本を読んでコトバを書き留める
そのことば自体は珍しいものではなくとも、この人が使っている、と思ったものや、他との関連で面白く感じたものも拾っています。
読んだときにページの端を折っているのですが、後から見ると、どこが気になって折ったのか判らなくなっているものがあります。そうしたものを拾う場合、そのページからやたらに沢山拾ってしまう場合がありますが、それでいて、当初のものを取り逃がしているおそれがあります。
ずいぶん昔に読んだものを引っぱり出しているものもありますし、図書館などでメモしたり覚えたりしたものもあります。
沢山採っているからといって、必ずしも通読したというわけではありませんし、一つしか採っていないからといって、通読していないとも限りません。このメモから私の読書傾向は推し量れないわけです。
- 柳家小三治『ま・く・ら』講談社文庫
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- 「入ったっぱなし」p41(「寝っぱなし」p123)
- 「胸なぜおろしたり」p60
- 「本年とって五十歳」p66
- 「これは鹿児島弁と秋田弁よりずっと違う」「日本で使ってる英語と言われるものでむこうに行ってみると違うものがずいぶんある。これは改めてもらいたい」p87
- 「「腹がかたくて歩けない」って、こう言いましたよ。普通だったら、「腹が痛くて歩けない」。」p124
- 「よく箒目になってるんですよ。(中略)彼が住むようになってからとっても駐車場はきれいごとなんです」p131
- 「とこう聞いてみると」p160
- 「少うし早くにこちらへまいりまして」p187
- 「夕景」p279
- 「半農半武」p293
- 「毎ン日」「二種免」p307
- 「してるとこやなんか」p354
- 「せっせこせっせこ」p359
- 宮部みゆき『我らが隣人の犯罪』文春文庫
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- 「靴下はだし」p58
- 「派手っぽい」p86
- 「ビックリ水」p111
- 「約一名」p156
- 「車を転がして遠出する」p168
- 宮部みゆき『パーフェクトブルー』創元推理文庫
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- 「数瞬の後」p10 (よくあるがこの際、とメモ)
- 「土地鑑」p165 (やはり、元速記者、と感じてメモ)
- 宮部みゆき『心とろかすような』創元推理文庫
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- 「マスカケとか、ババツカミっていうんだって」p103(感情線と頭脳線)
- 宮部みゆき『夢にも思わない』中公文庫
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- 「庭園公園」p5
- 「水位柱」p6
- 「民度が低い」p9
- 「中島《なかじま》」p10、普通名詞
- 「詩心」p16
- 「共遊び」p19
- 「スウォッチ」p22
- 「シュカシュカ空振りする心のポンプの音」p51、直前に「スカスカ空回りしている」
- 「斜視な瞳」p64
- 「トゲトゲした話」「白河町会」「通称「六《むい》か町」」p68
- 「「ただ」という接続詞はコワい。……まことに、ただより怖いものはない。」p75
- 「あんなアッパーなやつ、ヒロリンじゃなくてヒロポンだ」p102」
- 「「むむむ」と唸ったのではなく、「むむむ」という言葉を言ったのだ。」p114
- 「そういう写真のレイアウト、あたしたちは『顔丸』って呼ぶんだけど、顔だけのアップだからね」p166
- 「白眼《しろいめ》攻撃」p182
- 「鉄錆《てつさび》の浮いた」p217
- 「語尾がはっきりしていた。自称するときの「あたし」の「あ」は、「あ」と「わ」の中間くらいの音だった。「あったんか」の「ん」も、「ん」と「の」の中間くらいの音だった。」p238-9
- 「ふんわか」p283
- 田辺聖子『中年の眼にも涙』(1979/01)1974以前
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- 「そんなん、ありかいな、」p34
- 「全然、妊婦服である。」p45
- 「おつかつ」p165
- 「パーマをあてる・かける」p174
- 「大々とした」p174
- 二人称の「自分」p202
- 「首吊り」(既成服)p209
- 「トッドモウ」p236
- 「ハラ大きい」p254
- 「涙がチョチョ切れる」p254
- 『奇妙なはなし』文春文庫
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- 「七曜の区別」p14(都筑道夫)
- 「幻妙怪奇な主題のように、ひとつの夢がいくつかの夢を縫い、綯《な》いあわさって、」p22(都筑道夫)
- 「愛猫」「赤さん」p52(中山義秀)
- 「一丁行こまいか」「そいつをもうワンツイストして」p62(福島正実)
- 「眉唾な作り話」「底意《そこい》のない表情」p88(伊藤典夫)
- 「気もてんどうしていたことでしょうしね」「気が顛動していたのですわね」p274、「気も顛動していた際のこと」p270。(江戸川乱歩「防空壕」。『江戸川乱歩名作集8』春陽文庫では、すべて「転倒」(p194,p191))
- 「遍満する香風を満喫しながら」p330(渋沢龍彦)
- 小川洋子『博士の愛した数式』
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- 「白熱球」
