【8月8日(木)】
 WOWOWで会議。
 のあと、京橋シネセゾンでエドワード・ヤンの「カップルズ」。エドワード・ヤンとかあんまり誉めたくない監督のひとりなんだけど、これはしょうがないね。70年代日活プログラムピクチャーっていうか、80年代香港青春映画っていうか、そういう路線のくせに(そんでもって設定とかすげえ泥臭いくせに)なぜか古さを感じさせない。台北の勢いかもなあ。台北舞台のコンピュータ映画ってないのかね。
 ところでラストのほうでベンチャーズを歌詞入りでカバーしてる男性アジアンポップスの曲が流れるんですけど、あれはだれなんでしょう? 試写室から上がるエレベーターで岸田今日子といっしょになり、思わず観察してしまう。10年くらい前にどこかのパーティで目撃したときと全然変わってない。すごいかも。

【8月9日(金)】
 定期購読している名古屋大SF研の『ミルクソフト』最近号が三冊まとめて届く。林くんが書いてる「ハヤカワ文庫解説目録96/7」の分析記事がためになりましたね。しかし『臨界のパラドックス』がもう目録落ちとは。寿命2年の責任の半分は吉永画伯にあると思うね。
 大森(またはそれに準ずるペンネーム)関係の訳書では、カンデル『キャプテン・ジャック・ゾディアック』(2歳5ヶ月)、ウィリス『わが愛しき娘たちよ』(4歳)、サージェント『エイリアン・チャイルド』(5歳3ヶ月)、プラット『ヴァーチャライズド・マン』(3歳7ヶ月)が枕を並べて討ち死に。エイリアン・チャイルドが5年以上も生き延びてたのは謎ですね。増刷は一回もしてないはずだが。しかしこれで斉藤友子装幀本はハヤカワ文庫から消えたのかな。
 クラシックではシマック『小鬼の居留地』がついに消滅――でもこれって一回も目録落ちしてなかったの? 謎。
 最近の情勢としては、3年を待たずに目録落ちするのが売れなかった本、5年生き延びれば上等ってことかな。あーでも在庫が多いので目録落ちしないってケースがあるとすると(エイリアン・チャイルドはそれかも)、短期で売り切って動きが止まる本のほうが目録落ちの標的になりやすかったりして。
 ここ2年ほどでSF文庫は巨匠優遇に傾斜しているため、中堅以下の作家がクラシック として生き延びられる確率はきわめて低い。最近10年間にSF文庫に初登場した作家の作品中、たとえば10年後まで目録落ちしないものの比率は3パーセントくらいじゃないか。『ニューロマンサー』、『ブラッド・ミュージック』、『ソフトウェア』『ウェットウェア』あたりのほか、総計10タイトルとかだったりして。あ、ティプトリーも該当するんだっけ。90年以降初登場にするともっと減るだろうな。ゼロかも。平均寿命は3年ちょい? SF翻訳者はますます食えない時代になりつつある……。
 最近12年分の目録掲載書籍点数の変遷表(88年と89年が欠)なんてのも載ってますが、それによると87年は703点(ローダン以外が571点)あったのが92年には566点(同386点)に激減。それから四年かけて微増してるものの、今年の目録は627点(407点)。一方、収録作家数については、87年の143人に対し、92年が95人で96年が91人と順調に減り続けている。これからSF文庫に入ってくる新しい作家で、この百人弱のチームに入って生き残れる人がはたしているんでしょうかね。まあダン・シモンズは当確としても。
 林くんは、
「早川・創元がジャンルSFに残って欲しいと思うなら、三〇代SFファンとともに滅びることを望まないのなら、このように(引用者注:いくつか提案がなされている)経営を度外視しても作品選択の幅を保つ事が必要なのではないだろうか。どうか、ご一考願いたい。」
 と、悲愴な文章でこの原稿を結んでいる。いやまあ、あたしゃ30代SFファンとともに滅びる覚悟を10年前にしたからいいんですけど。まあでも生活考えるとちょっとつらいよね。
 って、まるで翻訳講座みたいなことを書いてますが、いっしょに届いたべつの号にはSFセミナーのエヴァ座談会のテープ起こしとかも載ってます。SFマガジンに出ちゃって残念でしたって感じだけど、まあこっちは編集前バージョンなので、読み比べてみるのも楽しいかも。ミルクソフトは名大SF研ページから定期購読の注文ができたりしないんだっけか。
 そういえば、前は名大SF研ページに梅原克文講演の再録が載ってたんだけど、なんかセミナー事務局が抗議して削除されたらしい。スタッフが抗議するのは筋ちがいだと思うけどなあ。梅原さんはご自身の主張を広く世に知らしめたいタイプだろうから、正確であるかぎりWWW上に再録されることに反対はしないだろうに。
大森自身、梅原講演の後半は控え室に入ってて聞いてないので、ぜひ梅原さんに往復葉書一枚出して許可とって再掲していただきたいものである。ソノラマ経由で届くっしょ。
ってもう再掲されてたらごめんね。

