愛する人を亡くした人の為の100の言葉

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WRITTEN BY Kei Nakahara    中原 憬
All Rights Reserved. Copyright (C) 1997, 2007, Kei Nakahara
English Translation by TQByT
(c)Aris Multimedia Entertainment, Inc, 1993.




1.あなたがこの悲しみを引き受けることにより、その人はこのつらい悲しみを悲しむことがなかったのです



強い絆で結ばれた二人がいたとき、片方が先に旅立ち、片方が残されるのは、この世の宿命です。人は必ず訣れなければならないと運命づけられています。悲しみを背負って生きて行かなくてはいけないのは、一人だけです。

あなたは愛する人にこの悲しみを味あわせることがなかったのです。








2.もはや、その人はこの世のあらゆる苦しみから逃れました



この世の悲惨さや残酷さから、悲しみや苦しみから、痛みから忍耐から、その人は、いまや、あらゆる束縛から自由になりました。いまは、天使や神の近くにいて幸せなのかも知れません。







3.その人の優しさ、温かさはあなたの中に受け継がれました



その人のことを思い出すとき、その人の優しく温かいシーンばかりが思い出されませんか?あの時に、こんなふうに優しい言葉をかけてくれた、こんなふうに気遣ってくれた、というように。生きている間は口ゲンカもしたし、鼻につくところもあったはずです。でも、もうその人は栄誉ある天国の住人ですから、人々に美しい思い出だけを振りまいているのです。こうして、あなたの心の中には、美しい記憶ばかりが残っていくのです。

その人の優しさ、温かさはあなたの中に受け継がれました。








4.その涙はその人のための涙ですか。それとも自分が可哀想だから流す涙ですか



その人のための涙なら、涙が涸れるまで泣きなさい。それは、美しい涙です。
しかし、自分のための涙なら、それは醜い涙です。
その人のための涙に、自分のための涙を混ぜないようにしませんか。








5.悲しいときには思いきり泣きなさい。我慢して平静を装うのではなく、ひとりにしてもらい涙が涸れるまで泣きなさい



たとえ何日間でも、泣いて泣いて、涙を流してください。
涙はあなたの心を護るためにあります。
涙が枯れて一滴も出なくなったとき、不思議と心が静かになります。
自分自身が澄みわたり、生きていることを直に感じられる透明な意識だけが残ります。
−−−−そのときに、世の中で美しく見えるものを探してみてください。
きっと生きる希望が見えます。








6.その人を愛した証



その人を喪った心の傷が痛くて痛くて仕方ないのでしょうか。
心の傷口から血の代わりに涙が流れ落ちているのでしょうか。
こらえようのない痛みが、あなたを蝕んでいるのかも知れません。
その痛みの叫びが、慟哭(どうこく)となっているのかも知れません。

あなたが、あなたである限りこの心の痛みはあります。
ただし、とても大切なことですが、この痛みにはやがて慣れることができます。
この痛みはあなたがあなたである証です。
あなたが、その人を愛した証です。
痛みは痛みとして、生き抜いてください。

もちろん、愛の深さを証明するために後を追う必要もありません。
証はこの胸にあります。








7.ひとはつらい思いをした分、ひとに優しくなれます



この涙は、あなたが成長するための涙でもあります。
少なくても、あなたは、愛する人を喪った心の痛みを知りました。
その悲しみと痛みと。
同じように他人が悲しむことがあったとき、あなたは、その人の立場に立つことができるはずです。








8.悲しみや苦しみを通過する中で獲得していくもの



悲しみや苦しみという壁があるから、ひとは成長するのです。もし、一生幸せなら、ひとは何も考えず、甘えん坊の子供のまま大きくなってしまうはずです。
人は生きている限り悲しんだり苦しんだりします。もし、その人が悲しんだり苦しんだりしなくなったら、その人の人間としての成長は止まってしまっているということです。
悲しみや苦しみを通過する中で、ひととしての経験が積まれ、ひとに優しくなるための強さを身につけていくのです。








9.悲しみが深いということは愛情が深かったということです



あなたは、こんなに悲しむほど人を愛したのです。素晴らしいことです。それだけ愛の深いあなたなら、きっと、また人を愛することができます。







10.その人は、あなたが人一倍幸せになることを誰よりも強く望んでいたはずです



その人は、いつまでもあなたが心寒く悲しんでいるのを望むような人ですか。
天国で心配させてはいけません。








11.自分を責めないでください



遺された人は、誰しも、その人が死んで自分が生き残っていることに大きな不安と負い目を感じるものです。そして、その思いが不当な罪悪感にまでなっていることは珍しくはありません。
実に多くの人が、その人が死ぬ直前に自分がした、あるいはしなかったほんの些細なことで、自分をひどく責め続けます。

しかし、その理由はほとんどが主観的なものです。もし、あなたが本当に悪かったのなら、相応の社会的な処罰を受けていることでしょう。その人を思うあまりに、自分の落ち度を過大に考え過ぎるのです。

聖人のような生活をしていない限り、何も後悔しないというのは無理です。
どうか自分を責めないでください。








12.あなたが、そこにいたことがその人への貢献



その人は、あなたと過ごせてどんなに幸せだったでしょう。あなたの存在そのものがその人への大きな貢献だったはずです。だから、あのときこうすれば良かった、などと小さな事を後悔するのはやめましょう。







13.後を追って死のうなどと思ってはいけません



このつらさと、悲しみをほかの人にも味あわせてはいけません。あなたが死んで悲しむ人がいる限り、そんなことをしてはいけません。あなたが悲しみから逃れられても、この悲しみを新たな人に背負わせてしまいます。あなただけの命ではないのです。







