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地震のまとめ

2011.03.26. 掲載
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目次
はじめに
 1.地震の定義
 2.プレート
 3.地震の原因と種類
 4.地震の規模を表す指標:マグニチュード
 5.地震動の大きさを表す数値:震度
 6.津波
 7.世界の地震
 8.日本の地震
 9.今回の大地震関連
10.今後の西日本の地震の予想
まとめ


はじめに

途切れることなく続く未曾有の地震災害の報道をTVで見て、自然の力の強大さに圧倒された。その中で、いろいろ思い、考え、学んだが、地震に対する私の知識が非常に貧弱であることを痛感し、地震について自分が知りたい知識や情報をWebで調べた。

Webには情報は多いが、玉石混交で、その中から正しい情報を見つけるのはかなり難しい。私の判断で、精度が高いと思われる情報をまとめて、「地震のまとめ」とした。

これはあくまでも、自分のためにまとめたものであるが、地震についてのまとまった知識を得たいと思われる方に、お役に立つところがあれば、嬉しく思う。

ほとんどの記事に出典を記した。大部分は Wikipedia から得た記事である。青色太文字をクリックすると、出典にリンクする。


1.地震の定義(出典:地震 - Wikipedia

地震は、地球表面の地殻の内部で、固く密着している岩盤同士が、断層と呼ばれる破壊面を境目にして、急激にずれ動くこと。地殻が非常にゆっくりとずれ動く現象は地殻変動と呼ぶ。

1)断層

断層とは、地下の地層もしくは岩盤に力が加わって割れ、割れた面に沿ってずれ動いて食い違いが生じた状態をいう。

震源の深さが地表に近くなると断層が地表にまで現れることがあり、兵庫県の淡路島の野島断層や岐阜県本巣市の根尾谷断層が有名。

2)活断層

新生代第4世紀に繰り返し活動し、今後の活動する可能性があるとみなされる断層、つまり、約100万年前より新しい時代に動いた形跡のある断層を活断層と呼ぶ。


2.プレート

1)地球の内部構造

地球の内部構造は、薄い地殻の下に上部マントルと下部マントルがあり、中心部は外核と内核に分けられる。プレートは地殻と上部マントルの最上部が一体となった厚さ100kmほどの岩盤のこと。

地球の半径約6,400kmに比べて、プレートは、厚さ10〜100km程度の板のように見えるので、英語で板を意味するプレート(plate)と呼ばれている。


図1.地球の構造 1:内核、2:外核、3:下部マントル、4:上部マントル、5:地殻、6:地表 (地球 - Wikipediaより)

2)プレート

地球の表面は、10数枚の硬いプレートがジグソーパズルのように敷き詰められている。プレートはほとんど変形しないで、それぞれの方向に、年間数cm〜10数cm程度の速度で平行に移動しながら、衝突したり潜り込んだりしている。プレート同士の境界では、お互いに影響しあい、その結果、山脈、海溝、海底山脈の形成や、地震・火山活動を引き起こしている。なお、プレートの中央部ではほとんど地震は発生していない。

プレートには、大陸プレートと海洋プレートがあり、海洋プレートは大陸プレートよりも強固で密度が高いため、2つがぶつかると海洋プレートは大陸プレートの下に沈んでいくことになる。

また、地下のマグマの上昇によりプレートに亀裂ができ、連続してマグマが上昇し続けると、その後プレートが分断されて両側に分かれることになる。


図2.地殻を構成するプレート群(プレート - Wikipediaより)

3)日本に関係するプレート

日本に関係するプレートは4枚あり、海洋プレートでは「太平洋プレート」「フィリピン海プレート」、大陸プレートは「ユーラシアプレート」「北アメリカプレート」がある。「北アメリカプレート」については、日本に関係するのは、「北アメリカプレート」から独立したオ「ホーツク・プレート」であるとも考えられている。静岡県はこの4枚のプレ ートが地下で接している。

「太平洋プレート」は、「北アメリカプレート(オホーツク・プレート)」、「フィリピン海プレート」、「ユーラシアプレート」に潜りこんでいる。「フィリピン海プレート」は「ユーラシアプレート」に潜りこんでいる。

「太平洋プレート」は、「北アメリカプレート(オホーツク・プレート)」に潜りこむことで、プレート境界地震である今回の東北地方太平洋沖地震が発生した。ほかにも、1737年と1952年に発生したカムチャツカ地震が挙げられ、前者のマグニチュード(M)は9.0〜9.3、後者のそれは9.0とされる。2003年9月26日には北海道で十勝沖地震が、2006年11月15日には千島列島沖でM8.3の千島列島沖地震が発生している。

「フィリピン海プレート」が「ユーラシアプレート」に潜りこむことで、プレート境界地震である東海地震(南関東〜東海)、東南海地震(東海〜南紀)、南海地震(南紀〜四国)が起きると想定されている。1923年の関東大震災をもたらした第二次関東地震も、フィリピン海プレートの活動に伴う地震だとされている。


図3.日本に周辺のプレート(エコブログより)


図4.オホーツクプレート(オホーツクプレート - Wikipediaより)

4)トラフ

トラフ(Trough)は細長い海底盆地で深さが6000mより浅いもの。深さ6000mを超えるものは海溝(trench)という。南海トラフ、駿河トラフは、「フィリピン海プレート」がユーラシアプレートの下に潜り込む境界、相模トラフは、「フィリピン海プレート」が「北アメリカプレート(オホーツク・プレート)」の下に潜りこむプレート境界である。(図3、図5、図6参照)


図5.南海トラフ(黄線は駿河トラフ)(南海トラフ - Wikipediaより)


図6.相模トラフ(相模トラフ - Wikipediaより)

