【3月11日(水)】

 我孫子さんが、3月10日のごった日記で、鈴木光司『ループ』に触れて、

大森さんは「小説すばる」で絶賛していたが、あれは本気だったのだろうか。それとも売れてるものでSFと呼べそうなものはなんでも誉めておこうという戦略なのか……。
 と書いている。「馬鹿馬鹿しくてついていけないせいもあるのだが、展開もチョー退屈で目が上滑りする」ってことですが、オレの絶賛は本気。『リング』『らせん』と来て、こんなバカSF的オチをつける勇気には感動するけどなあ。

 ところで、さいとうよしこが考えたギャグ(を、勝手にアレンジした)。
「鈴木光司の次回作のタイトル考えたんだけど」
「なに?」
「『めん』」
「めん? なんで?」
「だって、れんげ、らせん、スープと来たらあと足りないのは麺でしょ」
「れんげとスープはともかく、その『らせん』てなんや、『らせん』て」
「だからナルト巻き」
 東京ラーメン三部作のお粗末。

 さらにところで、「Spy Like Us」問題ですが、spyには動詞もあるので、「われわれのようにスパイせよ」ならこれでオッケーでしょ。
 だいたい日本語は複数がないし、三人称単数現在のsもないので、無視したって平気なのである。カタカナは日本語なんだから。しかし「ブレーキダウン」はないよなあ。カタカナのブレイクとブレーキは明らかに意味が違うのに。故障で暴走する話かと思ったら、あっさり止まってしまうので驚きました。

 金子修介の『ガメラ監督日記』(だっけ?)を読む。G1撮入までの脱線だらけの話が面白かったな。しかしギャグ路線になんなくてほんとによかったと思う。オレはまだ「山田村ワルツ」の悪夢を忘れてないぞ(笑)。
 ハルキ文庫『闇の中の哄笑』の解説を送り、午後2時ごろ寝て、10時過ぎに起きる。ロイホのシンガポールフェアはひととおりぜんぶ食べてしまったので、気分を変えてジョナサンへ。



【3月12日(木)】

 ぼちぼち確定申告期限が迫ってるので、ジョナサンで領収書の整理をしつつ仕事。がんがん雨が降り出して動けなくなり、けっきょく午後11時から午前8時まで9時間滞在。こんなに長くいたのはひさしぶりかも。もうちょっとがんばって記録を更新すればよかったか。新メニューの鴨南蛮はけっこういけます。

 あいかわらず雨なので、ジョナサンにスクーター置いたまま、ローソンで350円傘を買って駅前のロッテリア。歯医者の予約が2時なので、さらにミストラルで仕事。
 虫歯を削ったあとに詰めた充填剤(というのか、あれは)が四カ所もとれちゃってるので、歯医者はなんだかんだで一時間。右下の奥歯は昔からあんまり麻酔が効かなくてすげえ痛い。麻酔なしで治療したという森下一仁氏は超人である。



【3月13日(金)】

 午前4時起床。ジョナサンでCD-ROM FANの原稿。当初1年の約束だったのに、ほっとくとまたずるずる延長されそうなので無理やり最終回にさせてもらう。今年はまじめに翻訳をするのだぞ、と。映画とゲームの仕事もやめちゃって、本関係に専念するほうが時間的には楽なんだけど、それはそれでつまんない気もする。

 早川書房の源泉徴収票が行方不明なので、塩澤編集長に電話して経理に再発行を頼み、編集部に寄って受けとりついでに、元ミステリマガジンのF施くんと、ハヤカワ文庫夏のブックフェア用小冊子の座談会の打ち合わせ。我孫子・京極・大森で本の話をするらしい。
 さらにK山氏に呼ばれて、アスプリン《マジカルランド》4冊目の解説を受注。ロバート・ジョーダンの解説を断ってしまった引け目があるので、アスプリンは逃げられないのだった。《銀河おわさわがせ中隊》の対談コンビが久々復活だな。ちなみにこのコンビは講談社ノベルス版『人格転移の殺人』の解説にも登場してます。

