環境影響評価法案(日弁連修正案)

(修正のある条のみ引用)(修正部分は赤字)

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第一章 総則

(定義)

第二条 この法律において「環境影響評価」とは、事業(特定の目的のために行われる一連の土地の形状の変更(これと併せて行うしゅんせつを含む。)並びに工作物の新設及び増改築をいう。以下同じ。)の実施が環境に及ぼす影響(当該事業の実施後の土地又は工作物において行われることが予定される事業活動その他の人の活動が当該事業の目的に含まれる場合には、これらの活動に伴って生ずる影響を含む。以下単に「環境影響」という。)について環境の構成要素に係る項目ごとに調査、予測及び評価を行うとともに、これらを行う過程においてその事業に係る環境の保全のための措置を検討し、この措置が講じられた場合における環境影響を総合的に評価することをいう。

2 この法律において「第一種事業」とは、次に掲げる要件を満たしている事業であって、規模(形状が変更される部分の土地の面積、新設される工作物の大きさその他の数値で表される事業の規模をいう。次項において同じ。)が大きく、環境影響の程度が著しいものとなるおそれがあるものとして政令で定めるものをいう。

一 次に掲げる事業の種類のいずれかに該当する一の事業であること。

イ 高速自動車国道、一般国道その他の道路法(昭和二十七年法律第百八十号)第二条第一項に規定する道路その他の道路の新設及び改築の事業

ロ 河川法(昭和三十九年法律第百六十七号)第三条第一項に規定する河川に関するダムの新築、堰(せき)の新築及び改築の事業(以下この号において「ダム新築等事業」という。)並びに同法第八条の河川工事の事業でダム新築等事業でないもの

ハ 鉄道事業法(昭和六十一年法律第九十二号)による鉄道及び軌道法(大正十年法律第七十六号)による軌道の建設及び改良の事業

ニ 空港整備法(昭和三十一年法律第八十号)第二条第一項に規定する空港その他の飛行場及びその施設の設置又は変更の事業

ホ 電気事業法(昭和三十九年法律第百七十号)第三十八条に規定する事業用電気工作物であって発電用のものの設置又は変更の工事の事業

ヘ 廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和四十五年法律第百三十七号)第八条第一項に規定する一般廃棄物の最終処分場及び同法第十五条第一項に規定する産業廃棄物の最終処分場の設置並びにその構造及び規模の変更の事業

ト 公有水面埋立法(大正十年法律第五十七号)による公有水面の埋立て及び干拓その他の水面の埋立て及び干拓の事業

チ 土地区画整理法(昭和二十九年法律第百十九号)第二条第一項に規定する土地区画整理事業

リ 新住宅市街地開発法(昭和三十八年法律第百三十四号)第二条第一項に規定する新住宅市街地開発事業

ヌ 首都圏の近郊整備地帯及び都市開発区域の整備に関する法律(昭和三十三年法律第九十八号)第二条第六項に規定する工業団地造成事業及び近畿圏の近郊整備区域及び都市開発区域の整備及び開発に関する法律(昭和三十九年法律第百四十五号)第二条第四項に規定する工業団地造成事業

ル 新都市基盤整備法(昭和四十七年法律第八十六号)第二条第一項に規定する新都市基盤整備事業

ヲ 流通業務市街地の整備に関する法律(昭和四十一年法律第百十号)第二条第二項に規定する流通業務団地造成事業

ワ 土地改良法(昭和24年法律第195号)第2条第2項に規定する農用地の造成、埋立て干拓その他の土地改良事業

カ 在来鉄道の軌道の建設及び改良の事業

ヨ 大規模林道の建設及び改良の事業

タ ゴルフ場、スキー場その他のリゾート施設のの建設及び改良事業

レ 住宅の用に供する宅地、工場又は事業場のための敷地その他の土地の造成事業

ソ イからレまでに掲げるもののほか、一の事業に係る環境影響を受ける地域の範囲が広く、その一つの事業に係る環境影響評価を行う必要の程度がこれらに準ずるものとして政令で定める事業の種類

二 次のいずれかに該当する事業であること。

イ 法律の規定であって政令で定めるものにより、その実施に際し、免許、特許、許可、認可若しくは承認又は届出(当該届出に係る法律において、当該届出に関し、当該届出を受理した日から起算して一定の期間内に、その変更について勧告又は命令をすることができることが規定されているものに限る。ホにおいて同じ。)が必要とされる事業(ホに掲げるものを除く。)