5)プレートと地震、火山

プレート境界では、潜りこむ海洋プレートとその上のプレートとの間の摩擦のため、スムーズにすべるのではなく間欠的に急激にずれることで潜りこみが進行する。この急激なずれがプレート境界型地震で、南海地震・東南海地震・東海地震はこれにあたる。このタイプの地震の中にはマグニチュード8クラスの巨大地震も含まれる。

プレート同士の押し合いの結果、プレートの内部にもひずみがたまり、地震を発生させる(プレート内地震と呼ばれ、活断層による内陸地震もこの種類)。

また、陸と海のプレートの境界では、海のプレートが陸のプレートの下に潜りこんでいくことが多く、この潜りこんだ海のプレートの内部にも地震が発生する(深発地震)。

また、プレートの潜りこみは、火山の原因となるマグマを発生させる。プレートの運動は、世界の地震・火山活動の源なのである。下図はこれらを模式的に表したものである。


図7.プレートと地震、火山(気象庁ホームページより)


3.地震の原因と種類(出典:地震 - Wikipedia

通常の地震は、既にある断層が動くこと、あるいは新しく断層が生じることが原因で起こる。地震の際に動く断層は1つとは限らず、大きな地震では震源に近い別の断層が同時に動くこともある。火山活動に伴う地震を火山性地震と呼ぶが、これには断層と関係が無いものも多く、通常の地震とは分けて考えることが多い。

地震の種類は、1)プレート同士の境界部分で発生する地震、2)大陸プレートの内部や表層部で発生する地震、3)海洋プレートで発生する地震、4)火山性地震に分けられる。その中で重要なのは、1)プレート境界型地震と、2)内陸地殻内地震である。


図8.地震の原因と種類(地震 - Wikipediaより)


図9.地震多発地帯(地震 - Wikipediaより)

1)プレート境界型地震

2つ以上のプレートが接する場所では、プレート同士のせめぎ合いによって地震が発生する。このようなタイプの地震をプレート境界型地震と呼ぶ。海溝で起こるものが多いため海溝型地震とも呼ばれるがが、海溝で起こらないものも多数ある。

海溝やトラフでは、海洋プレートが大陸プレートの下に沈み込み、両者の境界が応力により歪みを受け、ばねのように弾性力を蓄え、やがてそれが跳ね返る時に地震が起こると考えられている。これは海溝型地震と呼ばれているが、1923年の関東地震や想定される南関東直下地震のように、海溝から離れた深いところにまで震源域は広がっている。跳ね返りで発生するといっても、実際は2つの地盤の面がずれる断層運動によって起こるものである。

海溝型地震は、海溝よりも大陸プレート寄りの部分で発生する。1つの細長い海溝の中では、いくつかの領域に分かれて別々に大地震が発生する。地震の規模はM7〜8と大きく、稀に複数の領域が同時に動いてM9を超える超巨大地震が発生することもある。1つの領域では、およそ数十〜数百年ほどの周期で大地震が繰り返し発生する。規模が大きい海溝型地震が海洋の下で発生した場合、津波が発生することがある。震源断層は海洋プレートと大陸プレートの境界そのものである。震源域が広く規模が大きいため、被害が広範囲にわたることがある。

発生しやすい場所は、チリ、ペルー、メキシコ、アメリカのアラスカ、アリューシャン列島や千島列島、日本、フィリピン、インドネシア、パプアニューギニア、ソロモン諸島、フィジー、トンガ、ニュージーランドなどの沖合いや海岸付近である。いずれも沿岸に海溝があり、大きな海溝型地震が発生する。

例として、スマトラ島沖地震 (2004年)や日本付近では2003年9月に発生した十勝沖地震(Mw8.3、最大震度6弱)や、近い将来の発生が指摘されている東海地震が例として挙げられ、東南海・南海沖の南海トラフ、宮城県沖や三陸沖の日本海溝、根室沖などの千島海溝でも発生する。関東大震災の原因となった関東地震(M7.9)は、震央は陸上だが相模トラフがずれ動いた地震であり、海溝型地震に含まれる。今回の東北地方太平洋沖地震もこれに属する。

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図10.海洋型プレート境界地震(静岡県地震防災センターホームページより)

2)内陸地殻内地震

海洋プレートが沈み込んでいる大陸プレートの端の部分では、海溝から数百km離れた部分まで含む広い範囲に海洋プレートの押す力が及ぶ。その力はプレートの内部や表層部にも現れるため、プレートの表層部ではあちこちでひび割れができる。このひび割れが断層である。

周囲から押されている断層では、押された力を上下に逃がす形で山が高く、谷が深くなるように岩盤が動く(逆断層)。また、大陸プレートの一部分では、火山活動によってマグマがプレート内を上昇し、プレートを押し広げているような部分がある。また、周囲から引っ張られている断層でも、引っ張られた力を上下に逃がす形で山が高く、谷が深くなるように岩盤が動く(正断層)。また、押される断層・引っ張られる断層であっても、場所によっては断層が水平にずれ、岩盤が上下に動かないこともある(横ずれ断層)。多くの断層は、正断層型・逆断層型のずれ方と、横ずれ断層型のずれ方のどちらかがメインとなり、もう一方のずれ方も多少合わさった形となる。

このようなタイプの地震を内陸地殻内地震あるいは大陸プレート内地震と呼ぶ。伊豆半島やニュージーランドなどは海洋プレート上に位置しているが、これらの場所で起こる内陸地殻内の地震もこのタイプの地震として扱われることがある。このタイプの地震では地表に断層が出現しやすいため、断層型地震、活断層型地震などとも呼ぶが、プレート間・大陸プレート内・海洋プレート内地震は全て断層で発生することに注意する必要がある。内陸の断層は都市の直下や周辺にあることも少なくなく、直下型地震とも呼ぶが、関東地震のように陸地の直下を震源とする海溝型地震もあるため、それと区別する意味で「陸域の浅い場所を震源とする地震」のような言い方もされる。

