【フェイドイン】
【 INT. 宇宙船】
リーアム・ニースン:われわれが通商連合と交易に関する交渉のテーブルにつくことはきわめて重要だ。
ユアン・マクレガー:たしかに。この一惑星の貿易課税問題は、《スター・ウォーズ》の新作映画をまるごと一本つくるに値する、じつに重要なテーマですよ。
【 INT. 宇宙船 - メインデッキ】
悪い宇宙人:さてと。次はどうするかな。だれがどう見てもアジア人にしか見えない邪悪なわれわれ種族は勝利せねばならん。自分でジェダイと対決はしたくないからドロイドを派遣しよう。
【 INT. 宇宙船 - ふたたびジェダイ】
ドロイドが一体入ってくる。
リーアム・ニースン:理力の乱れを感じる。
ユアン・マクレガー:けっ、知ったことか。
突然、無数のCGIキャラが入ってきてジェダイたちを攻撃しはじめる。ふたりは体内のミディクロリアンを高度に集中させ、理力を使ってCGIを破壊する。ふたりは外にとびだす。
【 EXT. ナブー】
ふたりは走りつづけ、またべつのCGIにぶつかる。
ジャー・ジャー:どなたですか?
リーアム・ニースン:(なんとなくジャー・ジャーのほうを見ているが、視線は微妙にずれている)わたしはジェダイだ。悪いものが来る。おまえの故郷に連れていけ。
ジャー・ジャー:なるほど。すごく面白いね。オレの出身地に案内するよ。
突然、ジョージ・ルーカスはジャー・ジャー人形があんまり売れていないことに気づく。
ジャー・ジャー: わお! ごめんちゃい。セリフまちがい超しっぱい。うっしゃ、みんなでジャマイカにもどるっちゃ、が正解のセリフなりよ。
ユアン・マクレガー:(ジャー・ジャーの右上あたりを見ながら)よし。僕とリーアムが泊まれるホテルの部屋はあるか? ぼくらは……その……ちょっとジェダイの用事があるんでね。
ジャー・ジャー:みんなで葉っぱをすっぱすっぱするなりよ。
観客:死ねよ。死ねってば、ジャー・ジャー。おまえのことが好きなやつなんかひとりもいないんだから。
【 INT. 宇宙船 - メインデッキ】
クラシック三部作に出てきたやつより進歩したテクノロジーでつくられたように見えるものの背後から女王が登場。
ナタリー・ポートマン:わたしは女王。あなたたち、今回はやりすぎです。元老院に話しますからね。思い知るがよい。
悪い宇宙人:ごめんね、アミダラ。
ナタリー・ポートマン:ううん、ちがう、今はパドメだってば。
悪い宇宙人:メイキャップしてるときは女王だと思ったが。
ナタリー・ポートマン:わたしは誰でもそのときに女王を演じてる人なの。声が変わっても、見分ける役には立たないけど。
悪い宇宙人:ワタシをこんらんさせるな! ドロイドよ、女王を……いや、パドメを……ああと……とにかくみんなつかまえてしまえ!
リーアムとユーアンと、うがが、ジャー・ジャーは、ナタリー・ポートマンとその部下たちを連れて船に乗り込み脱出する。一行はタトゥーインに向かう。
【 INT. タトゥーイン。ジェイクが奴隷としてこき使われている店】
ジェイク・ロイド:やっほー! うわっ、ボクってキュートじゃん。
ナタリー・ポートマン:ほんとにキュートね、坊や。
ジェイク・ロイド:ボクがきみと一発やるのはエピソード2だってことにがっくり来てるのはもしかしてボクだけ?
リーアム・ニースン:ジェイク、必要な部品を手に入れて、きみを奴隷から解放するために、きみにポッドレースに出てもらう必要がある。
ジェイクのママ:いいえ。息子がポッドレースに出ることは許しません。怪我をしてしまうわ。(間)OK、許しましょう。いいのよ。がんばってね。
ポッドレースがはじまる。すごくクール。
ジョージ・ルーカス:(さりげない口調を心がけて)おお! 見ろ! このシーンをもとにしたTVゲームがあるぞ……ええと……買えよ! わたしは新三部作のために考えていた一大ビジョンの一部を犠牲にして、ゲームになるようなシーンを無理やり挿入しなきゃいけなかったんだ。だからゲームを買え。でないとエピソード2ではそういうシーンをもっと増やすぞ。
ジェイクがレースに優勝する。ジェイクは母親と別れなければならない。この話は次の映画でとても重要になる。ジェイクは自作のプロトコルドロイド、スリーピオとも別れなければならない。
観客:あいつがC-3POつくったって? どうしてオリジナル三部作でそのことに一言も触れてないんだ?
ジョージ・ルーカス:だっていま思いついたんだもん。いま思いついたと言えば、わたしがケツの穴からひっぱりだしたクソまみれミディクロリアンはどうだった?
