<bgsound src="open1.wav" loop=1>

Written by 原 



        U  美しさの基本法則

              第一法則 光輝くもの
                光の美しさ
                光の果たす役割
                影の果たす役割

              第二法則 希少であること
                相対的な美しさと絶対的な美しさ
                存在の美しさ

              第三法則 儚いこと
                透明であるものの美しさ
                細長いものの美しさ
                壊れやすいものの美しさ

              総合法則 次元を高くすること
                次元係数と高次元化
                あらゆる存在の美しさ



2.1 第一法則 光輝くもの

  2.1.1 光の美しさ


          
美しさに関して、最も重要な要素がある。
それは、美しさを語る上で、決して抜かすことができない。
それこそが美しさの源と呼べるものがある。
それは、光である。

試しに、この世に形あるものの中で、美しいとされるものを挙げてみるとよ
い。かなりの割合で光が関係する。
・ダイヤモンド ・夜空の星 ・金銀のアクセサリー ・虹 ・ビー玉 ・花火 ・鏡 ・キャンドルの炎 ・夕陽 ・水晶 ・シャンデリア ・ガラスの器 ・蛍 ・大都市の夜景
など
いかに光が美しさに密接に関連があるかは、この「美学概論」全編を通じて 紹介していくことになるが、光と関係ない美しさもある。たとえば、生物の 美しさや音楽の美しさなどである。 [水] 揺らめく川面の反射、砂浜に打ち寄せる波、流れ落ちる涙、鏡のような湖の水面、 真っ白な雪、飛沫をあげる滝、虹 [天体] 海原に沈む夕陽、冷たく瞬く星々 [火] 熱く揺らめく炎、キャンドルの明り、花火 [土、鉱物] 水晶、ガラスの器、煌めくシャンデリア、鏡、ダイヤモンド、銀のアクセサリー ビー玉 [生物] 蛍(ほたる)、瞳 [灯かり] 大都市の夜景 □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□


  2.1.2 光の果たす役割


          
 光とは美しさそのものである。



  2.1.3 影の果たす役割


          
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□



2.2 第二法則 希少であること

  2.2.1 相対的な美しさと絶対的な美しさ


          
人は美しさに飽き、絶えず新しい美しさを探し求める。

美しいと思った音楽も、一ヶ月も聞き続けていれば次の音楽を探し求める。
美しいメロディーを持ち万人に支持されるヒット曲もやがて新鮮さが失われ、
飽きられ、順位を下げ、他の新しい曲にその順位を譲る。

その曲自体の美しさは変わらないのに、人々の評価は変わっていく。
感動が薄れていくのである。


生物は自分を取りまく環境から、異質なものを見いだすことを本能的なレベ
ルで擦り込まれている。それは自己防衛のためであり、その生物が生き延び
てきた理由でもある。このため人間にとって日常的なものは意識の範疇から
外れ、その美しさはそこにあっても認識されない。逆に、非日常的なもの−
−−−希少なものは無意識のベールをはがされ、美しさという属性の認識の
対象になる。

また、食事の嗜好を例に考えるのなら、どんなにあるメニューが好きな人で
も、同じメニューを一週間も食べ続ければ嫌気が差す。これはおそらく、同
一の食事ばかりとっていると、栄養が偏るために本能的なレベルで違う栄養
素源を探し求めるようにできているのではないかと思われる。

こうして、人々は日々美しさを探し求める。
手にした瞬間にそれは砂のように手からこぼれ落ちていく。

だが、こう考えることもできないだろうか。
人が新しい美しさを求めるのには理由があるのだろうか。

人々は美しさを創り出すために存在するのだと。



  2.2.2 存在の美しさ


          
ここにかく



2.3 第三法則 儚い(はかない)こと

  2.3.1 透明であるものの美しさ


          
細長い部分があることは、成長のしるしであり、
丸く固まっていることは、老化と死のしるしである。

細い状態で存在し続けることは、この世界では難しい−−−−細長いものは
存在し続けるうちに短く損なわれるからである。エントロピーの法則のとお
りである。細長いものとは、創られて間もない物質や、成長し続けるいのち
が多く該当する。

あるいは、空間そのものに対する対比する存在として、細長いものは美しい
のかも知れない。

たとえば広野にころがる石は美しくない。この空間に突きまわされ、隷属し、
その形(なり)をされるがままにされ、丸くなった石は。

細長いものは繊細さを漂わせる。逆に太く短いものは、愚鈍さを感じさせる。
細長いものは、何かを突き破る力の収束をイメージさせるかも知れない。壁
を突き破り、破壊と創造がそこから流れ出す・・・・。

細長い物質とは、日常生活の中で例をあげれば、おろし立ての鉛筆、ワイン
グラス、花瓶、ネクタイ、ネックレスなどが挙げられる。どれも細いほど繊
細さを漂わせ、美しくなる。
成長し続けるいのちとは、たとえば、春先の小枝であり、思春期の少女であ
る。

あらゆる物質は、ある程度細長く、あるいは薄くした方が美しく見える。そ
れらはこの世界における物質的な特性を減少させていった姿といえる。そし
て、その法則を純化させると「儚いものほど美しい」という美しさの法則に
辿り着く。