地震の規模は活断層の大きさによるが、多くの断層はM6〜7、大きいものではM8に達する。海溝型地震と同じように、長い断層はいくつかの領域に分かれ、別々に活動する。同一の活断層での大きな地震の発生は、数百年から数十万年に1回の頻度とされている。都市の直下で発生すると甚大な被害をもたらすことがあるが、大きな揺れに見舞われる範囲は海溝型地震と比べると狭い領域に限られる。

1976年7月の唐山地震(M7.8)、1995年1月の兵庫県南部地震(M7.3、最大震度7)や2000年10月の鳥取県西部地震(M7.3、最大震度6強)、2004年10月の新潟県中越地震(M6.8、最大震度7)や2007年3月の能登半島地震(M6.9、最大震度6強)、新しいものでは2008年6月14日に発生した岩手・宮城内陸地震(M7.2、最大震度6強)や2010年1月のハイチ地震(Mw7.0)などが該当する。

アメリカ西海岸、ニュージーランド、日本、中国、台湾、フィリピン、インドネシア、アフガニスタン、イラン、トルコ、ギリシャ、イタリア、スイスなどに活断層が密集しており、大きな断層型地震が頻発する。

 → 
図11.内陸型プレート地震(静岡県地震防災センターホームページより)

3)海洋プレート内地震

沈み込みの運動をしている海洋プレートでも地震が発生する。このようなタイプの地震を海洋プレート内地震あるいはプレート内地震と呼ぶ。単にプレート内地震と呼ぶときはほとんどの場合このタイプを指し、大陸プレート内地震は含まれない。

20世紀末以降の例では、1987年の千葉県東方沖地震、1992年2月の浦賀水道の地震、1993年1月の釧路沖地震、2003年5月の宮城県沖の地震、福島県沖や茨城県沖で頻繁に発生する地震のほか、2001年3月の芸予地震もこのタイプである。昭和三陸地震や2007年1月13日に千島列島で発生した地震もこれに当たる。

4)火山性地震

マグマの移動や熱せられた水蒸気の圧力、火山活動に伴う地面の隆起や沈降が原因となって地震が発生する。火山性地震は断層の動きだけでは説明できない部分があるので、上記の3分類とは分けて考えることが多い。地震動も上記の地震とは異なる場合がある。


4.地震の規模を表す指標:マグニチュード(出典:地震 - Wikipedia

地震の規模を表す指標としては、エネルギー量を示すマグニチュードを用い、「M」と表記する。算定方法によっていくつかの種類があるが、その値は概ね同じになるように定められている。地震学では地震モーメントから算出されるモーメント・マグニチュード (Mw) と呼ばれる値が、地震の規模を表す指標として用いられることが多い。

マグニチュードが「1」増えるとエネルギーはおよそ「31.62」倍、「2」増えると「1000」倍になる。

人類の観測史上最も大きな地震、つまりマグニチュードが最も大きかったのは、1960年のチリ地震 (M9.5) である。

M7.0: 福岡県西方沖地震 (2005年)
M7.3: 兵庫県南部地震 (1995年)
M7.5: 新潟地震 (1964年)
M7.9: 関東大震災 (1923年)
M7.9: 四川大地震 (2008年)
M8.5: 明治三陸地震 (1896年)
M8.8: チリ地震 (2010年)
M9.0: 東北地方太平洋沖地震 (2011年) (M9.0)
M9.2: アラスカ地震(1964年)
M9.3: スマトラ島沖地震 (2004年)
M9.5: チリ地震 (1960年)これ以上の規模の地震は実測でも地質調査でも発見されていない。

magnitudeは「大きさ・重要度」という英語(名詞)であり、とりわけ対数スケールを用いた数量の比較の術語として用いられる。天体の等級も英語でマグニチュードと言う。


5.地震動の大きさを表す数値:震度(出典:地震 - Wikipedia

地震動の大きさを表す数値として、一般的には、被害の大きさなどを考慮して、地震動の大きさを客観的に段階付けた震度という指標が用いられる。震度については、日本では気象庁震度階級(通称「震度」)が現在使用されている。

震度は1996年9月まで0の無感から7の激震まで8段階に分かれていたが、10月以降は5と6を弱と強に分けた10段階とした。

0  地震計(震度計)が検知し、人は揺れを感じない。

1  地震や揺れに敏感もしくは過敏な限られた一部の人が、地震に気付く。

2  多くの人が地震であることに気付き、睡眠中の人の一部は目を覚ます。
   天井から吊り下げた電灯の吊り紐が左右数cm程度の振幅巾で揺れる。

3  ほとんどの人が揺れを感じる。
   揺れの時間が長く続くと不安や恐怖を感じる人が出る。
   重ねた陶磁器等の食器が音を立てる。

4  ほとんどの人が恐怖感をおぼえ、身の安全を図ろうとし始める。机等の下に潜る人が現れる。
   睡眠中の人のほとんどが目を覚ます。
   吊り下げたものは大きく揺れる。
   近接した食器同士がずれて音を立てる。
   重心の高い置物等が倒れることがある。
   眩暈と錯覚する。

5 弱 ほとんどの人が恐怖感をおぼえ、身の安全を図ろうとする。
   歩行に支障が出始める。
   天井から吊るした電灯本体を初め吊り下げ物の多くが大きく揺れ、家具は音を立てはじめる。
   重心の高い書籍が本棚から落下する。

6強 恐怖を感じ、たいていの人が行動を中断する。
   食器棚などの棚の中にあるものが落ちてくる。テレビもテレビ台から落ちることもある。
   一部の戸が外れたり、開閉できなくなる。

6弱 立っていることが困難になる。
   固定していない重い家具の多くが動いたり転倒する。 開かなくなるドアが多い。

6強 立っていることができず、はわないと動くことができない。

7  落下物や揺れに翻弄され、自由意思で行動できない。
   ほとんどの家具が揺れにあわせて移動する。
   テレビ等、家電品のうち数kg程度の物が空中を飛ぶことがある。


