクン以外のタイ料理を口にしたことがなかったから、ああ、こういうものなのか、という感じだった。麺は米の粉でできているらしく、ぶちぶち切れてうまく箸でつかめなかった。スプーンをそえて食べると食べやすい。
 そこでの食事の代金は1人50Bでいいというので、その分だけ払う。そして、次の日ガイドしたい、と持ちかけられる。なーんだ、これが目的だったのね、それでいくら?と聞き返すと、車で行きたい所まわって2人で600Bだ、と言う。一人、1200円か、ま、いっか、じゃお願い、と頼むことにする。
 ホテルの部屋へ帰ってからも、レセプションから意味不明の怪しい電話がかかってきたり、ヘンになまめかしい声の男から電話がかかってきたりする。相手が誰だかわからないけど、ホテル内の人間なことだけは確かだ。かなりあやしい。

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● 2月7日(火)
 午前8時から朝ご飯にする。昨日ガイドを買ってでたユッスー氏との打ち合わせでは、6時ころに起きて、水上マーケットに行くはずだった。2人とも朝が弱く、相乗効果でとてもそんな早くには起きれるはずがなかった。おかゆにナンプラーとライムの汁と唐辛子のつけ汁を入れたのがおいしかった。
 そして観光へ。まず、水上マーケットへ行くのために、ボートに乗る。乗るまでがユラついてフラついて、もう大変な騒ぎで2人でキャーキャー叫びまくる。
 水上マーケットは早朝に開かれるものなので、当然ながらもう殆ど船がいない。買うものもない。わたしたちのようなお寝坊観光客あいての商売人がいるだけで、うそみたいな値段でランプータンを売りつけてきたりする。とにかく出ている船の数が少ないのでおもしろくなかった。川を船で移動して、もの珍しい景色と小樽運河のようにきったない水(正確にいうと小樽運河よりきったない水)と、スピードボートの風にあたって、、、というのがおもしろかった。その後、ボートでワットアルンへ。

 ワットアルンは、暁の寺院、と呼ばれている美しい寺院だ。ここは韓国とか台湾からのツアーのおばちゃんたちが多いらしく、彼女たちが大きな声で喋りまくっている。彼女たちに混ざって塔のようにそびえたつ寺院に上る。急な勾配の階段にまたしてもキャーキャー叫ぶ。壁面は遠くからみると、こまごまと細工をほどこしているように見える。近くからみると、陶器の皿を割ったかけらのようなものがはめこまれて模様ができている。キャーキャー言うのが結構楽しくなり、下るときも大騒ぎしながら下りる。
 おりて下に、顔抜きの看板人形があったので、顔をはめて写真をとるが、いきなり20Bを請求される。えー、何それそんなこと知らないよ、もー、何言ってるんだか、とか口ぐちに言って去ろうとすると、ガイドのユッスーさんがお金を出してしまう。(できあがった写真の看板人形をみると、ひそかに小さく20Bと書いてあった)
 船に乗る前に、やしの実ジュースをのむ。とうきびのゆで汁のようなアクのある味。ぬるくてまずい。あとで聞いたところでは、やしの実ジュースには当たりはずれがあるらしい。Samphran Elephant Ground & Zooへ。
 Samphran Elephant Ground & Zoo(220B)へは、途中から、車に乗って移動。そこで、手品を見る。日本じゃ見る気もおきないし、タイで見てもばかばかしい。タイまで来てこの蒸し暑いなか、なんでこんな手品を見なければいけないのか、腑におちなかった。それがおわると、ゾウのショー。戦闘ショーと聞いていたのでかなりワクワクしていたが、見事に期待をうらぎってくれる。その後、ワニの格闘ショーもあったが、こっちも子供だましでいら立たせてくれた。普通に"ゾウのショー"、"ワニのショー"ときいていたら、こんな気持ちにならなかったと思う。ユッスー氏は夢中でみている。周りの様子をうかがうと、タイ人にはうけている様子。わたしたちは途中であきてしまったので、次の目的地、ローズガーデンへ向かう。

