HOLST
The Planets
(includes Pluto by Colin Matthews)
ホルスト/組曲「惑星」(マシューズ作曲「冥王星」付き)

デーヴィッド・ロイド・ジョーンズ指揮 ロイヤルスコティッシュ管弦楽団
2001年製作


「ん?惑星に冥王星なんて付いてたか?」

 あのカバー?曲はどうにも恋愛と個人の感傷にしちゃってて好きじゃないのですが、ジュピターのヒット以降、日本における博覧会、もしくは大きな式典や公式行事の定番曲として演奏される事の多くなったのがホルストの「惑星」。とは言っても演奏は木星だけが多いんですけどね。

 初演が1918年(19年?)作曲は1914年から16年の2年間にかけて行われ、最終的に全惑星が演奏されたのは1920年の事だったのですが、その当時「冥王星」は発見(発見は1930年)されておらず、ホルストの死後(1934年死去)、2000年にイギリスの作曲家(英国ホルスト協会理事でもある)コリン・マシューズという人が指揮者のケント・ナガノ(色物というか企画好きの指揮者)に依頼されて作っちゃたのがここのレビュウの本題、冥王星です。
 科学的に近年では単に質量のでかい小惑星ではないかとの説も有力で、ちょっと地位が低下しちゃってるんですが、現状の科学や西洋占星術ではまだまだ惑星としての地位を保っています。位置が法則的にずれてちゃったりするんですけどね、でも理論って後付けの部分もあるし、神秘学的な音楽論では理論的にあってるらしいです。 この辺のお話はボーデの法則やらケプラーが絡んでくる上に、占星術とその理論等も絡んで非常にややこしいく、その中でもまた諸説紛々で難しいのです。(僕も良く解りません、と言うより理解不能な面も)

 音楽的にはどうなんでしょうね、リスペクト?オマージュ?確かにそれっぽく作っちゃってるのですが、結して名曲とは言えませんし、付け足しな部分は否めません。あまりに元が完成されちゃってますからねぇ(笑)。
 本来完成された作品に付け加えるのは…なんて事はウチのサイトでは野暮な話。「無いから作っちゃおう!」って発想がとても大好きです。元々の海王星のラストの部分を編曲して冥王星へとつなげる所なんか、いくら編曲が解禁になったからって…。試みとしては面白く、よく聴けばいわれているよりも良く出来たホルスト風管弦楽曲にも聴こえないこともありません。そこはホルスト協会の理事、色々研究はしているでしょうから外さない程度には作ってます。「居るんだから使っちまえ」と思ったか、惑星本体に使われている女声合唱をまた使っているのもナイスですね。
 
 付け足しと思われてるせいかクラシックファン的には決して評判は良く無いです。ある意味当たり前の様な気がします。これがロックの世界だって死んじゃったアーティストの曲を改編したりするのって基本的に評判悪いしね。
 しかしながら帯解説を読むと、ホルストの祖国であるイギリスではこの「惑星(冥王星付き)」が演奏されるのが着実(かどうか未確認)に広まっているらしいです。なんか嘘の様な、イギリス人お得意のブラックジョークじゃないのか?まぁ、ルパン対ホームズみたいなモンだと思えばそんな目くじらたてる事じゃ無い(いや、立てると思う)と僕は思います、ホルストの孫だか娘だかも認めてるらしいし。
 タイトルの「冥王星ー再生の神」にしても、作曲者のマシューズに神話や占星術的なその手の知識が無いとかなんとか言われてますけど、ここまで来ちゃうと西洋占星術云々、ローマ神話云々ではなく、最初に惑星という宇宙スペクタクルの様な音楽を作ったオリジネーターはホルストであるという事実と冥王星を付け加える事でさらに新しい時代のホルストを位置付けた上でのホルスト神話の再生、(何せ英国ホルスト協会理事!)そしてホルスト的なモノを作った(作っちゃった)という意味での再生がこの曲の題なのではないのかとも暴走気味に考えちゃいます。こんな風に考えて聴けば結構楽しめるんじゃないかなぁ?なんか変に暴走した肯定的評価で自分でも気持ち悪いですねぇ。まぁ、半分は聞き流して下さい。
 このままの調子でいけば地球と同じ軌道上、太陽の裏側にあって地球からは観測出来ないと言われている地球と同様の惑星とか(実際はそんな星ありません)冥王星の外側にあると言われている惑星とか見つかったらまた付け足されるのかな?それはそれで(もし出来たら)面白い気がいたします。人類の遺産としての「惑星」組曲!地球中心の銀河系惑星政府公認歌!なんだそりゃ(笑)。最後はおふざけでした。

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