古建築専門用語辞典
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2001/8/13 作成                                                           
読み 文字 用語の説明 参考資料
うえずかず
のみかど
於上不葺御門 伊勢「神宮」での「鳥居」の呼称。
鳥居が門の一種であることがわかる。
うぐいすばり 鶯張り 書院造りの縁側で歩くと音がするように板を張る工法。
うけばな 受け花 「請け花」「受け華」「蓮の台(うてな)」ともいう。
開いた蓮弁(蓮の花)の形をした装飾で、仏像の台座その他に
もちいる。
うさとりい 宇佐鳥居 大分県宇佐神宮の一の鳥居。
笠木は反りが強く小屋根があり、貫と「島木」の間隔が広く
「台輪」と「根巻き」があるが、「額束」は無い。
うし 民家や土蔵などで「牛梁」(うしばり)などと部材の大きなものを指すとき
「牛」を付けて呼んだ古称。民族的な由来を想起する呼び方である。
うしろどの 後殿 二棟の社殿が前後に祀られる神社形式において、参拝する側に近い棟を
「前殿」(まえどの)といい、後ろに位置する棟を「後殿」といい、
「内殿」(うちどの)とも言う。
うずげぎょ 渦懸魚 渦型の「鰭」(ひれ)のついた「懸魚」(げぎょ)のこと。
江戸末期の寺院建築に多く用いられた。
うずばしら 宇豆柱
珍柱
大社造り社殿棟中心線上の側柱(がわばしら)。他の側柱より約2割太い。
社殿中心の柱は「真(心)の御柱」と呼ばれ「宇豆柱」よりさらに2割太い。
うすべり 薄縁 畳表に縁を付けた敷物。床の間などに使用される。
うだつ 卯建つ
卯立つ
棟続きの隣家との境の壁を一段高くして、小屋根を掛けた物。
防火壁のように見えるが、家の格式を現す装飾的な意味合いが大きい。
室町時代「洛中洛外屏風」にも見られる。
「うだつが上がらない」等と揶揄(やゆ、からかう)時に使う言葉の語源。
うちどの 内殿 →「後殿」
うちにわ 内庭 →「坪庭」
うちのり 内法 対面する二つの面の間の寸法のこと。
敷居上部から鴨居(かもい)下部までの面、隣り合う柱の相対する面
囲まれた部分の内側面などの差し渡し寸法を表現するときに使う言葉。
うちのりなげし 内法長押 一般に言われる長押(なげし)のことで、鴨居(かもい)の上に有る
横材の名称。現在は化粧の為に付けるが、元は柱を両側から挟み込む
構造材として使用された構造形式の名残り。→「和様」
うちはし 打ち橋 渡り廊下の代わりに必要に応じて取り外せるように置く通路用の板。
うちべい 内塀 広い屋敷の庭で「茶庭」などと区画するために設ける塀。
うちろじ 内露地 「茶庭」(ちゃにわ)でもっとも「茶室」に近い「露地」(ろじ)のこと。
内露地から仕切られた外側は「外露地」という。
うつぼばしら 靫柱
空柱
箱形に組んだ中空の柱状の筒。柱という名前が付いているが構造上の
強度は無く立樋の役割を果たす。
「八幡造り」において二棟の屋根の谷樋先端に立樋として設けられた。
「分棟型民家」にも同様の物が使用されている。
腐りやすく寿命が短いので現在は銅板製のものが多い。
うでぎ 腕木 一端が柱や壁などに取り付けられた片持ち式の横木。
うでぎもん 腕木門 簡素な門の柱の内側に腕木と添え柱を設けた門。
「木戸門」ともいう。
うのけどおし 兎の毛通し 「唐破風」(からはふ)の「懸魚」(げぎょ)のこと。
「唐破風懸魚」ともいう。
うぼく 烏木 「黒檀」(こくたん)の中国名。「烏文木」(うもんぼく)ともいう。
うま 作業をするときに用いる4本足の台の総称。
