【9月1日(月)】

 午前6時30分のノースウェストでサンアントニオを発ち、メンフィスで乗り換えて9時15分発。3時間45分の長いフライトでサンフランシスコ到着は午後1時――のはずだが時差の関係で午前11時。一日が長い。
 荷物を受け取ってタクシーに乗り、トーレン・スミス&友子夫妻の新居に到着。昨日着いたさいとうよしこが二階のベランダで煙草を吸っている(笑)。
 スタジオ・プロテウス創設以来、苦節10年(もっとか?)で手に入れたドリームハウスは、ダウンタウン南の丘の中腹に建つ二階建ての一軒家。スタジオプロテウスのオフィス、トモコ・サイトウのアトリエ、主寝室、ゲストルーム、広々としたリビング&豪華キッチン(煖炉つき)、オーディオルーム、ガレージにバスルームが二個……というなかなかの邸宅で、そうか、そんなに儲かってるのか。サンフランシコは東京並みに地価が高いので、市内にこれだけの家が持てるのは、アメリカンドリームの結晶と言えなくもない。

 ひとわたり新居の中を案内してもらって一服したあと、四人で近所のクレープ屋に出かけて遅い昼食。BARTのGlen Parkが最寄り駅で、周囲にはカフェが数軒。徒歩15分弱の距離なんだけど、新居はなにしろたいへんな急坂の上に建ってるので、行きはよいよい帰りはこわい。前の家と違って、起きたら徒歩5分のカフェに行って仕事ってわけにいかないのが難点。坂降りちゃったら、歩いて帰るには覚悟がいるもんなあ。

 食事のあと、頼まれている買い物を消化すべく、さいとう姉妹とダウンタウンに出発する。BARTに乗っちゃえばダウンタウンの中心、Powel Stationまでは10分足らず。
 おなじみサンフランシスコショッピングセンターでさいとうがスニーカーを買うのにつきあい、地下のSome Goodyでビデオを見る。をを、これがStar Wars特別編3本セット箱入り期間限定バージョンですか。オマケ(メイキングとルーカス・インタビューと劇場予告編)つきのプレミアムボックスでも定価60ドル(Goody価格で40.99)とお値打ち品。オマケなしのゴールドボックスはさらに安いし。
 まあ重さはいっしょなので、オマケつきを二セットと、「ウォレスとグルミット」の3本入りボックス、さらに「SPAWN」のアニメ版ビデオ、あとさいとうよしこリクエストの謎のガンビービデオで全11本。さすがに重い。
 レイバーデイだから、ってこともないだろうけど、ダウンタウンにはやたらアジア系が目立つ。それも日本人は少なくて、コリアンとチャイニーズ。数年前までは、このへんのデパートで買い物してる東洋人って、たいがい日本人だった気がするけどなあ。

 しかし日本のおたく文化は着実に浸透している。ヴァージン・メガストアのビデオ売場では、棚ふたつ分まるまるジャパニメーションコーナーになってるし、となりのTシャツ屋では、日本アニメ&特撮の海賊版キャラ物がざくざく。いいのか、こんなところで売って。
 去年はヘイト・アシュベリーあたりまで行かないと見かけなかったものですが。
 おなじ店の地下はインテリアグッズとか売ってるんだけど、その横にはなぜかスタトレ、SWのキャラクター賞品が山積み。エイリアン物のあやしい爆笑グッズもあって、つい買ってしまいました。あとでまとめて写真に撮っておくでしょう。あ、マーズ・アタックTシャツもすごいよ。

 ダウンタウンの汚くて有名な映画館セント・フランシスで「メン・イン・ブラック」を見ようかと思ったけど、さすがに午前2時からずっと起きてて限界に達したので、ヴァージンのカフェでお茶飲んだあと、タクシーでまっすぐ帰宅。
 風呂に入って、午後10時ごろから爆睡。


【9月2日(火)】

 12時間近く寝て、午前10時にさわやかな目覚め。軽く朝ごはん食べてから、今日は映画の日と決定。SFウィークリーで時間確認して、よし、一発目は「SPAWN」だ、とジャパンタウンの映画館、KABUKIに出撃(BARTで16th Street Missionまで出て、22番のバスでFilmore Streetを下る)。しかし12:20の回は午後じゃなくて午前でした(笑)
 しょうがないので昼ごはんを食べようと目についたチャイニーズ・レストランに入り、テリヤキランチを注文したら最低にまずい。うーん、サンフランシスコで食べたもっともまずい食事かも。ほとんど手をつけずにデザートだけ食べたら、お店の人がやってきて、「まずかったですか?」
「いや、ちょっとしょっぱすぎて」(ってそういう問題だけじゃないけど)
 申し訳ないと思ったのか、「店からのサービスでなにか卵料理をお出ししましょう」と言われたけど、それも食べられなかったら気まずいので断わると、帰りにスプライトを一本くれました(笑)。うーん、たいがいのものは食べるんですけどね。

