【1月13日(火)】

 焼肉食べたら猛烈に眠くなり、12時ぐらいにばったり寝て、3時ごろ目を覚ます。読みかけだった『匣の中』と『夏のレプリカ』を読了。『匣の中』は傑作。ただし、最後の大ネタにすべが収束しないのが惜しい。いや、原理的に収束させるのは不可能なんですけど。
『夏のレプリカ』は、なるほど、こういうことがやりたかったのかって感じ。『幻惑の死と使途』はこの伏線だったのかも。ふつうのミステリ作家とは根本から発想が違うような気がするな。トリックがプロットを要請するっていうより、ある役割があるキャラクターを要請し、それがプロットと構成を要請するっていうか。偶数章と奇数章の二冊セットって趣向も、たぶんそのためにある。こういう話なら犀川・萌絵シリーズでやる必要はないって考えかたもあるでしょうが、むしろあえてこのシリーズの中でやるところに意味がある。結果的には既刊七冊でいちばんの異色作になってますね。森博嗣のミステリィにつきまとう違和感は、たぶん本書が典型的に示すように、オブジェクトレベルのトリックより、メタレベルのトリックに焦点があるからじゃないかって気がする。というのは、オレが『封印再度』をいちばん気に入ってる理由でもあるんですが。

 つづけて山田正紀『神曲法廷』を読み終わりかけたところで寝てしまい、2時半ごろ、たてつづけの電話で起こされる。アニメージュ(京極プロジェクト関係)と別冊宝島(「この映画を見ろ」関係)。前者はまもなく全貌が明らかになるでしょう(と思ったら、一部、『本の雑誌』で明らかになってました。手違いだったらしいけど(笑))。後者は特殊翻訳家の人がなかなかつかまらないという話。もとの会社の仕事がしたくないのかも(笑)

 しょうがないので起き出して、ミストラル→フレッシュネス・バーガー(モスバーガーが改装されてからは初めて。夜中12時までやってて、けっこういいかも)と移動して翻訳10ページ。眠くなったので速攻で帰宅し、『神曲法廷』を読みつつ寝る。


【1月14日(水)】

 6時に起きて寝床で『神曲法廷』を読了。『螺旋(スパイラル)』級の力作ですね。人間消失トリックには難あり。いくらなんでもちょっとアンフェアでしょう。まあでも作品の焦点はそこにないのでオッケー。笠井潔の解説は、アクロバティックながらほぼ同感。でも『夏冬』に対して、「××××という真相」ってのはないんじゃないの。あれはほとんどギャグでしょう。しかし解説でここまで書かれると書評で書くことがないぞ。

 ネットをひとまわりしてから、ロイヤルホスト→ミストラルで8時間働き翻訳14ページ。ようやく先が見えてきた感じ。
 徳間書店のN羽嬢から電話。ついに金庸を読まなければならないハメに。でもこんなことでもないと、首尾範囲外の本は読むヒマがないからいいんですが。

 午後6時、銀座の中華料理屋、「維新号」新館で、南国オフィスパーク竣工記念シンポジウムの打ち合わせというか、顔合わせ会。
「21世紀インターネット社会の展望−ビジネスと文化−」ってサブタイトルのついたシンポジウムですが、なにしろコーディネーター兼司会が、okbsこと、地域振興整備公団地方拠点振興部部長、岡林哲夫氏。パネリストとして指名したのが、わかば日記の赤尾晃一氏、不連続週記事件の河合あみこ嬢、狂乱西葛西日記のオレだもんなあ。日記リンクス時代の日記者同窓会といわれてもしかたない(笑)。ま、大森の場合は、シンポジウムの開催地である地元・高知出身ってことで選ばれたんでしょうけどね。
 日時: 平成10年2月18日(水) 午後1時〜午後5時30分
 会場: RKCホール(高知放送会館6階) 高知市本町3−2−15
 入場無料ってことなので、高知の人は遊びにきてね。しかしRKCホールで舞台に上がる日が来るとは思わなかったぜ。小学校のころは、RKCホールのとなりにあった高知新聞の社宅に住んでたんだよねえ。

