【11月7日(金)】

『BRAIN VALLEY』の書評をかたづけて――なんか10枚あっても足りない感じ――本の雑誌用の本をさらに消化。金蓮花の《月の系譜》シリーズ最新作『焔の遊糸』とか、マイクル・マーシャル・スミス『スペアーズ』(見本用プルーフコピー)とか。前者は三村美衣推薦だけあってなかなかよかったす。ややRPGっぽいのが惜しいけど。後者も、後半ありがちなノワール物(兼・帰還兵物)になっちゃう欠点はあるものの、今年の翻訳SFベスト5クラスでしょう。ピーター・ストラウブ級の筆力があれば、このプロットでも傑作になったかもしれない。


【11月8日(土)】

 うだうだ本を読んでてけっきょく一睡もしないまま、渋谷のDCIトーナメント・センターへ。ドイツ予選東京大会の第二次。今回の引きはまあまあ。つくったデッキはこんなの。

【黒】
タール坑の戦士×2
墓所のネズミ
闇に住まいし者
衰弱
冥府の収穫
拷問
強要
【青】
真珠三叉矛の人魚
大クラゲ
迷宮のミノタウルス
海の精
微風の守り手
消失
命令の光
不安定性突然変異
【白】
ベナリアの勇士
武勇の騎士
長弓兵
治療×2
【アーティファクト】
破裂の王笏
粘土像
【土地】
沼×6
島×7
平地×3
トロウケアの廃墟

 サイドには水流破もあって、明らかに前回より強いんですけど、これが勝てない。勝、負、勝から、負、負で、ついに負け越しか――と思ったけど、なんとか6戦めを勝って3勝3敗にもどしたところで、カザフ戦のために最終戦を棄権。2勝4敗の三村美衣(デッキ的には決勝進出レベルと診断されていた(笑))といっしょにタクシーに乗り、恵比寿ウェスティン・ホテル徒歩2分の場所に住む添野知生・小江雅美邸をいきなり訪問する。
 DCIセンターから最寄りの、ゆっくりテレビが見られる場所はここだったんですね(笑)
 まあカザフ戦はご承知の通りで、あれだけはずしまくった中山が翌日のスポーツ紙とかでは「結果を出した」と言われてるのは心外だけど、まあ安心な試合でしたね。
 サッカー後は、SFオンラインで取材したファンタスティック映画祭のビデオを見せてもらってラッキー。今回はずーっと原稿読んでて全然渋谷に行かなかったんだよな。まあ主要舞台挨拶はおかげでみんな見られたからよしとしよう。ありがとうございました>添野様、小江様。
 うだうだしてるうちに西船橋行きの最終に間に合わなくなり、東陽町からタクシーで帰ったのはちょっとまぬけだったかも。


【11月9日(日)】

 途中一瞬起きた以外はずっと寝てたので、書くことはありません。


【11月10日(月)】

 夜中に起きて、土曜日、三村美衣に借りた菅浩江『末枯れの花守り』を読む。なぜ借りたかというと、どうせ送られてくるはずの本がまだ届かないから。三村美衣はSFマガジンの書評に間に合わないので、スニーカーブックスの新刊ぜんぶ買ってしまったらしい(笑)。それを借りるオレも貧乏性だよな、しかし。
『花守り』は、和物の様式美系ファンタジーなんだけど、花フェチな姉妹がいいっす。とくに5話めは傑作。しかしあの人たちは日頃どうして暮らしているのか(笑)

 課題図書を読み終えたので、本の雑誌の書評を書く。今回は本が多すぎて全然スペースにおさまらない。しかたないので、まだ本が出てない『スペアーズ』は次号まわし。『京極堂の偽』は書評しようと思ったのにすっかり忘れてたな。アニメージュでやるか。


【11月11日(火)】

 読書モードが抜けないので、横溝賞の2次の原稿を読みはじめる。
 DO BOOKのアンケート、【97年印象に強く残った本】に回答。

(1)『火星夜想曲』イアン・マクドナルド
(2)『リトル、ビッグ』ジョン・クロウリー
(3)『光の帝国』恩田陸

 とくに根拠なし。映画秘宝のベストもあるんだけど……。とりあえず97年分は、

●97年フェイバリット10本
1 THE END OF EVANGELION 新世紀エヴァンゲリオン劇場版 Air/まごころを、君に
2 インデペンデンス・デイ
3 20世紀ノスタルジア
4 コンタクト
5 タイム・リープ
6 CURE
7 東京夜曲
8 スクリーム
9 鉄塔武蔵野線
10 マーズ・アタック!

