【3月23日(月)】

 12時間寝て8時起床。右肩が重い(笑)。バッティングセンターの後遺症。年はとりたくないものである。って運動不足なだけだけど。まあ腕が上がらなくても仕事は出来る。
 アニメージュの原稿ちゃちゃっと書いて、3時早川書房。地下一階のリヴィエールで、『ハヤカワ文庫 夏のブックパーティ』用小冊子のための座談会。メンバーは、我孫子武丸、京極夏彦、大森望。
「青少年期の思い出に残る夏の一日は?」みたいな設問が用意されてて、京極夏彦の回答が注目されたが(笑)やっぱり逃げられましたね。
 しかし小学校4年のとき、生まれて初めて買った文庫本が芥川の『或る阿呆の一生』じゃあなあ。雑談は盛り上がって、食事を含めて4時間ぐらいずっとしゃべってたけど、じっさいに使うのはせいぜいそのうちの15分間(笑) 自分でまとめるんじゃないから気楽だね。担当のT向さんとF施くんはけっこう困ってたかもしれない。
 座談会開始前にはスーツケースが三つある社長の人が挨拶にやってきたりして、名刺交換会がたいへんでしたが、奥のテーブルで食事してた京極ファンの女性がこっそり色紙買ってきて、サインくださいととつぜんやってきたりして、けっこう油断できない。京極夏彦筆のしょうけらの絵は初めて見たな。そりゃまあ、まだ塗仏は描けない道理である。

 なんか笠井潔さんと山田正紀さんが合流したいとゆってるとかなので、食事のあとは神田駅前の小鍛冶に流れる。早川から塩澤SFM編集長がやってきて、笠井・山田と宇山さんが登場したところで総勢10人となり、おなじみの「うさ忠」2階へ。さらにC嬢とT内(祝『死の泉』吉川英治賞受賞)が合流し、もうなんだかわけがわからない。SFとミステリの融合現象はここまで進んでいるのか(笑)
 山田さんがいるんで、今日はけっこうSFのネタが多い。笠井さんも一応SFのことは気にしてるし、宇山さんももとはSF担当編集者だしね。
『ループ』、『BRAIN VALLEY』、『A先生』あたりが話題の中心。我孫子さんは『ループ』批判の急先鋒だが、概して『BRAIN VALLEY』のほうが評価は高いみたい。まあ『ループ』は三部作で評価しないと意味がないと思うけど。

 うさ忠閉店後は例によってジョッコ。笠井・山田・宇山の部屋が談話室で、我孫子さんとこが歌……と思ったから、けっきょく2時間ぐらいはずっとしゃべってたみたい。
 山田さんとは初対面の人が多くて、『神狩り』とかの懐かしいネタもどんどん出る。京極夏彦と山田正紀が並んでたりするとなんかすごく不思議な感じですが、いや面白かったす。山田・宇山・笠井が引き上げたあと、午前3時ぐらいからはカラオケタイムになり、けっきょく5時まで。いや疲れた。


【3月24日(火)】

 京極プロジェクト――じゃなくて、Project F.F.N.第一回予備選考会のテープ起こしが上がってきたので、それを2ページにまとめる作業。原稿がよくできているのでわりと楽(スターリングの『ホーリー・ファイアー』とか、固有名詞が完璧に起こされてるのでびっくり。あとで聞いたらW辺T子嬢の弟の友だちだかの元編集者の人で、相当なSFファン、ミステリファンだったらしい。なるほどね。お世話になりました)。

 今月のSFインターセクションのゲストが奥泉光氏に決まったので、再読・未読消化シリーズに突入。きのう遅塚さんにもらった『滝』の集英社文庫版(『その言葉を』)を読む。
 しかし集英社では四冊のうち一冊しか文庫になってないのか。ま、他社でも文庫化されてるのは文春の『石の来歴』だけ。『葦と百合』とか『ノヴァーリスの引用』とかが入手困難なのはなんだかなあ。紀伊国屋新宿本店にも、在庫は『プラトン学園』と『「吾輩」』しかなかったし。純文学系――というか、文芸誌系のひとは、SFのひとよりたいへんかも。


【3月25日(水)】

 徳間ホールに行くついでに、アニメージュ編集部に立ち寄り、W辺T子嬢と、文芸書籍のK田さんを交えてFFNの打ち合わせ。徳間書店サイトの京極ページとの連動方法とかが主な議題。掲示板つくったらとか、いろいろ提案はするんだけど、tokuma.comの下にある公式ページだけに障害が多いらしい。
 このプロジェクトのために、福井健太が徳間書店に常駐してるんだけど、がんばって働いていただきたいものである。
 そういえば、W辺編集長もいたんだけど、いきなり宮崎さんと庵野さんが砂漠をバックに並んでいる写真を見せられる。なかなかたいへんな旅行だったらしい。しかし編集長には、会うたびになにか写真を見せられてる気がするなあ。

 6時、徳間ホールで「プリガサリ」のワールドプレミア。スポーツ紙とかでけっこう大きく扱われたせいか、場内はほぼ満員。江戸木さんも一安心、かな。
 まあ映画の内容については多くを語るもんじゃないですが、要するに北朝鮮の「大魔神」ですね。プルガサリ誕生の秘密はよく知らなかったのでけっこう驚いた。
 しかし音とカメラ(とくに前半)はひどい。カットが全然つながらないし。コンティニュイティの概念を無視した実験的映像っていうか。いや、思ったほど退屈はしなかったのでオッケーですが。

 終了後、早川書房の特撮おたく、荻原氏と、アニメージュのW辺嬢、さいとう、大森の四人で銀座のインド料理屋に流れ、動けなくなるまでカレーを食う。


【3月26日(木)】

 小説すばるの書評とアスキーのコラムの原稿を書く。
 結婚10周年なので夜はしゃぶしゃぶ。ちなみにわたしは、我孫子武丸と違ってノーパンしゃぶしゃぶで接待されたことはありません(笑) 一回でも行ってれば原稿が3本は書けたのになあ。
 


【3月27日(金)】

 週刊現代に『塗仏の宴』の書評を書き、FFNホームページ用に対談を整理。あとは福井健太におまかせ。
『塗仏』刊行記念(?)に、大森のこれまでの京極作品書評をarticlesに追加。ついでに最近の文庫解説仕事6本も入れておきました。ご用とお急ぎでない方はお立ち寄りを。  リチャード・レイモンの翻訳の見直し作業に着手。今月中に終わるといいんだけどなあ。


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