【11月1日(土)】

 3時から馬場でシールド戦の練習――と思ったら、韓日戦が3時からだったのね。
 ってことで、会場を変更し、ユタじゃなくてアトリエ・サードに集合。アトリエ・サードにはスザク・ゲームズも同居してるんで、M:TGの箱も購入できるから一石二鳥。ま、カードショップにデュエルスペースがついてるようなもんだよな、とか言いながら、応接スペースを占拠する。
 メンバーは、大森、柳下、三村、星野。3時5分過ぎに着いてみると、すでに1点入っている(笑)。どうした日本代表。とりあえず今日は引き分けが目標なのに。まあ韓国の人たちは愛情あふれるプレイぶりで、ありがたいことです。独島は韓国にあげるしか。

 けっきょく前半はサッカー見て、ハーフタイムにデッキ構築。またしても引きが悪い。またしても柳下に負けてしまう。星野のデッキはめちゃめちゃ強かったらしいけど、やっぱり柳下に負け。わたしは三村美衣に勝ったんで、星野と同率2位かな。デュエル率では負けてるかも。
 まあしかし、ここでこれだけ弱いパックを引いておけば、来週のドイツ予選ではきっと……と思うと、もっと悲惨な引きだったりするかも。

 7時過ぎにユタへ移動して、てんや→ルノワールといつものコースを経て帰宅。朝までホラー大賞の原稿読み。千枚越える大長編だけど、超弩級の傑作が一本。大賞はこれで決まりでしょう、たぶん。


【11月2日(日)】

 長編部門の下読みが終わったので、つづいて短篇の箱を開ける。短篇はハズレの山ですね。ぜんぶアタリでもつらいけど、ハズレがつづくと気分的に虚しい。似たような話ばっかりだし。


【11月3日(月)】

 DCIランキングが更新されてるというので見にいくと、ポイントは1712点まで浮上。世界で1980位。しかし国内順位は62位まで落ちているのだった(;_;)。やはり54位が最高位かも。
 しかしここんとこ負けつづけている当面のライバル(笑)羽鳥武志氏は、なんと40位台から172位まで急降下している。ふっふっふ。これで、限定環境でいちばん強いSF者の座はオレのもの――と思ったら、日本代表・五十嵐久和氏も東大SF研OBなのだった。まずい。
 しかしその五十嵐氏も、一時は日本3位とかだったのが、1715点で59位まで転落してますね。なんだ、あと3点で追いつくじゃん。ふっふっふ。
 と思ったが、落ちはじめると速いってことだなあ。やっぱり勝ち逃げ作戦なのか(笑)。さらによく見ると、もうひとりの東北大SF研OB、田中重彰氏は1717点で57位。うーん、SF者一番の座もけっこう遠い。いや、あと5ポイントですけど。


【11月4日(火)】

 評価をまとめてホラー大賞の箱4つを返送し、瀬名秀明の新作『BRAIN VALLEY』を読む。冒頭はすでに『BRAIN VALLEY』ホームページに掲載されてますが、あのプロローグから想像する話とは全然違います。いやあすごい。なにしろ主要参考文献が24ページだもんなあ。上下合わせて800ページ超、無慮1600枚の超大作。内容的にはハードSF版のエヴァンゲリオン――とかいうと、おまえはまたかよって言われそうですが、構造的には似てるんだってば、ほんとに。もちろん使徒は攻めてこないけど(笑)、こちらのゲンドウは脳科学・人工生命・ニューロコンピュータを駆使して人類補完計画を推進してるわけです。
 そこにアブダクションと臨死体験がからんでくるんだけど、中盤の科学対超科学の対決がめちゃくちゃかっこよくて、このへんは京極夏彦入ってる感じ。つまり主人公は碇シンジでなおかつ関口くんなんですね。
 とかいってるとまた全然違う話を想像されそうだが、わたしはハードSFとして読みました。後半の省略が大胆なので(というか、それまでのテンポにくらべると、クライマックスの加速が速すぎる)、SFかどうかの判断は分かれそうだけど、個人的には今年の日本SFベストワン。


【11月5日(水)】

 次回から、またまた本の雑誌の新刊レビューに復帰するので(二年やって二年休んで、また二年やって二年休んで、これが三度めの登板。ちなみにこの十年の新刊ガイドSF担当は、高橋高橋大森大森青井大倉大森大森高橋高橋……と推移しているはず。最初の二年やってたころはまだ会社勤めしてたんだよなあ)、見逃した本のチェックに書泉西葛西に出かけ、三村美衣推薦の金蓮花など購入。

