【1月9日(金)】

『本の雑誌』が終わったので、やっと講談社ノベルスの新刊が読める。最初は当然(笑)西澤保彦の『幻惑密室』。メフィストで書いてる「念力密室」シリーズの初長編ね。メフィストの挿画が水玉さんだったので、今回も水玉さん。あとがきで『フリーゾーン大混戦』の宣伝までしていただいてありがたいことである。ってそれはいいんだけどなあ、「アボくん」はなあ。冷静に読めないひとが五人くらいはいるに違いない。まあ「アボミクルばあさん」よりはマシだけど(笑)。
 今回のネタは、黒沢清「CURE」系の催眠暗示能力だけど、もちろん西澤保彦だから全然違うのだった。トリック(?)はだいたい読めちゃったけど、あの犯人と動機は西澤保彦得意のパターンですね。
 明るくなっても眠れないので、来月(?)の講談社ノベルスのゲラを読む。『匣の中』の乾くるみさんの第二長編で、タイトルは『Jの神話』。こっちを先に出すらしい。全寮制女子校モノですが、わははは。これはすごいぞ。しかしこんなのどうやって推薦文を書けと。「日本の××××登場」と言いたくてしょうがない固有名詞はあるのだが、それを言っちゃうとおしまいだしなあ。とりあえず仕事なので書いてみました。こんな感じ。


 お約束のプロローグ、ありがちな舞台、おきまりの事件と美貌の女探偵。しかし、ああしかし……。断言しよう。この結末はだれにも予測できない。
 98年度裏ベストワン、はやくも決定か。


 まあ、もう少し考えるか。『匣の中』のほうも、無理を言って原稿のコピーもらってたので、勢いで読みはじめる。こっちは完全に『匣の中の失楽』のパスティーシュですが、めちゃめちゃうまいね。

 午後二時、爆発的に眠いので寝る。


【1月10日(土)】

 夜中に起きて午前2時から5時までMAG TIME、11時までジョナサン、午後4時までミストラル……と久々に実働14時間で25ページ。家に帰って講談社ノベルスの山田正紀を半分読む。


【1月11日(日)】

 午前5時に起きて、ジョナサン→ミストラルで仕事。SFマガジンのジョン・クロウリーの直しとSFインターセクションのまとめ。あとCD-ROMファンの原稿。翻訳は5ページぐらい。
 仕事に飽きたので、坂口くん@SFオンラインの新居披露新年会に出かける。最寄り駅は東横線の白楽。乗り換え案内全国版は、西葛西→新橋→横浜→白楽ルートを推奨するが、茅場町→中目黒ルートを選択し、車内で仕事。
 新居は白楽の駅から近いんだけど、坂の上なので雪の時はたいへんだったらしい。日本でこんな坂道を上がるのはひさしぶりかも(笑)
 新年会メンバーは、SFオンライン組のほか、野崎岳彦、神野佐知夫妻、あと初対面の清水厚監督も。めるさんとはひさしぶり。スター・ウォーズ以来ですか。
 添野が高校生のとき、はじめて買ったビデオデッキで撮りまくった当時のアニメ/ドラマのオープニング集をみんなで見る。テープのラベルに、「Hello Summr, Goodbye」(原文のママ)とか書いてるのが若気のいたりだね。プティアンジェから新・必殺仕事人、鬼警部アイアンサイド……となんでもかんでも無差別に入ってるのがすさまじい。当時、こんなテープをつくってた高校生って謎ですが(ふつうもうちょっと考えて編集するだろう)、20年後のいま見るとめちゃめちゃおかしい。これは貴重かも。
 柳下、清水監督、添野夫人などとニャントロ星人のゲームで遊ぶ。川越では、ずいぶんルールの解釈をまちがっていたことが判明する。なるほどね。しかしイベントカードの引きにかなり左右される気が。
 眠くなったので、10時前に辞去して、森博嗣を読みながら帰宅。


【1月12日(月)】

 起きたらまた雪。
 SFマガジンの原稿をメールで送って、雪の中をミストラルへ出勤。CD-ROMファンの原稿(SPAWNネタ)を仕上げて、あとは翻訳。
 本の雑誌の目黒さんから電話。今度は貧乏王決定戦座談会をやるそうです。でもSFで貧乏なやつっていうとなあ。とっさに思いつくのはハインラインの『ヨブ』ぐらい。「酔歩する男」もどんどん貧乏になるんだっけ。『ゴサインタン』はだれかほかの人が挙げそうな機がするなあ。というわけで、「貧乏なSF」を募集します。こいつは貧乏だっていうキャラクターを思いついた人は、伝言板で教えてね。貧乏なマッドサイエンティストの話とか。
 目黒さんと言えば、年賀状に「『グリンプス』と『ワイルド・サイド』を読んだ。今年はSFの新刊をがんがん読むぞ」とか書いてあって驚いたので、その話を聞く。グールドはともかく、どうしてシャイナーを……と思ったら、「帯にタイムトラベルと書いてあったから、それだけで読んだんだよ」だって。ロックのことは全然わかんないけど面白かった、とのことで、まあそれはオレもおんなじだな。いや、北上次郎よりは多少わかってるかもしんないけど(笑)。タイムトラベル物としてはかなり斬新な試みをしてるので、ロックに興味がない人も必読でしょう>グリンプス。しかしゼッペリンはともかく、アリステア・クロウリーって表記にはちょっと驚いたな。

 角川のH内氏に電話して、次回SFインターセクションの手配。鈴木光司『ループ』は、12月に原稿が完成したのは知ってたけど、今月23日にはもう本が出てしまうらしい。さすがにはやいね。って、映画があるから無理したんだろうけど。25万部でスタートした『らせん』文庫版はもう30万部越えたそうで、解説が印税だったら大儲けだったのになあ(笑)。
 『ループ』のゲラはもう送ってくれたそうなので、読むのが楽しみ。鈴木さんには来週インタビューすることになりましたので、聞きたいことがある人はリクエストしてください。
 『らせん』=「バック・トゥ・ザ・フューチャー2」説は、諸星友郎の賛同を得たけど、しかし今度はBTTF3とは全然違うらしい。ってあたりまえか。


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