【9月28日(日)】

 今日は休養日……じゃなくて決戦日。2時に起きて日韓戦を見る。後半37分までは記憶があるのだが。ワールドカップって8年に一度だよな、たしか。
 残り全部勝てばいいとかゆってる人はずいぶんポジティブシンキングだなあと思うことである。
 その日韓戦の途中からだんだん胸が痛くなってきて、オレはそこまで愛国者なのか(笑)と感動していたら本気で激痛。今日は仕事を片づける予定だったのにベッドで七転八倒、エキセドリン米国仕様タブレットを貪り食い、一時間ほど唸りつづけたあげく、なんとか寝る。
 仕事疲れか、宴会疲れか、いまだかつて経験したことのない症状なのでどうしていいかよくわからない。胸部の表側全体をぐぐっと圧迫されてるような痛み。さいとうは肋間神経痛説を主張しているが、ううむ。


【9月29日(月)】

 8時に起きてもまだ胸が痛い。国産の痛み止めを飲み、10時になるのを待って新葛西クリニック。レントゲン、心電図、血液検査の結果、とくに異常なし。たぶん神経痛でしょうってことで、鎮痛消炎剤と胃薬と、万一狭心症だった場合の保険にニトロールをもらう。ちょっとどきどき(笑)。
 薬を飲み、痛みはだいぶんおさまってきたので、家に帰ってゲームウォーカーのレビュー用の「EVAデジタルカードライブラリ」を遊ぶ。

 4時飯田橋。潮出版に寄って、コミックトムの浮田さんにプロテウス関係の契約書を手渡し。コミックトムは四ヶ月ぐらい休刊してリニューアルするそうですが、なんかたいへんみたい。マンガ単行本もどんどん売れ行きが落ちてるとか。
 5時15分前ぐらいにホテル・エドモント。今日は鮎川哲也賞&創元推理短編賞・評論賞授賞式。地上でもっとも作家率の高いパーティ(つまり編集者率が低いってことですね)と言われてるだけあって、一階のティーラウンジはすでに新本格系の作家陣が集合している。
 ぞろぞろと2階のパーティ会場に上がって、毎度おなじみ小浜徹也@東京創元社の司会で授賞式が開幕。鮎川賞の選評は島田荘司氏。選評でもわかるとおり、受賞作の『未明の悪夢』は綾辻さんのイチ押し。島田さんは自分が推した作品について熱弁をふるう。まあでも、骨子は選評に書いてあることとほぼ同じか。戸川さんが東京創元社の新社長に就任する発表までしちゃってサービス満点。
 しかしその戸川新社長は、ステージの正面に、ビデオカメラ構えてひとりで立ってるんだもんなあ(笑)。あいかわらずカップヌードルとか食べてるそうです。

 短編賞の選評(北村薫さん)のあたりでふたたび胸痛がぶりかえし、薬を飲もうと思ったら家に忘れてきたことが発覚、飯田橋駅前の薬局まで行ってエキセドリン買ってもどってきたら授賞式は終わってました。やれやれ。

 受賞者の谺さんは現役のアニメーターで、「るろうに剣心」の原画とかやってるそうです。大阪のアニメスタジオ所属。「原画の人は原画だけ、って感じで専門化しちゃうんでねえ。庵野さんとかやっぱりうらやましいですよ」とか。
 受賞作はまだ読んでないので、アニメの話ばっかしてたような(笑)。しかし創元の人は受賞者ほっぽらかし。ふつうあちこち紹介してまわったりするんじゃないのかっ。
 まあ、ベテラン編集者が受賞者を連れ歩いて、「××先生、こちらが今年の受賞者の○○さんです」とお披露目してまわるのも、なんか文壇村の入信儀式みたいで、見ててあんまり気持ちがいいもんじゃないですけどね。

 文士劇のヒーロー、新保博久氏は、いきなり戸川さんに「ひとことスピーチを」と言われ、話を聞かない客を前にウロが来て、壇上でクネクネ運動。いつものシンポ教授にもどってめでたしめでたし。「とつぜんのご指名で、ワタシは受賞作がなんなのかも知らないような状態でして」ではじめたもんだから、スピーチではけっきょく文士劇の話しかしなかったような(笑)。一発目のギャグ、「どうも、遅れて申し訳ありません」がすべったのが敗因でしたね。

 一次会ではとくに事件なし。そういえば茶木さんが来てなかった気がするな。と書いたことにとくに意味はない。
 麻耶雄嵩が来てたので『鴉』の話を少々。やっぱり、あの村の設定にはかなり苦労したらしい。ぱふ活字倶楽部の武井さんに紹介して、グラビア写真付きインタビューを推薦しておく(笑)。