 ファンジンといえば、東北大SF研OBの五十嵐耕くんが出してる「霧笛」の21号も届きました。いつもどもです>五十嵐様。驚いたのは、高橋まこりん@BNNの新連載、その名も「タカハシライフ」。ほとんど声が聞こえてきそうなエッセイで、これは関係者必読かも。人柄がにじみ出てますね。酔っぱらってないときの、だけど(笑)
 それにしても妙に『藤田先生のミステリアスな一年』の評判がいいのが謎。俺の95年のワーストなのに。小学生の会話と中年同士の会話にまったく区別がないあんな文章とか、あのあまりにもばからしいトリックとかにどうして耐えられるんだろう。まあそれ以前に、わたしはああいう教師がでかい面してるだけで耐えられませんけど。
 ミストラルで仕事してから神保町に出て書泉ブックマート。クロニクルとホームランドとフォールンエンパイアとアイスエイジのブースター各10パック(笑) 新紀元社のデッキ構築入門本を二冊買ったらむらむらとデッキ構築欲が湧いてきたのだった(笑)
 しかしRPGマガジンに載ってた世界大会代表選抜トーナメントのベスト4の人のデッキを見ると、わたしの黒デッキにけっこう近い。いやまあNecropotenceを全然引かないし、ネビニラルも入れてないんで、根本的には別物なんですけどね。手札破壊のサブテーマとクリーチャー選択はけっこう一致している。試行錯誤で構築されたこのデッキの方向性はまちがっていなかったかも。と意を強くする。あとはキーカードをシングルで買うしか。どうせおれが欲しいカードなんてみんな百円玉1、2個の世界なんだからそのほうがぜったいお得だよね。だれかWWW上で注文できる安いショップを教えてください。って自分でさがせよ。
 ちなみに大森の現在の黒デッキは、補強用に一部白が入った結果、とりあえずこんな感じになってますね。
平地吸血コウモリハスラン・オグレスHymn to Tourach
平地吸血コウモリハスラン・オグレスHymn to Tourach
平地吸血コウモリ黒騎士Hymn to Tourach
平地墜ちた天使Knight of StromgaldHymn to Tourach
暗黒の儀式墜ちた天使The Wretched剣を鋤に
暗黒の儀式ジュナン・イフリートKjeldoran Dead剣を鋤に
暗黒の儀式ジュナン・イフリート動く死体剣を鋤に
暗黒の儀式鬼火動く死体解呪
惑乱の死霊Sengir Bats灰は灰に解呪
平地惑乱の死霊Order of the Ebon Hand生命吸収解呪
平地惑乱の死霊Order of the Ebon Hand生命吸収拷問台

 相手が白黒じゃない場合は黒単色にして恐怖とDark Banishingを入れるとか。拷問台もう一枚引いたから入れ替えるかも。あとDisrupting Scepter追加するとさらに手札破壊度が高まる。考えたらこれだと動く死体の必要性は低いな。黒の防御円入れて奈落の王と灰は灰にもう一枚か。で剣鋤を削る。Norrit入れてセンギアの吸血鬼とか。

 明日は姫路で法事なので、帰りは我孫子さんとこで対決できるかも。わくわく。
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