 小川町から都営新宿線に乗り、笹塚、調布と乗り換えて京王多摩センター。東京国際美術館のT-BRAIN CLUBで、インターネット・カルチャーについてのトーク。そのむかしラッカーを呼んだヒューマン・メディアって会社がコーディネートしてる連続トークの最終回。2時間もあってひとりじゃ厳しいので、トークショウ慣れしている柳下毅一郎に応援を頼み、だらだらと二時間しゃべる。見世物的には、アングラなサイト探訪トークにしたほうが面白かったかも。
 プロジェクターに出すページだけは整理しておくべきでしたね。ヒューマンメディアの有馬氏が司会でついて、的確なタイミングで質問を飛ばしてくれたので助かった感じ。
ちなみにASCII24の人が取材に来てて、夜のうちに速攻でレポートが載ってたのは驚いた。SFオンラインもこの速報性を見習わないと。って無理か。

 終了後、ヒューマンメディアの人々と居酒屋で打ち上げ。ラッカーの東京エッセイにも登場する小野打さんは都立大英文科の出身だそうで、卒論はヴォネガットだったとか、早川書房の入社試験で社長面接まで行ったとか、野崎孝先生の授業でバースの「フローティング・オペラ」読んでたとか、ニューライターズ/ラテンアメリカ文学な昔話に花が咲く。
 うだうだしゃべってたら11時近くなり、各駅停車を乗り継いで東京駅にたどりついたのが午前1時。タクシーが全然つかまらず、帰宅は午前1時40分。



【3月14日(土)】

 午前9時に起きて、渋谷のDCIトーナメントセンターで、M:TGプロツアー・ニューヨーク大会の日本代表選考会予選。テンペストのみのシールド戦で、引いたパックはけっこういい感じ。
 シャドウ7体、デコイ2体、フライング3体に、Dark Banishing、Pacifism、ヴォルラスの呪い、Lightning Blast、あとAnnointにキャントリップ呪文3枚。青白メインに赤黒がサブ。赤黒お休みランドが入っててラッキーな感じ。
 日本代表な人に1敗したのをのぞけば、5戦めまでで4勝1敗。久々に好調で、あと1勝すれば決勝進出か……ってとこまでは行ったんだけど、今日は5時から蒲田で黒丸さんの命日の会(もう四回忌ですね)なんだよな。
 2敗したら蒲田に行こうと思ってたのになぜか負けない。決勝進出なら一次会パスもやむなしか……と思ってたが、世の中そう甘くない。6戦めの相手は神様のデッキで、構築デッキとしか思えないコンボがばりばりに仕込んであり、回りはじめるととても太刀打ちできず。2デュエル目だけはなんとかとったものの、3デュエル目はなにもできないうちに敗北。ニューヨークを夢見たわたしが悪かった。
 今日は2敗しても決勝進出の目がなくはなかったんだけど、すっかり戦意を喪失してしまったので、7戦目はパスして蒲田に急ぐ(ちなみに柳下毅一郎は5戦め終了時点で3勝2敗。あとで聞いたら4勝3敗で、ついに5割の壁を突破したらしい。3勝1敗だった星野師範代はその後3連敗して負け越し。柳下に抜かれる日も近い(笑))。

 ひさしぶりの蒲田・河童亭に集まったのは、野崎・河野の元早川書房カップル、小浜・三村夫妻、堺三保、白石朗、地元在住の山岸真、大森・さいとうと、美由紀さん親子。8時に到着すると、当然食い物はなにも残っていない。焼き魚の身の残りをつついて飢えをしのぐ。最後のお茶漬けにはありつき、座敷でうだうだ。
 その後、喫茶店に流れて一時間ほどお茶してから、12時前に帰宅。
 



【3月15日(日)】

 12時間以上寝て、午後1時半起床。確定申告書類を準備しつつ仕事。
 97年の売り上げは、対前年比で3割近く減。道理で貧乏だと思ったよ。まあ翻訳が一冊しか出てないので(『光の都』の印税は98年分)しょうがない。すでに翻訳収入のパーセンテージは1割を切ってるから、97年は職業・翻訳者って肩書きは大嘘だったかも。
 それにしても早川書房からもらってる額より、SFオンラインからもらってる額のほうが大きいとは。


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