14.あなたはかけがえのない命をひとつ喪いましたが、あなたの生命が、新しい生命をこの世に与えることもできるかも知れません



もし、あなたが子供をつくることができるのなら、あなたはこの世に命を創り出せるのです。あるいはもう命を創り出した後かもしれません。あなたは命と愛を失ったと嘆いていますが、あなた自身が命と愛をこの世に創り出せることを忘れないでください。もし、あなたが子供をつくることができなかったとしても、愛は創り出せます。それだけでも充分。







15.無垢



赤ちゃんを見てください。あなたと一緒で泣いてばかりです。
でも、あなたと違うのは泣いた後にはすぐ笑うことです。
赤ちゃんは悲しいことがあったからといって、いつまでも泣き続けることはありません。過去に囚われず、未来を憂いません。自由で無垢な天使のような存在です。

ただ純粋に、生きることしか考えません。
ただ純粋に、愛を求めて、愛されます。
あなたにもこのような一時期があったはずです。
悲しみに押しつぶされそうになったとき、無垢な存在だった自分を思い出してみてください。








16.悲しみから逃れたいと思ったら、他の誰かを愛することを考えること



愛されることをではありません。愛することを考えるのです。その人が死んであなたよりも悲しくつらい思いをしている人はいませんか?その人を支えてあげてください。

あなたにならできるはずです。








17.気持ちが千々に乱れたとき、そんな時は眠りの王国に逃げなさい



涙が涸れるまで泣きない。そして泣き疲れたら眠ることです。眠りの王国にいる間、あなたは、この世のすべてから逃れることができます。眠っている間、あなたを護ろうとする目に見えない働きによって、あなたは夢を見ている間に少しずつ癒されます。







18.心の中がガラスの破片でいっぱいになったようなどうしようもない気持ちのときには



とりあえず、食べて、眠ってください。それがあなたの命を最も安定させるための基本動作です。







19.ショックで呆然として涙も出ないときには



涙が出れば楽になれます。涙が出ないと心に負荷がかかりっぱなしになってしまいます。泣き叫ぶとストレスが発散されるのです。そんな時には悲しい思い出を思い出してでも泣いた方がラクになれます。







20.怠惰から抜け出せず、さりとて心の中はイライラしてストレスが溜まっているときには



怠惰が自己嫌悪を引き出し、その毒が心を害しているのです。こんなときには、パッと立ち上がって体を動かすことです。部屋の中で体を動かしてもつまらないですから、外出してはどうでしょう。外に出れば新しい風があなたの心を慰めてくれるはずです。







21.冬の次には必ず春がきます



一日の内には夜があり、昼があります。一年の内には、冬があり、春があります。
自然には巡りくる季節があります。この悲しみは決して永遠には続きません。








22.人間はどんな状況にも適応していきます。やがて悲しみにも慣れます



どんなにつらい苦境に立っても、人間には適応する能力があることを忘れないでください。人間は慣れることができるのです。だから、今の一瞬が果てしのない苦しみに満ちていると感じても、やがてその状況に慣れます。そして、だんだんと意識からは消えていきます。大丈夫です。今が辛くても未来を信じて耐えてください。







23.涙の意味



涙は悲しいときだけでなく、嬉しいときにも流れ落ちます。それは、感情が極まったときに現れる、ひとの生の輝きなのです。
生に触れたとき、生を喪ったとき、涙は流れ落ちます。涙は、あなたが魂の真実に触れたときに溢れるのです。そして、あなたが、最も人間らしい瞬間に涙は流れ落ちます。

あなたが、生きて、生きて、生きているときに。








24.愛する人を誤って死なせてしまったとき、自分の死をもって償わないでください



あなたが死ねば、残されたあなたの家族や友人は、その悲しみを背負って生きていかなければいけません。もしその人と二重の悲しみを悲しむ人がいれば、それはあなたに降りかかった悲劇よりもさらに痛ましい悲劇となるかも知れません。あなたは人の死の悲しみを背負うつらさを充分に知っているはずです。死は安直な逃げ道ですが、決して選択してはいけません。道義的にどうしても自分は死ぬべきと思っても、あなたの死が新たな悲しみをつくり出すという罪深さを考えれば、道義的な死などあり得ないのです。







25.事故にあったとき



事故などでむごく遺体が損傷しているほど、その人は苦しみを感じている時間が短かったのです。また、人間は一定以上の苦痛があると気絶するようにできています。きっとあなたが想像するよりも、その人は苦痛に襲われなかったはずです。−−−−少なくとも、いまは何の痛みも苦しみもない世界にいます。







26.宿命



その人との出逢いは運命の出逢いだったのでしょうか。
他の誰でもなく、その人との出逢いだけが、真実の愛を成就する運命だったと。
そして、その人の死は何かの間違いだと。

あなたとその人との出逢いが運命の出逢いなら、この悲しい別れも運命の別れなのかも知れません。もしかしたら、生まれる日から、死ぬ日まで、すべては決まっていたのかも知れません。
あなたと出逢い、あなたと別れることさえも。

宿命というものがあるのだったら、それがあなたとその人の運命だったのです。
−−−−そう考えた方が、気が楽です。
そのことが起こってしまったのは、あなたや誰かのせいではないのです。








