SHOH's LIVE REPORTS

Thunder ( March 19, 2000, Club Citta Kawasaki, Kanagawa )



HUNDER が好きだと公言し、実際に私にとって特別な3つのバンド ( Great White、Def Leppard、Thunder ) のうちのひとつであったわけなのですが、今日この日まで、これほどまでに好きだったとは自覚していませんでした。きのうまでは笑って見送ることが出来ると思っていました。彼らのほうもそれを望んでいましたし。

そして最終日。湿っぽい最後にはしたくないという配慮からか、セットリストはアップテンポの明るい曲が多めだったように思えます。が、逆にそうした中にある "You Can't Live Your Life In A Day" や "In A Broken Dream" は、まるで今の彼らの心境を吐露しているようで、目頭が熱くなってきました。ダニーも3曲目くらいからすでに泣き出していて、曲の間にうしろに下がってタオルで汗をふくフリをしては、両目をこすっているのが、ルーク側の端にいた私にはよく見えてしまい、よけいに胸が詰まりました。

アンコールはカヴァー曲のオンパレードでした。ファンとしては、最後のショウはオリジナルを出来るだけたくさん演奏してほしいと思っていたのですが、彼らにとってもこれが5人そろって演奏する最後のチャンスになるわけで、カヴァー曲で楽しみたかったのかもしれません。ハリーが "Bell Boy"、ルークが "Twist & Shout" とメイン・ヴォーカルをとったのも、メンバー同士の想い出作りだったのかも。

1度目のアンコールは "Dirty Love" 抜きだったので、「よかった、あれをやらない限りショウは続く」 と思ったのは私だけではないでしょう。2度目のアンコールの3曲目にダニーがとうとう導入部の語りを始めたとき、いつもだったらおおいに湧く前のほうのオーディエンスがシーンとしてしまったのがその証拠。

私はもう我慢の限界でした。もちろん一緒に歌い、手を叩き、踊りましたが、顔は涙でぐちゃぐちゃ、ともすればステージがぼやけてしまいます。間奏部分でこちらのほうにきて客を煽っているダニーも、今では涙を隠そうともせず、すすりあげている音がマイクなしなのに聞こえてきました。それでも笑顔を作っていたので、後ろのほうのファンは気づかなかったのではないでしょうか。泣いてはいても彼のヴォーカルは一度も乱れることも途切れることもありませんでした。

それにしても、ダニーが涙をふきにいくたびに泣き顔を見せられていたハリーはどんな気持ちだったでしょうね。サングラスで目を隠していたので表情はうかがえませんでしたが、ともすれば湿っぽくなりがちなステージの上と下を励ますかのごとく、ドラムセットの向こう側からのお茶目ないたずらがいつもより多かったのがハリーらしい思いやりだなあと思いました。

きのうまでは元気いっぱいだったベンも、後半に近づくにつれて笑顔が少なくなり、伏し目がちになっていきました。クリスは完全に泣き顔、ルークはさすがにバンマスだけあってクールな表情を崩さず、ギターソロもきのう同様完璧に近い出来でしたが、最後の "A Better Man" ではこみあげるものをこらえているかのように唇をきっと結んだままでした。この曲、いつもは最後の部分をハリーが歌うおふざけがありますが、きょうはもちろんダニーが歌い上げ、THUNDER としてのパフォーマンスの最後を締めくくりました。

客席からはこのあとも拍手と THUNDER コールが続き、場内アナウンスが何度繰り返されてもステージ前の人垣は崩れませんでした。アンコールを求めてではなくて、彼らとの日々を思い出し、立ち去りがたかった人が多かったのではないかと思います。私もしばらくの間、動けませんでした。

  1. Welcome To The Party
  2. Backstreet Symphony
  3. Higher Ground
  4. Love Worth Dying For
  5. Pilot Of My Dreams
  6. Gimme Some Lovin'
  7. You Can't Live Your Life In A Day
  8. Fly On The Wall
  9. Rolling The Dice
  10. In A Broken Dream
  11. River Of Pain
  12. Just Another Suicide - I Wish (Stevie Wonder) - Just Another Suicide
    - Encore 1 -
  13. Long Train Running ( The Doobie Brothers )
  14. Bell Boy ( The Who )
  15. Play That Funky Music ( Wild Cherry )
  16. Twist & Shout ( The Beatles )
  17. The Only One
    - Encore 2 -
  18. Stay With Me ( Faces )
  19. Cosmetic Punk
  20. Dirty Love
    - Encore 3 -
  21. A Better Man


正直言って、これほどショックを受けるとは自分でも思っていなかったので、準備不足を痛感しています。もちろん彼らの音楽はこれからもずっとアルバムで聴くことはできますが、あのステージは見ることができません。あれほどのライヴ・バンドをこれから先みつけることが出来るだろうかと考えるとかなり絶望的にもなります。

もう少し時間がたち、冷静さを取り戻したときに初めて、彼らが私たちにくれたたくさんの素晴らしい想い出をじっくり噛みしめることができるようになるのでしょう。

でも、今はこれだけ。 I miss you badly ...


2000 I INDEX I Tの目次へ I TOP PAGE