 新刊の棚を見てたら、データハウスから、『京極堂の偽』という黒い本が(笑)。
『超人気作家 京極夏彦が盗作!』『「この九官鳥め!」原作者怒る!』『〈暴かれたパクリの手口〉』とか、そういう文字が帯に踊る。
なにかと思ったら、ゆうむはじめ名義で謎本書いてる人が、「榎木津の能力を説明する理論は、オレが『宜保愛子超霊力の真相』に書いたことのパクりだ」と指弾する本だったんですね。問題の本は、『姑獲鳥』よりはやくシャルル・ボネ症候群に言及している数少ない一般書のひとつなので、じっさいに参考にした可能性は否定しないけど、いわゆる「盗作」の範疇に含まれないことは明らか(でなきゃ本出す前に法的手段に訴えるでしょ)。だいたい、そんなにメジャーなネタじゃないとゆったって、シャルル・ボネ症候群をaltavistaで検索すると、たちどころに50件ぐらいはヒットするわけだし、幻視関連の資料調べればすぐ出てくるんだから、「パクった」事実に関してもやや説得力に欠ける点は否めない。
 しかしそれでも、『京極堂の偽』って妙に面白くて、この種の本には珍しく愉快な本。問答形式だし。しかしいちばん驚いたのは、半分ぐらいで糾弾集会が終わり、ここからあとは付録だといって、後半はまるまる、『宜保愛子超霊力の真相』が再録されていること。投げ込みチラシを見ると、まだ生きてる本なんですけど(笑)。
 つまりこれは、『宜保愛子超霊力の真相』の改題新装判に、「京極夏彦も読んだ本」という長い宣伝をくっつけた斬新なリサイクル本なんですねえ。再録部分もけっこう面白いので、著者が自負するとおり、けっこうお徳用かも(元本とくらべて値段は100円しかアップしてない(笑))。

 SFマガジン499号の座談会×2本をまとめて入稿。やれやれ。


【11月6日(木)】

〈本の旅人〉の『BRAIN VALLEY』書評10枚を書きはじめる。小説がUFOネタからはじまるので、書評もUFOネタではじめたんだけど、あとがつづかない。

 中断して、エグザスで泳ぎながら、小林めぐみ『電脳羊倶楽部』、ビジョルド『名誉のかけら』を読む。前者はリムネットで小林めぐみホームページも開いている著者によるインターネット・ファンタジー。要するに、「小人さんが働くインターネット」的なイメージを小説にしちゃった感じで、public_htmlの部屋に行くとドアが並んでて、それを開けるとアルバムが置いてあったり本が置いてあったりするわけですね。NIFTY-Serve育ちの人のパソ通小説がNIFTY方言に満ちているように、ここでもリムネット育ちをうかがわせる比喩とか用語が多いんだけど、「ダイヤルアップユーザー視点のインターネット小説」って少ないので楽しく読めました。巻末には用語辞典もついてるし、ヤングアダルトでもこれからインターネット物が流行るかも。
 後者はビジョルドの処女長編で、マイルズの両親の出会いの物語。最初から完成されたストーリーテラーだったことがよくわかりますね。ただし、ご都合主義的展開の処理が、最近作に比べるとちょっと甘い。エピローグの一章はビジョルドらしいけど。

 書評が進まないので、家に帰ってスティーヴン・グールド『ジャンパー』を読む。『リプレイ』『透明人間の告白』『フェイド』系列かと思ったら、どうもテレポート能力に制限が少ない。これじゃただのスーパーヒーロー物じゃん、と思ってたら、テロリストと戦う後半はヴィジランティズムの話になって爆笑。まるっきり最近のアメコミですね。青春小説仕立てだけど。能力的にはザ・フラッシュでしょうか。
 最初は食指をのばしていた北上次郎が、「思ってたのとちがーう」と手放したわけだ。わたしとしては、『瞬間移動死体』ぐらいの制限つけて苦労する話が読みたかったけど。開設の山岸さんはあのへんのラブロマンスに胸がときめいちゃったんでしょうか。
 しかし解説のあの書き出しはあんまりでしょう。一言で説明すると、「アメリカ大作エンターテインメント映画的」? そりゃ一言じゃないってば(笑)。ふつうに書くと「ハリウッド娯楽大作」ですね。でもせいぜい3000万ドルクラスって気がする。それともいまいち頭がよくないとこを暗に批判しているのか?

 ってなんか書評のネタ出ししてるみたいで、締切は明日なんだけど、まあ原稿は週明けだな。明日は『BRAIN VALLEY』書かないと。


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