ロ 国の補助金等(補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律(昭和三十年法律第百七十九号)第二条第一項第一号の補助金及び同項第二号の負担金をいう。以下同じ。)の交付の対象となる事業(イに掲げるものを除く。)

ハ 特別の法律により設立された法人(国が出資しているものに限る。)がその業務として行う事業(イ及びロに掲げるものを除く。)

ニ 国が行う事業(イ及びホに掲げるものを除く。)

ホ 国が行う事業のうち、法律の規定であって政令で定めるものにより、その実施に際し、免許、特許、許可、認可若しくは承認又は届出が必要とされる事業

3 この法律において「第二種事業」とは、前項各号に掲げる要件を満たしている事業であって、第一種事業に準ずる規模(その規模に係る数値の第一種事業の規模に係る数値に対する比が政令で定める数値以上であるものに限る。)を有するもののうち、環境影響の程度が著しいものとなるおそれがあるかどうかの判定(以下単に「判定」という。)を第四条第一項各号に定める者が同条の規定により行う必要があるものとして政令で定めるものをいう。

4 この法律において「対象計画」とは、第2項各号に掲げる用件を満たしている事業の広域的又は中長期的な実施方針な関する基本的な事項を定める計画その他の施策のうち政令で定めるものをいう。

5 この法律において「対象事業」とは、第一種事業又は第四条第三項第一号(第三十九条第二項の規定により読み替えて適用される場合を含む。)の措置がとられた第二種事業(第四条第四項(第三十九条第二項の規定により読み替えて適用される場合を含む。)及び第二十九条第二項(第四十条第二項の規定により読み替えて適用される場合を含む。)において準用する第四条第三項第二号の措置がとられたものを除く。)ならびに前項の対象計画をいう。

6 この法律(この章を除く。)において「事業者」とは、対象事業を実施しようとする者(国が行う対象事業にあっては当該対象事業の実施を担当する行政機関(地方支分部局を含む。)の長、委託に係る対象事業にあってはその委託をしようとする者)をいう。(以下は変更なし)

(国の責務)

第三条 国は、環境基本法(平成五年法律第九一号)第三条ないし第五条が定める理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、事業の実施前における環境影響評価の重要性を深く認識して、この法律の規定による環境影響評価その他の手続が適切かつ円滑に行われ、事業の実施による環境への負荷をできる限り回避し、又は最小化することその他の環境の保全について配慮しなければならない。

(地方公共団体の責務)

第三条の二 地方公共団体は、基本理念にのっとり、事業の実施前における環境影響評価の重要性を深く認識して、この法律の規定による国の施策に準じた環境影響評価その他の手続を実施することにより、事業の実施による環境への負荷をできる限り回避し、又は最小化することその他の環境の保全について配慮しなければならない。

(事業者の責務)

第三条の三 事業者は、基本理念にのっとり、事業の実施前における環境影響評価の重要性を深く認識して、この法律の規定による国の施策及び地方公共団体の施策として実施される環境影響評価その他の手続が適切かつ円滑に行われように協力するとともに、事業の実施による環境への負荷をできる限り回避し、又は最小化することその他の環境の保全について配慮しなければならない。

(国民の責務)

第三条の四 国民は、基本理念にのっとり、事業の実施前における環境影響評価の重要性を深く認識して、この法律の規定による国の施策及び地方公共団体の施策として実施される環境影響評価その他の手続が適切かつ円滑に行われように協力するとともに、事業の実施による環境への負荷をできる限り回避し、又は最小化することその他の環境の保全について配慮するよう努めなければなければならない。

 

第二章 準備書の作成前の手続

 

第一節 第二種事業に係る判定

第四条

  第二種事業を実施しようとする者(国が行う事業にあっては当該事業の実施を担当する行政機関(地方支分部局を含む。)の長、委託に係る事業にあってはその委託をしようとする者。以下同じ。)は、総理府令(環境影響審査会規則)で定めるところにより、その氏名及び住所(法人にあってはその名称、代表者の氏名及び主たる事務所の所在地)並びに第二種事業の種類及び規模、第二種事業が実施されるべき区域その他第二種事業の概要(以下この項において「氏名等」という。)を環境影響審査会長に書面により届け出なければならない。

2 環境影響審査会長は、同項の規定による届出(同項後段の規定による書面の作成を含む。以下この条及び第二十九条第一項において「届出」という。)に係る第二種事業が実施されるべき区域を管轄する都道府県知事および当該地域を担当する市町村長(特別区の区長を含む。以下同じ。)に届出に係る書面の写しを送付し、三十日以上の期間を指定してこの法律(この条を除く。)の規定による環境影響評価その他の手続が行われる必要があるかどうかについての意見及びその理由を求めなければならない。

