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<1993年 3月 枚方市医師会会報 第40号より>
パソコンを使いはじめて7年が過ぎました。最初のほぼ5年間はかなり熱心に新しいことを取り入れて来ましたが、今は専らそれを利用している状態です。
このたび会報40号編集委員長の門林先生からパソコンについて何かを書くようにとの指示をいただきました。そこで現在私が毎日利用していることがらを中心にパソコン活用法を書いてみようと思います。
診察机の上にパソコンを置いています。毎朝診察室に入るとまずこの電源を入れ、MS−Windowsという基本的なソフトを動かします。このソフトの上で6種類の仕事をさせています。
これは医学書院から昨年発売され、今年第2版にバージョンアップされたものです。音楽用と同じ12cmCDの1枚に医学書院発行の8冊の書籍が収録されています。その中身は今日の治療指針92年版、同91年版、今日の診断指針第3版、今日の小児治療指針第9版、今日の検査指針第2版、治療薬マニュアル、救急中毒マニュアル第1版と新薬情報などです。
これらの書籍の内容をいろいろな検索方法でブラウン管(CRTディスプレイ)上に素早く表示させることができます。これを診察中の病気や薬の説明によく使います。印刷もできるので説明の後で必要に応じて印刷してお渡しすることもあります。しかし患者さんへの説明に使うよりも自分の勉強や知識の確認に使うことの方が多く、その場合キーワード検索によって関連項目を次々と読めるので便利です。その上必要な箇所を部分的に切り出してファイルに落すことも簡単なので、それを自分用に編集することも容易です。
とにかく8冊の最新医学図書中から知りたい項目をキーワード検索で選択しながら取り出すことができ、またその中から関連項目をいもづる式に取り出せるということは素晴らしいことです。
これは作者の好意により無料で提供されている優れたファイル管理ソフトで、パソコン通信により入手しました。このソフト上で主に標準体重、肥満度、指示カロリーの計算をしています。以前はBrocaの変法を使っていましたが、学会の主流となってきたBMIに最近変えました。成人の診察ではよく使います。
そのほかに年齢早見表やカレンダーを出したり、病気や検査の説明にも使います。例えば私が説明用にまとめた文章や図などをディスプレイに表示して、それをカーソルや棒で指し示しながら説明をします。最近ではC型肝炎の説明によく使っています。大阪府の感染症情報のグラフ表示もよく使います。これは大阪府下で流行している感染症の上位5つの病気をグラフ表示するもので、患者さんに病気を説明する際に便利であるし、自分の勉強にもなります。病気の画像を表示して説明するのは次の3)MS−DOSのプロンプトのところで行っていますが、そのシステムに組み入れていない画像の場合このFDから直接表示しています。
その特徴が見ただけで分かり、しかも珍しい病気の患者さんを診察することがあります。その時には患者さんにお断りして許可が得られればビデオカメラを患部に向け、パソコンのモニター画面にその映像を表示させます。適当な構図になったところでキーボードのどれかのキーを押すとその画像がパソコンに取り込まれ、フルカラーの画像ファイルが作れます。
昨年までは写真撮影をしてそれをイメージスキャナーでパソコンに取り込んでいました。しかし直接ビデオカメラで画像を作る方がステップも少なく、また患者さんにどのような画像であるかをその場でお見せできるので有利です。もちろんこのようなことが可能なケースは極めて少なく、またその患者さんがそれ以後来院されなくなるかもしれないことは覚悟しておかなければなりません。
FDというソフトはこのように良くできたソフトで、文章ファイルであればそのファイル名の上にカーソルを持って行きリターンキーを叩くだけで文章が表示されます。画像ファイルの場合もファイル名の上にカーソルを持って行き、GRPHキーと特定のキーを押すだけで画像を表示できるようにしたり、ビデオカメラでパソコンに画像をワンタッチ取り込むことができるようにカスタマイズすることも可能です。
