アフリカの諸言語と文学に関するアスマラ宣言

(平尾さんのアドバイスを受けて訂正2001/1/4)

 

私たち、アフリカ全地域の文学者、研究者は、2000年1月11日から17日までここエリトリアの首都アスマラに集まって、「全ての困難を越えて 21世紀に向かうアフリカの諸言語と文学」と題する国際会議を開いた。この国際会議は、アフリカの諸言語と文学に関して、アフリカ大陸の東西南北からの参加者、そして世界中に散らばるデアスポラ、さらには世界中の文学者・研究者が参集して開く、アフリカ大陸初めての会議である。

 

私たちはアフリカにおける文学、研究、出版、教育そして行政の中で、また世界中でアフリカの諸言語がおかれている状況を検証した。私たちはアフリカの諸言語と文学の生命力を誇りをもって世に示し、その潜在力を確信した。私たちは、アフリカの諸言語が、さまざまな困難の中でも、コミュニケーションおよび知識伝達の手段として実際に使用されており、また数千年にわたって記録された継続性を持っていることを、誇りを持って確認した。植民地支配は、アフリカの諸言語と文学に最も重大な困難をもたらした。私たちは、植民地支配のもたらしたさまざまな困難が今日も独立したアフリカ諸国を縛り付けており、アフリカ大陸の精神の発露を阻む壁となっていることを、ここに明記しておかなくてはならない。私たちは、アフリカ大陸について語るために植民地支配の言語が使われていることについて、底知れぬ不条理を感じている。新しい世紀そしてミレニアムの出発点に当たって、アフリカはこの不条理を明確に拒絶し、自らの諸言語と伝統に立ち戻ることから新しい一歩を踏み出すべきである。

 

この歴史的な会議において、アフリカの全地域から、ここエリトリアのアスマラに参集した、私たち作家・研究者は、以下を宣言する。

1)アフリカの諸言語は、アフリカ大陸のために語る義務、責任、そして挑戦を担うべきである。

2)アフリカの人々がこれからさらに力を発揮していくための基盤として、アフリカの諸言語を活用し平等の地位を与える必要を認識すべきである。

3)アフリカの諸言語の多様性は、アフリカの文化的伝統の豊かさの反映であり、アフリカ統一のための道具として活用されなくてはならない。

4)アフリカの諸言語間の対話は必須である。アフリカの諸言語は、障害者も含む全ての人々の間のコミュニケーションを進めるために翻訳を道具として使うべきである。

5)アフリカの全ての子どもたちは、学校へ行き母語を学ぶという侵すべからざる権利を有する。教育の全ての段階にアフリカの諸言語を導入していくためのあらゆる手だてが取られるべきである。

6)アフリカの諸言語に関する調査は言語の発展のための生命線であり、またアフリカ研究および文献整備の推進はアフリカの諸言語を使用することで最良の進展を見るであろう。

7)アフリカにおける科学技術の効果的かつ急速な発展は、アフリカの諸言語の使用にかかっており、また、最新の技術がアフリカの諸言語の発展のために用いられるべきである。

8)アフリカの諸言語の平等な発展にとって民主主義は必須であり、また、アフリカの諸言語は平等と社会正義に基づく民主主義発展の生命線である。

9)アフリカの諸言語もまた、他の諸言語同様、ジェンダーバイアスを有している。アフリカの諸言語は、発展に寄与する役割を果たす中で、このジェンダーバイアスを克服し、性的な平等を実現しなくてはならない。

10)アフリカの諸言語は、アフリカの人々の精神の脱植民地化そしてアフリカン・ルネッサンスにとって必須である。

「全ての困難を越えて」国際会議の中で明確にされた方向性は、アフリカの様々な地域で隔年ごとに開かれる国際会議によって、継続的に明らかにされていかなくてはならない。今後アフリカの様々な地域で会議を開催していくために、交流・協力のためのフォーラムを設け、その常設事務局を当面、エリトリアのアスマラに置くこととする。

 

上記の諸原則に基づき可能な限りのアフリカの諸言語に翻訳されたアスマラ宣言が、「全ての困難を越えて」国際会議の全ての参加者によって確認された。私たちは、全アフリカ諸国、OAU、国連そしてアフリカに関わる全ての国際機関が、この宣言を今後の政策立案のベースに置き、アフリカの諸言語の認知と存続・発展めざす取り組みに参加するよう求める。

 

私たちは、アフリカのいくつもの言語が一部の地域あるいはデアスポラによって保持されてきたこと、そして新たな言語の形成にアフリカの諸言語が果たした役割を誇りを持って確認すると同時に、アフリカに住む全ての人々そしてデアスポラにこの宣言の精神の下に参集し、掲げた目標を達成する取り組みに参加するよう促したい。

 

アスマラにて、2000年1月17日

アスマラ宣言

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