 二次会は例によってタゴール。70人ぐらいいたんじゃないでしょうかね。去年とおなじ3階の部屋は、ふたたび赤い悪夢っていうか(照明が赤ランプ)、最初は暑くて参りました。
 去年はコズミック話と白薔薇旋風が吹き荒れたんだよな、そういえば。今年の話題は「六枚のとんかつ」関連が少々盛り上がったけど、流水ほどの勢いはない。かわって爆発してたのは浅羽莢子女史。とくに路上での活躍ぶりは浅羽台風の趣きで、一部、阿鼻叫喚の嵐が……というのは誇大表現で、話を面白くしてるだけなんで気にしないで下さいほんとなんです浅羽さん。
 と書けばある程度そのおそろしさは伝わるかも。無理か。しかし最近はこのページをチェックする登場人物が多くて困りますね。京極さんにも、「鬼太郎の話、もうしっかり書いてましたね」とか、さりげなく指摘されるし(笑)。あれってアニメ方面ではわりと知られた話なんで、すっかりオープンだと思ったけど、よく考えたら活字媒体では開示されてない情報だったかも。
 そう言えば、浅羽さんには、「読んだわよ、あたしの悪口書いてたでしょ」と言われたがなんのことだろう。幻想文学パーティ後の話なら事実しか書いてないのに。
 しかし翻訳ミステリ読まない人だと、いったいこの浅羽さんってひとはだれ。とか思ってるかもしれませんが、えらい翻訳者です。ただちょっとふつうの人よりキムタクが好きなだけで。とかいうのが悪口? いや、たんなる事実でしょう。

 タゴールでは、C嬢から、各所で流通しているらしい白薔薇都市伝説の話を聞く。キャラが立つどころか、ひとり歩きしてさらに暴走している模様(笑)。まあ面白いからいいや。ちなみに「大森が白薔薇の君に胸ぐらをつかまれた」という事実はありません。あったということにしてもいいけど(笑)。まあ、のぞみって名前の人に悪い人はいませんから。
 そのほか、19歳の女子大生と次から次へと知り合いになれる部室、「19ボックス」についてとか、今年の名言、「貸しをつくるつもりが借りをつくってしまった」発言などに関する話題が一部でバカウケしてましたが、このへんは自主規制。いやそれにしてもあの法月綸太郎がねえ。とか書くからいけないんだろうな。

 三次会はまたしてもカーニバル2。どういうわけか総勢20人を越えてしまい、3部屋に分散。部屋割りをめぐっては水面下で暗闘があった模様ですが、「浅羽さんとSMAPを歌う部屋」には、我孫子武丸、法月綸太郎、さいとうよしこ、野間美由紀、夏来健次が参加。よく知らないけど、楽しく盛り上がっていたようである。浅羽・我孫子のデュエットとか、浅羽・法月のデュエットとか。有名な夏来健次氏はこういう人です。

「マイクを持たずにしゃべる部屋」は、綾辻・喜国・国樹・C塚・京極・福井・大森……のメンバー。この部屋の主なテーマは「福井健太の拍手」。
 ワセミスの最近の伝統なのか、だれかのギャグにウケると爆笑しながら両手を突き出し、激しく打ち鳴らすクセがあるんですね。あれはうるさいという意見が30代に支配的で、「今度拍手したら罰金1000円」ルールが導入される(笑)。
 が、携帯電話でいったん福井くんがボックスを出たすきに、 「じゃあ福井くんに手を叩かせるギャグをゆった人に、ほかの全員が1000円ずつ払うことにしましょう」
 とか提案する鬼畜なおやぢ。ってオレだけど。
 その福井くんはもどってくるなり、京極夏彦のなんでもない一言にいきなり拍手。だめだよそれぢゃゃ。悄然と財布を出す福井健太に、綾辻行人が一言。
「あ、もう福井くんはいいの。関係ないから」と。さらに京極夏彦が、
そうですよね。競馬の馬は、優勝したってカネもらえませんもんね
 と追い打ちをかける。おそるべしナツヒコ。
 いやしかし、京極さんがいぢめモードに入るとけっこうこわいかも。村崎百郎に対する一言にも重みがあったな、そういえば。

 残るもうひとつの部屋は、依井貴裕、近藤文恵、倉知淳、光原百合……の創元系作家陣(あともうひとり、名前を知らない女性がいました)。覗きにいったら近藤さんがCharaの「愛の自爆装置」歌ってて、やっぱCharaはこのへんですよね、とかそういう話。シブヤ系が基本らしいので、フリッパーズ・ギターとかそのへんをいっしょに歌ったり。倉知さんはスターダスト・レビューなら全部歌えるらしい。DAM部屋で正解だったかも。
 廊下に出てきたところをひっぱりこんで、京極さんもこの部屋に合流。なにか一曲ぜひとたってのリクエストに応えて「キューティー・ハニー」を歌い、京極カラオケ初体験の人々から手を合わせて拝まれていました(笑)。
 日記によると、大森が初めて聞いた京極カラオケは鮎川いずみの「必殺仕事人3」主題歌だったらしい。2年ちょっと前ですね。最初に聞いた綾辻カラオケはなんだろう。会社辞めた年だから、たぶん91年の11月だったような。やっぱり日記重要かも(笑)。