6.津波(出典:津波 - Wikipedia

1)原因

津波の発生原因として最も一般的なものは海底で起こる地震で、記録に残る津波の大部分はこれによるものである。

断層が活動して地震が発生した時に、海底にまで断層のずれが達して海底面が上下に変化すると、海水までもが上下に移動させられてその地形変化がそのまま海面に現われ、水位の変動がうねりとなって周囲に拡大していき、津波となる。

マグニチュード8級の地震では断層の長さが100キロメートル以上になる事もあり、それに伴う地形変化も広い面積になるので、広範囲の海水が動いて大規模な津波を起こす。

2)伝播

一般に水面に見られる波は、風によりできた風浪で、大きなものでも周期は10秒程度、波長は150メートルくらいである。

これに対し津波の間隔は、短いもので2分程度、長いものでは1時間以上にもなり、100キロメートルを越す長波長の例もある。津波の波源域は広く、それによって波長が決まるためである。

このため、津波が内陸に押し寄せる際には、その水位の高まりはあたかも海面自体が上昇するような状態になって、大きな水圧による破壊力が加わる。また津波が引く際にも、高くなった海面がそのまま引いていく形になり、やはり大きな破壊力を発揮する。


図12.津波と波浪(気象庁ホームページより)

3)速さ

水深1,000メートルで時速360キロメートル、水深4,000メートルで時速720キロメートルとなる。沿岸では水深が浅くなり、水深10メートル、波高6メートルの場合の津波の速さはおよそ時速46キロメートルとなる。

4)高さ

外洋では津波の波高は数十センチメートルから2メートルか3メートル程度であり、波長は100キロメートルを越えるので、海面の変化はきわめて小さく、沖合いにいる船などは津波に気付かず、沿岸や港に来て初めて被害の大きいのを知る場合が昔はよくあった。

巨大津波そのものの波高を正確に測定する事は困難であり、これまでの大津波の波高とされる記録は、実際には波の到達高度で示されている。

日本において確実とされる津波の最大波高は1896年の明治三陸沖地震津波の際の38.2メートルであるが、これはV字型の湾の奥にあった海抜38.2メートルの峠を津波が乗り越えたという事実に基づく到達高度の値である(海岸での津波高ではない)。

1958年7月9日(現地時間)、アラスカの南端の太平洋岸にあるリツヤ湾 (Lituya bay) で岩石の崩落による津波が起き、最大到達高度は海抜520メートルに達し、津波の波高の世界記録とされている。

5)警報・注意報

気象庁においては、予想される津波の高さにあわせて、津波警報等は以下の2区分3種類が発表される。

津波警報  大津波  高いところで3m以上の津波(津波の高さは3、4、6、8、10m以上の5種類)
      津波   高いところで1m?2m程度の津波(津波の高さは1m、2mの2種類)
津波注意報 津波注意 高いところで0.5m程度の津波(津波の高さは0.5mの1種類)


7.世界の地震(出典:地震の年表 - Wikipedia

1)20世紀以降、M9.0以上

9.5 チリ地震         1960年 5月22日 チリ西岸
9.3 スマトラ島沖地震     2004年12月26日 インドネシア・スマトラ島沖
9.2 アラスカ地震       1964年 3月28日 アメリカ アラスカ プリンス・ウィリアム湾
9.1 アリューシャン諸島で地震 1957年 3月 9日 アメリカ アラスカ アンドリアノフ諸島南岸
9.0 カムチャツカ地震     1952年11月 4日 ロシア カムチャツカ近海
9.0 東日本大地震       2011年 3月11日 日本東北地方太平洋沖

2)20世紀以降、死者10万人以上

316,000人 ハイチ地震    2010年 1月12日  ハイチ ポルトープランス M7.0
242,419人 唐山地震     1976年 7月28日  中国 河北省 M7.8
235,502人 海原地震     1920年12月16日  中国 寧夏および甘粛省 M7.8
227,898人 スマトラ島沖地震 2004年12月26日  インドネシア スマトラ島沖 M9.3


8.日本の地震(出典:地震の年表 - Wikipedia

1)日本の地震の頻度

世界で発生する地震の1割程度が日本付近で発生しているといわれ、また1996年から2005年の期間では世界で発生したM6以上の地震の2割が日本で発生しているとの統計があり、客観的に見ても日本は地震の多い国と考えられる。

2)日本の地震年表(19世紀以降、M7以上)^は東日本、*は北海道、@は西日本

1804年 7月10日 象潟地震       ^  M 7.1      津波 死者500〜550人

1819年 8月 2日 伊勢・美濃・近江地震 @  M 7.3         死者多数

1833年12月 7日 出羽・越後・佐渡地震 ^  M 7.4      津波 死者40〜130人
1835年 7月20日 仙台地震       ^  M 7.0      津波 死者多数

1843年 4月25日 十勝沖地震      *  M 8.0      津波 死者46人
1847年 5月 8日 善光寺地震      ^  M 7.4         死者約1万〜1万3,000人

1854年 7月 9日 安政伊賀地震     @  M 7.6         死者約1,800人
1854年12月28日 安政東海地震     @  M 8.4         死者2,000〜3,000人
1854年12月24日 安政南海地震     @  M 8.4      津波 死者1,000〜3,000人
1854年12月26日 豊予海峡で地震    @  M 7.4 
1858年 4月 9日 飛越地震       ^  M 7.0         死者数百人
1858年 7月 8日 東北地方太平洋側で地震^  M 7.5