儚いものとは、たとえば、蛍の光であり、シャボン玉であり、虹であり、そ
して−−−−人の人生である。

人間や動物における細長さとは、成体の、あるいはその過程にあることの生
物学的なサインである。
ただし、病気や老化を連想させる特徴がひとつでもあると、細長さはマイナ
スの要因に転化する。

植物における細長さは、光に向かう植物と同じく、立っているとより美しく
なる傾向がある。横になっているものは生きていないからである。横に広が
るものは重力に抗するいのちを失っている。美しさの根源である光を求めて
いない。あるいは、生きていくエネルギーを成長ではなく、安定に向けてい
る。花束は花瓶に立たせてこそ、美しくなる。

この世界を是として、安定すること、過剰に生きること、変化を望まないこ
と−−−−これらは、美しさを損なう。

不安定さとは成長の半面である。
つまり、そこには憧憬すべき未来が待っているということ。時間をひとつの
次元と考えれば、高次元化の理論が成り立つ。

安定とは、変化を求めないこと。このままであればよいと願うこと。もはや、
夢は必要ない。



  2.3.2 細長いものの美しさ


          
細長くて、美しいもの。 あなたが女性ならどちらを希望するだろうか。どちらがより美しいと思うだ ろうか。試しにの中にチェックつけてみて欲しい。
項目AグループBグループ
  髪の形     ショートヘア     ロングヘア   
  毛髪の形    太い髪の毛      細い髪の毛   
  顔の形     丸顔         細面      
  眉の形     太い眉毛       細い眉毛    
  睫の形     短いまつげ      長いまつげ   
  目の形     真ん丸の目      切れ長の目   
  鼻の形     短い鼻        長い鼻     
  口の形     唇が厚い       唇が薄い    
  首の形     首が短い       首が長い    
  手足の形    手足が短い      手足が長い   
  爪の形     丸い         細長い     
  指の形     短い         長い      
  身体の形    背が低い       背が高い    
恐らく、右側の項目を選択した人が多いと思う。
左側の項目は、「太く短い」グループであり、右側の項目は「細く長い」グ
ループである。
細長いものが美しい、ということを納得してもらえたことと思う。
女性の美しさについては、美人論として後述する。

次に、細長い物が美しいという法則を、一般化した例で検証する。







  2.3.3 壊れやすいものの美しさ


          
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□



2.4 総合法則 次元を高くすること

  2.4.1 次元係数と高次元化


          
物体は斜めから見るとより美しくなる。
正面から見るよりも斜めからみるのが美しいのである。

典型的な例が人の顔である。真正面からみた顔もそれなりの美しさを持つが、
斜めからみた方がより美しくなる。写真を撮るときに特定の角度からしか写
させない女優の話もめずらしくはない。

また、自動車や列車を真横から見ても美しくない。真正面から見ても美しく
ない。斜めからみた姿が最も美しい。

これらには理由がある。正面から見た場合には、対象が二次元化されてしま
うからである。対象を斜めから見ることにより、物質の持つ三次元の性質が
明確に示され、結果として高次元化されているからである。

物体を正面から見た場合、対象は堅固に固定され、二次元的な世界の美しさ
のみを際立たせる。それはいわば次元を集約した本質的な力強い美しさであ
るが、繊細さには欠ける。

たとえば、男性の顔は正面から見るのが、その力強さを際立たせるだろう。
しかし、繊細な女性の顔を見るには、斜めから見るのが、その美しさを際立
たせることになる。

子供の絵を考えてみてほしい。

すべては二次元化されている。正しく次元を捉えられない。
−−−太陽は丸く、家は四角い壁と三角の屋根で表現される。海は波線であ
る。
そこにまだ美しさはない。原初的な力強さはあっても、繊細な美しさない。
そのような美しい絵を描くには、描き手が精神的に成長する必要がある。三
次元として、あるいは四次元として世の中を捉える必要がある。

一般的に美しいデッサンを描くコツは対象を立体的なかたまりとしてとらえ
ることだと言われる。また、正確に遠近法を用いることだと言われる。

レオナルド・ダビンチがモナリザという作品で歴史上初めて遠近法を採用し
たと言われることは、象徴的である。より、高く遠くを見る目が真の美しさ
を知る。

高次元化による美しさとは、それぞれの世界を明確に認識することができる からにほかならない。その差異がコントラストを構成する。コントラストは 彼我の眩暈を起こす。眩暈とはこの世界のゆらぎであり、それはすなわち世 界の再認識である。 一体化したひとつの世界ではなく、複合的に同時に存在すること。 世界の存在そのものがもともと美しいのである。 違う世界と言うものは、この世界を明確に認識するための相対的な足がかり となる。 例えば抽象画は ピカソのキュービズムは主観の高次元化の法則の最も分かりやすい例だろう。 この次元の見え方の法則に囚われずに、対象を多角的に捉えることにより、 より対象の本質に迫っていく。 ダリのシュールレアリズムには、世界をあるいは次元を超越するという意図 が込められている。繰り返しモチーフとして登場する歪んだ時計は、空間だ けではなく、時間という次元をも否定、あるいは超越している世界を象徴し ている。 マグリットの作品には、重力に反し、空間に浮くモチーフが多い。重力のな い世界は


  2.4.2 あらゆる存在の美しさ


          
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□