【5月20日(月)】

 解説を書く夢を見た。
 というか、現実には存在しない本(当然、夢の中では存在していて、さっき読み終えたばかりなのである)の解説を書こうとしている夢ね。書き出しの文章が浮かんで、よしよし、これでだいじょうぶとか安心して、全体の七割くらいできたところで目が覚めた。
 作者は途中まで久美沙織だったんだけど、いつのまにか小野不由美になっていたような気がする。これがかなりの傑作で、解説自体にもそれなりに手応えを感じてにこにこしながら書いてたのに、まったく残念な話である。一瞬、解説の内容をまだ起きているさいとうよしこにしゃべってメモしてもらおうかと思ったけど、よく考えたら小説が実在しないんだから無駄だねと思ってそのまま寝てしまったのだった。
 どうせなら月末締切の西澤保彦の新作の解説を書く夢を見ればよかったよなあ。とか思っても夢だからしょうがない。まあ夢でおもしろい小説が読めたんだから得したと考えるべきですね。いやはや。

 夢で仕事をしたせいか、現実の原稿が進まない。いや偏頭痛に悩まされてせいもあるんですけど。アニメージュの書評(麻耶雄嵩『あいにくの雨で』)を途中まで書いてから、京橋シネセゾンで北野武の新作「キッズ・リターン」の試写。柳下はカンヌの監督週間で見たんですかね。評判通りの傑作で、今年の邦画ベスト5級か。久石譲の音楽もけっこういいっす。まあでもこの手の青春映画はおれの弱点だからなあ。
 西葛西にもどってきて、泥縄で「キッズ・リターン」原稿(論座)に着手。しかし調子が出ない。
 ハマナコン帰りの堺三保が、さいとうよしこといっしょにミストラルにやってきたので、メトロセンターの焼肉屋で三人で飯食って帰る。終わりごろ、明和書店のおばちゃんがやってきて、さんざん編集者のゴシップを披露して去ったのが爆笑でした。


【5月21日(火)】

 ゆうべは速攻で寝てしまったので、7時ごろ起床。ビルディで仕事して昨日の書きかけ原稿を仕上げてから九段下に出て、ブルーベリーの2階でSiFTの松屋さん(久野くん異動後の新担当)とマンガレビューコラムの今後の打ち合わせ。
 3時、表参道に移動、南青山の日本推理作家協会事務所。なんかけっこうかっちょいいマンションの一室。協会のWWWページを立ち上げようとかそういう話があり、今野敏、大石英司、菅谷充の三氏プラス大森で研究部会を発足させるということになった……らしい。大石さん、菅谷さんとは初対面。一時間ほど話をして、帰りがけに5000円もらってびっくり。そうなのかー協会のオフィシャルな会議だとお車代が出るのか。さすが金持ちの団体である。
 理事関係の会議もあるらしく、阿刀田理事長や大沢在昌氏の姿も。阿刀田理事長は最後にひとこと、
「ではみなさん、協会の機械化のためにがんばってください」
 そうか機械化に邁進していたのか。しかしそのわりには必要とされる労働力が増えるだけのような。
 マンションを出たところで新保さんにばったり。さらに道を歩いていると宮部みゆき嬢にまで声をかけられる(笑) みんなそんなにしょっちゅう協会に集まっているのか。それともこういう日はとっても珍しいのか。ううん、よくわからん。


【5月22日(水)】

 決戦は水曜日。
 なんの決戦かというと当然MTGなのである。わくわくギャザースカートの会――じゃなくてまじっくざぎゃざりんぐである。
 昨日電話したら、三村美衣はなんだか先週土曜日に最後の二試合を連敗したのが悔しくてその晩は眠れず、朝までカードを研究して過ごし、えんえんデッキの調整をつづけていたらしい。そんでもって新たに白一色デッキと赤緑デッキも開発したんだとか。さすがに千枚持ってるひとはちがうね。おれだって、買おうと思えば歩いていける本屋でホームランドもクロニクルも売ってるんだぞ。と思ったが、わたしには理性がある。
 いちいちブースターパック買わなくたって星野先生にわけてもらおっと。

