【12月1日(月)】

 5時から九段下のグランドパレスで横溝正史賞の二次選考会。一次通過作を予備選考委員全員と編集部で読み、その評価一覧をもとに最終選考に残す4本を決めるわけですね。
 今回、大森がどうしても残したいと思ったのは一本だけで、それが最終に残ったからまあよしとしよう。今日はひたすら茶木さんが活躍し、思い通りの結果で決着した感じでしたね。やはり声が大きいやつが勝つのか(笑)。
 選考会終了後は、角川の編集者三人と茶木・大森で近所の雀荘に流れて、終電まで麻雀。出だしはわりと好調だったんだけど、M浦嬢に二局連続でトバされた(一回はリーチ一発ドラ7の三倍満だぜー。さらにチップ7枚だから、これだけで1万ガバス以上(;_;))のがたたって、最終局で多少持ち直したものの、トータル16,500ガバスの沈み。くー。チップがなきゃトントンだったのに。締切ほっぽらかして遊んでた天罰かも。
 カード『消えた少年たち』を読みはじめる。


【12月2日(火)】

 断続的に眠りながら書評用の本を読みつづけ、5時、東京會舘。SF大賞パーティの前に、ガイナックスの武田さん、山賀オフィスの武井嬢をS社のS田くんに引き合わせる。

 今日のSF大賞は、受賞作が宮部みゆき『蒲生邸事件』と庵野秀明『新世紀エヴァンゲリオン』なので、ミステリ関係者多数とGAINAX関係者少々が入り乱れてわけがわからない状態。宮部さんのほうは、大沢オフィスが招待状をあちこちに送ったらしくて(なにせ、さいとうよしこ宛てにまで招待状が送られてきたくらいですからね)、各社担当編集者から各方面の作家まで、SF大賞初出席のゲストが大勢いたんだけど、GAINAXのほうは社内で「SF大賞に行きたいやつおるか?」と有志を募っただけだったみたいで(というか、去年の「G2」だって、とくに受賞者サイドが映画界からゲストを呼んだわけじゃなかったから、それがふつうという考えかたもありますね)、庵野さんが珍しくこういう場所に顔を出したわりには、あんまりもみくちゃ状態じゃなかったすね。まあそのほうがよかったのかもしれないけど。
 エヴァがらみで来てた数少ないゲストであるキング・レコードの大月プロデューサーとは今日が初対面。ウテナ最終回のアフレコがさっき終わったばっかりだそうで、かなりすさまじい内容らしい。いや、まあ当然そうだろうけど。
 「HANA-BI」の試写のときは挨拶しそびれたエヴァ副監督の鶴巻さんも来てたので、あらためてご挨拶。角川の賞だったら、ぜったい声優陣をゲストに呼んでただろうになあ。惜しかったなあ。ってなにが(笑)。

 まあしかし、来ないかもと思ってた庵野さんが来ただけでもめでたしめでたしですね。高千穂さんが直接電話して呼んだらしくて、そのへんは庵野さんも義理がたい。「ラブ&ポップ」の予告編チェックを東京會舘の地下でやるとか、まだいろいろ仕事残ってる最中だったみたいですが。
 その庵野さんの受賞あいさつは、「JA」とか「関S連」とかの専門用語(笑)が乱れ飛ぶ、30代SFおたく感涙の内容。森下さんも日記で書いてますが、
「ずっとSFをやってきてよかったと思いました」
 って最後のキメゼリフは場内を感動の渦にたたきこんでました。やるときはやるね。

 パーティのご歓談時間は、主に、ミステリ関係者、SF関係者を庵野さんに紹介する係を担当。綾辻・庵野対面とか。あー、このへんの写真撮っとくべきだったな、そういえば。
 ちなみに綾辻氏(現在、カン詰め中)はTV版最終2話で怒ったものの、夏エヴァ見て、ふたたび絶賛派に鞍替えした人なので、けっこう喜んでたみたいでした。
 あとは森下さんに呼ばれて、石川喬司さんに紹介されたのが緊張したな。じつは一度も話をしたことがなかったという。いや、SF関係でも、第一世代の作家の方々をはじめ、そういう人は多いんですけど。