- 逆さ言葉。音で転倒というが、現代仮名遣いによる転倒。回文「冷凍トイレ」。
- 宮部みゆき『あやし』
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- 「きりきりと働いて」p43
- 「ございませんのですよ」p48
- 「評判に対してだけは素直に胸をふくらませ」p99
- 「とげとげ叱りつけた」p100
- 「言を左右に言い訳を並べた」p102
- 「凶運」「ぶるりと身震いが出そうになった」「さわさわと雨の音だけが聞こえてくる」p116
- 奈河静香『小説新人賞はこうお獲り遊ばせ 下読み嬢の告白』
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- 「あそばせ」調ではなく、「ございます」が多い。頻出語「はしたなくも」
- 「ぐちょぐちょした」p23
- 「時代考証最低線」の条、「平岩弓枝先生が直木賞の選評で、ある時代小説に対し、〈この時代(江戸時代後期)なら麦茶ではなく『麦湯』とするべき〉と注文をお付けになっているのを拝見したことが御座います」などp55
- 「誤字脱字の罪」の条。「地雷」(「タブーを踏む」)p103
- 「出版業界の人々にとって、二つ折り原稿は「素人くさい」イメージ」p193
- 「明治時代ごろまでは、目上の人に差し上げるお手紙の文章にテンを入れることは、失礼であるとされていたそうでございます。こちらでテンを打ってあげないと文章を読めない程度の知力の人、とみくびることになるということなのでございましょう」p197
- 「「てにをは」もブレーキと同じ」p211
- 「「最初『だべ』言葉があるんだけれど、ほかは標準語。……「わざとだべ使うんだよ、今の高校生は」」p214
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- 五木寛之『知の休日』1999
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- 「わらじ足」(扁平足)p61
- 「黙読は新しい習慣である」p132
- 「間然することなく密着している」p162
- 後藤正治『スカウト』講談社文庫
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- 「「あーあ」という、吐息とも自嘲ともつかぬ“歎息詞”」p15
- 「素材であるのは間違いない」p25(よい素材)
- 洒落「スカウトじゃなくてズロースじゃ」p58
- 「「最後のおつとめ」」p73
- 「かつて高校生たちに会うと、鹿児島に入れば鹿児島弁を、高知に入れば高知弁を耳にしたものだ。それが一律、標準語に近い話し方をするようになった。テレビのなせるわざである」p99
- 「目をすった」p145(見誤った?)
- 「古強者《ふるつわもの》」p150
- 洒落「「未完の大器」は、有田みかんに引っかけられ」p253
- 「しゃきしゃきした感じの気風《きっぷ》のいい人だった」p253
- 「質実剛健とか泥にまみれてなんていう言葉はいまや死語ですな」p365
- 大宅壮一『青春日記』(上)、中公文庫
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- 「消魂《けたたま》しい」p11
- 「山へたい松を切りに行く」(「たい松」に傍線)p12
- 「通っていられる」p12
- 「骨折り損の草臥《くたびれ》もうけ」「大下手」p17
- 「『歌まなび』を借った」p20
- 「冷ッコイ」p30
- 「『ああ今日はえらかった』といわれたのが此の世の別れ」p40
- 「国語は文法だった。此れで僕も名詞、動詞、形容詞、副詞の区別がはっきり分るようになった。又動詞の変化の工合を教えて貰った。僕等は今迄こんな事も知らないで無茶に通していたのだ。これからはもう文章を作る上に非常に楽だろう」「国語は又文法を教えてもらった。そして動詞には三種ある事を初めて知った。」p168
- 「逃ぐるべし」p172
- 「国語の際、アイウエオの復習をせらる。復尋常一年生になりたるが如き心地せり」「国語は今日もアイウエオを習う」p191」
- 「「何だったなア」と富岡先生のように江戸ッ子で話すだろう」p214
- 「「明日は宿直当番だから用がなければ遊びに来てくれ」もう先生口調なり」p217
- 「「今重くしつつあるのです」と英語口調を以て答えぬ」p236
- 「日記は候文体となり」p262
- 「大宅式記憶法」「「(shower)は急雨の意なれば降り出す音『シャー』なり」と答うれば先生は頗る感心せられ候」「「(idleは)怠惰のなれば、『怠者は後に哀しむ事必定なり、よりて『哀(アイ)トル』と記覚すれば宜しく候べし」と答え候」p288
- 「金という字を分せきすれば 人は辛抱が一」p342
- 「メバチコ」「まず糸で障子の親桟を固く結び「私の眼をお治し下さいましたらこれを解きます」と祷れといわれた」p343
- 「漢文の試験に瞋、藉、擠というような字に動詞の終止形の仮名を付せよという問題が出て」「弗入」p351
- 「ヘビーをかけた」p370
- 「よいよと今日図画を二枚出した」p373
- 「新聞で洒落ている通りテラナイ(寺内)内閣があるからだ」p376(雨の多い秋)
- 国語の時間「富士川下り」の一節を口語に訳すのが当たった時、「身延参りの年寄った婆さんが……」とやって大いに皆の者に笑われた」(「年寄った」に傍点)p377
- 「歴史の試験は又箱問題だった。僕は一箱間違えた」p381(穴埋め問題?)
