【5月1日(木)】

 ホラー座談会のまとめ原稿送って、小説すばる新人賞の原稿のラスト一山を読んでいるところへ水鏡子師匠登場。
 公式戦どころか、知らない人と対戦したことがない水鏡子のために、ミラージュ/ビジョンズ・シールド戦のシミュレーションマッチ。1ライフもダメージが当たらないうちに3デュエル勝つ。全然だめでしょう。デッキ+サイドボードをそっくり交換してさらにもう2デュエル。水鏡子デッキは根本的にまちがっているのだった。クリーチャー5体とか(笑)
 まあしかしこれで身に染みたはずなのでだいじょうぶかも。

 スティーヴン・バクスターが今日の飛行機でイギリスから到着して、銀座第一ホテルに泊まっているはずなので、連絡をとろうと試みるも、「バクスター様のお名前では見当たりません」
 SFセミナーのバクスター担当スタッフで、成田まで迎えにいった浜田くんちに電話して聞いてみたけど、部屋番号は不明で連絡はつかずじまい。だいじょうぶなのか(笑)
(後日、奥さんの旧姓でチェックインしていたことが判明。エージェントのタトルモリも連絡がつかなくてあわてていたらしい)


【5月2日(金)】



 3時、ユタ@高田馬場でジャパングランプリ前の最後の調整デュエル。水鏡子の引いたパックがめちゃくちゃ強い。「いやー、これは強い」とか言いながら組み直したら、そのデッキに当たって負けてしまいました(笑) ダメな感じ。デッキ力で劣ってもプレイで勝つというのがシールド名人らしいんですけどね。
 結局この日は、三村美衣がひとりで3敗、水鏡子、柳下、大森が2勝1敗で並ぶ。柳下が帰り、入れ替わりに小浜徹也がやってきて、ひさしぶりの天々飯店で食事。


【5月3日(土)】

 今日は楽しいSFセミナー。10時半ぐらいに起きて、だらだら出かける。何時にはじまるかよく知らないのだった(笑)
 11時過ぎについてみると、会場はぎっしり満員。朝っぱらからよく客が入っている。って去年もそうだったな。1コマ目のバラード企画が終わって出てきた山野浩一@競馬のえらいひとにごあいさつ。横に高橋良平氏がいて、山野×高橋の会話が傑作でしたね。
山野「良平クン、最近ずいぶん活躍してるそうじゃない」
高橋「いやいやそんなことは……」
山野「野阿梓がすごく怒ってたよ、うん。いやしかし、他人を怒らせるようになって一人前だからね」
 というわけで良平さんもやっと山野さんから「一人前」のお墨つきをもらったらしい。「SFクズ」対談は、高橋良平における「日本SFの原点と志向」だったのか(笑)

 しかし山野さんは、SFに関する記憶力が激しく減退している模様。
「このあいだオーストラリアに行って、向こうのSF作家連中と会ってきたんだけどね」
「へえ、誰と会ったんですか?」
「ええっと、ほら、えらい作家がいるだろう」
「……うーんと。ジョージ・ターナーですか?」
「そうそう、ターナー。しかしオーストラリアには、若い優秀な作家も出てるね。えーっと、あれはなんて言ったかな。日本では短編がいくつか訳されてるだけだそうだが、すごく優秀な……」
「グレッグ・イーガンですか?」
「うーん、そんな名前だったかな。あっちの連中はわりとよく集まってるみたいだね。えーっとほら、最近オーストラリアにもどってきた、ピーターなんとか」
「ピーター? ピーターですか???」良平氏と顔を見合わせてしばし悩んだあと、「もしかしてピーター・ニコルズ?」
「そうそう、ニコルズ。彼のところによく集まってるらしいよ」
 って、ほとんどSFクイズのような会話でした(笑)

 昼飯も食わずにうだうだしていると、午後一企画のゲスト、横田順彌さん登場。「冬の時代」論者である横田さんは、SFマガジン「クズ」論争に激しく憤っている模様。
 まあ、もともと前回の本の雑誌「頑張れ、SF」特集も、横田さんの「SFを書きたいのに書ける場所がない」という危機感が出発点のひとつだったりするし、その後、SF出版状況はさらに悪化してるから、当然と言えば当然ですか。しかし新刊の連作短編集『古書狩り』は発売二週間で増刷したそうで、めでたいことである。

 横田さんの講演を聞いているところへバクスター到着。控え室であいさつし、時間まで雑談。
「小説はいつぐらいから書いてたんですか?」
「16歳ぐらいかなあ」
「『ニューワールズ』とかもうない頃ですよね」
「んーと、なんだっけ、新聞みたいな、SFクロニクル……」
「SFマンスリーでしょ、それは」
「そうそう、SFマンスリーに投稿したりしてたよ」
「をを、コンプリート持ってますよ(笑)」
「しかしあれだね、アメリカの雑誌に投稿すると、リジェクション・スリップ(不採用通知)が帰ってくるんだけど、イギリスの雑誌に投稿すると、「残念ながらうちの雑誌は廃刊になります」という返事が(爆笑)」

