・209系試作車(元901系)

クハ208-901以下10連  1992年、従来の思想にとらわれない次世代の鉄道車両のあり方を模索する使命を帯びて京浜東北線に901系として10両編成3本の通勤電車が投入されました。新造価格の半減と寿命の適正化、メンテナンスフリー化、重量の半減などが目標とされました。
 制御方式は、JR東日本では初のVVVFインバータ制御とされ、各編成に別のタイプのインバータが搭載されました。A編成ではトランジスタを使用した個別制御、B編成はGTOによる個別制御、C編成は低耐圧GTOによる3レベルインバータで4個一括制御というように先進的なものから旧来の技術でも可能なものまで、様々な方式が試されました。
 各編成での比較検討の結果は209系に反映され、現在では901系も209系900/910/920番代に改番されています。
2000.3.22 京浜東北線西日暮里駅にて撮影
 900番代走行音[209-90a.ra/271KB] 直接再生
 元901系A編成である900番代の走行音です。富士電機製のパワートランジスタを使用したインバータで、チョッパ車のように鳴り続ける非同期音が特徴です。とは言っても、ある程度の速度になるとやはり非同期の音は終わるようで、よく聞くとまるで最近の2レベルIGBTインバータのような鳴り方をしています。回路構成は確かにそれに近いようですし、制御方法もほぼ同じ内容のものと思われます。1ユニットのインバータを構成するにも素子数がかなり多いようなのでコスト的にもっとも不利だったものと予想されます。
 録音は京浜東北線西川口→川口間です。何となく4両の電動車の中で一番音の大きそうなモハ208-901で録ったのですが、隣の車両のコンプレッサの音が・・・。
 ちなみに、900番代と910番代では個別制御となっていて、共に全ての電動車にインバータが搭載され、そのうちモハ209形にコンプレッサ、モハ208形にSIVが搭載される構成となっています。
 モハ209-911走行音[209-91a.ra/260KB] 直接再生
 こちらは元B編成の910番代です。東芝製(と思われる)の高耐圧低容量GTOサイリスタによる個別制御の2レベルインバータが採用されています。既に登場していた阪急8000系などと似たタイプですが、音の変化は同車に比べて加速時は1回少なく減速時は1回多いという、不思議な関係が成り立っています。ちなみに、この910番代の場合、インバータ装置は1モーター分ごとに分割され、台車付近に分散配置される非常に珍しい形態となっています。当時の鉄道雑誌による新車紹介で「分散制御」などと呼ばれたりしましたが、そんなわけの分からない制御方法は考えられず、分散「配置」を言いたかったんだろうと思われます。
 このモハ209-911は編成中の4両の電動車の中でも一番標準的な音をたてている、と思っていたのですが、久しぶりに乗ってみたら「ファン」という音も少し聞こえるし、なんとなく荒っぽい鳴り方になっていた感じもします。
 録音区間は京浜東北線西川口→川口間です。
 モハ208-911走行音[209-91b.ra/264KB] 直接再生
 同じく910番代の、モハ208-911の走行音です。以前はこの車両が「ファン」という感じの雑音をよく鳴らしていた記憶があるのですが、いつの間にかほとんど聞こえないくらいになっていたようです。結局モハ209-911と今では大した違いはないと言えるのでしょうか・・・。
 録音は北浦和→浦和間です。
 モハ209-912走行音[209-91c.ra/237KB] 直接再生
 モハ209-912の走行音です。非同期の2つ後の唸りが始まるあたりに独特の雰囲気があるようでして・・・。何となく373系の雑音の激しいタイプみたいな鳴り方でもあるように感じられます。ブレーキの時も最後の切替えの直前あたりで分かるのではないかと思います。
 録音は南浦和→浦和間です。どうやらこの短い区間で90km/hまで上げていたようで、本当に短いファイルになりました。いつもこれくらいの走りをしたらすごいんですがねぇ・・・。
 モハ208-912走行音[209-91d.ra/281KB] 直接再生
 モハ208-912の走行音です。これはほぼ標準に近い音と言っていいように感じられます。正直なところ違いを論じようとすること自体無理があるような・・・、とも感じているんですがね(^^;
 それにしてもこの時は本当によく飛ばしていますね。ここまで激しい音が聞こえてくるというのもびっくりしました。逆に、これって本当に90km/h信号しか出ていないの?という疑問も感じてしまいますし・・・。
 録音は大森→大井町間です。
 モハ208-912空転音[209-91e.ra/112KB] 直接再生
 モハ208-912の加速音なのですが、雨でもないのになぜか空転してしまいました。非同期モードの時から妙に前後動が激しいなとは感じていたのですが、その後こんなに不安定な音が出てくるとは思ってもみなかった、というのが感想です。このファイルでも非同期の最後のあたりからしばらく「ガコガコ」という感じの音が聞こえるのではないかと思います。
 録音は北行電車の大井町発車時です。
 920番代走行音[209-92a.ra/305KB] 直接再生
 こちらは元C編成の920番代の走行音です。非同期(と言っていいかどうかは不明ですが)の音の響き方は結構すごいみたいです。基本的には量産車と同じようなものなんですがね・・・。
 録音は大森→大井町間です。
・その他の写真
 まだ901系だった頃の写真なんですが、はっきり言ってロクな写り方をしてません。それ以前に編成もはっきりしていませんし・・・。
 手元の記録によるとクハ901-3つまりC編成らしいのですが・・・。
 1993.5.20 京浜東北線東京駅にて撮影
 元B編成、クハ208-911以下10両の編成です。後ろからの写真ですが、側面の窓が大型1枚窓ではなく、縦の桟が入った2枚構成の窓であることなどが分かるかと思います。ちなみに、この編成は全車東急車輌製です(A編成は川崎重工、C編成は4・5号車のC'編成部分のみ東急、残りは川重です)。
 1999.8.28 京浜東北線大井町駅付近にて撮影
 元C編成、クハ209-921以下10両の編成です。これも後ろからの写真ですが、側面の窓がA編成同様大型1枚窓であることなどが分かると思います。もちろん、元C'編成の4・5号車はB編成のような2枚窓ですが、この写真ではさすがに分からないでしょうね。
 2000.3.22 京浜東北線西日暮里駅にて撮影
 モハ209-901のVVVFインバータ装置です。900番代では各電動車の海側にこの装置が搭載されています。最近のIGBT個別制御タイプのものよりコンパクトなくらいに見えてしまいます。
 2000.2.4 川崎駅にて撮影
 モハ209-911の山側後位寄りのVVVFインバータ装置です。先述の通り台車付近の4ヶ所に分散配置されているため、どちらの側面からでもこのように装置の姿を見ることが可能です。これを4つ合わせると255系やJR西日本のGTO個別制御車各種のような装置になることは容易に想像がつくと思います。
 2000.2.5 品川駅にて撮影
 モハ209-922のVVVFインバータ装置です。量産車に反映されたシステムであり、たてる音もほとんど同じなのですが、装置の形はかなり違っています。写りが悪いので分かりにくいかもしれませんが、量産車の側面が網状であるのに対し、こちらは完全に蓋をされたような形になっていて、さらに上端部分も角が取れているというような特徴があります。
 2000.3.22 京浜東北線西日暮里駅にて撮影


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