 ローズガーデンは、Thai Village Cultural Showというショーが見ものだ。ムエタイ、バンブーダンス、民俗舞踊、長い爪をはめた指で表現する踊り、イサーンの踊り、剣舞、タイの結婚式などをダイジェストで見せてくれるところだ。これらは興味深いショーだった。ゾウのショーは、こっちのが数倍よい。そのあとゾウにも乗ることができる。ゾウ毛の太さにはかなり驚いた。相棒は象との共生にあこがれる女なので、大層ご満悦。
 そこからまた町の方へ戻る。マーブンクロンセンターで買い物。パインパン、もじゃもじゃなものが上にのっているパンと、替えのTシャツ(65B)、シャツ(450B)、水、いちごえびせん、マンゴスチン、メロン味ファンタを買う。
 部屋に戻ると、朝ラップをはがしたWelcomeFruitsを、10匹くらいのゴキが食い散らかしている。大騒ぎして、なんとか片付ける。ラップの意味はそれだったのか。その後また落ち着く間もなく、出かける。ユッスー氏が映画を見よう、と言ってきたのだ。タイの映画だとばかり思って出かけると、タイムスリップしてしまう内容のアメリカ映画だった。つまらない。寝る。
 夕食へ。路地の中を入ったエジプト料理屋へ。お店のおねーさん達の服がかわいい。イスラムっぽく、マレーシアの女の子のように頭に白い布をかぶったあの格好だ。いもとラムの入ったピラフと、オクラとラムのエジプトカレーを食べる。オクラカレーおいしい!!デザートはギョーザの皮にココナッツとかナッツ系をはさんで揚げたものにシロップをたっぷりつけたお菓子。おいしい。けど眠さの方が先にきて、食べたら一目散に部屋へ戻る。ユッスー氏の親切が、どこまで本物の親切かわからなくて、うざったくなって疲れてきた。手をつないできたり、距離感がラテン系になってきたりしたからだ。
 それにしても、このホテルの人間はみんなしてあやしい。「コイビト、イマスカ」とか、ディスコに一緒に行こうとか、手をつなごうとかかわいいもんだけど、会う人会う人ロクなことをいわない。それも結構真剣な顔で言ってくるように見えるからなおさらこわい。親切ってどこまで信じればいいのかわからなくなって、少々苛立ちぎみになる。

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● 2月8日(水)
 本日買い物デー。最初にホテルのあるSukhumvit通りにあるRobinsonへ。買うものもなく、タイムズスクエア前からNewWorldへ。Taxiで91B。渋滞でひどく時間がかかる。1時間もかかった。アイスコーヒー18Bを飲みながらぶらつく。かわいい乳白色のレンゲと小皿を3組買う。スーパーでインスタント食品、HulaHula、サボジラ、ランプータンを買う。食べ物系はすごい安い。みたこともない調味料がたくさんあり、友達が一緒に来ていることも忘れて、熱中する。
 ミスドはないけど、ダンキンドーナッツがやたら目につくので、そこでお茶する。Coconuts Barbarian(カスタードクリーム入りドーナッツの上にバタークリームとココナッツフレークがたっぷりのったやつ)とオレンジジュースをいただく。19B。くどい。
 今日ももじゃパンを買う。もう1ヶ、タイっぽいパン(豚肉とネギを炒めたのっぽいのが上にのっている)とあわせて20B。
 トゥクトゥクにのって、サイアムスクエアへ移動。60B。ここいらは高級デパートが集まっている界隈だ。ZEN、そごう、イセタンをぐるぐる回るが、欲しいものはなし。おみやげ用にリボンバッグを買う。
 ハッと気付くと21:00ですっかり暗くなっていた。タクシーに乗る。メーターの上がりが異常に早くて、ホテルの前を通り越して明りのない暗い離れたところに止められてしまい、すごくこわい目でバックミラー越しにガンとばされる。請求額は228B。えーーー、そんなわけないじゃぁーーん、という感じで困り顔をしたら、首の骨と指の骨をバキバキ鳴らせて振り向きざまににらまれてしまう。余りにも型にはまっていて現実感がない。腹がたつが、支払って降りる。日本円にしたらたいしたことないけど、そんなんされたら、すごいくやしい。
 イライラして部屋に戻ると、すかさずユッスー氏から電話。何言ってんのかわからないから、と言うと部屋に来ると言う。イライラ増長。ノックされるが放っておく。もじゃぱんを食べて寝る。

