【10月18日(金)】

 国産ミステリ未読消化中。25万部売れてるとかいう『Cの福音』は最低でしたね。NIFTY-Serveネタがあんなに嘘八百だとどうも信用できないし文章もひどい。狙いは悪くないと思うんだけどさ。まあ服部真澄の『龍の契り』と好一対ですね。
 乱歩賞の『左手に別れを告げるなかれ』は、ミステリじゃなければ面白かったかも。殺人なんかいいから万引きの話をずっと書いてればよかったのに。まあでも乱歩賞応募作だからしょうがないか。無理やりミステリにしないと応募する賞がないという現状に鑑みると、こういう「とりあえずミステリにしてみました」小説が増えるのも当然。
 しかし1000万円の賞金が出るんだから、ミステリが好きじゃないにしてももうちょっとリサーチしていただきたい。いまどきこの設定でダイイングメッセージはないでしょ。でも坂東司令長はけっこう好き(笑)
 サントリー読者賞の火災保険の話はあまりにも文章がひどいので30ページで投げました。ふだん読まないこのへんのミステリを読んでると、新本格作家たちがデビュー当時どうして文章をケナされたのかまったく理解できない。いやまあ下を見ればキリがないってのはたしかだけどさ。南里征典とか。

 8時頃、トーレン&トモコ・スミス夫妻がサンフランシスコから到着。自宅でおみやげを広げてから、別宅の和室にチェックイン(笑)
 トモコ・スミス嬢はなんとScience誌のカバーアーティストに出世あそばされて、大阪大学物理学科の菊池誠助教授が研究室に届いた最新号のカバーを見て仰天したそうですが(そりゃまあ、知ってる人間がScienceの表紙描いてたら驚くよな)、問題の掲載誌をアーティストが持参してたのでどれどれと鑑賞。したら、登場キャラの頭の上にいろいろ漢字でセリフが書いてあるんだけど(手書き)、その字がまちがっている(爆笑) 「探求心」が「深求心」だって。いやまあガイジンのすることだからしょうがないか。
 この間違いにはさすがの菊池助教授も気がつかなかったみたいですが、いやはや。


【10月19日(土)】

 トーレンといっしょに朝から出かけて11時、新宿のフランス料理店で、柴野拓美氏の古希を祝う会。還暦祝いがついこのあいだだったような気がするのに、あれからもう10年ですか。しかし柴野さんが70歳では、おれが年をとるのも当然だね。
 そこでふと、7年前につくった「海外SF関係者100人」生年表(奇想天外用)ってのをとりだしてみました。これさえあれば今年だれが何歳になるかすぐわかって便利(笑) もうかなり古くなってますが、追加すべき人はせいぜい十人くらいかも。しかし鎌田さんは来年50歳ですか。

23  矢野徹
26 柴野拓美
27 山高昭
29 都筑道夫、福島正実
30 浅倉久志、厚木淳、石川喬司
31 岡部宏之、深町眞理子、中村保男
32 小笠原豊樹、小尾芙佐
33 野田昌宏、友枝康子
35 斉藤伯好、関口幸男
36 深見弾、矢野浩三郎、小鷹信光、仁賀克雄
39 山野浩一、小野耕世
41 曽根忠穂
42 伊藤典夫
43 寺地五一
44 堀晃
47 鎌田三平、荒俣宏、谷口高夫
48 今岡清、川又千秋、鏡明、山田順子、冬川亘
49 青木治道、増田まもる、大和田始
50 安田均、汀一弘
51 野口幸夫、高橋良平、森下一仁、大西憲、小川隆、風見潤、山田和子、黒丸尚
52 新藤克巳、永瀬唯、小笠原成彦、大滝啓裕、若島正
53 水鏡子、大野万紀、米村秀雄、浅羽莢子、風間賢二、深田宏
54 岡本俊弥、福本直美、宮脇孝雄、沼野充義、井上央、長谷川並一
55 巽孝之、星敬、津田文夫、大山聡、井辻朱美、室住信子
56 酒井昭伸、阿部敏子、上池利文
57 金子のぶお、宮城博、井沢昭
58 小谷真理、阿部寿、古沢嘉通
59 青井美香、阿部毅、牧眞司、村山裕、島田武
60 細美遥子、中村融、久志本克巳
61 今村徹、大森望、内田昌之
62 尾之上浩司、小浜徹也、山岸真、三村美衣、佐脇洋平
63 柳下毅一郎、山形浩生
64 中原尚哉
65
66 尾之上俊彦、中藤龍一郎