 とずるいことを考えているいまは決戦場へ向かう地下鉄東西線の中なので、デュエルの結果はまたのちほど。

 さて、戦闘結果報告である。1時集合のあと飯食ったり星野師匠に教えを受けたりカードをもらったりして、2時ごろに三村美衣の復讐戦(笑)開始。熟慮に熟慮を重ねて新構築されたらしい赤緑デッキはマナ出現頻度の低さのおかげで破壊力を発揮できずあえなく返り討ち。しかし、新たに用意した(ちなみに、この日に備えて三村美衣は三種類もデッキを組んでいたのである。さすがに千枚買ってる人はちがうね)というクリーチャーの異常に少ない防御型白単色デッキとのデュエルははてしなく時間がかかり、けっきょくこっちがクリーチャーをそろえて攻撃にかかったところでリセット系の呪文を二回使われてしまい、チビクリーチャーにライフ削られて負ける。いいんだでも。対三村美衣は今日3勝1敗だから。トータル5勝3敗かな。

 6時ごろになって早川書房編集二課の河野佐知登場。あとの早川勢が合流するまでってことで軽く一勝負。しかしもはや日本語版オンリーの4色デッキは大森の敵ではないのだった(早川の人々は全員の手持ちカード枚数をそろえ、リアルアンティ賭けてゼロサム社会な世界を構築している模様。考えたら職場でぎゃざる態度としては正しいかも。カネにあかせてカード買い集めるやつがでるとたいへんだもんなあ。職場の人間関係が崩壊しかねない――がアンティ賭けるのもけっこうやばいかも(笑)。
 塩澤、野崎、星野(女性)が合流したところで移動して、またしてもてんやで食事。でもってその上の歌広場になだれ込み、マイクも握らずボックスで3時間対戦。さすがに7人だから3組プラス観戦者一名ね。早川勢のほうが場数ははるかに踏んでいるはずなのに(くりかえしていいますけど、大森がじっさいにプレイするのは今日が二度目で、いままでの総デュエル数は、ええっと、ちょうど10回か。そんなものよ)、デッキ制限がきつくてカードが足りないせいか、大森の赤黒(白少々)デッキの前に次々に敗退。終わってみれば3連勝で、対早川書房では4勝0敗。ああ、ますますハマりそうな予感(笑)


【5月23日(木)】

 WOWOWで定例会議。カンヌ関連の話題が中心。まあでもまだ寺尾さんは帰ってきてないので前哨戦ですね。「ミクロコスモス」はすげえ面白そう。見た人は口をきわめて罵ってましたが(笑) しかし「クラッシュ」の審査員特別賞ってのもなんか苦肉の策みたいな。配給はヘラルドで公開は来年みたいね。すぐ公開しないほうが本はたくさん売れる気がする。

 八丁堀から日比谷線で秋葉原。リブレットの現物にやっとさわる。うーんあのキーボードはやっぱりちょっとつらいなあ。薬指と小指がとくに。大量入力が前提だと、やはりプロノートミニのほうに軍配が上がるか。TP220のペンティアムカラー液晶モデルが出てくれればいいんですけどね。


【5月24日(金)】

 仕事場マンションのローン手続きのため船橋へ。船橋西武のエレベータの老朽化度合いはなかなか。すでに枯れた街である。喫茶店は駅ビルに集中してるパターンだし。5分くらい歩いて一軒見つけて、それなりにいいかなと思ったら、たらこスパゲッティが壮絶だった。たらこスパゲッティがなぜあそこまで不思議なものになるのだろう。謎。

 さくら銀行で公庫融資の手続きをすませ、いったん帰宅。今日は集英社のパーティで、ゆうべ我孫子さんに電話したところによると、最後は某新婚家庭になだれこむ予定とか。マジック布教の決意をかため、我孫子さん用とプレゼント用にスターターパック4個とブースターパック10個くらいを買い込むことにする。
 ってことでこれから出かけるので、とりあえず今日はここまで。


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