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目次
1.はじめに
2.レセコン選択の要点
3.操作のコツ
4.何に使うか
5.付録 カルテの略号
当院は73年(S48)9月に開業し、窓口会計やレセプト作成を手計算、手書きで行ってきました。その間、簡単で誤りが少なくなるよう工夫に努めました。しかし、その膨大な事務量を人間が処理するのは時間の無駄で、また誤りも生じやすいということを痛感し、コンピュータを採用することに決め、ゴールデンウイークより検討と準備を始め、開業満1年目の74年9月から、レセプトコンピュータ(レセコン)を使い始めました。以来、事務職員全員がこれを操作して窓口会計を行い、レセコンなしでの診療など想像することもできないという必需品になっています。
なお、これまで使ってきたレセコンは以下の4機種です。
74年(S49)9月 COMEDICA シャープ
82年(S57)1月 HAYAC−3800 シャープ
88年(S63)1月 OA−110WS シャープ
95年( H7)1月 ST3000 富士通
レセコンを選ぶ上で一番大切なのは「素人が使いやすいハード」だと思います。キーボードの入力はパソコン歴13年の私でも不得意です。ましてメカに弱い女性で、しかも全員がパートという細切れ勤務の中で、これに慣れるように要求するのは無理な話だと思います。当院の場合は、レセコン入力の98%以上が彼女達の窓口会計に依っているので、なおさら彼女達の使いやすい入力装置でなければなりません。
そこで採用したレセコンは、最初が IBMカード の挿入とテンキーだけで操作できるタイプのもの、2回目からはタッチするだけで項目の選択ができるセンサーパネルとテンキーの組合せの機種にしました。センサーパネルはタッチパネルの一種で、軽く指を触れるだけで入力が可能です。タッチパネルは一般に壊れ易いと言われているようですが、当院では2台目の機種が7年間故障知らず、3台目も7年間故障知らず、4台目はシャープから富士通に変わりましたが、同様のタッチパネルで、4年目に入った現在まで順調です。
1.カルテの記載を工夫する
病名や診療項目を簡略化し、カルテを工夫することがレセコンに限らず大切ですが、これについては V.付録 カルテの略号をご参照下さい。これがうまくできていれば、受付事務員は、カルテの記載通りの順にレセコン入力をすれば良いので、誤り少なく操作できます。
2.タッチパネルのレイアウト
タッチパネルを生かすも殺すも、このレイアウトの良し悪しにかかっていると言っても過言でないほど重要です。この設計には機種変更の度にかなり時間をかけてきました。
3.操作法の手順を決める
私がレセコンにデータを入力する機会はほんの僅かですが、自分がまず使用法を充分検討し、これをマスターした上で、一番分かりやすく、間違いの少ない操作法を決めます。いろいろ特殊な方法がある場合でも、原則として唯一つの方法だけを使うように教えます。それで対処できないケースは、後で私が処理をすることにしていますが、そのような例はほとんどありません。
4.操作法をマニュアルにする
マニュアルが使われるのは最初の間だけですが、これによって問題点がハッキリするほか、職員が家庭に持ち帰って勉強したり、新しく職員を採用した時のテキストとして役立ちます。「野村医院勤務マニュアル」というB5判94頁の冊子の25頁をこれに当てています。
5.特殊な操作は他の者にさせない
レセコンの入力量は受付事務員によるのが最も多く、98%以上を占めると思われます。しかしその対象はあくまで窓口業務に関係したものに限るのです。危険な操作とか、少し複雑な業務は私が行ないます。このように操作の面で使い分けをするのがうまくレセコンを使いこなす要点の一つでしょう
