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目次
パソコン用に改変した数字譜
メロディー略譜
abc 略譜
曲名が分っているのに、メロディーが思い出せないこともある。そのような時も、歌い出し部分の歌詞が分れば、メロディーは出てくることが多い。もちろん譜面があれば即座に解決する。
しかし、その反対にメロディーが分っていて、曲名の思い出せない時は難儀である。思い出すすべもなく、いらいらして落着かず、それに拘ってしまい易い。つい先日も、BGMで聞いた曲の名前がどうしても思い出せず焦ってしまった。これは年のせいかとも思ったが、思い返してみると、若い頃からこれに悩まされた記憶がある。
その解決法として、曲の歌い出しの部分を数字譜で記録して、それを表計算ソフトでソートして、歌い出し略譜集を作ることを思いついた。これは我ながら良いアイデアだと思った。
メロディーは五線紙に書くのが正式であるが、数字譜でも簡単なメロディーなら書くことができる。これは手書きするのも簡単だ。しかし、パソコンで書くには難しいところがある。そこでパソコン用に改変した数字譜を考案した。95年頃のことだった。
1.音階 : 絶対音階ではなく相対音階とする(移動「ド」)
ド、レ、ミ、ファ、ソ、ラ、シ 1 2 3 4 5 6 7 オクターブ上のドレミ ^1 ^2 ^3 ^4 ^5 ^6 ^7 オクターブ下のドレミ _1 _2 _3 _4 _5 _6 _7 半音階高いドレミ #1 #2 #3 #4 #5 #6 #7 半音階低いドレミ b1 b2 b3 b4 b5 b6 b7
2.休止符 : 0(後に音の長さの記号を付ける)
3.音の長さ : 音階、休止符の記号の後に付ける。
1拍 2拍 3拍 4拍 - -- --- ---- 例 ^#5--- 1/2拍 1/4拍 1/8拍 * ・ ' 例 1* 6・ 4' 3連音 (3) 例 222(3)
4.小節の区切り : |
5.実例
椰子の実 「名も知らぬ遠き島より流れ寄る椰子の実ひとつ...」 | 0- _5- 1- 3- | 2-- _5-- | 0- _5- 2- 4- | 3-* 4* 2- 5- | | 1-- 2- 3- | 4-- 3- 1- | _5-- 1- 3- | 2- 2- 1-- |
この「パソコン用に改変した数字譜」を使ってみると、なるほどメロディーはほぼ正確に書けるが、かなり面倒であることが分った。もともと、これを考えたのは、メロディーから曲名を知るためである。それに役立つのであれば、メロディーに必ずしも忠実でなくても良く、簡単なほど有用のはずだ。
そこで発想を変え「曲名の識別に有用で、できるだけ簡単な情報は何か」を検討した。その結果、この数字譜は音の長さの部分が複雑さの大半を占めているが、これを除いても曲の識別に影響は少ないことが分かり、音階を中心にするだけで充分であると判断した。
そうなると、音階名を数字で表すのも、慣れていない者には分かり難く、「ド レ ミ」で書くのが一番良さそうである。しかし、それではキーボードからの入力に少し手間がかかる。また、Do Re Mi Fa の最初の文字だけをとって、D R M F とすれば楽なのだが、So La Siで、「ソ」と「シ」が同じ「S」になるので、これは駄目だと思ってきた。
最近また歌の整理を再開したので、たまたま「サウンド・オブ・ミュージック」に出てくる「ド・レ・ミの歌」の譜面を見ていると、歌詞が「Si」ではなく「Ti」になっている。歌を聞いても、「Si」ではなく「Ti」と唄っている。「これだ! これを使おう!」と閃きが走り、すぐさまその作業にとりかかった。98年4月20日のことである。この時、私は、アルキメデスが浮力の法則を発見して風呂から飛び出した時の気持になっていた。
そしてアルファベットを使った「メロディー略譜」のきまりを次のように決めた。
1.音階
ド、レ、ミ、ファ、ソ、ラ、シ D R M F S L T オクターブ上のドレミ ^D ^R ^M ^F ^S ^L ^T オクターブ下のドレミ _D _R _M _F _S _L _T 半音階高いドレミ #D #R #M #F #S #L #T 半音階低いドレミ bD bR bM bF bS bL bT
2.休止符、音の長さ、小節の区切りの記号なし
3.フレーズの終りに , を入れても良い
4.最初の音階名には、オクターブ上のドレミや、オクターブ下のドレミを
できるだけ使わない。これは、曲の識別をより簡単にするためである。
5.実例
椰子の実
「名も知らぬ遠き島より流れ寄る椰子の実ひとつ...」
S^D^M^RS,S^R^F^M^F^RS,^D^R^M^F^M^DS^D^M^R^R^D
この方法は、音程の変わるところで対応する文字に変えるという超簡易法で、歌いながら即座に入力を続けることができる。前の数字譜と比べると100分の1くらいの労力で済む感じで、400曲以上の歌い出し部分のメロディーを、この簡易楽譜の形式を使い、3日もかからず表計算ソフトExcelに入力することができた。
もちろん、この簡易楽譜には音の長さのデータが欠けているため、その曲を全く知らない場合、この簡易楽譜から曲名を推測できない欠点はある。しかし、メロディーが分っていて、曲名が分からない場合には、この情報だけで充分に曲名を知ることができる。これこそ私が長年求めてきたもの、積年の夢の実現である。まさに、コロンブスの卵で、ブラボー! と叫んでしまった。
この音長を省略し、音高だけで記述するこの簡易楽譜を「メロディー略譜」と名付けた。メロディーを知っている場合には、この簡易楽譜からメロディーを口ずさむこともできよう。だから、曲名や歌い出し部分の歌詞の他に、これも大事な情報となった。歌の整理分析にも役立ちそうで、いまは快い興奮状態にある。
この文のはじめにところで書いた、思い出せなかったBGMの曲名は、この「メロディー略譜」を使って歌のデータ・ベース1000を作る作業中に発見することができた。「Killing me softly with his song、やさしく歌って」である。62歳の誕生日の夕べ、梅田にある17階のレストランで、ピアノ演奏されたBGMだった。
(1998.4.24.)「歌のデータ・ベース 1000曲」、「歌い出しメロディーからの曲名検索」、「歌と思い出」では、「メロディー略譜」で「歌い出しメロディー」を表現した。
「メロディー略譜」を作って10年が過ぎた今、「abc譜、abc記譜法」という「文字譜」が、欧米でかなり広く使われていることを知った。試してみると、それは非常に優れた記譜法である。そこで、これからは全面的にこの「abc譜」に切り替えることにした。その一つとして、「メロディー略譜」を「abc略譜」に変更したが、これはハ調の「abc譜」の音長を省略し、音名だけで書く「メロディー略譜」である。
簡単には、ハ調の音名列だけでメロディー・パターンを示す譜面といえる。
音名は大文字で、例えば[ A ]と書き、オクターブ下の音には[ A, ]のように[ , ]を付け、オクターブ上の音は[ a ]のように小文字で書く。
半音高い音には[ ^A ]のように[ ^ ]をつけ、半音低い音には[ _A ]のように[ _ ]を付ける。このほか、休符は「 z 」のように、小文字で書くが、長さは省略する。
ハ調の3オクターブの音階(ドレミファソラシ)は以下のように書く。
なお、略譜というのは私の造語で、メロディーを「音高」だけで書き、「音長」は省略する楽譜を表す。「音高」を省き、「音長」でけで書く楽譜もまた「略譜」である。
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