【12月18日(木)】

 赤坂プリンス新宴会場で、新世紀エヴァンゲリオン大ヒット謝恩パーティ。角川・東映・TV東京・小屋関係の背広組ゲスト多数と、エヴァ・スタッフ陣のジーンズ&ジャンパー組多数が入り乱れる謎の構成。
 大月プロデューサーの挨拶で開幕したと思ったら、いきなり庵野秀明司会で抽選会に突入。アシスタント1号は林原めぐみ。
 コスパとかバンダイ提供の濃いエヴァグッズ(等身大の綾波POPとか、エヴァカード全種セットとか、各種フィギュアとか)が大量に投入され、ほとんど参加者全員にあたりそうな勢い。いやあ、景気がいいなあ、DVDプレイヤーほしいかも、と思ってたら、「黄色の17番」とか林原めぐみが呼んでる。それってオレじゃん、とあわててステージに上がったら、
「いやあ、いい賞品持ってくねえ。それオレがほしかったんだよ」と庵野さん。なにが当たったのかと思ったら、これがコダックのメガピクセルなデジカメ、DC210。109万画素に2倍ズームとフラッシュ搭載だって。これって10万コースでわ(のちに定価81,000円と判明)。
 キネ旬のベストテンでエヴァを1位にした御利益でしょうか。エヴァには足を向けて寝られません。
 ステージ降りるなり、速攻で箱を開けて、電池を投入。持ってきてたお値段三分の一のClip It!をしまいこみ、メガピクセルで撮影開始。林原めぐみから賞品をもらって喜ぶ喜国さんとか。SVGAよりでかいのでスクロールしないと全画面表示できなくてすげえ不便(笑)。
 しかしこのカメラにふさわしい被写体が、今日はたくさんいたのである。「LOVE&POP」公開間近ってことで、主演の三輪明日美・三輪ひとみ姉妹と、仲間由紀恵嬢がゲストで来てたんですね。てんちょさんこと佐藤裕紀取締役@GAINAXに無理やり紹介してもらい、仲間嬢とのツーショット写真をゲット。もう三鷹には足を向けて寝られませんね。
 水玉さんには長沢美樹嬢を紹介してもらってさらにツーショット――のはずが竹熊健太郎氏が無理やりまぎれこんじゃってスリーショットになっちゃったけど、こんな写真も撮れたしめでたしめでたし。しかしみんな100キロバイト超なので、強烈に見たい人以外はクリックしないほうが吉でしょう。
 ちなみにこれは、Clip IT!で撮った明日美ちゃん。ってこんなの載せると放映プロジェクトの人に怒られるかも。
 庵野ファン向けの写真としては、こんなの(となりはさいとうよしこです)とか、こんなの(見ないでピカチュウを描いてるとこ……と説明しないとピカチュウには見えまい(笑))とか。

 そうやって写真撮ってまわってるうちに一次会はお開きになり、すぐとなりの宴会場で二次会に突入。残ったのはGAINAX関係と東映関係と、その他いろいろ(ってうちとかです)。
 さらに二時間ほど立食宴会がつづいたあと、残った20人ばかりでしばし赤プリ周辺を放浪。最終的に新宿にくりだすことになり、タクシーに分乗して、新宿プリンス前に移動。
 着いてから東映の人が店を探しに走り、大所帯にもかかわらずサントリー館5階に場所を確保。ぞろぞろ移動する。
 メンバーは、庵野監督、鶴巻・摩砂雪の両副監督以下、エヴァスタッフ数人&佐藤てんちょさん、喜国・国樹夫妻、水玉さん、大森・さいとう、竹熊さん、それに仲間由紀恵嬢を含む東映ご一行さま、うたたねひろゆき夫妻など。あとから樋口真嗣氏も合流し、なんか三次会とは思えない大宴会状態。前半は竹熊・喜国夫妻からマンガ業界ゴシップを大量に仕入れ、後半はGAINAX勢とエヴァおよびLOVE&POP話。結局、午前3時の閉店までだらだらして、最後まで残った連中で撮った記念写真がこれ。顔の判別がつくのはさすがメガピクセルの威力ですね。
 いや、それにしても大収穫の一夜でした。ほくほく。