3 環境影響審査会長は、前項の都道府県知事および当該地域を担当する市町村長への書面の写しを送付したときは、総理府令で定めるところにより、当該都道府県地域においてその内容を公告し、公告の日から起算して一ヶ月間これを縦覧する。

4 前項の事業について、この法律の規定による環境評価その他の手続が行なわれる必要があるかどうかについて意見を有する者は、第二項に定める期間内に意見書の提出により、これを述べることができる。

5 環境影響審査会長は、第2項の規定による都道府県知事と市町村長の意見および前項の規定による意見が述べられたときはこれを勘案して、総理府令(環境影響審査会規則)で定めるところにより、届出の日から起算して六十日以内に、届出に係る第二種事業についての判定を行い、環境影響の程度が著しいものとなるおそれがあると認めるときは第一号の措置を、おそれがないと認めるときは第二号の措置をとらなければならない。

一 この法律(この条を除く。)の規定による環境影響評価その他の手続が行われる必要がある旨及びその理由を、書面をもって、届出をした者および第二項の都道府県知事と市町村長に通知し、当該都道府県地域においてその内容を公告し、一ヶ月間これを縦覧する

二 この法律(この条を除く。)の規定による環境影響評価その他の手続が行われる必要がない旨及びその理由を、書面をもって、届出をした者および第二項の都道府県知事および市町村長に通知し、当該都道府県地域においてその内容を公告し、一ヶ月間これを縦覧する

6 届出をした者で前項第一号の措置がとられたものが当該第二種事業の規模又はその実施されるべき区域を変更して当該事業を実施しようとする場合において、当該変更後の当該事業が第二種事業に該当するときは、その者は、当該変更後の当該事業について、届出をすることができる。この場合において、第二項から前項までの規定は、当該届出について準用する。

7 第二種事業(対象事業に該当するものを除く。)を実施しようとする者は、第五項第二号(前項及び第二十九条第二項において準用する場合を含む。)の措置がとられるまで(当該第二種事業に係る第一項各号に定める者が二以上である場合にあっては、当該各号に定める者のすべてにより当該措置がとられるまで)は、当該第二種事業を実施してはならない。

8 第二種事業を実施しようとする者は、第一項の規定にかかわらず、判定を受けることなくこの法律(この条を除く。)の規定による環境影響評価その他の手続を行うことができる。この場合において、当該第二種事業を実施しようとする者は、この法律(この条を除く。)の規定による環境影響評価その他の手続を行うこととした旨を環境影響審査会長に書面により通知し、環境影響審査会長にあってはその旨の書面を作成するものとする。

9 前項の規定による通知を受け、又は同項の規定により書面を作成した環境影響審査会長は、当該通知又は書面の作成に係る第二種事業が実施されるべき区域を管轄する都道府県知事に当該通知又は作成に係る書面の写しを送付しなければならない。

10 第八項の規定による通知又は書面の作成に係る第二種事業は、当該通知又は書面作成の時に第三項第一号の措置がとられたものとみなす。

11 第五項の総理府令(環境影響審査会規則)は、第二種事業の種類及び規模、第二種事業が実施されるべき区域及びその周辺の区域の環境の状況その他の事情を勘案して判定が適切に行われることを確保するため、判定の基準につき環境影響審査会長が、関連する主務大臣(主務大臣が総理府の外局の長であるときは、内閣総理大臣)と環境庁長官に協議して定めるものとする。

(旧第一〇項は削除)

 

第二節 方法書の作成等

(方法書の作成)

第五条 事業者は、対象事業に係る環境影響評価を行う方法(調査、予測及び評価に係るものに限る。)について、第二条第二項第一号イからソまでに掲げる事業の種類ごとに総理府令(環境影響審査会規則)で定めるところにより、次に掲げる事項を記載した環境影響評価方法書(以下「方法書」という。)を作成しなければならない。

一 事業者の氏名及び住所(法人にあってはその名称、代表者の氏名及び主たる事務所の所在地)

二 対象事業の目的及び内容

三 対象事業が実施されるべき区域(以下「対象事業実施区域」という。)及びその周囲の概況

四 対象事業に係る環境影響評価の項目並びに調査、予測及び評価の手法(当該手法が決定されていない場合にあっては、対象事業に係る環境影響評価の項目)

五 検討されるべき代替案

2 相互に関連する二以上の対象事業を実施しようとする場合は、当該対象事業に係る事業者は、これらの対象事業について、併せて方法書を作成することができる。

(方法書の送付等)