レセコンをレセプトを作成する道具としてだけに使うなら、持っている機能の30%位しか利用していないことになります。病名入力を含めた窓口会計での利用が40%、日計表作成が10%、そのほかの機能が20%くらいの比重を当院では占めています。
データ入力には莫大な時間と労力が使われているのだから、これを活用しないのはもったいない話だと思います。そこで一度入力したデータはとことん使う方針を取ってきました。
1.窓口会計の計算
レセプト作成に勝るとも劣らぬ重要な機能は窓口会計でしょう。当院では24年前にレセコンを導入した日から、これをまず窓口会計に使い、その結果としてレセプト作成に利用してきました。
レセコンを窓口会計に使うメリットを数えあげてみますと、窓口会計の処理時間が短くなり、正確さが増し、過ちの発見が容易になり、その結果がレセプト作成をはじめその他多くの業務に活用できることです。
薬価改正や点数改正にも簡単な処置で対応できます。97年9月から実施された健康保険法改正による、複雑極まりない薬剤負担金の計算でさえ、これまでと同じ入力の仕方で、ほとんど所要時間も変わらず計算できました。これを手計算でやらなければならないとしたら、窓口は混乱を極め、担当者は発狂しかねないであろうし、それを避けるためには類型的な投薬を余儀なくされる可能性があります。
次期に予定されているという参照価格制が導入されると、これまた手計算では大変です。薬剤の種類を減らすか、それも面倒であれば、医薬分業に踏み切らざるを得なくなる可能性があります。しかし、レセコンを窓口会計に使えば、購入価格を入力しておく手間は増えますが、その他は特別な操作の必要はなく計算できると思われます。
窓口会計の実際は、私がカルテの診療内容欄に記載した略号と数値を順に入力して行けば、ほとんど考えることなく完了します。
ご参考までに当院の外来で患者さんが費やす時間を書いてみますと、受付をしてから診察、投薬、会計までを含めて1人あたり約10分ばかりで終わります。
患者さんの待ち時間をできるだけ短くするということは、自分も待たされるのが嫌いな性格であるだけに、開業当初から心掛けてきた課題でした。それに対する極めて有力なアシスタントがこのレセコンによる窓口会計の実行というわけです。
故障などでレセコンを窓口会計に使えない経験を一度でもすれば、どれほどこの文明の利器の恩恵を受けているかを知ることができます。
2.日計表の作成
一日の最終業務がこの日計表の作成です。これは84年(昭和59)に青色申告を採用してから行なうようになった業務で、メニューからこれを選択すると1分以内に各保険の管掌別、診療項目別の日計表が打ち出されます。青色申告にした場合には、この機能は極めて有用で、これを使わずに日計表を作ろうとしても、時間と労力と正確さの点でこのレセコンによる日計表に太刀打ちできないでしょう。
3.レセプト作成
毎日窓口計算や病名入れが行われているので、レセプト作成というのは月末月初の打出しとほぼ同じ意味になります。レセプトの打ち出しは、当院の場合のような一般開業医でも通常17種類あり、疎漏なく全部のレセプトを正しくプリントアウトすることはかなり面倒な仕事ですが、レセコンでは各種類の番号を選択するだけで、間違いなく打ち出してくれます。レセプトのいろいろな総括表の計算も、手計算で時間がかかるだけではなく、間違いも絶えず起こりますが、レセコンなら呆れるほど容易です。
4.薬剤使用量の把握
1ヶ月の薬剤使用量をプリントアウトしています。これによって薬剤購入する際に役立つ資料が得られます。これは名前順の他に、金額順にも打ち出しています。名前順の使用量は、薬剤の発注量を決めるのに役立ちますが、金額順で並べた薬剤は、年1回行っている薬問屋の入札の際に最も役立ちます。