1861年10月21日 宮城県沖地震     ^  M 7.4      津波 死者あり

1872年 3月14日 浜田地震       @  M 7.1         死者552人

1881年10月25日 国後島で地震     *  M 7.0

1891年10月28日 濃尾地震       @  M 8.0         死者・行方不明者7,273人
1893年 6月 4日 色丹島、択捉島で地震 *  M 7.0      津波
1894年 3月22日 根室半島沖地震       M 7.9      津波 死者1人
1894年 6月20日 明治東京地震     ^  M 7.0         死者31人
1894年10月22日 庄内地震       ^  M 7.0         死者726人
1895年 1月18日 茨城県南部で地震   ^  M 7.2         死者6人
1896年 6月15日 明治三陸地震     ^  M 8.5         死者・行方不明者2万1,959人
1896年 8月31日 陸羽地震       ^  M 7.2         死者209人
1897年 2月20日 宮城県沖地震     ^  M 7.4    
1897年 8月 5日 三陸沖で地震     ^  M 7.7      津波
1898年 4月23日 宮城県沖で地震    ^  M 7.2   
1899年 3月 7日 紀和地震       @  M 7.0         死者7名
1899年11月25日 宮崎県沖で地震       M 7.1 

1900年 5月12日 宮城県北部で地震   ^  M 7.0         死傷者17人
1901年 8月 9日 青森県東方沖で地震  ^  M 7.2         死者18人
1901年 8月10日 青森県東方沖で地震  ^  M 7.4
1902年 1月30日 青森県東部で地震   ^  M 7.0         死者1人
1905年 6月 2日 芸予地震       @  M 7.2         死者11人
1909年 3月13日 千葉県房総半島沖で地震^  M 7.5    
1909年11月10日 宮崎県西部で地震      M 7.6    

1911年 6月15日 喜界島地震         M 8.0         死者12人
1914年 1月12日 桜島地震          M 7.1         死者29人
1914年 3月15日 秋田仙北地震     ^  M 7.1         死者94人
1915年 3月15日 北海道十勝沖で地震  *  M 7.0         死者2人
1915年11月 1日 宮城県沖で地震    ^  M 7.5
1918年 9月 8日 ウルップ島沖で地震  *  M 8.0         死者24人

1921年12月 8日 竜ヶ崎地震      ^  M 7.0
1923年 9月 1日 関東地震       ^  M 7.9         死者・行方不明10万5,385人
1924年 1月15日 丹沢地震       ^  M 7.3         死者19人

1930年11月26日 北伊豆地震      ^  M 7.3         死者272人
1931年11月 2日 日向灘で地震        M 7.1         死者2人
1933年 3月 3日 昭和三陸地震     ^  M 8.1      津波 死者・行方不明者3,064人
1936年11月 3日 宮城県沖地震     ^  M 7.4
1937年 7月27日 宮城県沖で地震    ^  M 7.1
1938年 6月10日 東シナ海で地震       M 7.2
1938年11月 5日 福島県東方沖地震   ^  M 7.5         死者1人

1940年 8月 2日 積丹半島沖地震    *  M 7.5         死者10人
1941年11月19日 日向灘で地震        M 7.2      津波 死者2人
1943年 6月13日 青森県東方沖で地震  ^  M 7.0
1943年 9月10日 鳥取地震       @  M 7.2         死者1,083人(S18)
1944年12月 7日 東南海地震      @  M 7.9      津波 死者・行方不明者1,223人
1945年 2月10日 青森県東方沖で地震  ^  M 7.1         死者2人
1946年12月21日 南海地震       @  M 8.0      津波 死者・行方不明者1,443人
1947年 9月27日 与那国島近海で地震     M 7.4         死者5人
1948年 4月18日 和歌山県南方沖で地震 @  M 7.0 
1948年 6月28日 福井地震       @  M 7.1         死者・行方不明者3,769人

1950年 2月28日 宗谷東方沖で地震   *  M 7.5
1951年 7月12日 小笠原諸島西方沖で地震   M 7.2
1952年 3月 4日 十勝沖地震      *  M 8.2      津波 死者・行方不明者33人
1953年11月26日 房総沖地震      ^  M 7.4
1958年11月 7日 択捉島付近で地震   *  M 8.1      津波

1961年 2月27日 宮崎県沖で地震       M 7.0         死者2人
1961年 8月12日 釧路沖で地震     *  M 7.0         
1961年 8月19日 北美濃地震      @  M 7.0          死者8人
1962年 4月23日 十勝沖で地震     *  M 7.1         
1963年10月13日 択捉島沖で地震    *  M 8.1      津波 
1964年 6月16日 新潟地震       ^  M 7.5          死者26人
1968年 4月 1日 日向灘地震         M 7.5          死者1人
1968年 5月16日 十勝沖地震      *  M 7.9          死者・行方不明者52人
1969年 8月12日 北海道東方沖地震   *  M 7.8         

1972年12月 4日 八丈島東方沖地震      M 7.2 震度 6
1973年 6月17日 根室半島沖地震    *  M 7.4 震度 5  津波
1978年 1月14日 伊豆大島近海地震   ^  M 7.0 震度 5     死者25人
1978年 6月12日 1978年宮城県沖地震^  M 7.4 震度 5  津波 死者28人

1982年 3月21日 浦河沖地震      *  M 7.1 震度 6
1983年 5月26日 日本海中部地震    ^  M 7.7 震度 5     死者104人

1993年 1月15日 釧路沖地震      *  M 7.5 震度 6     死者2人
1993年 7月12日 北海道南西沖地震   *  M 7.8 震度 5  津波 死者・行方不明者230人
1994年10月 4日 北海道東方沖地震   *  M 8.2 震度 6     死者・行方不明者11人
1994年12月28日 三陸はるか沖地震   ^  M 7.6 震度 6     死者3人
1995年 1月17日 阪神・淡路大震災   @  M 7.3 震度 7     死者・行方不明者6,437人
1995年12月 4日 択捉島付近で地震   *  M 7.7      津波
1998年 5月 4日 石垣島南方沖地震      M 7.7
1998年 8月20日 鳥島近海で地震       M 7.1