全員が船に乗り、コルサントに向かう。
【 INT. コルサント - ジェダイ評議会】
リーアム・ニースン:わたしはこの少年を訓練したい。
ヨーダ:うんにゃ。あいにくだね。この少年は年をとりすぎておる。その未来は暗雲に包まれておるようじゃ。わが不安も曖昧模糊たるものじゃが。
リーアム・ニースン:いや、彼は選ばれし者。理力に均衡をもたらす。わたしは彼を訓練する。
サミュエル・L・ジャクスン:ヨーダがダメつってんだろ、クソ野郎。頭がどうかしてんじゃねえか、このタコ。ぶっ殺っぞ、っとに! 次のクソ映画二本じゃ、おいらはクソ悪役だかんな。ほら、おいらの人形はクソライトセーバー持ってんだろ。
リーアム・ニースン:だったら勝手に自分で訓練する。では。
リーアム退場。
【 INT. 共和国元老院総会】
イアン・マクダーミド:ああくそ、オレって悪者。
突然、ETが見える! そのおかげでこの映画が『ジェダイの復讐』みたいに超かわいく見えるわけではないが、クレバーな感じ。
【 EXT. ナブー】
ナタリー・ポートマン:今のわたしは女王かパドメ。どっちでもいいけど、とにかくあんたたち、下品で目障りで非現実的なキャラたちは、わたしたち大根役者種族と同盟して、悪い宇宙人ひとりを捕まえるのよ。
ボス・ナス:ひとり? この映画のクライマックスは、どうでもいいいようなやつひとりを捕まえることが焦点だって? そんなことしたら、映画全体が無意味に見えるんでないの?
ナタリー・ポートマン:この映画全体の焦点が、通商課税と、目障りな種族の住むつまんないちっぽけな惑星一個だってことを考えれば、無意味さはいっしょでしょ。
一行は悪漢だかなんだかを捕まえにいく。知ったことか。
とうとうダース・モールが登場し、待ちに待ったアクション場面になる。ダースは黒いブーツ、黒い外套、黒いシャツに身を包み、手には赤いライトセイバー、顔は黒と赤のペイントで、角が二本。こいつは悪いやつだ。
一方、ナブーの人々はこのどうでもいいやつを追いかけているが、実際問題どうでもいいと思う。
一方、グンガンたちはドロイド軍団と戦っているが、グンガンにとっととくたばってほしいのを別にすれば、実際問題どうでもいいと思う。
一方、アナキンは宇宙に飛び立ちスペースバトルに参加するが、彼が着いたころにはほとんど終わりかけている。こっちはちょっとだけどうでもよくないかも。
【 INT. なんか赤いバリアのついたよくわかんないもの。】
モール、リーアム、ユアンの三人は、一大ライトセイバー決戦の最中。多大の労力を傾注した殺陣は、旧三部作のどのライトセーバー決戦よりもはるかによくできている。
観客:やったぜ! これってほんとに最高!
突然、観客は他の三つのくだらない決戦に、ひとつずつ順番にひきもどされる。それからようやく、映画はまた出来のいい決戦にもどってくる。
ダース・モール:(鬼のように威嚇しつつ)ぐるるる。
最後にモールがリーアムを刺し殺す。これはびっくり(とくに、題名で結末のネタを割っている歌を含むサウンドトラック盤を事前に買っていた人には)。それからモールはユアンをシャフトに蹴り落とす。ユアンはシャフトの壁のなんだかよくわからないものに死に物狂いでしがみついている。
ユアン・マクレガー:ま、あんたはたしかに優秀な戦士で、どんな相手にだって勝てるのはほとんど疑問の余地がないね。
ダース・モール: むははははは。
ユアンはのんびり理力を使ってリーアムのライトセイバーを掴み、シャフトからとびだして、モールにとびかかり、セイバーのボタンを押し、モールを真っ二つにする。その間モールはバカみたいに突っ立って何もしない。モールは死ぬ。
【 EXT. SPACE】
ジェイク・ロイド:うわわあああ! 宇宙だ! これってポッドレースじゃん! やりぃ! いけいけ! うーん、ボクって超かわいい。
ジェイクは格納庫に入る。そこには船の主原子炉が収容されている。ジェイクはうっかりそれを吹っ飛ばしてしまう。
ジェイク・ロイド: あちゃちゃ。もう行かなきゃ。フケようぜ、R2!
ふたりはすばやく脱出する。コントロールシップが爆発し、すべてのドロイドが動きを止める。すばらしい結末。なぜならシリアスな戦いがスラップスティックな事故で偶然に解決するのはいつも楽しいから。
【 EXT. ナブーの街】
グンガンたちが踊ったりとかしている。まだ生きているらしい。一大宴会がつづく。
観客:わお! このパーティとかお祝いを見てやっとわかったよ。どうでもいいちっぽけな問題がかたづいただけだと思ったけど、ほんとはすごく重要なことだったんだ! ばんざーい!
突然、観客は理解する。この能なし祝賀会と子供っぽいアニメのゴミの背後でじっさいに起きたのは、未来の皇帝がすべてを操作し、巨大な権力を手中におさめたことと、ひとつのちぽけの問題は現実に解決されたが、数千の問題が生じたことを。
ジョージ・ルーカス:三年だよ、まったく。もっとはやくリリースすることもできたが、わたしはハリウッドの商業主義を軽蔑するインディペンデントのフィルムメーカーとして、最大の努力をしているのだ。さあ、とっととスター・ウォーズおもちゃを買え!
【劇終】