 バクスター企画は、菊池誠氏と前野昌弘(a.k.a.いろもの物理学者)氏が進行役。バクスターが早口でわーっと喋ると、「えー、だいたいわかりますよね」と言って半分くらいしか通訳せずに進んでいく(笑) やっぱりべつに通訳がついたほうが話が早かったかも――と思ってちょっとだけ口を出しましたが、最終的には余計なお世話でしたね(^^;) 失礼しました。
 バクスター企画の途中で綾辻・宮部が到着したのでまたしても控え室へ。綾辻さんはけっきょく徹夜できたらしい。この企画のおかげでミステリ系のお客さんもちらほら。竹本健治、夏来健次、福井健太の三健人(笑)をはじめ、別冊シャレードの広沢氏とか白薔薇の君とか(笑)。
 座談会に関しては、SFマガジン7月号掲載予定なので、そちらをごらんください。

 企画の合間に、風虎日記でおなじみのみのうらさんから声をかけられる。思わず、「どうしてここにいるんですか?」とバカな質問をすると、「わたし、SFなんです」ときっぱり返されてしまう(笑) ううむ、そうだったのか。わたしの認識不足でした。PC-VANでお見合いでやおい系の人だと思っていたが、じつはSFも濃いひとだったのである。しかし結局hosokin掲示板の話しかできなかったことである(笑)
 インターネットな人では、平野まどかさん@元ざぼんとか、みすりんの高橋さんとかにも会う。森山さんには挨拶しそこねたな、そういえば。

 ってことで昼間の企画は無事終了。例によってしばらく会場前でうだうだしたあと、長谷川@新潮文庫とC嬢@小説すばるが引率するミステリ組に合流。青いビル2Fの後楽園飯店で九州風(?)中華のコースを食べる。他のメンバーは綾辻・宮部・竹本・夏来・福井。綾辻さんがしきりとSFクズ問題に関心を示すので、事情説明に追われる(笑)。関係ないけど夏来健次の次の標的は新保教授らしい(笑) おそろしいことである。

 結局、食事が終わったのが合宿オープニングをとうに過ぎた7時半。あわてて長谷川のクルマとタクシー1台に分乗し、ふたき旅館へ(宮部さんと夏来さんは、水道橋で別れる)。
 クイズはとっくに終わってたけど、合宿企画紹介にぎりぎりで間に合って、そのまま新本格の部屋に突入。京都SFフェスティバルでは何回かやってるけど、セミナーでははじめてですね。綾辻さんと竹本さんを囲んで、適当な進行。
 ……と思ったら、いきなり新本格と本格の定義の問題とか、けっこう硬い話になったかも。ミステリ系のお客さんが多かったみたいで、けっこう知らない顔が目だつ部屋でした。

 ノルマ終了後、覗いた合宿企画は、ナポレオン文庫の部屋、観測問題の部屋、日本SFの部屋あたり。なにしろ合宿参加者が150人という満杯状態だったので、どの企画もぎっしり。観測問題に関心がある人があんなにいるとは思えないんだけどなあ(笑)
 日本SF企画は、午前2時ごろから、「SFクズ」論争関連資料が配付され、無制限デスマッチ状態に突入。
 しかし佳境に入ったところで、今年の日本SF大会、あきこんの企画打ち合わせに呼ばれてしまったのでよくわからない。でもえんえん朝までやってましたね。
 竹本・綾辻・長谷川と週刊ポストの人は麻雀。わたしは日曜日の決戦に備えてちょっと寝ようかと思ったけど、結局寝られず、朱鷺田祐介・星野富美男その他と大広間で5THブースター・ドラフトをやって朝を待つ。


【5月4日(日)】

 午前8時半、水鏡子、三村美衣、野口誠、柳下毅一郎と5人で出陣。近くのマクドナルドで腹ごしらえしてから、眠い目をこすりつつ、雨の中、タクシーで新宿NSビルへ。いよいよ天下分け目のマジック・ザ・ギャザリングJAPANグランプリなのである。
 今回もレギュレーションはミラージュ/ビジョンズのシールド。引いたパックは、火力不足をべつにすればまずまずの強さ。しかしあまりにも眠いのだった。
 4戦終わったところで3勝1敗。香港予選の5戦めで黒単同士の死闘の末に打ち破った相手と3戦めに当たって雪辱されちゃいましたが(連続突撃にやられてショックが大きい)、なんとか首の皮一枚で残る。しかしこの段階で、水鏡子は3敗してremove from the tournament。柳下は1勝2敗1分、三村美衣は1勝1敗2分、野口誠は2勝2敗。可能性がなくなったところで、「じゃあね」と棄権して帰ってしまう冷たい人々。
 あーでも、すでに体はボロボロだからなあ。結局、だれもいなくなったあとの5戦めをあっさり落とし、大森もリタイア。すばやく帰宅して爆睡する。弱い。


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