27.悲しみは愛そのもの



あなたがこのような過酷な運命に突き落とされたとき、あなたは現実を否定するために自分を責め始めたり、別な誰かを責め始めたりするかも知れません。あなたの心の中に誰かへの憎しみが溢れてしまうかも知れません。
しかし、涙を流しても、誰かを憎んだりしないでください。なぜなら、悲しみは愛そのものといってもよいのですが、憎しみは愛とはまったく逆なものだからです。

その人にたむけるのは愛だけにしませんか。








28.人の心の悲しみが分かる人間になったということは



誰かがこう言いました。「誰かひとりを悲しみから救うことができれば、私の人生は無駄ではないだろう」。
あなたは、いまこの悲しみを通じて、人の悲しみがより分かる人間になりました。もし誰かが愛する人を失ったときにはその人の気持ちがわかるでしょう。あなたは愛する人の死を貴重な体験として、ひとつ成長したのです。








29.世の中は残酷で無情です。でも人の死を悲しむあなたの心は違います。あなたは温かい



あなたは悲しんでいます。それはあなたが愛情深かったからです。世の中が残酷で無情な場所であったとしても、あなたは違います。あなたが優しい人であればあるほど、あなたは悲しみます。そしてあなたは涙の数だけ人に優しくなるための強さを得ていくのです。







30.愛を失った傷は、愛で癒されます



あなたが傷ついていないか、あなたの家族をはじめ、みんな心配していることと思います。自分がこのような温かい愛情に包まれていることにも少しだけ注意を向けてみてください。
あなたが悲しんでいることを心配してくれている人がいることに気づいてください。あなたの家族、友人の愛が、そこにあるのです。もし、あなたが天涯孤独の身だという場合でも、あなたの愛する人が天国で心配していますよ。








31.痛みの中から命の尊さを学んだあなた



あなたはその人の死で命の尊さを学んだはずです。人が死ぬと、こんなにも悲しみ、苦しむ人がいるということを。それはその人が命をもって教えてくれたことです。







32.まだ失っていないもの



失ったものばかりに気を取られていると、いま持っているものを疎かにしてしまいますよ。
−−−−残念なことに、多くの場合、それは失ってからでないと気付かないのです。
あなたの周りを注意深く見回してください。まだ失っていないものが沢山あるはずです。








33.あなたにできること



大切な人よりも、一日だけでもいいから長く生きてあげること。







34.美しいものに目を向けてください



運命というものは残酷なものですが、この世の中には、愛情や美しいものもたくさんあって、決して捨てたものではありません。
涙が涸れ、涙が出なくなったときに、あなたは直に生と向き合っています。このとき、あなたの感受性は世俗の垢が流し落とされ、あらゆるものが新しい意味をもって見えるようになっています。その中で美しく見えるものを探してください。きっと見つかります。








35.悲しいときには悲しい音楽を聴いてください



悲しい気分のときには、哀愁を帯びた音楽を聴いてください。その方が気が晴れるからです。悲しい映画や、小説、詩もお薦めします。







36.胸に穴が空いたような空虚さを感じるときには、忙しくしていることです



悲しいときには、思いきり泣けばいいのですが、虚しさでこころがいっぱいになったときには、体を動かし、自分を忙しくさせることです。







37.涙が出ないときには、身体を横にしないように



身体を横にし、身体の活動を停止すると、自分の頭の世界に意識が入り込みます。
「生きるのがイヤ」とか「何もしたくない」という怠け心が出てきたら身を忙しくしてください。
そう、まず洗濯と部屋のゴミ捨てからはじめてみませんか?この二つから始めると、意外に気が晴れますよ。








38.お風呂は憂鬱の特効薬



鬱々としてしまうときには、お風呂が一番です。少しくらいの憂鬱なら吹き飛ばしてくれます。お風呂上がりには心がデリケートな状態に仕上がるものなので、このときにTVを観てはもったいない。好きな趣味に没頭してみてください。







39.私には心を打ち明けられる友人がいないという人に



ペットを飼ってみてはどうでしょう。もし、犬、猫などは世話が大変という場合でも、ハムスターや小鳥などなら比較的手軽に飼えます。ペットはあなたの言葉を理解してくれませんが、あなたに無償の愛情を惜しみなく振りまき、生きることの喜びを体現し、あなたの心から愛情を引き出すという大切な役割を果たしてくれます。







40.種をまいて植物を育ててみませんか



植物の世話をすると、日々、目に見える成長を楽しむことができます。あなたが水をやることで、植物は静寂を保ちながらも、生きて変化していきます。
花が咲いたときにはその美しさに慰められるでしょう。日々の世話が、色鮮やかな花に、そして種子に結実するのです。花は生命の輝きであり、種子は次世代への命の塊です。
ひとつのライフサイクルを見ている中で、あなた自身の姿をそこに見ることもきっとあります。弱々しくも命の輝きに溢れた新芽の時期、ただ上に上に成長することを望む若々しい時期、しっかりと根を張り、葉を広げ、脈々と成長する時期、新たな変革への予感に満ちたつぼみの時期、花開き、色鮮やかな美しさによって生命を輝かせる時期、他の花との受粉を終え内に新たな光を宿す時期、生命力のエネルギーを豊かな実りへと蓄える時期、すべての役割を果たし、土に返る時期。
一鉢の植物にさえ、このようなさまざまな時期があります。あなたの人生にももっともっと多くの時期があるはずです。悲しみに立ち止まらず、ただただ成長しようとする植物の命を見てください。