第六条

  事業者は、方法書を作成したときは、第二条第二項第一号イからソまでに掲げる事業の種類ごとに総理府令(環境影響審査会規則)で定めるところにより、対象事業に係る環境影響を受ける範囲であると認められる地域を管轄する都道府県知事及び市町村長に対し、方法書を送付しなければならない。

2 前項の総理府令(環境影響審査会規則)は、同項に規定する地域が対象事業に係る環境影響評価につき環境の保全の見地からの意見を求める上で適切な範囲のものとなることを確保するため、その基準となるべき事項につき環境影響審査会長が関係主務大臣と環境庁長官に協議して定めるものとする。

(方法書についての公告及び縦覧)

第七条

  事業者は、方法書を作成したときは、環境影響評価の項目並びに調査、予測及び評価の手法及び検討すべき代替案について環境の保全の見地からの意見を求めるため、総理府令で定めるところにより、方法書を作成した旨その他総理府令で定める事項を公告し、前条第一項に規定する地域内と総理府令が定める場所において、方法書を公告の日から起算して二月間縦覧に供しなければならない。

(説明会の開催等)

第七条の二

  事業者は、総理府令で定めるところにより、前条の縦覧期間内に、関係地域内において、方法書案の記載事項を周知させるための説明会(以下「説明会」という。)を開催しなければならない。この場合において、関係地域内に説明会を開催する適当な場所がないときは、関係地域以外の地域において開催することができる。

2 事業者は、説明会を開催するときは、その開催を予定する日時及び場所を定め、総理府令で定めるところにより、これらを説明会の開催を予定する日の一週間前までに公告しなければならない。

3 事業者は、説明会の開催を予定する日時及び場所を定めようとするときは、関係都道府県知事の意見を聴くことができる。

4 前各項に定めるもののほか、説明会の開催に関し必要な事項は、総理府令で定める。

(方法書についての意見書の提出)

第八条

  方法書について環境の保全の見地からの意見を有する者は、前条の公告の日から、同条の縦覧期間満了の日の翌日から起算して一月間を経過する日までの間に、事業者に対し、意見書の提出により、これを述べることができる。

2 前項の意見書の提出に関し必要な事項は、総理府令で定める。

(方法書についての意見の概要の送付)

第九条

  事業者は、前条第一項の期間を経過した後環境影響審査会長、第六条第一項に規定する地域を管轄する都道府県知事及び当該地域を管轄する市町村長に対し、前条第一項の規定により述べられた意見の概要及び当該意見についての事業者の見解を記載した書類を送付しなければならない。

(方法書についての環境影響審査会長、都道府県知事等の意見)

第十条

  前条に規定する環境影響審査会長、都道府県知事と市町村長は、同条の書類の送付を受けたときは、政令で定める期間内に、事業者に対し、方法書について環境の保全の見地からの意見を書面により述べるものとする。

2 前項の場合において、環境影響審査会長、当該都道府県知事と市町村長は、前条の書類に記載された意見及び事業者の見解に配意するものとする。

 

第三節 環境影響評価の実施等

(環境影響評価の項目等の選定と方法書の作成)

第十一条

  事業者は、前条第一項の意見が述べられたときはこれを勘案するとともに、第八条第一項の意見に配意して第五条第一項第四号に掲げる事項に検討を加え、第二条第二項第一号イからソまでに掲げる事業の種類ごとに総理府令(環境影響審査会規則)で定めるところにより、対象事業に係る環境影響評価の項目並びに調査、予測及び評価の手法を選定し、第五条第一項に掲げる事項について方法書を作成しなければならない。

2 事業者は、前項の規定による方法書を作成したときは、総理府令で定めるところにより、方法書を作成した旨その他総理府令で定める事項を公告し、関係地域内と総理府令が定める場所において、方法書を公告の日から起算して一月間縦覧に供しなければならない。

3 第一項の総理府令(環境影響審査会規則)は、環境基本法(平成五年法律第九十一号)第十四条各号に掲げる事項の確保と適切な社会影響についての評価を旨として、既に得られている科学的知見に基づき、対象事業に係る環境影響評価を適切に行うために必要であると認められる環境影響評価の項目並びに当該項目に係る調査、予測及び評価を合理的に行うための手法および検討すべき代替案を選定するための指針につき環境影響審査会が関係主務大臣環境庁長官に協議して定めるものとする。

(環境影響評価の実施)