2000年 3月28日 父島近海で地震       M 7.6 震度 3 
2000年 8月 6日 鳥島近海で地震       M 7.3 震度 4 
2000年10月 6日 鳥取県西部地震    @  M 7.3 震度 6強

2001年12月18日 与那国島近海で地震     M 7.3 震度 4  津波

2003年 5月26日 宮城県沖で地震    ^  M 7.1 震度 6弱
2003年 9月26日 十勝沖地震      *  M 8.0 震度 6弱    死者2人
2003年  9月26日 同日発生の最大余震も *  M 7.1 震度 6弱 津波

2004年 9月 5日 紀伊半島南東沖地震  @  M 7.4 震度 5弱
2004年11月29日 釧路沖で地震     *  M 7.1 震度 5強 

2005年 3月20日 福岡県西方沖地震      M 7.0 震度 6弱    死者1人
2005年 8月16日 宮城県南部地震    ^  M 7.2 震度 6弱
2005年11月15日 三陸沖で地震     ^  M 7.1 震度 3  津波

2008年 5月 8日 茨城県沖で地震    ^  M 7.0 震度 5弱
2008年 6月14日 岩手・宮城内陸地震  ^  M 7.2 震度 6強    死者・行方不明者23人
2008年 9月11日 十勝沖で地震     *  M 7.1 震度 5弱

2010年 2月27日 沖縄本島近海で地震     M 7.2 震度 5弱
2010年12月22日 父島近海で地震       M 7.4 震度 4  津波

2011年 3月 9日 三陸沖で地震     ^  M 7.3 震度 5弱 津波
2011年 3月11日 東北地方太平洋沖地震 ^  M 9.0 震度 7  津波 死者・行方不明者2万人以上


<野村望 注釈>
19世紀以降、M7以上の地震は日本では、110回発生していて、東日本で45回(41%)、北海道で24回(22%)、西日本では17回(15%)発生している。東日本と北海道は太平洋プレートと北アメリカプレート(オホーツクプレート)との境界近くにあり、西日本はフィリピン海プレートとユーラシアプレートとの境界近くにある。


9.今回の東北地方太平洋沖地震関連

1)出典:気象庁ホームページ

地震の概要 3月11日14時46分頃に三陸沖を震源とするマグニチュード9.0の巨大地震が発生した。この地震により宮城県栗原市で震度7、宮城県、福島県、茨城県、栃木県で震度6強など広い範囲で強い揺れを観測した。また、太平洋沿岸を中心に高い津波を観測し、特に東北地方から関東地方の太平洋沿岸では大きな被害があった。 気象庁はこの地震を「平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震」と命名した。


図13.東北地方太平洋沖地震震度(tenki.jpより )

2)出典:2011年東北地方太平洋沖地震 - Wikipedia

2011年(平成23年)3月11日14時46分に三陸沖(牡鹿半島の東南東約130km付近)の深さ約24km(暫定値)で発生したマグニチュード(Mw)9.0(暫定値)の西北西-東南東方向に圧力軸をもつ逆断層型(CMT解)、太平洋プレートと北米プレート境界域における海溝型地震である。

気象庁発表によるM9.0は地震の規模としては1923年(大正12年)の関東大震災(大正関東地震)のM7.9を上回る日本国内観測史上最大、アメリカ地質調査所(USGS)の情報によれば1900年以降、世界でも4番目のものとなった。

この地震は単一ではなく、3つの地震が連動したものと解析された。同庁地震予知情報課の課長は「5分前後かけて連続して発生するという、複雑な起こり方をしている。極めてまれで、気象庁の観測で初めての経験」と述べた。文部科学省の地震調査委員会は13日に臨時会を開き、破壊断層は南北に400キロ、東西に200キロの広範囲で、少なくとも4つの震源領域で3つの地震が連動発生し、断層の滑り量は最大約20メートルに達したと述べた。

3)出典:日経新聞3月11日夕刊

今回の地震は、地球を卵の殻のように覆う岩板(プレート)の境界域で起きた「プレート境界型地震」だ。震源地の付近では太平洋プレートが、日本列島をのせる北米プレートの下に潜り込んでおり、このプレート同士が衝突して蓄積していたひずみに耐えきれず、北米プレートが跳ね上がって地震が起きたとみられる。海底下の北米プレートが跳ね上がる際には、周辺の海水を大きく押し上げるため、大きな津波が発生した。

気象庁によると、今回の地震の発生メカニズムについて、断層が上下にずれる「逆断層型」という。発生場所は、9日に宮城県で震度5弱を記録した地震の震源地の近くで、数百キロの広範囲にわたってプレートが動いた可能性があるという。

4)今回の大地震が南海地震を誘発するか(出典:四国新聞社SHIKOKU NEWS 3月14日

南海地震誘発なし/森滋男・高松地方気象台長

今回の地震の震源域は長さ約500キロ、幅約200キロにおよぶとみられている。阪神大震災の長さが約50キロだったことを考えると、今回の震源域の大きさが分かってもらえるだろう。

津波の高さが30センチでも足をとられ、波にのまれる。

今回の地震で、東南海・南海地震が誘発される可能性はないと考えるべきだ。東南海・南海地震と、今回の地震とでは、関係するプレートが違う。ただ、発生確率が高いとされていることには留意が必要だ。

東南海・南海地震の発生確率は30年以内で60%、50年以内で90%と言われている。今回の地震でそれが高まることはないと思われる。東南海・南海地震の発生確率は、東海から四国にかけての沖合での大地震の発生履歴の統計データなどから算出されている。

5)今回の大地震のあと静岡で起きた地震に関して (出典:asahi.com 3月16日)

静岡の地震、大震災が誘発か 周囲にひずみ蓄積

東日本大震災を起こした断層の破壊は岩手沖から千葉沖まで南北500キロに及んだ。地震予知連絡会長の島崎邦彦東京大名誉教授は「関連は分からないが、誘発されてもおかしくはない」と話す。

