ガルウイング

 ガルウイングを広げた部分は今まで何度も写真に出てきていると思うので、そのドアを支えている部分を細かく見てみよう。ガルウイングは写真の通り、ドア1枚あたり2本のエアダンパーによって支えられている。

 このダンパーの長さは全開時に約50cm。ダンパーとドアはボールジョイントで結ばれており、ダンパーが縮みながらドアが閉まるという一見単純だが実際は複雑な動きをする部分に対して有効に働いている。このダンパーはハッチバック車のダンパーとは比較にならないほどの極めて強力なものが使われている。というのは重いドアを非常に短い支点から押し上げる必要があるためだ。そのため、このダンパーは約2年でへたってしまう。新品時はドアのロックをはずすだけでドアが自然に上へと開いていくのだが、それをすぎると手で押し上げない限り上へは上がらなくなるのだ。なお、へたったダンパーでさえ、人間の全体重をかけて押さえても圧縮することはできないほど強力なものが使われている。
 最近、このダンパーに関して困った問題が発生しつつある。AZ−1とは関係ない車にこの貴重なダンパーが使われ始めているのではないかという疑念があるのだ。どんな車に使われているかというと、それはカスタムカーである。カスタムカーとは市販の車に手を加えて、デザイン上のオリジナリティーを高めた車である。そのデザインには様々なものがあるが、その究極とも言えるものの1つにガルウイングがあるのだ。そこでいろいろな車がガルウイングに改造されていくのだが、写真で見るかぎり、どうみてもAZ−1用のダンパーとしか思えないものが使われていることがある。4000台しか作られなかった貴重な車である。その貴重な部品をこんなことで浪費するのは是非ともやめてもらいたい。またどうせやるのであればAZ−1でカスタムカーを作ってもらいたい。ボディーはプラスチックだから自由度の高い改造ができる。