クラヴィコード製作日記 − 98.6




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98.6.6

bridgeの上面をノミで斜めに削り,鍵盤側が1mmくらい低くなるようにする。弦がbridgeの木に当たらずに,bridge pinに直接当たるようにするため。

98.6.7

sound boardの上面に艶消しワニスを塗った。少し薄めたものを1回塗りした後にペーパーをかけ,2回目を塗って仕上げた。これでsound boardの部分はbridge pinを打って本体に貼り付ければよい段階となったので,おねえさんにフラワーペインティングをしてもらうことにした(写真a)。今日は半分くらいまで書き終わった。
次に,rackとbass hitchrailにhitch pinを挿す下穴(1.5mm)をあけた(写真b,c)。name board(鍵盤の向こうの縦板)を取り付けるために鍵盤の左右の側板の角を削り,所定の位置に固定するための楔の寸法を適切に調整して取り付けた。写真d,eはそれぞれ鍵盤の左側,右側のジョイント部分を向こう側から撮ったもの。鍵盤の左の側板と,本体の左側板の間に小さいものを入れることのできる箱の部分ができるが(写真d参照),その蓋を加工した(写真f)。

a

b

c

d

e

e

98.6.8

サイドワークにしようと考えていた鍵盤の加工(98.4.26参照)が,結局いままで中断していたが,これを再開した。鍵盤の材料となっているのは,何枚かの板材を糊付けで集成したもののようだが,その糊が所々べたべたにはみ出して固まっていた。大部分は他の板を貼り付けた隠れたり,削ってしまったり,裏だったりする場所だが,やはり気持ちよくないので,まずはこれを全て徹底して落とすことにした。ノミと紙ヤスリできれいにしていった。そして,装飾用のけがき線を引いていった。前後,1週間ほどをこれにかけた。

98.6.13

sound boardのフラワーペインティングが完成した(写真a)。

a

98.6.14

朝からずっと雨だが,今日中にsound boardを所定の位置に取り付けるつもりで作業開始。まず,bridgeにbridge pinを打っていく。これは基本的に真鍮製の釘で,適当な深さまで打った後,ペンチで頭を折り,更に2mm位を残してヤスリで削り,全てのpinがきれいに並ぶように高さをそろえて仕上げる。写真aがその出来上がり。
こうして仕上がったsound boardを本体に取り付けるが,梅雨入りしたこともあって,かなり寸法が延びており,相当反りを生じている(3-4cmは反っていた)。sound barをつけたときのように日光に当てることもできないので,電気ヒーターの温風に数時間さらして,何とか反りがかなり小さい状態にまで戻すことができた。これを本体に糊付けし(写真b),翌日朝には固定した(写真c)。
sound boardを乾燥させている間に,準備ができた鍵盤の加工を行った。まずbalance pinを通す穴を,附属の工具(slot punch)でたたいて所定の形にする作業を全ての鍵盤で済ませた。次にナチュラルキーとシャープキーの間の境界に1-4個の1.5mmの穴をあける。必要に応じてここにノミで切れ込みをつけておいて,シャープキーを持ち上げて折り,ナチュラルとシャープのキーの材料を全て分離した(写真d)。

a

b

c

d

98.6.17

sound boardの右端に,wrest plank cappingという板を貼る。これを通して,wrest plankにチューニングピンを挿していくことになる。まず所定の寸法にヤスリで仕上げ,面取りをする。wrest plankに切れ込みを入れた場所に対応する位置(裏面)を,削って薄くしてsound boardが振動できるようにする(写真a)。チューニングピンを挿す位置に針でマークをつけ(例によって図面を1.008倍した上で図面から写し取る),sound boardの右端に糊付けした(写真b)。貼り付けたときには板の右端と右側板はほとんどぴったり密着していたのに,乾燥後クランプをとってみると,何故か部分的に1mm弱の隙間ができてしまっていた。クランプをしめる際に動いてしまったのか。sound board moulding(次に書く)があまったら,これで隠すことを考えよう。
sound boardの周囲は,材料の特性のため寸法がぴったりでないので,1-2mmほどの隙間が囲んでいる。これを隠すための飾りがsound board mouldingである。これは加工された3本の角材が供給されていて,それをカットして用いる。まず前面の内側のmouldingを加工し,糊付けした。

a

b

98.6.18

残りの部分のsound board mouldingも加工し,翌日までに全部糊付けした(写真a)。

a

98.6.21

wrest plank cappingに,チューニングピンを挿す穴をあけ,ペーパーをかけて仕上げた(写真a)。本体部分はこれでほぼ作業が終わり,次にはhitch pinやbalance pin等の金属部品を挿していかなければならないので,その前に全体を塗装する。sound boardのような塗らない部分をマスクした上で,透明艶消しニスを本体全体に塗った。更に外から直接見える部分に関しては,水で濡らしたペーパーを軽くかけた上でもう一度重ね塗りして仕上げた。

a

98.6.28

弦の端を引っかけるhitch pinを真鍮の針金から作り,以前にあけてある下穴に打ち込んでいく。穴をあけた厚さ4mmの板を添えて打ち込み,高さが一定になるようにする。特に一番左側の列のhitch pinを打ち込むときには,スペースが狭いため,かなり苦労した。何回か左の側板を金槌で打ってしまった。同様に,balance railにbalance pinを打っていく(写真a)。何と,鍵盤数よりも2個だけ多く入っているはずのbalance pinが,鍵盤数よりも1個少ないことにここで気付いた。これについては電子メールで不足分を補充してもらう手紙を送ることにする。この少ない1個は後回しにしておいて,balance pinの手前に鍵盤の支点となる革製の紐を糊付けした(写真b)。これで一応鍵盤を乗せる準備が整い,以後鍵盤の加工にしばらく専念することになる。寸法関係が適正であることを調べるため,全ての鍵盤をbalance pin上に乗せてみた。シャープトップを乗せれば,外観は一見完成品に近くなってきた(写真c)。

a

b

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