●97年カックン3本
もののけ姫
フィフス・エレメント
ジュラシック・パーク2 ロスト・ワールド

 オールタイムその他はまだ検討中。しかし今年のキネ旬は邦画部門に投票したい気がする。


【11月12日(水)】

 3時、日経ホーム出版社、グッド・ハウスキーピングの取材。「翻訳家の台所」というテーマで、業界でも評判の我が家のシステムキッチンを取材に――
 というわけではもちろんなくて、インターネットショッピングの関連取材。しかもライターは豊崎由美さんで、ほとんど遊びにきました状態ですね。まあ、「うちに豊崎由美が来た」と言えば関口苑生が悔しがるからいいや(笑)
 とか書いてると西上心太が関口家にファックスするらしい。

 しっぽり取材されてから、茶木則雄処女出版記念パーティ@アルカディア市ヶ谷。『帰りたくない』は名著でしょう、やはり。作家・翻訳家・評論家・編集者……がほとんどなので、まあしかし、いつものパーティの感じ。石倉笑@宝島社の司会ぶりがけっこうユニークだったかも(笑)
 二次会は例によって新宿・池林房。座敷で音楽ライターの川村恭子嬢(っておれより一個しか下じゃないけど)、関口苑生、香山二三郎、それに初対面の東京書籍の女性などと、2時間ぐらい、ろくでもない話をする。しかし関口苑生はなぜあんなにSF界の事情にくわしいのだろう。謎。
 ゆうべは京フェス用のテンペスト入りデッキを構築したりでけっきょく寝てないので、終電でとっとと帰って爆睡。


【11月13日(木)】

 3時に起きて、早川書房。荻原くんとCity of the Light 入稿の打ち合わせ。ああ、ゲラが来てしまう。見たくないんだけどなあ。
 塩澤編集長は末期的状況。どうも京フェスは行けないらしい。伊藤さんは499号(今月25日発売)のコードウェイナー・スミスの翻訳がまだ半分しか終わってないとか。SFマガジン編集部は思いきり悲惨な状況である。

 竹内といっしょに早川からタクシーに乗り、帝国ホテルで集英社三賞のパーティ。小説すばるとすばるの新人賞、それに柴田連三郎賞ね。なんかすさまじい人口密度で倒れそうになるが、このパーティは食べ物のランクが高いので(笑)、なだ万の天麩羅とかを中心にせっせと食べる。知り合いはだれが来てるのかもよくわからない。京極さんは、きのう泉鏡花賞の授賞式で金沢行ったばかりなので今日は欠席。貫井くんも家庭の事情で欠席。京都勢は全滅。ってことで、山口雅也さんがいたくらいかなあ。桐野さんは元気でした。
 人混みにぐったり疲れちゃって、パーティ後は帝国ホテルのティーラウンジで、香山さん、竹内、長谷川@新潮文庫編集部となごむ。新潮社、早川書房の最近の社内事情を取材(笑)。
あとは直木賞予想など。『OUT』×『伊右衛門』対決はあるか?

 週末は京都なので、今夜も新宿方面に向かう香山・竹内組と別れて西葛西にもどり、とっとと仕事。CD-ROMファンの連載と、新創刊されるコアマガジン《コミック・ジャンキーズ》の新連載コラムなど。

 なお、本日、トップページは200,000ヒットに到達。100,000ヒットが今年の1月24日だから、10カ月弱で10万。月に1万ヒットちょいってことですね。ありがたいことである。

【11月14日(金)】

 ミストラルでEQの今年度国内ミステリ総括原稿。笠井さんが本格ミステリ批評、千街くんが本格ミステリ総括を書くというので、わたしは我孫子エッセイなどを引用しつつ、最近のジャンル概況。

 届いた『本の雑誌』を読んでたら、椎名誠が「最近のSFはぼくには難しくなった」とか書いてるので、発作的に三角窓口に反論を投稿する(笑)。まあ、『時間旅行者は緑の海に漂う』を一ページも使って絶賛した高橋良平が悪いという気もするが、あれで「最近のSFは難しい」と言われちゃあね。椎名さんも自分の影響力をちょっとは考えてほしいものである。SF作家としての自覚がないのも困りものだ。

 トーレン社長がふたたび来日。仕事場のほうに来て寝ちゃったらしいので、今夜は会わずじまい。夜は自宅にもどって、京フェス関連の連絡など。伊藤さんは、なんとか明日の夜までには京都につける見込み。

 というわけで、京都SFフェスティバルにいらっしゃるみなさんは、さわやで会いましょう。いまからでも参加可能なので、ヒマな人は、http://ha1.seikyou.ne.jp/home/Nakaji/sf/kyofes.htmlを見てね。


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