 あみこ女王様とは去年の夏コミ以来、岡林さんとはすごくひさしぶりで、赤尾さんとは初対面。日記者以外の唯一の正統的(笑)パネリストとして起用されている、前川リポートで有名な前川徹氏(情報処理振興事業協会技術センター所長)とももちろん初対面。
 いきなり今日の打ち合わせをすっかり忘れて一時間半遅刻するという大ワザをくりだしてくれたあみこ嬢は、到着するなりコスプレ講義をはじめて、おたく全開状態(笑)。前川さんはカルチャーショック受けてたかも。役所関係の人も茫然としてましたね。

 一次会終了後は、okbs日記でおなじみのMR花ことまり花へ。十年ぶりぐらいじゃないかと思ったけど、よく考えたら去年、宇山さんに連れられてきてるんでした。5、6年前までは故・星新一氏もなじみの店だったってことで、追悼思い出話に花が咲いたのはわかば日記既報のとおり。
 しかしもっとも重要な情報は、日記界の闇に潜む怪物okbs部長のおそるべき行状が明らかとなったスキャンダルの数々なんですが、この話の公開はあみこ嬢にまかせたいと思うわけである。いやあ、MR花のママさんには貴重な情報を聞かせてもらったことである。

 MR花を出てからは、あみこ嬢の主張にしたがいカラオケボックスへ。アニカラな人なので第一希望はセガカラだったんですが、けっきょく近場の孫悟空で妥協したのが敗因でしたね。孫悟空ってこんなにアニソン少なかったっけ。
 こんなんじゃだめだ! ゼニスに行くざます。と、ほぼ独力で部長と助教授を新宿方面に拉致しようとする女王様から逃げて、ひとりで帰ろうと思ったらタクシーがつかまらない。眠いけどしょうがないや、アマンドで仕事して帰ろう。

 と思ってパソコンを立ち上げたとき、今年最大の衝撃が大森を襲った。Win95が起動しない。そりゃね、液晶は指でぐにゅっと押さないと表示が消えるし、バッテリーのリリースボタンはとれちゃってるし、匡体の端っこが一部欠けちゃってるし、フロッピーディスクドライブは認識しないし、PCカードスロットもなぜかとつぜん片方しか使えなくなってるし、あいかわらずまともにプリンタは動かないし、ファックスソフトも機能不全に陥っている。まあ、このTP535に多少の不具合がないとはいわない。しかしですよ、いままでただの一度も、95が起動しなかったことはないのである。
 あわててlogとってみると、config.sysとautoexec.batはオッケーで、95の膨大なドライバ群の読み込みの途中でコケちゃってるらしい。しょうがないのでsafe modeで起動する。
 ちゃんと動いてるのでハード的な問題じゃないみたい。が、これではデータが外に出せないのではないか。暗雲のように広がる悪い予感。
 が、こういうときに焦っていじるとろくなことはないので、すっぱりあきらめ、電源を落としてタクシーで帰宅する。