これはパソコンでMS−DOSを動かした際に入力指示記号(通常は>)が表示されている状態です。ここでは主として医用画像を表示するのに使用しています。たとえばテンキーで111と入力しリターンキーを叩くと、呼吸、循環器系のメニューが表示され、次にそのメニューにある9個の項目のいずれかの番号を入力すると10個の画像の名前が表示されます。続いてそのいずれかの番号を入力すると8色画像が表示されます。
この111のグループには90個の8色画像が納められています。222では消化器系を中心とした約90個の8色画像、333ではアレルギー系の約20の8色画像、444では20個のフルカラー画像を表示することができます。ここでフルカラー画像というのは自然に近い1680万色で作られた画像のことです。
8色画像による医用画像を表示するシステムは今から5年前に完成させたのですが、それから画像の世界は16色画像、256色画像、フルカラー画像へと目まぐるしく発展し、昨年の春ごろから一段落しました。
8色以外の医用画像も自作、他作のものをかなり所有していますが、これを画像表示システムに組み入れる時間と情熱が無くなりました。そのため444というグループの20個のフルカラー画像を表示するものしか作っていません。ここに納めた以外の16色やフルカラー画像は先に2)のところで述べたFDを使ってでダイレクトに表示しています。
ここではSONYの電子ブックを読むのに使っています。これは8cmのCDで、通常はニューセンチュリー英和辞典とビジネスコンサイス英和辞典と新クラウン和英辞典が検索できるようにしています。しかし検索速度の早いソフトがWindows上では使えないため相当いらいらします。
このFDには日本語変換ユーティリティ(FEP)を組み込んでいるので漢字を扱うことができます。そこで漢字を使うソフトはここで使うことにしています。それは大きく分けて表計算と文書作成と通信です 表計算ソフトとしてはスーパーカルク3(SC3)を使っています。これは1−2−3が日本に入ってくるまでは表計算とグラフ表示とデータベースの3機能を持つソフトとして唯一つのものでした。そこで当院の診療に必要な大部分のデータ処理はこれで行い、その結果と形式(フォーム)を残してきました。
ここではその中の患者さんの検査データの時系列表示(数値とグラフ表示)に最も多く使っています。このSC3の使い難い点はデータファイル名を直接キーボードから入力しなければならないことですが、FD上でSC3を使うとデータファイルのファイル名にカーソルを持って行き、GRPHキーと特定の文字キーを押すだけでそのデータファイルを読み込み実行させることができます。
次の文書作成はワープロソフトではなくエディタで行っています。これは文書やプログラムを編集するソフトです。あらゆる文書をまずこれで作り、特別な印刷が必要な場合にはこれをワープロソフトや印刷専用ソフトに読み込み修正しますが、通常はこのまま文書ファイルとして残しています。
診療中でも目の前にキーボードがあるので文書の作成や修正は簡単にでき思い付きや調べたことのまとめなども即座に可能で効率的です。
最後の通信というのはパソコン通信のことで毎朝診療の前にNIFTYと大阪府医師会マイコンクラブの通信ホスト局にアクセスしています。パソコン通信によっていろいろなジャンルの最新情報を入手したり、各地の人と意見や情報の交換をすることができます。
大阪府医師会マイコンクラブのホスト局には会員の星先生が3年以上も前から毎週木曜日に大阪府下の感染症情報をグラフにして提供して下さっています。毎週その献身的なご努力に感謝しながらこれをダウンロードして2)で述べたような形で診療に活用させていただいています。
1−2−3が日本に入ってくるや真っ先に購入しましたがその時には既にスーパーカルク3(SC3)によるデータ処理ができ上がっていました。このSC3のデータを1−2−3に移すことは簡単ですが、計算式や関数は移せません。そこで旧来のタイプのデータ処理はSC3で続けています。
しかしSC3は1−2−3が入ってきてからバージョンアップが止まってしまいました。それに対して1−2−3の方は何回もバージョンアップされ改良が続けられています。特にR2。3Jになってからはプロテクトが外され、印刷機能が充実し、レーザープリンターの本来の機能(ネーティブモード)にも対応するようになりました。そこでこれからの新しいデータ処理には積極的に1−2−3を使っていくように方針を変えました。薬剤データや住所録などはSC3では計算式を使っていなかったのでこちらに移植し、それに1−2−3の豊富なマクロを与えると見違えるほど使いやすいものになりました。
