SHOH's LIVE REPORTS

The Tea Party (Jan 26,2000 at Babylon, Munich)



月26日にミュンヘン、29日にノイゼンブルグで QUEENSRYCHEの前座としてヨーロッパを回っている THE TEA PARTYのライヴを見ました。もうずっと長い間ライヴが見たいと願っていたバンドです。26日のほうは出発前にチケットも買ってあったのですが、実際に見たらあまりにもよかったので29日も行ってしまいました。

ミュンヘンの会場は中心からはちょっと離れた団地の奥のほうでしたが、騒音対策のためか、ある程度以上のキャパの会場というとどうしてもこういう立地条件になってしまうみたいですね。駅に着いても想像していたようなメタル軍団など影も形もなく、駅は無人、駅周囲に店も人影もないというような場所だったので、ちょっと途方にくれました。

それでも通り掛かりの人を捕まえては道を尋ねて、なんとか会場にたどり着いてみると30人くらいが寒い中待っていました。開場時間の7時を過ぎているのに会場は暗く静まり返っています。少しすると若い男性が「バビロン! バビロン!」と叫びながら出てきました。周囲を囲んだ人たちは彼に何か聞くと、すぐにあちこちに散っていってしまいました。塀のところに貼り紙をしようとしている彼に「どうなってるんですか?」と聞くと「会場が変わったんだ。新しい会場はバビロンだよ」「え、バビロンってどこなんですか?」「東駅のそば。クンストパークの中だ」

げえ、さっき来た道をまた戻って、さらに1駅行かなくてはならない。なんちゅうことだと思いながらも駅までの道を必死に歩きました。書き忘れていましたが、雪が積もって凍り付いていて、かなり大変な道なのです、これが。途中で後ろから追いついてきた男性2人組が「僕達も電車で行くから一緒に行こう」と言ってくれ、方向音痴の私は一安心。おかげで無事に会場までたどり着きました。彼らに「こういう変更ってよくあるの?」と聞くと、「そうでもないけど、多分チケットの売り上げが悪くてあの会場では無理になったんじゃないかなあ。変更はラジオでもアナウンスしたって言ってたよ」

旅行者がラジオなんて聞くものですか。おまけにドイツ語じゃチンプンカンプンだし。でも、こういうこともあるので次からは行く前に会場に確認したほうがいいかも、と思いました。

というような事があったために、私が着いたときすでに THE TEA PARTYは始まっていました。ショック! あわてて中に入ってみると7割くらいの入りで(外のバーで飲んでる人がかなり多かった)、前のほうはすいていたので右のほうの最前に行くことができました。

私、いまだに彼らの顔と名前が一致していなくて、どれが誰かよくわかっていないんですが、「TRANSMISSION」のライナーの写真とその下のメンバー紹介とが一致しているとしてヴォーカルがジェフ・マーティン、ベースがスチュアート、ドラムがジェフ・バロウズということで書かせていただきます。

ステージ中央にジェフ・マーティン、左側にスチュアートが立ち、ジェフは曲ごとにギターを変え、スチュアートのほうはベースとシンセを担当していました。

まず魅了されたのはジェフの声です。アルバムで聴いていたときから DOORSのジム・モリソンを彷彿とさせる深い声だと思っていましたが、実際に聞くと声質だけでなくて表現力も素晴らしい。まさに変幻自在という感じ。ギターを弾く姿はちょっと若き日のジミー・ペイジが入ってると、友人は言っていましたが、少しはそんなところもあるかも。ギター以外に小さ目のマンドリンのようなものも弾いていましたが、なんという楽器かわかりません。

スチュアートは短めの黒髪を頭にぴったりなでつけたようなヘアスタイルに黒のタンクトップTシャツ、黒のスリムジーンズというスタイルで、細身でひきしまった体をすこし後ろにそらすようなスタイルでベースを弾く姿が実にかっこいいです。まさに「クール!」という感じ。曲によってはシンセに替えて、アルバム通りの音になるようサンプリングを使ったりしていました。

ドラムのジェフも、アルバムで聴いてもとてもセンスのいいドラミングですが、まさにそのまま。とにかく3人とは思えない厚みのある音と演奏で、ただただ聴き入ってしまいました。選曲は新譜「TRIPTYCH」からの曲と「TRANSMISSION」からの曲が半々くらいと古い曲が2曲くらいだったでしょうか。全部で1時間弱くらいだったと思います。

新譜からの曲では「みんなが知っているある偉大な男について歌った曲だ」というMCがあった "Underground"が印象に残りました。それともうひとつ、これはどの曲か忘れてしまったのですが、新曲の最後に JEFF BUCKLEY の"Hallelujah"の1フレーズが挿入されていた曲があって、これには驚いてしまいました。まさかHR系のコンサートで JEFF BUCKLEY の曲を聴くとは思っていなかったので。でも考えてみるとジェフのヴォーカル・スタイルも歌詞の書き方も、 JEFF BUCKLEY(同じジェフだ!)ととても近いものを感じます。きっと共感していたんでしょうね。追悼の意味をこめた曲だったのかも。残念だったのは、ほとんどの客は JEFF BUCKLEY を知らなかったために"Hallelujah"の部分で笑い声が聞こえたことです。ドイツ人の友人に聞くとロック・コンサートで「ハレルヤ」というのがあちらの人にしてみると非常にミスマッチでおかしいのだそうです。日本で言えばロックの途中にいきなり「お経」みたいな感じなのでしょうか。

最後の曲は「THE EDGE OF TWILIGHT」から"Sister Awake"だったのですが、これには途中に DAVID BOWIEの"Heros"を挟み込んで、とても受けていました。

初めは様子見という感じだったオーディエンスが最後にはみんな本気で拍手と歓声を送っていました。このツアーは彼らに関しては成功だったんじゃないかと思います。ただフロントの2人が2人とも愛想がなく、淡々と演奏するだけなのと、曲がすべて聴かせる歌ばかりで一緒に歌ったり盛り上がったりという「この1曲」がないのが、今後メインアクトになって2時間近いショウをするようになるとつらいだろうなあと思いました。長年いいアルバムを作り続けているのに大ブレイクしないのは、このあたりが原因なのかもしれません。

それにしてもまた見たいです〜(=^^=)。


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