「ブラジルからきた娘タイナ 十五歳の自分探し」を読む

「国連改革を考えるパブリック・フォーラム」の会場で小貫大輔さんと久しぶりに会ってから、もう2週間が経ってしまった。

本棚に、彼が2002年に書いた「ブラジルからきた娘タイナ 十五歳の自分探し」(小学館)があるのを見て、引っ張り出した。

「第十章 四十歳、失業のすすめ」のタイトルに惹かれ、130pから読み始めた(出たばかりの頃、読んだ覚えがあるが、内容はほとんど忘れていた)。

自分自身が危機を生きている四十代の親がいて、その同じ家には本物の思春期を生きている子どもがいる。自分の危機をまず何とかしないことには、子どものことまで心配してられないよなあ。わけのわからないことをいう子どもと、わけのわからない反応をする親が、同じ屋根の下で暮らしている。思わずカッとなって、子どもに手を出して、子どもは部屋に駆け込んで、いつまでもその部屋から出てこなくて……。
この危機を乗り越えるには、日本のような「男は仕事、女は家庭」の社会では、男ならひとまず長期で仕事をやすむしかないんじゃないかと思う。それが簡単にできないから、人生が気をきかせてくれたときには、病気で入院させてくれたり、会社が倒産してくれたり、リストラをいい渡してくれたりする。それが厄年の本当の意味だと思う。

ブラジルで生まれ、母親が一緒になった男に連れられて15歳で日本の学校に通い始めた娘が、学校になじめずブラジルへ帰った。以前の同級生の家に住んでブラジルの学校へ行くという。

ブラジルで中学を卒業して家族と暮らすために日本へやってきた娘が、高校に合格するところで、本は終わっている。

出会った時、その後はどうしてる、と聞いたら、「娘はブラジルにいるよ」と答えていた。

小貫さんとは、僕が2000年以来事務局長を務めているアフリカ日本協議会が2002年に企画・運営した保健分野NGO研究会で、小貫さんにブラジルのエイズ政策について話してもらった時に、初めて会った。

その後、何度も会ってはいないが、会うと「いろんなことを共有してきた」という感覚に襲われる。僕が、「やあ久しぶり。今は何してる?」と話し始めてしまうと、彼も同じ調子で応じてくれるというだけのことかもしれない。

最初に書いた「耳をすまして聞いてごらん」は2万部売れたと話してた。タイナの本は初刷3000部がまだあるそうだ。国際協力、シュタイナー学校、移民教育、性教育、日本の学校の外国人受け入れ、そして惑う四十代に関心ある人には面白い本だ。ぜひ読んで欲しい。

彼と話しながら、昔々読んだパウロ・フレイレの"Pedagogy of the Oppressed"を、また読もうと思った。


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by 斉藤龍一郎

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