【12月19日(金)】

 コダックのデジカメがコンパクトフラッシュだったので、秋葉に出てPCMCIAカードアダプタを購入(2250円)。ATOK11買おうかと思ったら、一太郎オフィス8との価格差がわずか2000円なので、まあさいとうよしこが三四郎使うこともあるだろうと、たまたま持ってた優待販売ハガキを見せて優待購入権を行使。オレのHDからはすでに一太郎はアンインストールされてて、すでに一太郎入れる余地はないんですが。

 神田に出て、メシ食おうとぶらぶらしてると、金券屋の軒先に、「20日武道館フミヤコンサートチケット1枚のみ1500円」の張り紙が(笑) さいとうに電話して、チケットとってないのを確認し、とりあえず1枚押さえる。どんな席でも1500円なら損はあるまい。ちなみにさいとうはデビュー以来のチェッカーズファンで、ずっとファンクラブにも所属してるんですね。最近はなんかコンサートも惰性で行ってる感じだけどさ。

 近くの蕎麦屋で軽くメシ食って、早川書房。SFインターセクション今月のゲストは、『光の帝国』がめっぽう評判の恩田陸嬢。『六番目の小夜子』のファンタジーノベル応募原稿を6年半前に新潮社で読んで以来のつきあいなので、感無量っていうか。もっともインタビューはいまさらって感じでいまいち盛り上がりに欠けたかも。
 10時ごろインタビューを終えてから、山岸真あんど三村・小浜夫妻、塩澤編集長、荻原@早川書房を加えたメンバーで恩田陸を囲む忘年会。
 神田駅前の中華料理屋でたらふく飲み食いしたあと、例によってジョッコ(結婚記念日のことをすっかり忘れていた荻原くんは、あわてておうちに帰りました)。Ukaraはマシンが新しくなってて、早送り機能付き。やっぱりこれは便利だよね。
 500号の作業を終えて月曜の見本を待つばかりの塩澤編集長は異様にハイな状態。とても冬の時代とは思えません。上のフロアでは早川書房勢が宴会中で、途中乱入した阿部前編集長がわたしのひざの上にコーラをぶちまけて去るなどの乱暴狼藉があったり、キムタクにつづいてばっさり髪を切った竹内前HMM編集長が顔見せにやってきたり、おおむねいつもの神田の年末。
 中華料理の牡蠣に当たったらしい三村美衣がいきなりダウンするハプニングが締めくくりで、午前4時半タクシー帰宅。


【12月20日(土)】

 起きたら3時だった。昼間用事があったんだけどなあ。
 のそのそ起き出し、コダックでブツ撮りのテスト。解像度落としても、さすがにClip It!よりは画像がシャープ。とりあえず撮ってみた、和綴じ版『嗤う伊右衛門』はこんなの。本物はあげないので、KG和綴じツリーのひとはこれでがまんしてね。もちろん全冊サイン入りだ。

 6時、ユタ@高田馬場。年末のせいか人が少ない。じゃあ忘年会にしようってことで、おでん&うなぎの店、ゆたかに行って小宴会。
 フミヤ武道館コンサート帰りのさいとうよしこが合流してルノワールに流れ、11時半帰宅。ホラー大賞一次通過作品の原稿をひたすら読む。今回はアタリが多くて、最終選考にまわす4本には困らない感じ。


【12月22日(月)〜23日(火)】

 ミストラルでホラー大賞二次の原稿読み。長編にくらべると短編は不作。パターンが似ちゃうのが最大の問題かな。
 夕飯はしゃぶしゃぶを食おうと思ったら忘年会で満席だったので、おでん中心の居酒屋へ。なぜか新メニューでブラビ飯が導入されている(笑)。Black Biscuitsごはん。これってただのしょうゆメシでわ。目玉焼きのってるやつ食べましたが、謎すぎる。