当院は約450種の薬剤を使っていますが、その内の金額順で並べた上位40品目の金額の合計は、薬剤金額全体の65%を占めています。いわゆる「パレートの法則」が当てはまり、10%以下の種類の薬剤を比較検討するだけで問屋選択ができるので、これにパソコンの表計算ソフトを組み合わせると入札も非常に簡単に終ります。
5.診療行為別点数の把握
診療行為別にデータを打ち出すことは、先の薬剤使用量と同様簡単に行うことができます。医療経営の専門家はこの活用を勧めますが、私は利用することが少なく、最近は保険点数の改正があった時の改正前後の比較に使う他は、打ち出しを行なっていません。
6.疾病統計
ある病気の患者数とか、患者番号 患者氏名 性 生年月日等のデータが毎月得られるなら、それを用いて色々な統計や分析が可能になると考えられます。大学にいた頃、学会に発表する時期になると、教室の何処かでカルテの山を積み上げている光景を目にしました。その時に、将来はこのような非生産的な方法を止めてコンピュータを使ったデータ管理をするべきだと考えました。
2台目のレセコンを昭和57年に導入するに当り是非ともこれを実現させようとメーカーに働きかけ、このソフトを組んでくれる事を条件に購入した次第です。その結果昭和57年1月から今日まで当院の疾病の基礎データをハードコピーあるいは磁気テープ(ストリーマ)の形で所有することができました。
7.同一家族のリストアップ
レセコンではいろいろな検索ができます。例えば、電話番号をキーとして来院患者の家族全員の名前を知ることができます。保険証の内容が変わった場合、来院している家族全員のデータの訂正に利用しています。
8.診療圏分析(地域別患者構成)
医療経営の専門家はこの診療圏分析を重視していますが私は行なっていません。「野村医院20年史」を作るにあたり一度だけ行いました。
9.診療行為による患者検索
例えばある薬剤を投薬した患者を調べることができるので重宝しています。
10.病名による患者検索
ある病名の患者をいろいろな条件をつけて検索する事ができます。95年9月と96年3月に、2薬品メーカの支店で「内科開業医の高血圧症の薬物療法」という演題の講演を行いましたが、そのデータを得るのにレセコンは非常に有用でした。
11.在庫管理
1.から10.までの仕事は窓口会計で受付事務員が入力したデータだけで行なえたのですが、これは新たに他のデータを入力しなければなりません。レセコンが出庫量を自動的に入力してくれますが、入庫量の方はこちらで入力しなければならないのが少々面倒です。それを除けば薬剤の在庫管理は簡単です。過去に1年間行ったことがありますが、労多くして報いが少ないので、別の在庫管理の方法(開業医というプロの整理法)を使うようにしてからは、全く行っていません。
レセコンに色々の仕事をさせようとする人もいますが、当院ではすべての事務員が簡単に早く窓口会計を操作できることが最重要と考えています。
パソコン、レセコン、電卓、手書き、のそれぞれを、効率を考えて使い分けするのが実用的だと考え、また実際その様に実行してきました。
カルテを分かりやすくする工夫の一つとして、略号を活用しています。これは、問診や診察所見の記載で繁用していますが、診療内容欄と病名欄は保険請求に関係するので、分かりやすく、間違いの起こりにくい書き方が望ましく、ほとんど略号を使っています。
当院では以下に述べるような略語を使用していますが、1)簡潔、2)内容を暗示し得る、3)早く記載できる、4)間違いが起こりにくいことを目標としています。
1.診察関係
自 :自費
初 :初診料
初、外 : 〃 +時間外加算
初、休 : 〃 +休日加算
初、深 : 〃 +深夜加算
紹加算 : 〃 +紹介患者初診料加算
R紹加算 : 〃 +紹介患者初診料加算(老人)
サ :再診料
サ同日 :同日再診料
サTel :電話再診料
サTel同日:同日電話再診料
カン :外来管理加算料
サ、カン :再診料+外来管理加算料