うまめじ 馬目地 石張りなどで、横目地は通し、立て目地を交互にずらす目地の総称。
「破れ目地」、「馬踏み目地」、「馬乗り目地」などとも言う。
うめき 埋木 木材の節穴、割れによる隙間、釘頭などを隠すために埋め込むこと。
またはそれに使用する木片のこと。
うめばちげぎょ 梅鉢懸魚 「梅鉢文様」の「懸魚」(げぎょ)のこと。主として和様建築、神社などに
用いられる。
うめみもん 梅見門 「茶庭」(ちゃにわ)の「外露地」と「内露地」の境に設ける中門のひとつ。
檜掘っ建て柱、杉皮葺き屋根、竹簾戸(たけすど)を設ける。
(ばいけんもん)とも読む。
うもんぼく 烏文木 →「烏木」
うらうち 裏打ち 壁、天井、襖などで扱いやすくするために、布地の裏に和紙をはること。
うらがえしぬり 裏返し塗り 「小舞い」(こまい)下地に塗った「荒壁」が十分に乾燥後、「小舞い」が
隠れる程度に裏から荒壁土を塗ること。「呼び塗り」ともいう。
うらがね 裏金 鉋刃(かんなば)の二枚刃のうち、内側の鉋刃のこと。
「逆目」(さかめ)を防ぎ鉋屑(かんなくず)を真っ直ぐに出す為につける。
うらがね 裏矩 「曲尺」(かねじゃく)の裏目(裏に刻まれた目盛り)のこと。裏目ともいう。
表目盛りの√2=1.4141・・・倍の目盛りが刻まれている。
直角を出したり、屋根勾配、反りなどを出すときに使われる。
このような曲尺を使う大工の技術を「規矩術」(きくじゅつ)といい
江戸時代に完成された大変緻密で高度な技術である。
うらきもん 裏鬼門 南西方向をさす。「十干」(えと)では「坤」(コン)又は「未申」(ひつじさる)。
「鬼門」(北東方向)と共に住宅建築計画の「家相」(かそう)において
忌避(きひ)すべき方位と定められている。語源は「鬼門」を参照。
うらごう・うらご
うらこう
裏甲 屋根軒先端の軒瓦を受ける平らな化粧材で軒先の水平線を強調する。
茅負(かやおい)の上に乗る。
平瓦葺きでは広小舞(ひろこまい)にあたる部分。
うらごめ 裏込め 石垣などの裏側に砂利、栗石(ぐりいし、大きめの砂利)を詰めること。
石垣裏側に溜まる浸透水を流出させ崩れを防ぎ強固にする効果がある。
うらめ 裏目 →「裏矩」
うるし ウルシ科落葉高木の樹皮に細い溝状の傷をつけ樹液を採取し、
不純物を濾過して水分を蒸発させた植物性塗料。
桃山時代以降建築装飾に用いられるようになった。
生漆(きうるし、透明)、朱、黒、茶(「潤み」うるみ)があるが、
現代では様々な顔料を混ぜ
多くの色を出せるようになった。
湿気と反応して乾燥する。時間が長くかかるが何度も薄く塗り重ねる
ことにより緻密で強固な皮膜を形成する。数百年から千年程の寿命が
あるが、乾燥しすぎると割れる為、適度な湿気が必要。
「金箔押し」(きんぱくおし)の接着剤としても使用される。
うるみぬり 潤み塗り 潤み仕上げとも言う。漆塗りで栗色(茶色)に仕上げたものを言う。
床柱、竿縁角面、仏具、什器などに用いられる上品な色調である。
うわば 上端 物の上面のこと。
うんげんさいしき 繧繝彩色 淡色から濃色まで3〜5段階に変化させ、これに白を加えた彩色のこと。
西域から唐に入って流行し日本に伝えられたが禅宗様には用いられない。
社寺建築の柱、天井、彫刻、仏画などに用いられ流麗で大変美しい。
「段暈かし」(だんぼかし)とも言う。
うんげんべり 繧繝縁 天皇家、神前にのみ使用された畳縁。紋様の周囲に同色で3段階の
濃淡(ぼかし)を入れてある。
うんりゅう 雲竜 寺院建築の内部で、襖、屏風、天井などに描かれる画題のひとつ。
「鏡天井」(かがみてんじょう)に描かれた例が多い。