南海トラフでは、M8を超える東海、東南海、南海地震の3連動地震も想定されている。

気象庁地震津波監視課の横山博文課長は記者会見で「地震の発生場所もメカニズムも想定される東海地震とは違う」と述べ、東海地震との関連を検討する「地震防災対策強化地域判定会」の臨時会は開かないとした。

静岡県で起きた地震について、専門家は東日本大震災を起こした地震による誘発の可能性を指摘する。世界的にもまれなマグニチュード(M)9.0の巨大地震が起きたことで周囲にひずみがたまり、地震を起こしやすくなっているとみられる。


図14.静岡東部地震(asahi.comより)


10.今後の西日本の地震の予想

1)東海地震(出典:東海地震 - Wikipedia

東海地震は、駿河湾内に位置する駿河トラフで周期的に発生する海溝型地震。マグニチュード8級と想定されている。

東南海地震(東海道 - 紀伊半島)、南海地震(紀伊半島 - 四国)としばしば連動して発生する(同時期または2 - 3年後に発生する)。近年の研究では単独で発生した痕跡は見つかっていないため、東南海地震と連動してのみ発生するとの説も広がっている。本来、地震名を付ける場合、発生後に気象庁によって命名されるが、その周期性や規模から固有地震だとされることから、発生前から「東海地震」の名で呼ばれている。

約100 - 150年の周期で発生することは明らかになっており、将来的には必ず発生する地震であるため、被害を最小限にするために、行政機関は阪神・淡路大震災の反省を踏まえた対策を実施している。幕末(1854年)の安政東海地震・関東地震から150周年を迎えることや、近年の自然災害の多発などから、しばしば「○月○日に東海地震が発生する」という風聞やデマが流れる。

・駿河トラフ(出典:駿河トラフ - Wikipedia)

駿河トラフとは、ユーラシアプレート東端とフィリピン海プレート北端の接する南海トラフの内、特に北端部の駿河湾内に位置するトラフ。

ユーラシアプレートの下にフィリピン海プレートが常に潜り込みを続けており、駿河トラフで東海地震が発生すると考えられている。


図5.南海トラフ(黄線は駿河トラフ)(南海トラフ - Wikipediaより)

・南海トラフ(出典:南海トラフ - Wikipedia

南海トラフは、四国の南の海底にある水深4,000m級の深い溝(トラフ)のこと。非常に活発で大規模な地震発生帯である。

プレートテクトニクスでは、北西に進んできたフィリピン海プレートが、ユーラシアプレートの一部である西南日本と衝突してその下に沈み込んでいる場所に相当する。駿河湾の富士川河口付近を基点として、御前崎沖まで南下しその後南西に向きを変え潮岬沖、室戸岬沖を通って九州沖に達する。その先は琉球海溝(南西諸島・沖縄の東を南北に走る)に繋がる。

南海トラフは、二つのプレートが衝突して海洋プレートが沈み込んでいるため、非常に活発で大規模な活断層である。南海トラフの各所では、東海地震、東南海地震、南海地震などのマグニチュード(M)8クラスの巨大地震が約百年ごとに発生している。

最近では紀伊半島南東沖を震源とする東南海地震(1944年 M7.9)、同じく紀伊半島南方沖の南海地震(1946年 M8.0)など大きな被害が出た地震の原因となっている。なおこの二つの地震の震源地に隣接する静岡県南方は1854年12月23日の安政東海地震以来150年以上経過しており、次の東海地震の発生が懸念され種々の対策が検討されている。

2)東南海地震(出典:東南海地震 - Wikipedia

東南海地震は、紀伊半島沖から遠州灘にかけての海域(南海トラフの東側)で周期的に発生する海溝型地震。規模は毎回M8.0前後に達する巨大地震で、約100年から150年周期で発生している。

最新のものは、1944年(昭和19年)12月7日に、紀伊半島南東沖を震源として発生したものである(昭和東南海地震)。この地震により、遠州灘沿岸(東海道)から紀伊半島(南海道)に渡る一帯で被害が集中した為に「東南海」と呼ばれるようになり、現在では過去の同地域の地震についても東南海地震と呼ばれるようになっている。東海地震や南海地震と発生がほぼ同時もしくは時期が近いなど連動する場合があるが、震源域が異なっており別の地震に区別される。

3)南海地震(出典:南海地震 - Wikipedia

南海地震は、紀伊半島の熊野灘沖から四国南方沖を震源とする周期的な巨大地震の呼称。 この付近ではフィリピン海プレートが南海トラフでユーラシアプレートの下に沈み込むため、たびたびM8級の海溝型地震が100〜150年周期で起きている。21世紀中の発生が予想される東海地震・東南海地震とならぶ大規模地震として、地質学者・地震学者から注目されている。

ごく近い時期の発生であったものとしては、1946年(昭和21年)12月21日午前4時19分04秒、和歌山県潮岬南南西沖78km(北緯32度56.1分、東経135度50.9分、深さ24km)を震源として発生したM8.0の昭和南海地震がある。この地震は1945年の敗戦前後にかけて4年連続で1000名を超える死者を出した4大地震(鳥取地震、三河地震、東南海地震)の一つである。

昭和南海地震では、地震発生直後に津波が発生し、主に紀伊半島・四国・九州の太平洋側などに襲来した。

南海地震は過去1,000年余りの地震活動の記録が残されている世界的にも例をみない地震である。

4)東海・南海・東南海連動型地震(出典:東海・南海・東南海連動型地震 - Wikipedia

東海・南海・東南海連動型地震は、東海地震、南海地震、東南海地震の3つの地震が同時発生した場合を想定した超巨大地震のこと。本項では、単一の震源で同時刻に発生するものだけではなく、3つの地震が起こった時間が非常に近い(同日中 - 数年以内)の場合についても記述する。