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● 2月9日(木)
 今日は、王宮とワット・プラケオへ。ワット・プラケオは王宮の敷地内にある。二つを含めるとものすごく広くて全部見る気力がなく、エメラルドブッダ(実はヒスイ)とか、玉座とか、豪華でありがたいものを何点か選んで拝見。中で迷って挫折して出たので、あとでガイドブックをみて、「こんなすごいものもあったのか。。。」と初めて知ったものもあった。
 そのあと、オリエンタルホテルへ行きランチ。まず、ホテルから対岸のレストランへ専用船で渡る。建物の中に入る時には靴を脱いで、レストランへ。なんと堀こたつ方式のお座敷。客層はタイのハイソサエティ母子、日本人スッチー、日本人ビジネスマン。バイキング形式で、お上品な味付けのタイ料理が味わえる。何もかもおいしい。ただ一つ失敗したのは、ぬるいココナッツミルク(甘塩っぱい)にバナナが入った汁。バナナが実に芋っぽい味で、まさにさつま汁、といった感じ。ライスプディングと呼ばれるもちっとしたココナッツ味の生地を浅いタコ焼鉄板で焼いたお菓子にほれる。
 食事のあとは、相棒が友達に頼まれたタイシルクを買うためにホテルのショッピングセンターをぶらつく。近くのホテルのショッピングセンターにもはしごしようと歩いていると、そこのホテルに勤めているものだ、という人物に声をかけられる。今わたしたちが行こうとしている所は今日は休みだから、違うところを紹介する。そこは運がいいことに今日までバーゲンをやっているから、そこに行くといいよ、というではないか。その人が止めて30Bで交渉してくれたトゥクトゥクに乗って、みやげもの店へ。一見、今日は営業しているのだろうか、というような外観で、ガラスの戸の外から中を覗いても紙が張ってあるからあまり良く見えなかった。そこで相棒は布を買うことに。なんかちょっと高いような気はしたけど。わたしは興味があるものがあまりなかったので、ふわふわの椅子に座って涼んでいた。
 そこからさらにTATの免税店へトゥクトゥクで移動。なかなかトゥクトゥクが止まってくれない。ようやく止まってくれたトゥクトゥクは、広告がたくさんついてやけにきれいな車体だった。それにのると、なんだか違う方向に走っていく(ここには気付いた)。この運転手は英語を喋るし、なんだかおかしい、ということになって、わたしたちが行きたいのはここだ!!と主張してみる。そうすると、そこより全然いい店に連れていく、というではないか。ちょっと押し問答になって、ラチがあかないから、信号で止まったところで飛び降りてさよならする。
 TATでゴールドのハートのついたブレスレットを購入。3520B。約15000円でこれだけの24Kのものが買えるなんてうそみたい。服の値段はほぼ同じだが、皮、金銀財宝のたぐいは非常に安い。
 つかれたので、外食ではなく、なんか買ってホテルで食べることにする。Robinsonでイカの辛い和えものとかランプータンとか買って帰る。イカの辛い和えものは、人生の中で一番辛い食べものだった。トトリの冷麺もメじゃない。

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● 2月10日(金)
 タイに来てずっと(オリエンタルホテルを除いて)相棒はナンプラーとパクチーのにおいにやられっぱなしで、彼女が感じるおいしい食事にありつけないでいた。空腹に耐え切れず入ったケンタッキーでも、マックもどきのハンバーガー屋でも、これもナンプラーの味がするー、と泣いていたものだ。それに比べてわたしの適応能力はすさまじく、屋台をみつけるととりあえずつまんでしまうという状況に陥っていて、体重増加を一手に担う始末であった。
 そんな相棒のためになんとなくここは大丈夫そうだ、と目星をつけていたのが、何回も行っているRobinsonに入っているタイスキの店だった。そこで遅い朝食をとる。ここはいけるらしい、よかった。タイスキというのは白濁したダシのなかに豆腐とか春雨とか肉だんごとか、肉とか海老とか青菜とかそんなんを入れて、ひきあげて、甘辛いタレにつけてたべる。辛くておいしい。これは彼女も気にいったようだった。2人でおいしいと思って食べる食事はやっぱりおいしい。