41.こころのバランスを失いかけても



繊細な感性を持った人の場合、あまりに悲しみが深いとこころのバランスを失いかけることがあるかも知れません。夢と現(うつつ)の境目がはっきりしなくなったり、ありもしない声が聞こえることがあるかも知れません。そのようなときに、自分の未来にひどい不安を感じることがあるかも知れません。でも、心配しないでください。
現代はそのような症状があってもすぐに良くなる薬があります。
余分な不安を抱くことなく、どうか心を静かに落ちつけてください。大丈夫です。








42.破滅的な気持ちになったら、カウンセラーに



カウンセラーにあなたの心を吐露すると、あなたはそれだけでかなり解放されるはずです。自分一人でつらい思いを抱えていないで、自分に人を頼るということをさせてあげてみてください。







43.一番お気に入りの衣装を着て、街に出てみよう



思いきり時間をかけて、思いきり贅沢をして、とことん自分が気に入る洋服を見つけて、街に出てみましょう。あなたが男性でも同じです。昔から自分のお気に入りの服を着て街をあるくことは、どんなカウンセラーにかかるよりも効果があると言われています。嘘だと思わずにやってみてください。







44.すさんだ気持ちでイライラするときは、何かを一生懸命にすること



人が幸福になる方法は限られています。愛の中にいることか、何かを一生懸命することのどちらかです。何かを一生懸命するために目標を見つけてください。







45.何のために生きているのだろう



何のために生きているのだろう。虚しさに心を奪われて、悲しい気持ちでそう呟くことがあなたの癖になってしまったのかも知れません。

でも、その言葉は、心の扉をひとつ開けるための重要なキーワードなのです。
素晴らしい言葉ではないですか。改めて自分に尋ねてみてください。
何のために生きているのですか。あなたは、何をすれば真の満足を得られるのですか。
一体、何があなたの人生で重要なのですか。

いま、あなたはこの人生の扉を開けたいと希って(こいねがって)います。
ひとつひとつのこの呟きがこの重い扉をゆっくりとゆっくりと開けていきます。
そこには、あなたが本当に創り出したい人生があります。

大切な答えはすぐには出ません。あせらないことです。








46.働くことを辞めてはいけません



その人を喪ったショックと悲しみで何もかもやる気をなくしたとき、そんなときに日々働いていた仕事を辞めてはいけません。たとえ、胸に穴が空いてしまったような痛みと悲しみに蝕まれ続けていても、たとえ、毎日の行き帰りの路の途中で涙が溢れてきても、それまで日々営々と続けてきた仕事を辞めてはいけません。
それほど深い悲しみから立ち直るときにこそ、仕事をするという気の張りや仕事場の同僚、友人のまなざしが必要なのです。これらのことは悲しみを紛らわしてくれます。また、悲しみを隠して周囲の人を心配させないという社会的な装いをそこで学ぶことができます。








47.あなたはいま、ここに生きています



あなたは身を引き裂かれるような苦しみを感じているのかも知れません。底なしの空しさを感じているのかも知れません。言葉に尽くせないほどの悲しみに耐えているのかも知れません。高い所から落ち続けるような不安を感じているのかも知れません。吹雪の中のような孤独を感じているのかも知れません。自分を殺したいほどの自責の念に駆られているのかも知れません。
おそらく、神は人間がどんなに深い感情の深みからも逃れられるように、過去と現在と未来をつくったのです。
−−−−あなたはいま、ここに生きています。








48.悲しみの底



あなたは悲しみのどん底にいるのですか。だったら、もうそれ以上悲しむことは起こりません。あとはいいことだけが待っていますよ。あとは、泣くのをやめるだけです。







49.どんなに悲しくても、それが嫌でも、あなたはその人のことを忘れていきます



あなたの深い感情は、砂浜の砂の城のように少しずつ無くなっていきます。もし、それが嫌でも、あなたの悲しみは砂浜の城と同じで、いつまでも残り続けることはありません。雨や風や波により、やがて砂浜の一部に戻り、海に濯われるただの砂に戻ります。







50.すべてのものが色彩を失った暗闇の世界で



あなたは、今まで楽しかったことや、大切にしてきたことのすべてが崩れてしまった光のない暗闇の世界に投げ出されてしまったのかも知れません。でも、信じてください。暗闇がやがて音もなく静かに、いつの間にか朝焼けを迎ることを。気が付かない内に、虚しさという冷たい霧が晴れて、太陽の光が射し込んでいるときのことを。







51.自分を慰めてあげてください



もし、あなたの目の前に悲しみに打ちひしがれた人がいたら、あなたは声をかけて励ましてあげないでしょうか。同じように、自分自身に声をかけて励ましてあげませんか。あなたは、誰よりもあなた自身のつらさを知っています。あなたが夜も眠れずに涙で枕を濡らした長い夜を知っています。そしてあなたは、誰よりもあなたを慰める方法を知っています。こんなにも人を愛し、その結果、傷ついてしまっている自分を、決していじめることなく、愛して、救いを与えることを考えてあげてください。







52.人は幸せになる義務があります



人は誰でも、悲しみや苦しみの壁を乗り越えて幸せにならなければいけません。これはおそらく、義務なのです。
生きて、幸せになってください。








53.これから生まれてこようとした赤ちゃんは



その子はあなたの顔さえ見ないで息絶えてしまったのかも知れません。あなたの胸に抱かれることさえなかったのかも知れません。でも、その赤ちゃんはあなたの体から引き離されることなく、あなたと一緒の体で過ごしたのです。そして、温かいお腹の中であなたの愛だけを受けた生を過ごしたのです。







