『意外なる人物』
THE UNSUSPECTED


マイケル・カーティス監督、クロード・レインズ主演の殺人ミステリーで、マイケル・カーティス・プロの第一回作品。

ラジオの人気ミステリードラマの朗読者ヴィクター(レインズ)の秘書が、自殺に見せかけて殺される。しばらく後、外国で死んだと思われていたヴィクターの姪マチルダ(コールフィールド)が突然戻ってくる。空港に降り立った彼女にスティーブン(ノース)という若者が「自分達は結婚していた」と近づいてくるが、マチルダには覚えがない。マチルダには莫大な遺産があるため、彼女に近づくスティーブンにヴィクターは疑惑の目を向ける。やがて秘書の自殺が殺人だったことが明らかになり、事態は意外な方向へ展開。そして第二の殺人が発生するが、犯人はトリックを用いて罪を他の人間にかぶせようとする……。

死んだと思われた女性が突然帰ってくるなど、オットー・プレミンガー監督の『ローラ殺人事件』(44)に似た内容。ラジオという当時のメディアが出てくる珍しい作品で、録音機材や防音装置付きの部屋がストーリー上で重要な役割を果たすほか、犯人が被害者の死を自殺に見せかけるための"遺書"を手に入れるのにも一役買っている。犯人が中盤で明らかになり、後半は犯人による『刑事コロンボ』ばりのトリックが描かれるのがミソ。オーソン・ウェルズに主役の出演依頼があったがスケジュールが空いておらず、クロード・レインズが演じた。脚本の構成が粗く、ストーリーの焦点がなかなか定まらないのが難。室内装飾を深みのあるパンフォーカスで捉えた白黒撮影は見事。撮影にはヒッチコック映画で有名なロバート・バークスも協力している。

47米/ワーナー/監督マイケル・カーティス/脚本ラナルド・マクダガール/撮影ウディ・ブレデル/出演ジョーン・コールフィールド、クロード・レインズ、テッド・ノース/103分/白黒

(2001/6/20 TCMにて)


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2002年8月11日作成