以上6種類の仕事(タスク)がGRPHキーとTABキーを同時に押すことで瞬時に切り替えることができます。これはタスクスイッチャーとしてWindowsを使うことによって可能になりました。私のパソコン使用目的の約1/4は診療中の患者さんの説明に使うことで、これは7年前にパソコンを始めた時から変わっていません。昨年まではあるソフトを実行して次のソフトに切り替える場合には一旦前のソフトを終了させてから次のソフトを実行していました。そのため切り替えに要する時間が30秒から1分近く必要で、診察中に使う場合の泣き所でした。
昨年から日本でも急速にWindowsが普及しはじめ、これによってタスクスイッチが可能になった時思わず快哉を叫びました。これこそ私が長年切望してきたものだったからです。もちろんWindowsをこのように使うのは邪道かもしれませんが、これまでのMS−DOSの豊富な資産を活用する方法としては現在のところでは最適だと考えています。
診療中に机上でパソコンを使う場合のもう一つの問題はできるだけ片手でパソコンを操作できることだと思います。これを解決するためにテンキーや矢印キー、その他1個のキー入力で操作ができるように工夫しました。それができない場合はGRPHキーと他の1個のキーを同時に押すことで処理できるように工夫しています。これはバッチファイルという最も簡単なプログラミングの活用とFDという無料のソフトを使うことで解決できました。
当院の経理関係は全て表計算ソフトのスーパーカルク3で行っています。現在使っているフォームは85年末には完成していました。
1)給与計算 (毎月21日頃)
2)各種記帳整理 (毎月月末)
A.自費収入台帳集計
B.未収金台帳集計
C.普通預金の出納帳作成
D.現金の出納帳作成
3)レセプト関係 (毎月月初)
A.社保生保請求書
B.国保請求書
1)棚卸し (毎年8月末)
2)年末調整 (毎年12月末)
1)各種文書の作成と管理
2)掲示文の作成
3)患者データの整理分析
4)スライド作成
5)画像ファイルの作製と管理
6)経営関連データの整理分析
7)趣味関連データの整理
8)交友関連データの整理
9)通信関連情報の整理
10)コンピュータ関連情報の整理
(1993年 3月、記)
<補足説明>
「私のパソコン活用法」は、パソコンを余りご存じない一般医師会員に、開業医がパソコンを活用している実際を読んでいただき、パソコンを始める参考資料になることを願って書いたもので、これも枚方市医師会会報に投稿した。
MS−Windows95が95年暮れに日本で発売され、インターネットとともにWindowsはたちまち世界中に広がり、今やOSの8割をWindowsユーザーが占めている。MS−Windowsが本格的に我が国で使われ出したのは1991年の春に発売されたversion 3.0からで、私はいち早くこれを組み込み、過去のMS−DOSの資産をフルに活用するような使い方をしてきた。1993年に3.1が発売され、Windows95、98、Me、2K、そしてXPへと進化し続けている。
私のパソコン暦を簡単に述べると、1985年からパソコンを始め、86年に診療補助システムを完成、86年から医療用画像(8色)作成表示システムを開発し、88年に完成、88年から通信を始め、主としてパソコン画像の進歩に追随し、93年のJPEG画像で通信から離れた。その年に「野村医院20年史」をパソコンを駆使して、本格的なDTP(desk top publishing)で自費出版した。
96年8月からWindows95を並行的に使用し、8月15日に野村医院のホームページを開設、交野市医師会パソコン同好会の世話人となり、9月24日に交野市医師会のホームページを開設し、現在に至っている。2001年末でDOSマシーンからWindowsマシーンに完全に移行した。
(2001.12.24.)| ホーム > サイトマップ > パソコン > DOS時代 > パソコン活用法 このページのトップへ |