54.夭逝した子供達は大人の汚さを知らないまま天使になりました



子供の頃の純粋さ、愛情のストレートな表現、正義感などは、大人になれば失われていくものです。夭折した子供達はこのような世の中の汚れに染まらないで、神の許に召されました。生きていくつらさを味わうことなく、無垢なまま無邪気に生を終えました。それはそれで幸せな人生だったのではないでしょうか。年若く逝った子供ほど、きっと、もうこの世で学ぶことの少なかった輝いた魂の持ち主だったのです。







55.生まれ変わり



愛する人を亡くすと、その人の面影をあらゆるものに求めます。生き返った姿を夢に見たりするのはその典型的な例でしょう。その人の若く溌剌とした元気な姿をイメージの中で追い求めてしまうものです。
そして、あなたが親を亡くしたとき、その人を端々にわたって生き写しにした人物、しかもまだ若々しい姿が生きて実在するのです。−−−−それは、あなたです。
親の友人や親戚達はそのひとの面影をあなたに求めるでしょう。周囲にとって、夢にまで見るようなその人の生き姿があなたなのです。
あなたは親の命を分けられてこの世に生をうけました。その人と誰よりも深い関係と血のつながりをもっているあなたは精神的にも肉体的にも、その人の在り方を多く受け継いでいます。
あなたは親の生まれ変わりなのです。
あなたは親の死を乗り越え、その分まで生を輝かせなければいけません。








56.命の流れ



人通りの多い通りを眺めてください。老若男女さまざまな人たちがいます。その人たちの百年後のことを考えてみてください。ほぼ全員が寿命を終えているでしょう。しかし、その通りの百年後には、やはりさまざまな人々が歩いているでしょう。
生の数だけ死があり、一人一人の生と、一人一人の死があるのです。
そして、百年後に歩いている人たちは、彼らから生を受け継いだ人たちです。
こうして川の流れのように、生は流れているのです。








57.その人は、生命の故郷である大地と海にかえり、再び世界と一つになったのです



地球上に生命のなかった頃、そこには大地と海と大気しかありませんでした。そこから、あらゆる物質と生命が生み出されたのです。その人は、遠い故郷にかえったのです。







58.自然の摂理



花は美しさを誇った後には、種子を残し、枯れていきます。そして、次の季節には再び花を咲かせます。
同じように、人は生まれ、子供を育て、そして死んでいきます。
このように生命は子供へと引き継がれているのです。
−−−それが自然の摂理です。
あなたの親は自然の摂理を全うし、あなたという命をここに残しました。
あなたの命がさらに引き継がれ、命が滔々と流れていくのです。








59.形あるものは滅びる



あらゆる生命は、死ぬべき運命を背負っています。誰もがいつかは死を迎えます。生の数だけ死はあります。死は決して特殊なハプニングではなく必然的な結果でしかありません。あなたが生きている間にその人が死ぬか、あなたが生きていないときに死ぬかの違いだけです。







60.その人の思い



あなたが泣いても、泣かなくても、その人は、もう、いません。
あなたが悲しんでも、悲しまなくても、その人は、もう、いません。
人生には逃れようのない現実というものがあります。どんなに否定しても、否定しても、その人は生き返らないのです。でも、もし、その人が生きていたら、いまの自分に何と声を掛けるかを想像してみてください。「そんなに泣かないで」と言っていませんか?そのひとにとって、あなたのそんなに悲しむ姿を見るのはつらいことではないでしょうか?
だから、泣かないでください。悲しまないでください。そのひとがあなたの心の中で生きているのなら、あなたにはそういう声が聞こえるはずです。
そのひとの思いが伝わらなくなったら、本当にそのひとはあなた心の中からも死んでしまいます。

心の中に生きている、そのひとのメッセージに耳を傾けてください。








61.見つめ合い



涙が枯れた後には、その人のことを静かに思ってください。
思慮分別を持ち込まずに、何がいけなかったと判断をせずに、そして、その人の顔と姿だけを思い浮かべてみてください。
そのとき、何も言葉をかけないで、その人を見つめてください。
その人は静かに見つめ返してくれるでしょう。
沈黙の内にその人の存在を感じてください。

そのとき、言葉によらず、その人の思いはあなたに伝わるはずです。








62.死はあらゆる善きものの中で最高の善きものかも知れない



このように哲学者ソクラテスは言いました。死は残された者にとっては、悲しく痛ましいできごとですが、もしかしたら、本人にとって死はあらゆる善きものの中で最高のものかも知れないのです。







63.いくら泣いても帰ってこないから−−−−



人は何処から来て、何処へ行くのか。その人は、永遠の魂を得て幸せに暮らしているのか、それとも永遠に世界から消滅したのか、それさえも分かりません。その中で、ただ一つはっきりとしていることは、あなたがいくら泣いても、その人は帰ってこないということです。そして、あなたが、いまここに生きているということもはっきりとしています。その人の分まで生きてみませんか。







64.天国と地獄



すでにこの世にいないその人は何処に行ったのでしょうか。きっと天国でしょう。もちろんその人は地獄なんかに行っていません。そんな心配をする必要はありませんよ。だって、あなたにこんなに愛された素晴らしい人が地獄になんか墜ちる訳がないじゃないですか!