【1月15日(木)】

 ひと晩寝たからと言って、なにごともなく起動してくれるほどWin95は甘くないのである。しかも外はふたたびがしがしに雪が降っている。秋葉に代替マシンを買いにいくのはまだはやいというお告げだと勝手に解釈し、しばらくいじってみる。問題はやはり、データがとりだせないこと。三日前までの分はバックアップがあるんだけど、この三日で30ページ進んでいることが判明する(笑)。100枚越えてるじゃん。やっぱりフロッピーがつながらないのが痛いよな。safe modeの95上ではドライバ類を読んでないので、モデムもPCカードも使えない。画面を見ながら写すのか(笑)。
 2年前、東芝Dynabookでさんざん苦労したときのことを思い出し、dosのconfig書き換えてPCカードドライバとか読ませればいいじゃん、と思ったが、dos用のドライバ類はインストールしてないんですね。FDがあってもだめだってばよ。んじゃ、dosからWTERMでメール……と思ったけど、Mwaveモデムの設定が全然よくわかんない。いざとなったらそのへんのモデムつなげばなんとかなるか。くそう、しかしいまさらそんなことしてもなあ、一回でも立ち上がればすむのになあ、と思いつつ、安全モードのマシンじゃ危険すぎて仕事ができないので、さいとうのvaioを借りてセッティング。
 capslockとctrlの位置を入れ替え、リーダーズ・プラスをぶち込み、DDwinをインストールして、とりあえず最低限の仕事環境をつくる。スライドパッドはやっぱり超使いにくいけど、usbマウスを買えてないからしょうがない。ま、キーボードは完璧に近いのでいいでしょう。
 vaio505をかばんに入れて雪の中をミストラルへ。WZをカスタマイズしつつ、中断したところから仕事。いつもより30パーセントダウンな巡航速度。
 6ページほど進んだところで、とりあえず今日はアトリエ・サード&スザク・ゲームズの新年会なので、あいかわらず雪が降る中を高田馬場に出かける。東西線は楽勝で動いてます。中野から先が止まってるだけだもんね。
 しかし馬場の駅から会場のボイルストンまで歩くのもたいへんな感じ。山手線も止まってるとかで、アトリエ・サード鈴木社長の脅迫に屈してはるばる川越からやってきた小浜夫妻とかはけっこうたいへんな目に遭ったらしい。ま、東北地方の人はたいへんでしょう。
 富士見書房のO内さんが来てたので、モンスター・コレクションとか、最近のSNE状況の話をきく。モンコレ大ヒットで社長賞が出たそうです。でもいちばん売れてるTCGはやっぱりポケモンらしい。
 一次会はひたすらメシを食ってるうちに終わり、アトリエ・サードに移動して二次会。ドイツ製のカードゲームとかやりました。日下部匡俊氏もいたんだけど、帰り際に気がついたので挨拶だけ。
 小浜家とうちと4人で歌広場に一時間行って帰宅。パソコンはほったらかして寝る。


【1月16日(金)】

 DOS上ではパラレルポートが生きてるはずだから、ZIPドライブをつないでみようと思い立ち、仕事場から発掘してくる。が、ACアダプタつないでみると電源部が壊れていることが判明(笑)。なんかすぐ電源が落ちちゃうの。とりあえずパラレルポートにつなぐだけつないで、dosからguest.exeを実行してみるがどうもうまくいかない。ZIP側の電源の問題なのか。と、いろいろやってるうちに、とつぜんなんの前触れもなく95が起動する。なんなんだいったい。
 しかし、もう一度起動する保証はまったくないので、コンパクトフラッシュ入りのPCカードアダプタをぶちこみ、直近のデータをバックアップ。これで30ページ分の翻訳データは救出できたから一安心。このまま春までもたせたいんだけどなあ。いまは買い換えるマシンがないんだよなあ。

 なにが悪かったのかまったくわからないがとにかく結果オーライってことで、喜びにふるえつつ宝島本社に向かい、別冊宝島のバカSF映画座談会。あとふたりは江戸木純と柳下毅一郎のMIBコンビ。この人たちはあんまり邦画見てないし、わたしはB級の洋画あんまり見てなくて、いまいち盛り上がりに欠けた感じ。しかししょせん16枚にまとめるのでだいじょうぶでしょう。
 座談会終了後、柳下とダイヤモンドホテルで飯。宴会場では高砂部屋の激励会やってて、ロビーに相撲取りが跋扈してたのは驚きました。

 しばらく仕事してから秋葉原。2メガのコンパクトフラッシュを2500円ぐらいで購入。作業ファイルはぜんぶそこに置くことにする。これでいつ壊れても安心なり。
 今日は直木賞選考会なので、結果がわかったら教えてねとC塚嬢@小説すばるに頼んであったんですが、7時過ぎに携帯がなり、「直木賞は受賞作ナシだそうです」だって。
 今回の候補は知り合いばっかりだったから、だれが受賞しても東京會舘に遊びにいこうと思ってたのになあ。意表をつかれてしまった。『伊右衛門』か『OUT』だと予想していたのに。こんなこともあるんですね、いやはや。


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