第十二条 事業者は、前条第一項の規定により選定した項目及び手法に基づいて、第二条第二項第一号イからソまでに掲げる事業の種類ごとに総理府令(環境影響審査会規則)で定めるところにより、対象事業に係る環境影響評価を行わなければならない。

2 前条第三項の規定は、前項の総理府令(環境影響審査会規則)について準用する。この場合において、同条第三項中「環境影響評価の項目並びに当該項目に係る調査、予測及び評価を合理的に行うための手法を選定するための指針」とあるのは、「環境の保全のための措置に関する指針」と読み替えるものとする。

(基本的事項の公表)

第十三条 環境影響審査会長は関係する行政機関の長に協議して、第十一条第三項(前条第二項において準用する場合を含む。)の規定により環境影響審査会長が定めるべき指針に関する基本的事項を定めて公表するものとする。

 

第三章 準備書

 

(準備書の作成)

第十四条 事業者は、第十二条第一項の規定により対象事業に係る環境影響評価を行った後、当該環境影響評価の結果について環境の保全の見地からの意見を聴くための準備として、第二条第二項第一号イからソまでに掲げる事業の種類ごとに総理府令(環境影響審査会規則)で定めるところにより、当該結果に係る次に掲げる事項を記載した環境影響評価準備書(以下「準備書」という。)を作成しなければならない。

一 第五条第一項第一号から第三号までに掲げる事項

二 第八条第一項の意見の概要

三 第十条第一項の環境影響審査会長、都道府県知事、市町村長の意見

四 前二号の意見についての事業者の見解

五 環境影響評価の項目並びに調査、予測及び評価の手法

六 (削除)

七 環境影響評価の結果のうち、次に掲げるもの

イ 調査の結果の概要並びに予測及び評価の結果を環境影響評価の項目ごとにとりまとめ

たもの(環境影響評価を行ったにもかかわらず環境影響の内容及び程度が明らかとならな

かった項目に係るものを含む。)

ロ 環境の保全のための措置(当該措置を講ずることとするに至った検討の状況を含

む。)

ハ ロに掲げる措置が将来判明すべき環境の状況に応じて講ずるものである場合には、当

該環境の状況の把握のための措置

ニ 代替案についての検討結果

ホ 対象事業に係る環境影響の総合的な評価

八 環境影響評価の全部又は一部を他の者に委託して行った場合には、その者の氏名及び

住所(法人にあってはその名称、代表者の氏名及び主たる事務所の所在地および実際に業務を担当した者の氏名

2 第五条第二項の規定は、準備書の作成について準用する。

(準備書の送付等)

第十五条 事業者は、準備書を作成したときは、第六条第一項の総理府令(環境影響審査会規則)で定めるところにより、対象事業に係る環境影響を受ける範囲であると認められる地域(第八条第一項及び第十条第一項の意見並びに第十二条第一項の規定により行った環境影響評価の結果にかんがみ第六条第一項の地域に追加すべきものと認められる地域を含む。以下「関係地域」という。)を管轄する都道府県知事(以下「関係都道府県知事」という。)及び関係地域を管轄する市町村長(以下「関係市町村長」という。)に対し、準備書及びこれを要約した書類(次条及び第十七条において「要約書」という。)を送付しなければならない。

(準備書についての公告及び縦覧)

第十六条 事業者は、前条の規定による送付を行った後、準備書に係る環境影響評価の結果について環境の保全の見地からの意見を求めるため、総理府令で定めるところにより、準備書を作成した旨その他総理府令で定める事項を公告し、関係地域内と総理府令が定める場所において、準備書及び要約書を公告の日から起算して二月間縦覧に供しなければならない。

(説明会の開催等)

第十七条

 事業者は、総理府令で定めるところにより、前条の縦覧期間内に、関係地域内において、準備書の記載事項を周知させるための説明会(以下「説明会」という。)を開催しなければならない。この場合において、関係地域内に説明会を開催する適当な場所がないときは、関係地域以外の地域において開催することができる。

2 事業者は、説明会を開催するときは、その開催を予定する日時及び場所を定め、総理府令で定めるところにより、これらを説明会の開催を予定する日の一週間前までに公告しなければならない。

3 事業者は、説明会の開催を予定する日時及び場所を定めようとするときは、関係都道府県知事の意見を聴くことができる。

4 事業者は、その責めに帰することができない事由であって総理府令で定めるものにより、第二項の規定による公告をした説明会を開催することができない場合には、当該説明会を開催することを要しない。この場合において、事業者は、総理府令で定めるところにより、前条の縦覧期間内に、要約書の提供その他の方法により、準備書の記載事項を周知させるように努めなければならない。

