【9月16日(火)】

 10時間寝て11時起床。ミストラルでSFオンラインのコンベンション特集原稿をやっつける。ワールドコン日記のリミックス(前半を大幅に修正しました)と、あきこんの400字レポートを4本、それとロバート・ソウヤーのインタビューのテープ起こし(約20枚)。
 ざっとかたづけてから、City of Lightのつづきをやって、家に帰ってからビデオ撮りしたメッセージの翻訳。ティム・パワーズ、アンドルー・ポーター、ジャック・ウィリアムスン、ロバート・ソウヤー、スティーヴン・バクスター、ブルース・スターリング、ボブ・エグルトン、スティーヴン・グールド、キム・スタンリー・ロビンスンの合計8人。コニー・ウィリスはまちがって消しちゃったんでした(笑)。
 全部まとまったところでSFオンラインに送って、あとは読書。芦辺拓『地底獣国の殺人』は、面白くないわけじゃないけど、ちょっとぴんと来ない感じ。ロストワールド・テーマにあんまり思い入れがないせいか。あの舞台で密室とか足跡のない殺人とかやってほしかった気がする。
 サイコサスペンスだとばかり思って読んでなかった飯田譲治・梓河人の『アナザ・ヘヴン』をようやく読む。いやあこんな話だったとは不覚でした。ヒドゥン・ネタの小説としては『エイリアン刑事』もありますが、こっちはラブロマンスをからませたのがミソ。主役の刑事コンビもいいし、傑作に近い。ただし、ナニカの正体に関してはもうちょっと理屈がほしかった――と思うのはおれがSF者だからなのか。まあ「世界の中心で愛を叫んだけもの」だと言えなくもないけど。今年の日本SFではベスト5級でしょう。SFかどうかはともかく。


【9月17日(水)】

 10時間寝て午後2時起床。やっとふだんの生活にもどってきた感じ。
 菅ちゃんから電話がかかってきて内緒の相談のあと、ミストラルで仕事。City of Lightの見直しが半分まで終了。

 文藝春秋の『カピタン』とNTT出版の『Intercommunication』から携帯に原稿依頼の電話。どっちも事前にていねいな手紙&ファックスをもらってて申し訳ないと思いつつも、尻に火がついてる状態なので泣く泣く断わる。日銭を稼ぐ必要もあるんだけどなあ。

 まあでも今は翻訳モードなので。と思ってたら角川から『らせん』の解説依頼。鈴木光司をSFに改宗させる使命があるので(笑)こっちは断われない。なんか石黒達昌氏の医学解説もつくらしい。しかしほんとは村上龍解説とかが望ましいのでは。


【9月18日(木)】

 CD-ROMファンの原稿書いて、City of Lightのつづき。とりあえず見直しの終わった前半をメールで早川に送る。

【9月19日(金)】

 アニメージュが締めきりなので、エグザスに行って谷甲州、『星は、昴』を読む。「ホーキングはまちがっている殺人事件」が爆笑。ひとり暮らしの老宇宙が死体で発見される話。本格ファン必読(笑)。宇宙SF短編集なんですが、中国物もあったりする。
 あとがきには「本格SF」という単語が乱舞してて、これからはSFも、「本格」と「本格以外」に分けるのがいいかも。
 つづけて読みかけの『火星夜想曲』を読了。傑作。『火星転移』の百倍おもしろいと思うけどなあ。
 さらにつづけてウィリアム・ギブスン『あいどる』を読む。ロー/レズはLo/Rezのままのほうがよかったような。投影麗も、漢字はないほうがいいと思いました。これってどうせ、テイ・トーワから思いついた名前でしょ。「テイ・トーワって生身の人間みたいな顔してないよね」とかさ(笑)。だったら表記はレイ・トーイか。
 ひとつ気になったのですが、日本語の「スクロールする」は自動詞でしょうか他動詞でしょうか。ふだんは自動詞で使ってるような気がするんだけど。
 話のほうは「マクロス・プラス」番外編。前回は「ディーバ」でしたが、今回もまったくおなじパターンでヒロインが事件に巻き込まれる。ほんと、プロットはどうでもいいんだね、ギブスンって。でもめちゃめちゃかっこよくて、センスのよさはあいかわらず抜群。最高にキュートな現代小説。コメディの才能には磨きがかかったみたい。

 ……とか、まあそんなようなことを書評に書いてアニメージュに送り、それからSFオンラインを見たら、堺三保の書評が、途中いっしょで結論正反対なので爆笑しました。だからこれってもうサイバーパンクじゃないし、ただの現代小説なんだってば。まあSFではあるとしても本格じゃないでしょ。かっこいいと思うかどうかは主観の問題だからしょうがないけどさ。

 SFオンラインと言えば、海外作家ビデオメッセージも無事に掲載されてるので、リアルプレーヤーで見てね。ジャック・ウィリアムスンは顔が真っ黒になっちゃっててちょっと残念。
 ワールドコン日記のほうも、文章と写真を追加したリミックス版になってます。

 ライターの松屋くんがさいとうよしこのところにデジカメ取材(技術評論社のモバイル雑誌の仕事とか)で来てて、スパゲッティ屋のポポラーレで食事。
 夜は家に帰ってワールドカップ最終予選。小村が反応したのがまちがいでしたね。まあ負けなかったからいいや。

【9月20日(土)】

 幻冬舎から届いたばかりの麻耶雄嵩の新刊『鴉』を読みながら馬場に出て、ユタの例会。
 なぜか福井健太がひとりで座っている。7時から新宿で宴会なんで、その前に寄ってみたらしい。早稲田祭が中止になったあおりで、京極夏彦後援会も中止になっちゃったそうで、残念なことでした。
 小浜徹也、三村美衣、雑破業、添野知生、高橋良平etc.がやってきて、SFオンライン最新号の話など。
 堀さんの「太陽風交点」事件記録が更新されてるよ、って話から、コクラノミコン管理委員会ページの話。
「17年前の裁判の記録と、現在進行中の裁判が同時に楽しめるんだからインターネットはいいよね」とか。まあ野次馬は無責任なもんである。しかし訴状と答弁書を読み比べたりしてると、なんかバトルの派手なやつって気がしてくるね。
「太陽風交点」事件はいまだにいろんなかたちで尾を引いてるので、純粋に過去の事件として楽しみにくいところもあるんですが。
 一方、「現在の事件」である後者に関しては、事実関係をほとんど把握してないので、今後の推移を見守りたい、と。


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