内装(後方)

スペアタイヤ

 AZ−1のもう1つの特徴は、スペアタイヤが室内に存在する点である。写真には「AZ−1」と書いてある袋があるが、これはオプションのスペアタイヤカバー(現在入手不可)で、この中にスペアタイヤが入っている。この写真は運転席側から見た物だが、今度はカバーを取って助手席側から見てみると、このように取り付けられているのだ。

 開発当初、スペアタイヤはフロントのボンネット内に置かれる予定だったが、衝突試験を行った際、スペアタイヤがステアリングを押してしまう(衝突の時にステアリングがドライバーに向かって飛び出す)ことがあったため、急遽室内への配置に変更されたとのことである。なお、いまでも若干の改造を加えることで、スペアタイヤをボンネット下に置くことができる。そうすることによって、正面衝突時危険ではあるがフロントのグリップを高めることができる。


メンテナンスハッチ

 スペアタイヤを取りはずすと蓋のようなものが見えてくる。これは「メンテナンスハッチ」の蓋で、この蓋を取り外すと室内からエンジンが見えるのだ。

 写真は蓋をはずしたとことである。AZ−1の場合、ミッションが助手席側にあるため、運転席の後ろ部分の位置でエンジンが正面にみえるようになる。蓋を開けるとターボチャージャーが真正面に見える。写真にはパイプが2本写っているが、これはインテークのパイプとなる。上の方はインタークーラーからインマニへ、下の逆U字型のパイプはターボからインタークーラーにつながっている。代表的なエンジンルーム作業の1つであるプラグの交換も、このメンテナンスハッチを使って行われる。AZ−1はミッドシップであるため、エンジンルームからではプラグに手が届かないためだ。なおメンテナンスハッチからエンジンをいじる場合は、運転席・助手席を取り去って、作業空間を作る必要がある。

 ちなみにこのメンテナンスハッチを閉めないままエンジンをかけて走ると、様々な音とものすごいエンジン音が直接耳に届く。ロードノイズ、エンジンマウントのきしみ、アクチュエーターの開閉音等々・・・通常の車はフロントにエンジンがあるため、レーシングカー並みにチューンしてあっても、インパネという防音壁の存在によってかなりやわらぐが、AZ−1は違う。F1のレーサーは轟音の中でネジ1本が緩む音さえ聞き分けることができるという信じられないような話があるが、これを体験するとあながち嘘ではないと思える。素人にさえ様々な音がはっきりと聞きわけられるからだ。なお、エンジンの調子が直接体感できるからといって、これを普段からすることはお勧めできない。排気ガスが室内に充満して一酸化炭素中毒になる可能性があるためだ。