 お開きは午前2時過ぎ。しばらくカーニバル2の前でうだうだしたあと、野間さん、さいとうよしことタクシー帰宅。クスリ飲んで、鮎川賞受賞作を読みつつ寝る。


【9月30日(火)】

 11時30分起床。まだ胸が痛いけど、だいぶんまし。PHSの通じる店ってことで、駅の反対側のハーブレストランに行って昼食。
 ASAHIネットからインターネットにつないで、アスキーの連載コラムのネタ集め。昨日締切の原稿のネタをいま探してるんだもんなあ。それもこれも、すべては日曜日一日、胸痛で棒に振ったせい。自転車操業してるせいで、宴会シーズンに一日予定が狂うと被害が甚大なのである。
 とりあえずこの一ヶ月のInternetWatchをチェックしつつ、新しいページを見て回り、なんとか寄せ集めネタでスペースを埋めるメドを立てて、ゲームウォーカーの原稿に着手。

 2時から飯田橋で恒例のミステリ麻雀大会なんだけど、さすがにちょっと間に合わず、今日中にかたづく見通しがついたあたりで飯田橋に出発する。
 3時半ごろ会場の大萬についてみると、すでに5卓埋まっている(笑)。作家陣は、綾辻・我孫子・竹本・二階堂・喜国・国樹・桐野・新保・小森の常連組のほか、愛川晶、北森鴻、柳下毅一郎、野間美由紀、福井健太の各氏が参加。さらに、集英社、角川書店、光文社、小学館、双葉社、出版芸術社、東京創元社の編集者勢が合計10人少々。小浜徹也がいきなり熱を出して倒れたとかで、小浜・三村夫婦は欠席。そのぐらい気合いでなおさんかい。
 最初に入った卓では半荘2回で2位とトップ。人数が余ってのでいったん抜けて、近所のスパゲッティ屋で飯を食いつつゲームウォーカーの仕事を仕上げて送り、アスキーのコラムを半分書く。
 疲れたのでまた大萬にもどるとけっこうメンバーに変動が。木曜から上京してる綾辻氏はさすがに今夜ののぞみで京都にもどるとか。最後に東風戦あと一回だけ――という卓に混じるとこれがチップ飛び交うワレメ麻雀。20分の一局を2着で終了したのに、チップがマイナス5枚で4000ガバス負け。半荘2回の勝ち分を吐き出してしおしお。
 ゆるすまじ三浦玲香@角川書店。ってことで復讐戦。さらに角川の山下さんと光文社の小沢さんが入って編集者に包囲されるも、3局中のワンチャンスを拾ってチップ+9枚で逆襲に成功。トータル19000ガバスのプラスで終了。
 しかし三浦嬢は角川に入ってから麻雀覚えたそうで、アカありワレメありトビありチップありの東風戦インフレルールしか知らず、
「わたし、今日はじめて、ふつうの麻雀っていうんですか、南場のある麻雀やったんですけど……」
「へえ、そうなんだ。で、感想は?」
「なんか……つまんないですね。3時間もやって3000円動くだけで。なんだ、これっぽちかーとか思っちゃって」
 すでに麻雀観が歪んでるぞ(笑)。ちなみに東大SF研では、1000点10円のレートで、ほぼ名誉だけを賭けて麻雀やってたそうである。京大SF研では、もっとも貧乏な時期でもその2倍のレートだったぞ。勝ったな、ふふ。

 11時前に全卓がお開きになり、飯田橋駅前の白百合に10人ほどで流れ、1時間お茶飲んで解散。今日帰るのを断念した我孫子さんはうちの仕事場に泊まることになり、野間さんと3人で西葛西。駅に着いたら我孫子武丸が、「じゃあ軽く二時間ぐらい」とか言い出すので、野間さんといっしょにビッグエコーに入ってもらい、なんか西荻窪で別口と歌ってたらしいさいとうよしこをあとから送り込む。特急で仕事場行って、なんかあしたからおフランスに行っちゃうらしいC塚K子嬢に書評の校正をファックスし、さらにアスキーのコラムをがががと入力してメールで送り、一時間遅れでカラオケに合流。
 久々にセガカラの部屋だったんで、フリーメドレー機能で遊ぶ。数百タイトルの対応曲から5曲まで選ぶと、勝手にメドレーに仕立ててくれるやつ。おもしろいんだけど悩みはじめるとキリがない。隠しテーマ入れたりとかさ。
 午前4時前にカラオケは解散し、駅前で野間さんと別れて、残り3人で仕事場。「ねらわれた学園」の最終回と先々週のウテナを無理やり我孫子さんに見せる。が、あまり感動してくれない。なぜだ(笑)。ウテナの新シリーズはいいと思うけどなあ。
 しかし今週からは「真・女神転生 デビル・サマナー」か。あまり期待しないで待ちたい。でも桜井浩子だし……とかちょっと期待してたり。
 そういえば、エコエコ、ねら学、メガテンと監督に加わってる清水厚氏は吉永和哉の友だちで、ほんとなら文士劇の日に飲み会が予定されてたんでした。
「ねら学」でも清水監督エピソードは思いきり異彩を放ってたもんな。ティガの実相寺監督回みたいな。って違うか。

 午前5時過ぎ、自宅のほうに引き上げて、『未明の悪夢』を読みつつ寝る。乱歩賞からの宴会ラッシュもやっと一段落。明日から仕事……か。段ボール6箱の原稿がおれを呼んでるぜ。


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