地質調査や文献資料から、東海地震、南海地震、東南海地震はそれぞれは約90 - 150年(中世以前の発生記録では200年以上)の間隔で発生していることが分かっており、今後も同じような発生パターンをとると推測されている。いずれもマグニチュードが8に達するような巨大地震で、揺れや津波により甚大な被害を出してきた地震である。

これら3つの地震は、地下のプレート境界の構造が原因となって、それぞれ独立した震源域を持っており、別々に発生したり、数年 - 数時間の間隔で近接して発生したり、あるいは同時に発生したりしている。

過去、江戸時代以前まで歴史を遡ると東海地震・東南海地震・南海地震は同時に発生したことが確認されており、揺れと巨大津波により甚大な被害を受けている。文献によれば1707年の宝永地震(マグニチュード8.6)が確認されている。これ以前については、1498年以前の東海地震の発生記録が無いなど地震の記録が乏しいことや、信憑性や確実性に疑問が残る文献もあることなどから詳しく分かっておらず、連動型が発生していた可能性もあるとされる。

この3つの地震が一挙に起きた場合、また安政地震のように短い間隔で起きた場合は、太平洋ベルト全域に地震動による被害が及び、地域相互の救援・支援は実質不可能となると見られており、早急に地方自治体は連動型地震を視野に入れた防災対策を講じる必要があるとされている。2010年の防災の日には初めて3地震の連動発生を想定した訓練が実施されている。

今後発生が予測されている東海・南海・東南海連動型地震のうち最大のものはマグニチュード8.7とされる。破壊領域は長さ700km程度、津波も最大で20mを超えるとされている。


図15.想定震源域(四国新聞社SHIKOKU NEWS 3月14日より)


図16.東海+東南海+南海地震の震度(中央防災会議資料より)


図17.東海+東南海+南海地震の津波(中央防災会議資料より)

<野村望 注釈>
「南海地震は過去1,000年余りの地震活動の記録が残されている世界的にも例をみない地震である」ことから、近い将来に最も起こりうる巨大地震震源地と予想されてきた。これは、日本の中心が長く近畿にあったために、地震の詳細な記録が残っていたと考えるべきではなかろうか?

19世紀以降、M7以上の地震は日本では、110回発生しているが、西日本では17回(15%)であるのに対して、東日本では45回(41%)、北海道では24回(22%)である。「南海地震」ほど予想されていなかった「東北地方太平洋沖地震」が発生した事実は、文献による地震予報の難しさを示しているのではなかろうか?

発生頻度からみれば、東日本に巨大地震が発生すると予想する方が素直だろう。このように、地震の予測は難しい。徒に心配することなく、いつ地震が起きても、それに最低限対応できる心の準備が必要ということだろう。


5)相模トラフ周辺地震(出典:相模トラフ - Wikipedia

相模トラフは日本海溝から相模湾に至るトラフ。

フィリピン海プレートの北東に当たる海溝であり、日本海溝から分岐して伊豆大島・房総半島の間を通り相模湾まで伸びている。海溝の西側は丹沢山地から富士山付近を弧状に通過して駿河湾に伸び、駿河トラフに繋がっている。

相模トラフ付近には、フィリピン海プレートが北西に、北アメリカプレートが南東へと動いている横ズレ断層がある。これは小田原市東部の国府津付近からは、活断層であることが知られている国府津-松田-神縄断層帯に繋がっている。

一方、南東側は伊豆大島・房総半島の間を通って東方沖にある日本海溝に繋がっている。

太平洋プレートは、日本海溝で北アメリカプレートの下に沈み込んだ先で、フィリピン海プレートの下にさらに沈み込んでいる。そのフィリピン海プレートは相模トラフ・駿河トラフで北アメリカプレートの下に沈み込み、丹沢山地付近と房総半島東方沖の地下で盛り上がり、東京湾から房総半島にかけての地下で地下深くに反り曲がる複雑な構造となっている。この付近には、東京湾北岸から関東平野東縁にかけて、太平洋プレートの断片があり、フィリピン海プレートと太平洋プレートに挟まれているとの研究もある。

さらに相模トラフのすぐ西側にはユーラシアプレートがあり、フィリピン海プレートがその下へ潜り込んでいる。つまり、相模トラフの周辺では定説となったプレートだけでも、フィリピン海・北アメリカ・太平洋・ユーラシアの4枚のプレートが関わった地殻変動が起きている。3枚のプレートが関わっている所は地球上に何ヶ所もあるが、4枚のプレートとなると世界でも2箇所しかない。もう1箇所はパナマ地峡付近である。もし前述のプレートの断片がこの地域にあるプレートだと認識されたならば、この地域では5つのプレートが関わっていることになる可能性もある。

相模トラフ周辺は地震多発地帯として有名であり、1703年(元禄16年)に起きた元禄大地震、1855年(安政2年)に起こった安政の大地震、1923年(大正12年)の関東地震の震源地でもある。群発地震が起きることもある。


図3.日本に周辺のプレート(エコブログより)


図6.相模トラフ(相模トラフ - Wikipediaより)

まとめ

今回の東北地方太平洋沖地震では、地震そのものよりも津波の猛威に驚愕した。阪神淡路大震災の「地上の建造物を倒す」イメージとはまったく異なり、津波は「地上のすべてを飲み尽くし破壊し尽くす」イメージである。小学5年の教科書にあった「稲むらの火」の話は覚えているが、津波の恐ろしさから学んだ人間の知恵だったことがよく分かった。

今回の地震には、それ以外に放射能汚染という災害まで加わった。これは天災ではない。人間が作った災害である。そして、今回の原発事故は、人災の中で過去最大の被害をもたらす可能性がある。放射能汚染については、まとめる能力はなく、また、まとめる気持ちにもなれない。


<2011.3.26.>

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