65.運命



人の人生には何が起こるか分かりません。未来は不確定で、何一つ確実なことはありません。しかし、人生の中でただ一つだけ確実に起こるできごとがあります。−−−−それが死です。







66.汝、死を思え〜メメント・モリー



人は死に直面することによって、よりよき生をつくり出すことができます。惰性に流されず、「何のために自分は生きているのだろう」と真摯に考えることによって、本当の人生の意義を見いだすことができます。







67.人生の材料、それは時間



人生は時間という材料からできています。その人の死は、あなたの限られた時間−−−生を、稲妻のように照らし出したのではないでしょうか。あなたもやがて、遅かれ早かれ死にます。それまでにやっておきたいことはありませんか。あなたには限られた時間しかないのです。人は誰でも死刑囚だといいます。人は必ず死ぬものと運命づけられているからです。
その人の死は自分の生を一閃のもとに照らす光となったはずです。その人の照らした光の中で見たものを無駄にせず、より時間を大切に使っていってください。








68.ぼろぼろになってしまったあなたに



悲しみや苦しみは、あなたの愛情の深さを示すものにほかなりません。
悩みや迷いは、あなたの人生への誠実さを示すものにほかなりません。

これらのことと真摯に向き合えば、身も心も疲れ果ててしまうかも知れません。
ときに、何もかも嫌になってしまうかも知れません。

いま、無力感のうちに、酔生夢死(すいせいむし)のごとく生きているのでしょうか。
もう、自分の人生はやり直せないと思っているのでしょうか。

そんなことはありません。あなたが、自分や自分の人生を嫌と感じている自分がいる限り、やり直せます。そのように判断をしている高い自分が心の中にいる限り、本当のあなたは昔のままのあなたなのです。

本当の自分に力を与えてあげてください。








69.泣かないで、笑おうよ



あなたの周りの人もあなたの泣き顔なんて見たくない。あなたの笑顔をみたいと思っている。あなたのことを心配している。−−−泣かないで、笑おうよ。その人達のためにも。







70.誰もが悲しみを背負って生きている



この世に生きている人たちの多くは、愛する人を失う悲しみを知っています。そしてそれを乗り越えて生きているのです。悲しみの渦中にいると、世の中の悲しみが自分だけに降りかかっているように思いがちですが、誰もが、寂しさ、哀しみ、悲しみを抱えて生きているのです。







71.その人への贈り物



人間というものは不思議なもので、朝、目を覚ますと同時に涙が流れ落ちるというようなつらい日々を過ごしていても、人前に出れば明るく振る舞えるものです。
そうすれば、誰にも心配もかけないし、その時は楽しく過ごせるものです。
泣いて暮らすのも一生。笑って暮らすのも一生。その人はあなたが楽しく愉快に暮らすことを望んでいるのではないでしょうか。−−−−その人が人生でやり残した楽しみを代わりに体験してあげて、その人へのおみやげ話にしてあげませんか。








72.死は平等に割り振られています



悠久の宇宙の流れからみれば、人の一生なんて星の瞬きのようなものです。
生きて死ぬ−−−−そのことはすべての生き物に平等に与えられています。短い人生、長い人生、いろいろあります。あなたはその人の死で神を恨むかも知れません。でも、その人が長く生きていればいる程、愛する人と死に別れて悲しみに直面する数が多くなるのです。誰よりも長く生きれば、誰よりも多くの家族、親戚、友人を見送らなければならないでしょう。
死は平等に割り振られています。








73.長い闘病の果てに、あるいは晴天の霹靂に撃たれたように



その人は長く苦しい闘病の果てについに力尽きたのかも知れません。あるいは、その人はその日の朝までピンピンと元気だったのに事故で突然の最期を遂げたのかも知れません。
前者の場合、長い闘病の間、その分、周囲の人の励ましや心遣いを感じることができ、痛みや苦しみと引き替えに多くの愛に包まれたでしょう。後者の場合、残しゆく者への思いに苦しまず、また痛みも一瞬だけだったのでしょう。

−−−−その人の死だけが、特別に悲惨なものだった訳ではないのではないでしょうか。








74.その時、その時を精一杯愛することを教えてくれた



あなたの涙がこみ上げてくるとき、それは例えば、あんな傷つける言葉を吐かなければよかった、もっと優しくしてやればよかった、などの懺悔の気持ちに沈むときではないでしょうか。
こうして愛する人との関係を振り返る中で、あなたの魂は清純化され、悔い改められていきます。

あなたはその人から学ぶはずです。見過ごしてきた人と人の理想の関係を。








75.人生には何一つ無駄なできごとはない



人生には何一つ無駄なできごとはない、といいます。あなたのこの悲しみさえ、多くの真実を学ぶために用意されているステップなのです。
この涙はあなたの心の傷を癒し、あなたの心の中を純化させるためのものです。この悲しみは、あなたに愛の尊さを教えるためのものです。この苦しみは、あなたに人の心の痛みが分かる人間に成長させるためのものなのです。そう考えてみませんか。








76.厳冬の中にも咲く花はある



雪降る冬のさなかにも、美しく咲く花はあります。
何のために、花は咲くのでしょう。理由なんてありません。ただ、生きて、あるだけです。
寒いからといって、自ら枯れることはありません。
あなたは、悲しみに生きていく気力が根こそぎにされるような思いをしているのでしょう。でもこの雪の中の花のように、生きて存在してみませんか。








77.人に優しく、穏やかに



誰に対してでも、優しく、穏やかでいたいと思いませんか。
もう、誰も傷つけないでいたいと思いませんか。

そう思うのだったら、自分も傷つけてはいけません。
自分を傷つける権利は、あなた自身にもありません。








78.心はときどき洗濯しなければいけない



心の使用説明書はどこにもありませんが、心というものはたまに気晴らしという名の洗濯をしなければいけないものなのです。そうしないとストレスという汚れがたまってしまいます。
心もいろいろな方法で洗濯しないといけません。たとえ、外がどしゃぶりでももちろん洗濯はしないとだめです。