 終わり間際にやってきた恩田陸嬢とは、すごくひさしぶりの対面。『光の帝国』(集英社)書いたんだから、今年ぐらい最初っから来ればいいのに……と思うけど、パーティ嫌いだからなあ。
 なお、長く幻の名作だった『六番目の小夜子』は新潮文庫で再刊されるみたいなので、気の長い人は古本屋に走らなくてもそのうち読めるはず。ただし、「綾辻行人の解説がはいりしだい」ってことなので、いつになるやらだな。

 一次会終了後は、東京會舘一階のティールームでGAINAX組と一時間お茶。もっとも、てんちょさんこと佐藤裕紀氏や鶴巻さんは、まだ仕事が……とかゆって会社にもどっちゃったので、残ったのは武田さん、武井さん、庵野さんの三人だけ。
 じゃあ宮部さんの二次会に合流しましょうか、ってことになり、タクシーに分乗して六本木のライブハウス、バウハウスへ。
 大沢オフィス御用達のお店なんですが、着いたらちょうどライヴの真っ最中。ライヴやってない時間は大沢在昌ボス仕切りのお祝いスピーチ大会だったんで、ゆっくりご歓談ってわけにもいかなかったのはちょっと残念だけど、庵野秀明・京極夏彦(二次会から合流)のご対面もあったからよしとしよう。
 オレにもスピーチがまわってきたので、「庵野さんと宮部さんと両方わかるのはオレぐらい」とか自慢したら、あとで佐藤嗣麻子監督から、「あたしだって両方知ってるわよ」と逆襲される(^^;)
 そういえば萩尾望都先生もずっと二次会場にいて、嗣麻子ちゃんに紹介されちゃったので、「十年前に一度お目にかかったことがあって」とか古い話をする。今日はどうも緊張するシチュエーションが多いかも(笑)。
 しかし二次会には、結局SF関係の人間が全然いなかったなあ。まあ、宮部さんの宴会だから当然と言えば当然だけど。
 庵野さんは携帯に呼び出しが入って二次会途中で仕事に去り、宮部さん関係だけになったところで朝までカラオケの三次会に突入。
 この日の白眉はやっぱり、宮部・京極の「渚のシンドバット」デュエットと、大沢・京極の「さそり座のオカマ」デュエットでしょう。大沢オフィスはジャニーズ事務所だったのかっ。ジャニー大沢の毒牙にかかるナツヒコ……って、今からネタ提供しても冬コミには間に合うまい(笑)。あ、コピー誌とかほんとにつくらないように。一応参考までに写真は載せておこう――と思ったけどこわいからやめ。なにしろ逆らうとたいへんなことになるらしい(笑)←噂の真相情報。
 大沢ボスと言えば、二次会のあとしばらく姿を消してたと思ったら、六本木界隈にある行きつけのクラブのおねえさまがたを5人ほど連れて乗り込んできて、ボックスひとつまるまるナイトクラブ出張所状態。そのおねえさまたちにまで(って年下に決まってるけどさ)、「つんくに似てるー」とか言われて「いいわけ」とか歌っちゃうオレってなに、みたいな。
 まあ宮部さんと「残酷な天使のテーゼ」をデュエットできたからよしとしよう。


【12月3日(水)】

 始発で家に帰って、8時ごろ寝て、夕方起きたら風邪を引いていたのでまた寝る。めちゃめちゃ寒い。だめでしょう、これは。仕事は自動的に一日のばし。


【12月4日(木)】

 すでに一週間近く締切を過ぎている本の雑誌の原稿を書く。三角窓口への投稿も採用になったらしい(笑)。縮めてくれといわれたのでちょっと縮める。編集長弾劾原稿。やっぱりときには喧嘩を売ることも必要なわけで。ってべつに喧嘩じゃないけどさ。
 しかし書評のほうはけっこうダメな原稿。まだ風邪が治らない。さいとうはもっと悲惨だけど。
 仕事の本が終わったので、ようやく『三浦和義事件』を読みはじめる。『レディ・ジョーカー』までたどりつくのは先だなあ。


【12月5日(金)】

 やはり先月末締切の半村良『平家伝説』解説に着手。
 週刊現代の今年のエンターテインメントのベスト投票を忘れてて、催促電話がかかってきたのであわててでっちあげる。『このミス』ではずしたもの中心。
 ついでに月曜締切の「翻訳の世界」のベストも決める。今年は「エンターテインメント」なので、『赤い右手』とかつい入れてしまう。
 あとはSFマガジンとキネ旬か。マンガのベストも選ばなきゃいけないんだよなあ。


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