 食事のあと、バスを乗り継いで6ブロック先のGalaxyに行って「MIB」。嫌いじゃないけど、結局、いろんなSFアクションを継ぎはぎした話になっちゃってて、ちょっともったいない感じ。「エイリアン目撃者の記憶を消して回る黒服の男」ってネタだけで勝負してほしかったですね。その意味ではテレビの連続ドラマに向いてるかも。ギャグ版「Xファイル」だし。ま、トミー・リー・ジョーンズとウィル・スミスはハマり役。最後に流れるウィル・スミスの主題歌もいいっす。
 それにしてもこれのあとじゃStarship Troopersの予告編がギャグに見えてしょうがないな(笑)。だいじょうぶなんだろうか。

 Galaxyを出て、ふたたびKabukiに引き返す。今度は徒歩で、はじめてのジャパンタウンをぶらぶら見学。近鉄モールとかあって、日本食はわりと安い。天丼で5ドルとか。いや、味は知りませんけど。
 キノクニヤビルで日本のTV番組を録画したビデオのレンタル屋を発見。話には聞いてたけどすさまじい。ティガの最終回がもう並んでるし。TV東京の水曜5時半から7時までが一本に入ってるやつとか(笑)。当然、日本ではまだビデオになってないドラマも整然とラベリングされて並んでる。借りてって先週のウテナを見ようかと真剣に考えたけど、返しにくるのがめんどくさいからパス。一泊二日で一本一ドルだから、こういう店が近所にあると便利だよなあ。
 以前はまったく無許可だったんだけど、最近は一本につき25セント分を日本のTV放送権管理団体に支払うシステムになっている模様。

 5時30分から「Mimic」。原作はドナルド・A・ウォルハイムの短編だったんですねえ。知らなかった。邦訳はたぶんないと思うけど。ゴキブリが媒介する病気を根絶するために、遺伝子操作でつくりだした新種をニューヨークの街に放す。Judas Breed(ユダの種)と名づけられたこのゴキブリには繁殖能力がなく、一代かぎりで死に絶えるはずだった……。
 って、「ラセンウジバエ解決法」みたいですが、当然そういう話にはならず、3年後に巨大化したゴキブリが発見されるわけですね。一応科学的説明をつける努力は行なわれていて、レリックよりは説得力があるかも。こっちはニューヨークの地下鉄の底だから、スケールも多少は大きい。画面はほとんど暗くて、巨大ゴキブリが出ないかぎりはアートフィルムふうの画面。音楽はダニー・エルフマンだし。基本的にはダメな映画ですが、最近のSFホラーとしては、そんなにひどいほうではない。

 つづいて8時からは、おなじカブキ座で、「Kull the Conquerer」。ウォルハイムの次はロバート・E・ハワード(笑)。『征服王コナン』が原作……なのかな。読んでないのでわかりませんが。Based on the novels and characters by Robert E. Howard とかそんなクレジットでした。コナンがカルになったのは、権利問題か、それとも「コナン・ザ・グレート」の続編と思われたくないからか。ラウレンティス一族のプロデュースらしい映画ではある。夜中にテレビで見るなら許せるかな。いまどき劇場にかかる映画とはとても思えませんね。いやはや。

 予告編では、やっぱり「エイリアン4」……じゃなくて「Alien Resurrection」でしょう。Twinkle, twinkle, little starの歌に合わせてはじまるのがなかなか。ウィノナ・ライダーは一瞬しか映りませんが、まだちゃんとかわいいし。シガニー・ウィーバーも今回はそんなにこわくなさそう。って慣れただけか。
 来年公開の宇宙家族ロビンスン……じゃなくて「Lost in Space」はCGばりばりな感じ。全然イメージ違うんですけど。
 予告編と言えば、ティラノザウルスが踏みつぶされるんで話題の「ゴジラ」もやっと見ました。これは爆笑。でもあれってどう見てもゴジラの足じゃないよな。
 この三本と「宇宙の戦士」がつづけて流れると、SF映画の時代ふたたびって感じですが、どうなることやら。「宇宙の戦士」は完全に戦争映画だし、あの手のCGも食傷気味だからなあ。

 本篇の最後は「SPAWN」。こういうの見るとやっぱり「クロウ」は立派なアメコミ映画だったなという気がするわけで。凡人は「バットマン」の真似をしちゃいかんでしょ。バットマン+ダークマン+クロウをギャグ仕立てにしたような映画。
 しかしこの映画もMIBも、オープニングクレジットは、「セブン」真似(笑)。もうちょっと考えろよ。

 SPAWN終わったのが零時過ぎ。外は寒くて震えながらタクシーを待ち、帰ってきて風呂に入ってこれから寝ます。


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