79.悲しみは再生への道しるべ



痛みは体の危険を知らせるためにあります。心の痛みが悲しみです。愛を失ったことに対して、愛が足りないと叫びを発しているのです。心の痛みで涙が流れ落ちます。この痛みは、あなたが持っていた愛の重要さ、そして、あなたが新たな愛を獲得する必要があることを教えてくれています。







80.あきらめてしまうことが一番おそろしいこと



ある人が言いました。「困難にぶつかることよりも、人に裏切られることよりも、つらいことよりも、悲しいことよりも、苦しいことよりも、もっと恐ろしいのは、あきらめてしまうこと。−−−−そこで全てがおわってしまうから。」

悲しみに心を塞いでも、決してあなたの人生をあきらめないでください。








81.それでも生きてゆく



どんなにぼろぼろになろうと、やはりそれでも生きてゆくしかないのです。
なにしろ死ぬのはもっと大変なことですし、遺された人たちに昏い(くらい)悲しみをばらまき、その人たちの人生に破壊的なダメージを与えてしまうことになります。

立ち止まっても、落ち込んでも構いません。人生には最初から捨ててかからなければいけない何年かがあるといいます。耐えるときにこそ、人間の真価が問われます。

いくら悲しいといっても、一日、二十四時間悲しく、つらい訳ではありません。
日々の生活の中にある、ささやかな喜びを見い出していってください。
幸せは身近なところにありますよ。








82.死を死ぬ人はいない。それは眠りと同じ



死ぬ人間にとって、死は存在しないのです。だって死を感じる前に死んでしまっているのですから。それ自体は眠ることとまったく同じです。眠る直前に痛みや恐怖があったかも知れませんが、いまは安らかに眠っています。永遠に。







83.夢



人生は夢のようなものです。夢を見ている間は夢を見ていると知れません。







84.死に向き合うとき、人は世の中で身につけた飾りを落とし、素裸の自分に戻ります



あなたはただ悲しみだけの存在になって赤ん坊のように泣きじゃくり、死んでいった人に、総ての魂でもって懺悔し、そして、総ての魂でもって愛を吐露します。何のために生きているのかあなたは自分の命を見据えて死と対面します。そのときに、あなたはより深い、飾りのない本当の自分に対面します。







85.ほんとうの芸術はいたましさの中から生まれます



真の人の心をうつ芸術は、魂の深みから生まれます。人と人生の在り方を見据えたところから、痛みの中から、苦しみの中から、ぎりぎりのところから、憬れ(あこがれ)として生まれるのです。その人の魂の遍歴が作品に刻み込まれるのです。







86.言葉I



「愛している」、「ありがとう」、「ごめんなさい」−−−−その人が生きている間に、十分に声をかけてあげられなかった言葉があると思っているのかも知れません。そのことであなたは後悔し、自分を責めているのかも知れません。でも、完璧なコミュニケーションを常に保っている関係など無いのです。その人は分かっていると思います。あなたが、いまそんな風にその言葉を口にしたかった、と思っていることを。







87.言葉II



あなたが言えなかった言葉をその人に充分に理想的に言えていたとします。でも、もしそうだったとしてもあなたの悲しみの程度はきっと変わりません。コミュニケーションできていてもできていなくても、あなたがその人を愛する、そしてその人があなたを愛する絶対量は変わらないのではないでしょうか?人は誰でも不完全ですが、人と人との間には言葉に左右されない深い愛情の海があるのではないでしょうか。







88.その人は永遠を手に入れました



宇宙(そら)を巡る地球のように、地球を満たす海のように、海を亘る風のように−−−−その人は永遠の自然の一部となりました。その人は、ひとの世を先に卒業して、そんなふうに世の中に遍在する存在となったのではないでしょうか。そこは、ひとの世の憂いも、哀しみも、欲望もない、透明な魂の世界です。







89.絆



もし、逆に、あなたがその時に死んでいたら、その人はあなたと同じくらい悲しんだのではないでしょうか。







90.その人が大切にした人



ひとは一人で生まれ、一人で死にます。
でも、素晴らしいことは、生と死の間には出逢いと愛情があることです。生まれ落ちてから、あなたが、いまあるあなたに成長したことです。
すべての瞬間にあなたは、あなたであることを選択しつづけ、いまのあなたができています。
そして、その人との関わりの中であなたは、いまのあなたになりました。
その人があなたの一部であったように、あなたはその人の一部なのです。
その人が愛したあなたはひとりしかいません。
あなたがその人のことを大事に思うように、あなたの人生も大事に思ってください。








91.命の価値



何をあなたは望みますか。その人が生き返ること以外に。
もう、いままでのような車や家や宝石などの物質に対する欲望など霞んでしまったのではありませんか?
あなたの命と引き替えにその人の命を取り戻してほしいとさえ、神に祈りませんでしたか?
世の中で、本当に大切なものは、何ですか?
それは、命です。
その人の、命です。そして、あなたの、命です。
(そして、すべての命です)