5 前各項に定めるもののほか、説明会の開催に関し必要な事項は、総理府令で定める。

(準備書についての意見書の提出)

第十八条

 準備書について環境の保全の見地からの意見を有する者は、第十六条の公告の日から、同条の縦覧期間満了の日の翌日から起算して一月間を経過する日までの間に、事業者に対し、意見書の提出により、これを述べることができる。

2 前項の意見書の提出に関し必要な事項は、総理府令で定める。

(準備書についての意見の概要等の送付)

第十九条 事業者は、前条第一項の期間を経過した後、関係都道府県知事及び関係市町村長に対し、同項の規定により述べられた意見の概要及び当該意見についての事業者の見解を記載した書類を送付しなければならない。

(準備書についての関係都道府県知事等の意見)

第二十条 関係都道府県知事と関係市町村長は、前条の書類の送付を受けたときは、政令で定める期間内に、事業者に対し、準備書について環境の保全の見地からの意見を書面により述べるものとする。

2 第十条第二項の規定は、前項の規定により関係都道府県知事と関係市町村長が準備書について意見を述べる場合について準用する。

 

第四章 評価書

 

第一節 評価書の作成等

(評価書の作成)

第二十一条 事業者は、前条第一項の意見が述べられたときはこれを勘案するとともに、第十八条第一項の意見に配意して準備書の記載事項について検討を加え、当該事項の修正を必要とすると認めるとき(当該修正後の事業が対象事業に該当するときに限る。)は、次の各号に掲げる当該修正の区分に応じ当該各号に定める措置をとらなければならない。

一 第五条第一項第二号に掲げる事項の修正(事業規模の縮小、政令で定める軽微な修正その他の政令で定める修正に該当するものを除く。) 同条から第二十七条までの規定による環境影響評価その他の手続を経ること。

二 第五条第一項第一号又は第十四条第一項第二号から第四号まで、第六号若しくは第八号に掲げる事項の修正(前号に該当する場合を除く。) 次項及び次条から第二十七条までの規定による環境影響評価その他の手続を行うこと。

三 前二号に掲げるもの以外のもの 第十一条第一項及び第十二条第一項の総理府令(環境影響審査会規則)で定めるところにより当該修正に係る部分について対象事業に係る環境影響評価を行うこと。

2 事業者は、前項第一号に該当する場合を除き、同項第三号の規定による環境影響評価を行った場合には当該環境影響評価及び準備書に係る環境影響評価の結果に、同号の規定による環境影響評価を行わなかった場合には準備書に係る環境影響評価の結果に係る次に掲げる事項を記載した環境影響評価書(以下第二十六条まで、第二十九条及び第三十条において「評価書」という。)との要約書(以下「評価書要約書」という)を、第二条第二項第一号イからソまでに掲げる事業の種類ごとに総理府令(環境影響審査会規則)で定めるところにより作成しなければならない。

一 第十四条第一項各号に掲げる事項

二 第十八条第一項の意見の概要

三 第二十条第一項の関係都道府県知事の意見

四 前二号の意見についての事業者の見解

環境影響審査会長等への送付と公告縦覧)

第二十二条 事業者は、評価書を作成したときは、速やかに、環境影響審査会長、関係都道府県知事および関係市町村長にこれを送付するとともに、総理府令で定めるところにより、評価書を作成した旨その他総理府令で定める事項を公告し、関係地域内と総理府令が定める場所において、評価書及び評価書要約書を公告の日から起算して二月間縦覧に供しなければならない

旧第二十三条 削除

(評価書についての意見書の提出)

第二十三条

  評価書について環境の保全の見地からの意見を有する者は、前条の公告の日から、同条の縦覧期間満了の日の翌日から起算して二週間を経過する日までの間に、事業者に対し、意見書の提出により、これを述べることができる。

2 前項の意見書の提出に関し必要な事項は、総理府令で定める。

(評価書についての意見の概要等の送付)

第二十三条の二 事業者は、前条第一項の期間を経過した後、環境影響審査会長、関係都道府県知事及び関係市町村長に対し、同項の規定により述べられた意見の概要及び当該意見についての事業者の見解を記載した書類を送付しなければならない。

環境影響審査会長等の意見)

第二十四条

  環境影響審査会長、関係都道府県知事および関係市町村長は、第二十二条の規定による送付を受けたときは、必要に応じ、政令で定める期間内に、事業者に対し、評価書について環境の保全の見地からの意見を書面により述べることができる。

2 第十条第二項の規定は、前項の規定により環境影響審査会長、関係都道府県知事と関係市町村長が準備書について意見を述べる場合について準用する。

 