- 倉本聡『前略おふくろ様』ペップ出版 昭和52.10.10
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- 「チョーダイナッ」p153
- 「(ギクンと)」p189
- 「?ハイ」p191
- 「怯病」p209
- 「サブの声「オドシ」\n辞書を引く。\nサブの声「男ラシイ。音サタ。オドシ——制限漢字だ」」
- 「本読みの段階で本気で読んでもらって」p298(対談:山口瞳)
- 徳富猪一郎『蘇翁夢物語』中公文庫
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- 『宮本武蔵』
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- 「孑々武士」と「棒振り武士」p13
- 「戒心をいたす」p23
- 「振り分け荷物」p26
- 「余程お見かわしになりましたな。」p52
- 「余り高い声では申し上げられませぬ」p53
- 「先刻参りましたる者は、私実家に召し使いおる者にござりまする」p59
- 「定命《じようめい》」p64
- 「遺言《いごん》」p65
- 「かねて別懇にしたことのある」p67
- 「武家風をした者が旅姿で立っておるから、言葉もあまり蔑《さげす》まぬ。」p72
- 「気の措《お》けることが夥《おびただ》しい」p78
- 「讚詞《さんじ》」p81
- 「幸いよしと飛び込んで、止めだてする喜助には当て身をくらわせ」p86
- 「前以《ぜんもつ》て申し置くが、その方都合によれば予が召し抱えるがどうじゃ」p95
- 「合気《あいき》の法」p98
- 「反動《もんどり》うって打《ぶ》っ付かった」p102
- 「足を薙《な》ぎ、股《もも》を斬り、胴を断つ」p106
- 「さ退《し》ったり」p109
- 「ザブ」p129,131
- 「豪《えら》い」p147
- 「現今《いま》でいう慰労会兼感謝会」p152
- べえべえ話す西日本の田舎もの p153
- 「午後《うまご》」p164
- 「憤慨《むかつ》いた」p166
- 「阿呆《あほう》が若松を引くように」p171
- 「肩の凝りが下がったなぞと減らず口を申す」p175
- 「肩が凝っておったのを散らしてもらった」「冗戯《じようだん》」p179
- 「肩衣《かみ》」p182
- 「兎《う》の毛の隙もない」「迂闊《うかつ》に打ち込むともせず、」p184
- 「非常なる面目を施す」p187
- 「竣成《しゆんせい》いたしたについて本日|焚初《たきぞ》めをいたしたが、一風呂お入りを願
いたい」p195
- 「油が脱《ぬ》けましょうから」「ハハハハハ、鶏肉《かしわ》や豚ではあるまいし」p197
- 「万一の血路を需《もと》めておった」p198
- 「リュウリュウと扱《しご》いて」「バラリズンと斬った」p202
- 「強《た》ってのお言葉」p212
- 「朝飯《ちようはん》」p213
- 「万物の霊長たる人間」p216
- 「退《の》っ引《ぴ》きできず」p218
- 「拙者は悪い性質で、どうも黙読はできかねるでな」p220
- 「肩を聳《そび》らかし」p250
- 「世の諺《ことわざ》に喉元《のどもと》過ぎて熱さを忘れると申すことがある」p257
- 「セッセッと詰めかけ」p268
- 小林信彦『1960年代日記』ちくま文庫
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- 「フーテンという流行語は知っていたが、〈ドロップアウト〉なる言葉を初めて耳にした。」(1967.9.1 「ヒッピー族について」大島渚、虫明亜呂無との座談会)
- 「台本を口ダテで教えている。漢字が読めないのか、と気づいた。」【「口」に「くち」とルビ】(1970.10.27)p290
- 小林信彦『袋小路の休日』中公文庫
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- 「昭和二十六年には、たしか、もう、あったと思う。」「その呼称は、映画の興行の世界から出たはずである。かき入れどき、の意味で、初夏がゴールデン・ウイーク、秋の連休がシルヴァー・ウイーク」p137
- 「鳥《バード》をバーチュと方言風に発音するように習った彼にとって、F中学の英語はまるで外国語のようで」p145
- 「代理店の代表二人は先にきていた。宏をみると、椅子から立ち上がり、「ご苦労様です」と挨拶した。」
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