92.心の拠り所を失ったあなたへ



あなたは、信仰していた神への信頼を失い、愛する人を失って孤独となり、すべての心の拠り所を失ってしまったのかも知れません。なぜ、その人の命が奪われなくてはならず、なぜ、自分だけがこのようなつらい目に遭うのだと神を恨んでいるかも知れません。世の中に神はいないのだ、と嘆くかも知れません。生きて、人を愛することに重大な疑問が投げかけられたのかも知れません。−−−−「こんな苦しい目に遭うのなら、もう二度と人を愛さない」と。「愛しても、いつかは引き裂かれる運命があるのなら、何のための愛だろう」と。
でも、このような強い問いの投げかけが、あなたをより神、そして愛に近づけることになります。あなたは、いま、神について、生について、死について、愛について、今までになく関心を向け、悩み、苦しんでいます。漠然としたそれらの抽象的だった存在が、現実的な課題としてあなたを取り囲んでいます。あなたに生の試練が与えられ、どう行動するかが試されているのです。
やがてあなたは、自分が精神的に成長し、視野が広くなっていることに気づくでしょう。そのとき、あなたは、自分自身で導き出したこれらの答えを持っているはずです。








93.この心の痛みに比べれば



もはやあなたにとって怖いものは、この世の中に何もありません。
やがて訪れる死さえも、もはや恐怖の対象ではないはずです。
病気や怪我の痛みも、その人を喪う心の痛みに比べれば、耐えられないものではありません。失恋も、その人を喪う悲しみに比べたら、どれほどの悲しみでしょう。ふられたところで、その人は相変わらず生きてこの世界にいるのですから。
仕事上の悩みや困難も、その人を喪うつらさに比べれば、ものの数ではありません。

最も辛く苦しい試練を乗り越えたあなたには、どんな困難でもたやすく乗り越えることができます。
あなたはこの悲しみと苦しみの代わりに真の勇気と忍耐力を授かっています。それは、悲しみや苦しみが深ければ深いほど大きく実る、その人からの贈り物です。

もはや、あなたにとって怖いものは、この世に存在しません。
あなたの残りの生を、魂が欲することに費やしてください。








94.死がなければ生はない。別れがなければ愛はない



影があって光があるように、死があって生があるのです。それは1枚のコインの表と裏と同じです。
どちらしかないコインなんて世界中探してもどこにもないのです。
同様に、別れがあって愛があるのです。人を亡くす悲しみがあって、新しい生命の誕生の喜びがあります。こうして人は限られた命の中で、影と光を与えられ、さまざまな彩りがそこに描かれます。
死があって生があり、別れがあって愛があります。
−−−−このような、相対的な価値の世界に私たちは住んでいるのです。








95.再生I



あなたの傷が癒され、それが思い出に変わったとき、あなたは、愛の死とその再生を経験したのです。あなたは、愛の光と影を知りました。
−−−−これからのあなたの愛はより、深いものになるでしょう。これからのあなたの生はより、深いものになるでしょう。あなたは試練を乗り越えました。祝福されたのです。








96.再生II



いまのあなたには、光も影も選択することができます。影を選択すれば、あなたはにとっては、ラクで、もうこれ以上傷つく心配がありません。でも、そこは孤独で寂しくてうらぶれた世界です。
あなたが悲しい理由のひとつは、あなたが愛がほしいからです。光がほしいからです。
勇気を出して、自分に忠実に生きてみませんか?自分の底、魂のレベルから本当にほしいものを見つけてください。








97.償い



償いとは死ぬことではありません。
生きて、直面し、耐えることです。

償いとは他人のためのものではありません。
自分の良心の問題です。

やがて、自分を赦せる(ゆるせる)日が静かに訪れるでしょう。
その時に、光は眩しく、風は穏やかに、花は美しく感じることでしょう。

−−−−嵐は去ったのです。








98.見えなくなっただけ



一日の終わりには太陽の光が弱まり、ついには暗闇にとって変わります。でも、あなたが光の届く範囲から離れただけで、太陽は常に地球に熱と光を降り注いでいます。あなたには一時的に見えなくなっただけです。
あなたの愛する人も、きっとあなたには見えなくなっただけです。目に見えない世界もきっとあります。








99.この世に神なんていないのかもしれません。でもあなたが天使になれます



この世の中に起こる無慈悲で残酷なできごとは一体何なのでしょう。この世に神がいることなんて、でたらめとしか思えないときがあります。なにより、なぜ、あなたの大切な人が死ななければいけなかったのでしょう。この世は無秩序な残酷さだけが満ち溢れているのでしょうか?
そんなときには、神なんてこの世にいないと思ってしまってかまいません。
こんな無慈悲で残酷なできごとが起こる世の中を創った神なんて、要りやしません。
でも、ひとつだけ、あることに気づいてください。あなたのその嘆きこそ、愛と優しさと正義、そのものであることに−−−−。
そして、あなたがこの世の中を少しずつでも変えていくことができることを。死んでしまった人は決して帰りませんが、例えば、あなたが募金する一枚のコインから飢えた子供を救う糧をあがなうことができるのです。貧しい子供達を死なせないで済むのです。その子の母親を泣かせないで済むのです。

−−−−あなたが、この世では天使なのです。








100.秘密のこと



もし、神様がいたとして、死後の世界があったとして、自分も死んだらその人に再会できるのだとします。もし、それが本当だとして、皆がそのことを知っていたら、誰もが進んで死んでしまうのではないでしょうか。もし、あなたが神様だったら、そのことを秘密にして誰もそんなことはしないようにしておかないと、せっかく人の世を創ったのに意味がなくなってしまう、と考えないでしょうか。
(とっておきの秘密ですが)きっと、また逢えます。その人に。きっと。純粋な愛は永遠に不滅です。

−−−−ただし、あなたがこの悲しみをちゃんと乗り越えて、しっかりとこの世を生きたら、ですが。





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