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腹十二分目でも健康 補足

1998.08.09. 掲載
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先の「腹十二分目でも健康」という拙文に対して、たくさんのご感想をいただきありがとうございました。ご尊名は載せず、その一部をご紹介させていただきますことをお許し下さい。

●クチャクチャ噛んでいると美味しい物も美味しくなくなりますね...健康法を考えて、かえってストレスになるより、好きなように楽しんで食べていればそれが又健康につながっていくでしょう。
  →(そう思います)

●好きでもない食事をして長生きをするよりも、短命に終わっても好きなものを食べたい主義です。と言いながら嫌いなものはほとんどありませんが・・・
  →(同じです)

●理論的、そして自信に満ちた意見
   →(へ理屈ではありますが、自信もあります)

●早飯は医者には多いのでは...全然運動もしないということは筋力低下にならないか...快眠快食快便で、毎日歌を唄って生活していて、様々なストレスを吹き飛ばす...性格も大いに関係するのでしょうね
   →(同感です)

●「腹十二分目でも健康」=同感...曾婆チャンが「好きなものは好きなだけ食べないと死んだ時目の色がわるい」と言ってました
   →(そうかもしれませんね)

●一致していること...腹十二分、好きなものを食べる、ビールを飲む、塩分を十二分に、コーヒーをブラックで、早飯ぐい、あまり噛まない、病気で休んだことがない、快眠快食快便、睡眠薬 安定剤飲んだ事ない、呼吸器が弱くて喘息がでる、父が結核で死亡、甘いものが嫌い、間食をしない、ポリクリの8人中4人が死亡、香辛料が好き、熱いものは熱く冷たいものは冷たく、たばこを吸った事があるけれどやめた、、検診は受けた事がない、...
  →(余りの一致に驚愕)

●十二分に食べていると自分では思っておられるようですが,実際は八分目ぐらいなのかも...噛まずにのみ込んでいては味がわからないのでは...好きなものを好きなだけだけ食べていると思っておられることが精神的によくて,それが健康につながる...
  →(そうかもしれませんね、しかし「味がわからないのでは」だけは全く逆です)

●世間には「健康第一」主義を標榜される方がたくさんおられます...そんな時流に、あえて一石を投ぜられた今回のご提言は、刮目に値するご意見であります
  →(破顔一笑、それが狙い)

脱稿後の「へ理屈」の追加
自分の腹筋が強いわけとして、絶えず鼻歌を唄っていることを挙げ、そのために満腹感が早く得られると書きましたが、本文を書き上げてから、それだけでもないことに気が付きました。その顛末をご披露いたします。

私は週の半分以上、朝の診療時間前に胃の透視検査をしています。X線テレビなので、レントゲン室の外から、マイクで指示をして、検査を行いますが、スピーカーが頭上にあり、そこから、自分の話している声が、聞こえてきます。経験がおありの方には、ご理解いただけると思うのですが、スピーカーから聞こえてくる自分の声は、まったく別人の声に近く、そのために、話している自分に対して客観的になることができます。その一つとして、しゃべっている時間の呼吸法に意識が向かいます。

マイクで話している時は、息を吐くか吐き出した状態が大部分で、腹に力が入り腹を引っ込めた状態でいます。そして息が苦しくなると、急いで腹の力を抜いて、腹を膨らませ、息を吸いますが、この時間はほんのわずかで、腹に力を入れている時間の10分の1にもなりません。なぜ、このような呼吸法になるのか気になりながら、深く考えることのない繰り返しで過ごしてきました。

今回、自分の腹筋が強い理由として鼻歌を挙げたものの、これだけでは根拠が弱いと無意識に感じていたのでしょう。この腹に力を入れている状態が長いということも、腹筋の強さに関係しているのではないかというインスピレーションが閃きました。

そこで、普通の状態ではどうかと観察してみると、マイクで話す時と比べて、息を吸う時間はそうでない時間の5分の1くらいですが、驚いたことに、息を吸う時間以外は常に腹に力を入れ、腹を引っ込めた状態が続いているのを発見しました。呼吸は普通では意識することがないので、今まで分からなかったのですが、このことを知っていささか興奮しました。

これまで、普通の生活では、吸気と呼気の時間はほぼ1:1であると、何となく思っていたのがそうでなく、1:5から1:10にもなり、また吸気以外は、腹に力を入れて腹を引っ込めている状態を無意識に続けていることを知ったのでした。

それでは、唄っている時はどうかと調べてみると、鼻歌で1:10くらい、声を出して本気で唄う時は1:15くらいにもなりそうです。もちろん、この場合も、腹に力を入れ、腹を引っ込ませています。

以上のことから、二つのことが分かりました。腹筋を強くしているのは鼻歌だけではなく、平常の呼吸法が関係しているということ。このような呼吸法も、腹式呼吸には違いないのですが、単純に腹を膨らませたり引っ込ませたりを繰り返すというものではなく、それ以外に、呼気=腹筋に力を入れ腹を引っ込ませた状態、吸気=腹筋の力をゆるめ腹を膨らませる状態、そして呼気と吸気の時間的関係までも包括したものとして、捉える必要があります。

私は、こどもの頃からよく唄ってきました。大学に入ってからは、いくつかの合唱団に属して唄いました。その中で自然と身につけた腹式呼吸法であり、発声法であると思っています。特別なトレーニングを受けたわけではありません。その呼吸法、発声法が、妙な具合に腹筋を強くするのに役立っていたということになりそうです。

もう一つは、腹筋が強いというだけでなく、食事中であっても腹筋に力を入れ腹を引っ込ませている状態が続いているため、すぐに満腹感に達するのではないかと思われることです。この腹に力を入れて腹筋に緊張を与えることを、「臍下丹田」と言い、昔の人が薦めていたのを思い出しました。期せずして、私は古来の作法を身につけていたようです。

ビール、強い腹筋、臍下丹田の3つのファクターが、腹十二分目感に関係しているという仮説は、より説得力を得たと考えるのですが、如何でしょう?

やっぱり「鼻歌」
なぜ「臍下丹田」を知らずに身につけていたのかと考えているうちに、これは「絶えず鼻歌」を唄っているせいだと気が付きました。鼻歌を唄う場合も、先に書いた変則腹式呼吸をしています。これを四六時やっているから、自然とこの呼吸法が身についた、それが「臍下丹田」となったと考えるのが無難なようです。どうでもいいことですが...


<1998.8.9.>

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