 今日、これから行くところは、この日が来なければいいとまで恐れていた場所、犯罪・外科博物館だ。ここはチャオプラヤー川の左岸の、シリラート病院の中にある。ここに行くのは相棒の希望である。Taxiの運転手、近くの市場の人々もこの博物館の所在を知らないようだ。すごく色々な人々(そこいらにいるのは素朴な下町の人々!!)に訊ねてたどりつくと、小学校の教室くらいの広さの所に、いやーーーっ、という感じの標本、ホルマリン漬けが、所狭しと並んでいる。
 いやだけど来たからには入ってみないと、と思って入る。頭を半分にわられた人の顔、杭をうたれた人体、水頭症のこども、シャム双生児、etc...。タイ人の中学生くらいの子たち3人組はホルマリン漬けの表から裏から何やらわいわい喋りながらじっくり見ている。すごい。わたしはそれらが置いてある会議用机の間の細い空間を通ることができなくて、外に出て待つことにする。胎児のホルマリン漬けの前にはコインが何枚かづつ置いてあった。

 チャイナタウンのオールドサヤームショッピングセンターへ。ここで例のおいしいライスプディングを買い、つまみながら店の物色。服屋のおねえちゃんたちが、店先で麺や青マンゴーをバリバリたべている。けいこのたっての願いで、コーヒーショップでフレンチコーヒーを飲む。向こう側に座ってちらちらこっちをうかがいみていたお姉ちゃんがこっちにやってきて、日本で2年位前に流行った歌でこんな歌は知らないか、と言って歌を歌いだした。わかりそうで思いだせない歌だ。「若大将の幸せだなぁ、とかいう歌じゃない?ふたりの〜なーんとかが〜」「それじゃない、」「えー、じゃー、あれじゃない?」なんか言い合ってかなりいろんな歌を披露する。彼女も何回も歌った末、サザンの真夏の果実だということに気付く。マナツノカジツはフルーツオブミッドサマーよ、なんでこの曲知っているの?と聞くと、顔を赤らめて日本人の男の子からテープで送ってもらったという。ふーーん、へーーえ、とか言ってつっつくとさらに照れていた。かわいい。

 インド人街と思われる通り、サンペーンレーンを通り、アジアの散歩を満喫。きたならしい小路を人々とすれちがい歩く。そこからヤワラーへ出て、肉まんたべたりする。宿らしき入り口の前の椅子に不遇のおばちゃんが座っていたのが退廃的だった。
 ヤワラーは中華街だ。金行という金を売る赤と金いろのぎらぎらしたお店と、漢方薬屋がたくさんある。金行の方は圧倒されて入れなく、漢方薬屋に入る。店のおじさんと、日本語、タイ語、英語、中国語が入り乱れる不思議なやりとりで、痩せる茶、痩せるクリーム、便秘薬を購入。一番通じたのは、減体重、快眠、西薬、五星期35天とか、紙に色々書いての漢字の筆談だった。だんだん面白くなってきて、茶を出してもらい、ご主人とちょっとかっこいい息子さんとなごむ。

 そして!!!ルンピニーボクシングスタジアムへ!楽しみにしていたんだ!!トゥクトゥクで移動しようとするも、なかなかルンピニーと言っても通じない。ムエタイ、ボクシング、でも通じない。パーンチ、キーックなんかの強力なbody langageをしてみても通じない。ちょっと発音をそれ風に変化させてモェイタイ、と言ってみると通じた。
 スタジアムの前には片言日本語の係員のお姉さんたちがいて、リングサイド席を勧める。2等席でいいよ、と言い張ってみるが「バクチ、アブナーイ、タッテミル、ヨクナーイ」を連発する。荷物も持っていたし、折れてリングサイドにする。日本円にして3000〜4000円近くだったかなあ、結構高かった
 外に並んでいる屋台から、やきそばとパインを買って席に着く。中に入ってみて、ああ、リングサイドにしてよかった、と思った。今日は6試合目にタイトル戦がある日で、混雑もすごく、金網の向こうの2,3等席には目をぎらつかせた人達がたくさん見えた。
 相棒が座っている隣の席には、かっこいい北欧系の方が座っているのにくらべ、わたしの左側にはいかにもイカガワシイはでなシャツ、出た腹、サングラス、チョビヒゲ、金の鎖のブレスレットの人物が座っている。その向こうにはスキンヘッドでまゆ毛が薄めの人物だ。漫画にそのまま出てきてもおかしくないキャラだ。なるべく目をあわせないよう注意しているが、そのうちその2人は、好人物であることがだんだんとわかってくる。少しうちとけて話してみると、後楽園でジムを経営している人だそうで、なるほど、それで、と納得する。ルールとか、おおざっぱなことを教えてもらい、面白さが増す。興奮してィウー!というかけ声をバクチの人たちとかけるとなおさらよい。ボディへのヒザ蹴り(ポイントが高い)が多いから顔がめちゃくちゃにならないし、3分5Rなところが、悲愴さがなくってよい。普通と違うのはK.Oはなるべくしないように戦うところ。バクチが面白くなくなるからなんだって。毎日でも見たい!!モェイタイボクサーも、トゥクトゥク運転手も肉体労働者がかっこよい!
 帰りは素朴なお兄ちゃんのトゥクトゥクで帰宅。