サ、カン、外:再診料+外来管理加算料+時間外加算
サ、カン、休:再診料+外来管理加算料+休日加算
サ、カン、深:再診料+外来管理加算料+深夜加算
サ同日、カン:同日再診料+外来管理加算料
以上の何れにも 外、休、深の添字がつく。
以下( )は○で囲む代用記号なので読み変えること
(シ) :特定疾患療養指導料
(処) :特定疾患処方管理加算
(ヤ) :薬剤情報提供料、老人薬剤情報提供料
(注) :特定注射薬剤指導管理料
(紹)A:診療情報提供料(A)
(紹)B:診療情報提供料(B)
(傷) :傷病手当金意見交付書
2.在宅療養料関係
往 :往診料
往急 :緊急往診料
往死 :患家における死亡診断料
自己注(シ):在宅自己注射指導管理料
訪看指示 :訪問看護指示料
3.薬剤略号
薬剤名も原則として略名で記載するが、そのルールは
a)原則として前3字をカタカナで書く
例)リンデロン → リンデ
b)特別な字は一つにまとめる
例)トラン → T
トランコロン → Tコロ
トランサミン → Tサミ
c)語尾にアルファベットが付くものは、前2字にアルファベットを加える。
例)アリナミンF → アリF
インテバンSP → インSP
d)例外として
ケフレックス→KXと略す。
ケフレックスとケフラールの略語がケフレ、ケフラでは紛らわしいので、
製品の記号を流用する。その他に紛らわしい略語がでた場合は繁用の方を
略語にして、残りを省略しないで使用するか、前4文字の略語にする。
e)添字として
−S :シロップ
例)ペリア−S=ペリアクチンシロップ
−DS:ドライシロップ、シロップ用末
例)エリス−DS=エリスロシンドライシロップ
−C :小児用
例)フスタ−C=小児用フスタゾール
−G :錠剤、カプセルと区別するときの散薬
例)シナー−G=シナール顆粒
−T :散薬と区別するときの錠剤
例)エンR−T=エンテロノンR錠剤
4.投薬関係
do :ditto 「同じ」の意味
単位の省略: g、ml、錠、カプセル、管、瓶、バイアルなどを省略
(3) :3日分[内服]、3回分[頓服]
内 :内用薬
屯 :頓服薬
外 :外用薬
5.注射関係
M:筋肉注射、皮下注射
V:静脈注射
関:関節腔内注射
点:点滴注射
6.その他のレセプト関係
検:検査料
例)検1 ECG
X:画像診断料
例)X1 胸角x1
X2 胃4Fx7
処:処置料
手:手術料
理:理学療法料
7.実費項目
(診) :診断書
(診)学:学校幼稚園診断書
(診)特:特殊診断書
(診)死:死亡診断書
(健) :健康診断書
往車 :往診車馬料
予注 :予防注射料
器具 :器具代金
血型 :ABO血液型判定料
8.特殊な繁用略号
DD :前回診療時と全く同じ診療内容
D月.日:指定日と全く同じ診療内容
例)D2.1
病名のカルテ記載も診療内容と同じように略名で行なっています。
略名のルールは
1.前から1まとまりになった最小の言葉をカタカナで書く
例)顆粒球減少症 → カリュウ
2.外国語の場合で1)が困難な時には語呂の良いところで切る
例)インフルエンザ → インフル
3.同音異語の漢字で始まる時はその部分だけ漢字を使う
例)冠不全 → 冠フ、 肝硬変 → 肝コウ
4.前からの1区切りの言葉が同じ病名の場合これを漢字1字で代用し、
これに次の1区切りをカタカナで追加する
例)気管支拡張症 → 気カク、気管支喘息 → 気ゼン
5.ただし、急性は(キ)、慢性は(マ)で代用する
6.病名一覧
病名略号とそれに対応する病名をレセコンのタッチパネルに合わせて一覧表にまとめています。1995年1月15日作成分の病名数は約600です。
以上は「野村医院二十年史」の記事を中心に、それ以後の状況の変化に対応して一部修正したものです。
(1998.2.1.)| ホーム > サイトマップ > 医療 > その他 > レセコン活用法 このページのトップへ |