 レンタル屋に寄ってシングルCDを一山借り、家に帰って原稿読みつつダビング。ネットワークを巡回すると、プリプラページの日記がさらに爆走している。
 講談社の担当編集者氏っていうのは、当然オレも知ってる人で、あの日記ではほとんど二重人格のように書かれてますが、多少デリカシーに欠けている可能性があるとはいえ、そうそうてのひら返しちゃうタイプじゃないと思う。適当にべらべらしゃべってることを字義通り、しかもいちいち重大に受け止めちゃうところに、誤解が生じる原因があるんじゃないですかね。
 SF界に森雅裕出現かっ!とか色めき立ってるひともいるようだけど、うーん。米田さんも『推理小説常習犯』を読めば、こういう編集者が珍しくないことがわかるでしょう――ってそうじゃなくて(^_^;)、おなじ編集者におなじことを言われても、本人の受け止めかたで全然印象が変わってくるんだよね。ネガティヴ・シンキングのループに陥っちゃうとろくなことはないので。だいたい、いまの出版界で、一編集者の意向によって作家が「干される」というような事態はまずない。担当者とケンカしたからって文芸第三編集部とケンカしたことにはならないし、文三とケンカしたって講談社とケンカしたことにはならないし、講談社とケンカしたって出版界で作家として生きていけないことにはならない。作品さえよければ、どこでだって仕事はできるでしょ。まあ、取引先とのケンカはしないにこしたことがないんだけどさ。

 ……ってな話は前回書こうかと思って、でもよけいなお世話だよなと思いなおして書かなかったんですが、まあ次回作が動き出したみたいでめでたしめでたし。編集者に対する愚痴は同業者同士の電話でぶちまけあうのがいちばんだけど、新人の場合はたいへんかも。

 という他人の話よりなにより、今回はオレの話がふたたび大量に書かれている。

 とりあえず21日分について言うとですね、「推薦文」と「書評」は、使い分けとか言う以前に全然別ものである、ってのがわたしの立場です。前者はキャッチコピーだと思って書いてるので、オレ的に「これはウソだよな」と思わない範囲で、潜在的読者にその作品を手にとらせることをめざしてます。『コズミック』なんか、ネガティヴな言葉ばっかり並べてるけど、あれはそのほうがプラスになるだろうと判断したからで。『プリプラ』の場合、推薦文にはネガティヴなことを書いてないので、否定的な指摘を含む書評が「保険」と見られるのはまあしょうがないかも。どっちかっていうと、あらかじめ欠点を指摘しておくことは、怒っちゃうかもしれない読者に対するガス抜きのつもりなんですが。
 その意味では、書評は作者に向けてではなく読者に向けて書いてるので、
「現実に自分の大事な、心の中で暖めていたものを、あんな風に上げたり下げたりされれば、笑って見過ごすわけには行かない」と言われても、失礼しましたと謝るしか。しかし精神衛生上は、「誉められた部分だけ覚えていてあとは忘れる」っていうポジティブ・シンキングで行ったほうがいいでしょう。

 つづいて22日分。SF批評に対する一般論としては正論でしょう(かならずしも個人的に賛同するわけじゃないなけど)。ただし、大森の場合、「SFをSFの言葉で語る」ことを立脚点に選んでるので、まだ当分そこから離れるつもりはありません。SF外部の言葉でSFを語る人はほかにたくさんいるから、オレはSFファンの立場でだけものを言うよ、と。
 ただ最近そういうことを指摘してくれる人が全然いなかったので(すでにあきらめられているのか(笑)>おれ)、今回の米田さんの指摘はけっこううれしかったかも。
 あとはどうでもいいようなもんだけど、事実誤認と思われる点をふたつほど。
「批評もいろいろ専門の派閥があるわけで、いつまでもエヴァ中心でやっていては本当の批評家としては苦しいのではないか、ということ。」については、まあそう見えちゃうのもしょうがない気もしますが、最近は「なにを見てもウテナに見える」病になりかけてるから、エヴァの病気はぼちぼち全快でしょう(笑)。
 それと、「未だに『ハードSFこそSFの真髄』のような事を言っている」って指摘は、たぶんアニメージュの書評からの連想なんでしょうが、これはまったくの誤解。大森はむかしからハードSF音痴で、とくに物理系のガチガチなハードSFをおもしろいと思うことはめったにないっす。だいたいクラークにほとんど興味がないし、レムもベンフォードもプロイスもクレメントも好きじゃない。いや、ラッカーが現代ハードSFの神髄だとすれば、ハードSF好きかもしれないけどさ。

 最後に23日分。えーと、「裏日刊文藝事情」に書かれたことに関して、「お怒りのご様子」ってことは全然ないのでだいじょうぶっす。プリプラは好きなので、「手のひら返し」だと思われてるとちょっと悲しいと思っただけ。「戦術では戦略的不利を回復できない」のはそのとおりかも。戦略的不利打開策としては、たとえばSFマガジンでやってることが一応それに該当するつもりなんですけど。


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