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● 2月11日(土)
 今日は最終日、チェックアウトしてホテルに荷物をあずかってもらってから、行動開始。
 スクンビットロードのsoi14、Robinsonの向かいにある堂記(トンキー)酒家で飲茶で昼食。ワゴンでいろんなものを運んでくれる中からいろいろ選んでテーブルの上に置いてもらう。北京ダック、エビギョーザ、海苔の巻いてある魚のすりみ、やきそばなど。おいしいものでおなかいっぱいで、2人ともごきげん。
 ワットポーへ。
 占いをしてもらう。占い師のおじいが言うことを隣にいる通訳の人が英語に訳してくれる。"今は友達が多く顔が広いだろう、24才恋愛に問題ある、つきあっても長続きしない、25,6才お金をたくさん使うから要注意、26才男にだまされる、27才は仕事に恵まれる、28,9才は人生の中でもかなりいい時期になる、30,1,2才のどれかで結婚する、相手は大きな目の肌の黒い中肉中背の男だ、白くて痩せている見た目いい男が現われるがそいつを選ぶな、、、、とにかく波の激しい人生だからおはらいしていけ"、と言われる。もう、散々なことを言っておいてはめるつもりだね、そうはいかないさ、と断わる
 座って水を飲んでいると、隣に地球の歩き方を持った日本の学生風な人が座る。わたしたち2人はお互いしか日本語で喋くる相手がいなかったので、水を得た魚のように喋りかけてみる。向こうもおもしろい人で、3人で弾丸のように喋りまくる。
 マッサージを3人で受けにいく。ここはタイマッサージの総本山と呼ばれるところで、手ごろなお値段ではずれのない施術を受けられるところだ。客層は欧米からの観光客(30代以上)が多く見えた。タイ式マッサージは、ツボを押すような指圧とくらべると、どちらかというと整体の要素がつよい。体をそらされたり、踏まれたり、痛きもちいい。ついつい、うーん、とか、いたー、とか唸り声を出してしまうところだが、まわりの欧米人はそんな声出しているひとは一人もいない。いつのまにかわたしらが注目の的になっていたようで、ちょっとはずかしくなる。
 その後、彼の友達もさそって晩ご飯をみんなで食べよう、ということになって、彼が宿をとっているカオサンロードの方に移動、他二名の友人とおちあい、タイ料理のお店へ。タイの音楽の生演奏を聞きながら食事できるお店だった。二人が今晩インドへ、一人はもうちょっとしてからコサムイへ向かう。みんな卒業旅行だ。シーズンだねえ。
 あっというまに時間は過ぎて、空港に向かう予定の時間になっている。びっくりしてホテルに戻り、荷物をとって、インド組の2人と4人でタクシーへ。わたしたちは23:25出発予定、インド組は0:00出発予定。ところが、彼ら2人の飛行機は今日の0:00ではなく明日の0:00だということが判明し、バンコクまで引き返すことになる。0:00ってむずかしい。わたしたちは悠長に笑っていたが、UAの職員に探し出されてせかされて飛行機に乗るハメになってしまった。着は翌日6:55だ。
 ずーっと眠ったままだった。

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