第二節 評価書の補正等

(評価書の再検討及び補正)

第二十五条 事業者は、前条の意見が述べられたときはこれを勘案して、評価書の記載事項に検討を加え、当該事項の修正を必要とすると認めるとき(当該修正後の事業が対象事業に該当するときに限る。)は、次の各号に掲げる当該修正の区分に応じ当該各号に定める措置をとらなければならない。

一 第五条第一項第二号に掲げる事項の修正(事業規模の縮小、政令で定める軽微な修正その他の政令で定める修正に該当するものを除く。) 同条から第二十七条までの規定による環境影響評価その他の手続を経ること。

二 第五条第一項第一号、第十四条第一項第二号から第四号まで、第六号若しくは第八号又は第二十一条第二項第二号から第四号までに掲げる事項の修正(前号に該当する場合を

除く。) 評価書について所要の補正をすること。

三 前二号に掲げるもの以外のもの 第十一条第一項及び第十二条第一項の総理府令(環境影響審査会規則)で定めるところにより当該修正に係る部分について対象事業に係る環境影響評価を行うこと。

2 事業者は、前項第三号の規定による環境影響評価を行った場合には、当該環境影響評価及び評価書に係る環境影響評価の結果に基づき、第二条第二項第一号イからソまでに掲げる事業の種類ごとに総理府令(環境影響審査会規則)で定めるところにより評価書の補正をしなければならない。

3 事業者は、第一項第一号に該当する場合を除き、同項第二号又は前項の規定による補正後の評価書の送付(補正を必要としないと認めるときは、その旨の通知)を、環境影響審査会長に対してしなければならない。

(環境庁長官等への評価書の送付)

第二十六条 削除

(都道府県知事等への評価書の送付)

第二十六条

 事業者は、前条第三項の規定による送付又は通知をしたときは、速やかに、関係都道府県知事および関係市町村長に第二十五条第一項第二号又は前項の規定による補正後の評価書の送付(補正を必要としないと認めるときは、その旨の通知)および第二十四条の書面を送付しなければならない。

(評価書の公告及び縦覧)

第二十七条 事業者は、第二十五条第三項の規定による送付又は通知をしたときは、総理府令で定めるところにより、評価書(前条第一項第二号又は前項の規定による評価書の補正をしたときは、当該補正後の評価書、第三十二条の二において同じ)を作成した旨その他総理府令で定める事項を公告し、関係地域内において、評価書、これを要約した文書(次条において「評価要約書」という)及び第二十四条の書面を公告の日から起算して一月間縦覧に供しなければならない。

 

第五章 対象事業の内容の修正等 特に変更なし

 

(事業内容の修正の場合の環境影響評価その他の手続)

第二十八条 

(事業内容の修正の場合の第二種事業に係る判定)

第二十九条 

(対象事業の廃止等)

第三十条 

 

第六章 評価書の公告及び縦覧後の手続

 

(対象事業の実施の制限)

第三十一条 特に変更なし

(評価書の公告後における環境影響評価その他の手続の再実施)

第三十二条 特に変更なし

(環境の保全の配慮についての審査)

第三十二条の二 第二十七条によって公告された評価書について環境の保全の見地からの意見を有する者は、前条の公告の日から、同条の縦覧期間満了の日の翌日から起算して二週間を経過する日までの間に、環境影響審査会長に対し、意見書の提出により、これを述べることができる。

2 前項の意見書の提出に関し必要な事項は、総理府令で定める。

3 関係都道府県知事および関係市町村長は、第二十六条の規定による送付を受けたときは、必要に応じ、政令で定める期間内に、環境影響評価審査会に対し、評価書について環境の保全の見地からの意見を書面により述べることができる

4 環境影響審査会長は、評価書の記載事項及び第二十四条の書面に基づいて、当該対象事業につき、環境の保全についての適正な配慮がなされるものであるかどうかを審査し、その結果を書面にして、免許等を行う者(政府法案第二十二条の一項各号に定める者)に送付するとともに、その書面を作成した旨その他総理府令で定める事項を公告し、関係地域内と総理府令が定める場所において、審査書その他総理府令で定める文書を、公告の日から起算して一月間縦覧に供しなければならない

5 前項の審査をするにあたり、環境影響審査会長は、第一項の意見に配意し、第三項の意見を勘案しなければならない

(免許等に関わる環境の保全の配慮)