 パーティを途中で抜けて宝島社で秘密の仕事。だれがいたかもひみつ。しかしいまいち盛り上がりに欠けたような気がするな。もっと対決姿勢を明確にしなきゃダメっす。
 宝島社の新社屋は前のBNNのすぐそば。というか、カメラ博物館のビル。ぶんか社から徒歩30秒か。すげえ立派なり。取材でお見合いパブに行ってぼったくりの被害にあった人の話が爆笑だったけど、それがだれなのかも書けない。がみんな知ってるか。もう書店員じゃない人ね。


【10月20日(日)】

 日曜日ってなにしてたんだっけ。たぶんだらだら原稿を書いてたかも。あ、芦辺拓の新刊『時の誘拐』とか読んでましたね。これは面白かった。でも本格としては弱いかも。


【10月21日(月)】

 3時、トーレン社長とコア・マガジンに行って、裏焼きはイヤだという天竺浪人先生を3時間がかりで説得する(笑) 押されると弱い性格らしく、なんとか『澱』の英語版出版には漕ぎつけそう。
 馬場のタベルナでトーレンと食事してからBNN。


【10月22日(火)】

 アニメージュとダカーポとマックライフの原稿。
 2時にTBSブリタニカの新雑誌ギリークの取材。最近の新刊一冊について喋るって趣旨で、カメラマンとライターと編集の木村くん。とりあえず『鬼女の都』の話をする。近所の公園で写真撮っておしまい。
 病院寄ってクスリもらってから仕事場にもどって、4時からアルクの英語学習ムック(よく知らない)の取材で海外パソコンゲーム。こないだHDからまとめてゲームを消しちゃったばかりなのでタイミングが悪い。ゲームを通じて英語を学ぶ――とかそういう趣旨。昨日BNNで借りてきたエリスン原作のI Have No Mouth, and I Must Screamとか。いちいちゲーム立ち上げて撮影するので2時間以上かかる。やれやれ。ぼちぼち無意味な取材は断わるべきだよな。まあでも原稿断わったかわりだからしょうがない。

 今日のナデシコは3人も新キャラが出てきたくせにつまんなかった。ダメかも。


【10月23日(水)】

 調子が悪いのでだらだら仕事をする。SFマガジンの新連載インタビューの件で伊藤さんと長電話。この一年のSFマガジンをひたすら読む。


【10月24日(木)】

 1時半WOWOW。中野でトーレン社長と落ち合って5時久保書店。社長、編集長と仕事の話をしてから、タクシーで馬場に出て予約を入れてあったイタリアンレストランの文流(芳林堂ビルのB1)で、昆童虫さんと斉藤友子を交えて6人で「ボンデージ・フェアリーズ」英語版出版記念の食事会。一席設けるってやつですね。
 昨日から風邪を引いちゃって鼻がぐしゅぐしゅなので早々に引き上げて明日の伊藤典夫インタビューに備える。


【10月25日(金)】

 1時早川書房。7階の会議室で、まだタイトルの決まっていない連載インタビュー企画第一弾で伊藤さんに話を聞く。しかし電話でけっこう聞いてしまったのが裏目に出て、わりと中途半端。わたしも風邪で頭がまわらず、インタビューの出来はよくなかったんだけど、まあまとめるときになんとかしよう。新人アルバイトの高梨嬢がテープ起こしを引き受けてくれることになったのでラッキー。
 3時からはおなじ会議室で編集企画会議がはじまり、ついでだからと傍聴。伊藤さんのほかは、浅倉久志、高橋良平、山岸真に編集者2名。ふうん、特集はこうやって決めてたのね。最近の短編はほとんど読んでないので勉強になります。
 あとは500号企画。オールタイムベストの選出には小選挙区比例代表並立制を採用しようとか、現実性のない話で異様に盛り上がる(笑)
 会議のあと編集部で油を売ってたら、ミステリマガジンの村上新編集長からスタージョンの翻訳を受注。油断も隙もない(笑)
 小鍛冶で伊藤さん浅倉さん高橋さんとお茶飲んで帰宅。

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