「ラジオドラマ」

いつから聴きはじめたのだろう。もう確実に10年以上はたっている。何度も何度も
ラジオドラマについて書こうと思っていたのだが根が不精モノだからなかなか進まな
かった。でも書かねばならないと思っていた。だって、私が感じているすばらしさと
世間の認知度に、あまりにも温度差があるのだもの。ラジオドラマはもっと作品とし
て認められるべきだと思っている。「ぴあ」に案内が出て当然だと思っている。

ラジオドラマの最大の特徴は何か。視覚を断った物語ということだ。映画など映像で
表現される物語、舞台で行われる物語はもちろん、作品鑑賞の要素として視覚はかな
りのウェイトを占める。小説は鑑賞のために視覚は必要ないが、鑑賞する手段として
視覚を必要とする。いくら小説の物語に没頭しても本を読んでいる現実は残る。
ラジオドラマは違う。目をつむったままでも物語に入り込めるのだ。この特徴が私を
ラジオドラマファンにした大きな要素だと思う。そして私はこの特徴にこだわった。
目をつむるという行為は不自然だ。起きたままで目をづっとつむっているのは結構、
大変だったりする。そんなとき小劇場の暗転に答えをみた。

小劇場は大きな劇場と違い[非常口]の明かりがないこともある。最近はどうか分から
ないが、とりあえず私は体験した。目を開けていても閉じていても景色が同じ状態。
小劇場の暗転で真っ暗になった。あまりにも真っ暗だから目をつむってみた。変わら
なかった。すごいと思った。すごく気に入った。真っ暗な中でラジオドラマを聴きた
いと思った。

真っ暗にすることはなかなか難しい。窓から漏れる光はもちろん、ラジカセも光を発
していたりする。当時学生だった私はクラブの部室にごみのように置いてあった暗幕
に目をつけた。使いそうにないから先輩に事情を話して、もらった。いや、もしかし
たら無断で持って帰ったかもしれない。とくかく、手に入れた。
押し入れの上の段に暗幕を引き、ラジカセを持ち込んだ。押し入れの下の段ではいけ
ない。なんとなく。これはいけてた。アパートが改装されることになるまでのしばら
くの間、私はこの空間を楽しんだ。好きだった。

改装されたアパートに押し入れはなかった。クローゼット。就職して引越した先に押
し入れはあったが、暗幕を押し入れに引いて空間を作るほどの若さはなかった。いや、
押し入れの上の段が危険なほど体重が増えていたのかもしれない。
真っ暗押入れ空間を作らないにしても、ずっとラジオドラマは聴いている。録音し保
存している。眠る前に聴いている。というか、聴きながら眠りにつく。眠ろうとする
時は目をつむる。なので自然と真っ暗な中で聴けるという訳だ。

私は有料でもラジオドラマを聴きたいと思っている。
むしろ、真っ暗の空間を用意してくれて音響のよい環境で提供してくれるのであれば
かなり苦労してでもチケット取得に努力するはずだ。

これから私を魅了した作品の感想文を展開していこうと思う。何度聴いただろう。
お気に入りのものは、おそらく3桁の回数聴いているのではあるまいか。感想文が作品
を認知頂く機会になればと願う。
<作品感想文>
・「飛びます」(次回予定) ・「緑の風とチュウしたい」(その次予定)


<すばらしいページ>
昔、こんなにもすばらしいページ がございました。
今は、この方がすばらしいページ を作成されています。
FMシアターリスナーって世の中にいるんだなぁと思いました。

2002.01.27:ほんだ とおる

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