第三十三条

  対象事業にかかる免許等を行う者は、当該免許等の審査に際し、当該免許等に係る当該規定にかかわらず、当該規定に定める当該基準に関する審査と第三十二条の二の規定による環境の保全に関する審査の結果を併せて判断するものとし、当該判断に基づき、当該免許等を拒否する処分を行い、又は当該免許等に必要な条件を付することができるものとする。

2 対象事業に係る免許等であって対象事業の実施において環境の保全についての適正な配慮がなされるものでなければ当該免許等を行わないものとする旨の法律の規定があるものを行う者は、第三十二条の二の審査の結果に基づいて、当該法律の規定による環境の保全に関する判断を行うものとする。

3 前二項の規定は、第二条第二項第二号ホに該当する対象事業に係る免許、特許、許可、認可又は承認(同号ホに規定するものに限る。)について準用する。

(特定届出に係る環境の保全の配慮)

第三十四条 対象事業に係る特定届出を受理した者は、第三十二条の二の審査結果に基づき、環境の保全に関する適正な配慮に欠けると認めるときは、当該特定届出に係る法律の規定にかかわらず、当該特定届出をした者に対し、当該規定によって勧告又は命令をすることができることとされている期間(当該特定届出の受理の時に評価書の送付を受けていないときは、その送付を受けた日から起算する当該期間)内において、当該特定届出に係る事項の変更を求める旨の当該規定による勧告又は命令をすることができる。

2 前項の規定は、第二条第二項第二号ホに該当する対象事業に係る同号ホの届出について準用する。

(交付決定権者の行う環境の保全の配慮の確保)

第三十五条 対象事業に係る交付決定権者は、第三十二条の二の審査結果に基づき、当該対象事業につき、環境の保全に関する適正な配慮がなされることを確保するようにしなければならない。

(法人監督者の行う環境の保全の配慮の確保)

第三十六条 対象事業に係る法人監督者は、第三十二条の二の審査結果に基づき、当該対象事業につき、当該法人に対する監督を通じて、環境の保全に関する適正な配慮がなされることを確保するようにしなければならない。

(主任の大臣の行う環境の保全の配慮の確保)

第三十七条 対象事業に係る第四条第一項第四号又は第五号に定める主任の大臣は、第三十二条の二の審査結果に基づき、当該対象事業につき、環境の保全についての適正な配慮がなされることを確保するようにしなければならない。

(事業者の環境の保全の配慮等)

第三十八条 事業者は、評価書に記載されているところおよび第三十二条の二の審査結果により、環境の保全についての適正な配慮をして当該対象事業を実施するようにしなければならない。

2 この章の規定による環境の保全に関する適正な配慮がなされるよう確保するようにする業務を行うべき者が事業者の地位を兼ねる場合には、当該業務を行うべき者は、当該業務に従事するその者の職員を当該事業の実施に係る業務に従事させないようにしなければならない。

(不服申立)

第三十九条

  この法律の規定による環境影響評価その他の手続に係る対象事業について意見を述べ又は提出したことがある者は何びとも、当該対象事業に係る許認可等の処分について、当該許認可権者等に対し、異議の申立をすることができる。

 

第七章 環境影響評価その他の手続の特例等

 

第二節 港湾計画に係る環境影響評価その他の手続

(用語の定義)

第四十七条

  この節、次章及び附則において「港湾環境影響評価」とは、港湾法(昭和二十五年法律第二百十八号)第二条第二項に規定する重要港湾に係る同法第三条の三第一項及び同条第十項に規定する地方港湾に係る港湾計画(以下「港湾計画」という。)に定められる港湾の開発、利用及び保全並びに港湾に隣接する地域の保全(以下この節において「港湾開発等」という。)が環境に及ぼす影響(以下「港湾環境影響」という。)について環境の構成要素に係る項目ごとに調査、予測及び評価を行うとともに、これらを行う過程においてその港湾計画に定められる港湾開発等に係る環境の保全のための措置を検討し、この措置が講じられた場合における港湾環境影響を総合的に評価することをいう。

 

第八章 雑則

 

(条例との関係)

第六十条

  この法律の規定は、地方公共団体が次に掲げる事項に関し条例で必要な規定を定めることを妨げるものではない。

一 対象事業以外の事業に係る環境影響評価その他の手続に関する事項

二 対象事業にかかる環境影響評価その他の手続に関する事項

2 対象事業が、地方公共団体が定める環境影響評価の手続の対象となった場合においては、当該対象事業に係る環境影響評価に関する手続の実施について、調整を図るために国は、当該地方公共団体と協議するものとする

 

附則

第七条

  政府は、この法律の施行後五年を経過した場合において、この法律の施行の状況について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。