SHOH's LIVE REPORTS

Mazarine Street (Feb 14,1997, Shibuya Quatro, Tokyo)


レンタインデーの渋谷クアトロで初来日ライブを見てきました。アルバム1枚しか出していないし、新人だから短いだろうとわかっていたのに、仕事がどうしても抜けられなくて、30分も遅刻してしまった。

入っていったら会場内はすでに熱気ムンムン。あら、意外に入ってる。様子見の人がちらほらって程度かと思ってた。

ステージ前のフロアはぎっしり。その周囲をとり巻く人の列も厚くて、ステージがちゃんと見える場所を探すのに、けっこう時間がかかってしまった。

アルバムジャケのイメージから、ヴォーアルの子はフィル・ライノットかジミ・ヘンドリックスみたいなタイプを想像してたんだけど、目の前にいるのはまるでプリンス。

あれほど爬虫類的ではないけど、妙に細くてうなぎのような胴回りの雰囲気と、蓋みたいにかぶさった前髪のイメージが似てるのかしら。赤い襟付きの長袖シャツを腕まくりして、ブルージーンズをはき、黒いベルトをしている。どっちかというとダサイ部類かも。

彼の左側にギター、右側にベース、その後ろにドラムス(どちらかというと端に寄っている)、その手前にサンプリング(?)、ギターの後ろがキーボードと6人が並ぶとクアトロのステージは狭い。ベースの子はけっこう暴れるタイプなんだけど、それに充分なだけのスペースがないもので、仕方なくドラムの前にひざまずいて弾いたり、寝転がってみたり、それなりの工夫をしているのがいじらしかった。

アルバムで聴いていると、けっこう機械的に処理してる音が多い印象が強いんだけど、実際のステージでは音はあくまでも生。それにサンプリング音がプラスされているという感じで、私個人としてはこのほうがずーっと好きだなあ。

ヴォーカルは、音程は少し不安定ながら、歌い回しになんともいえない味があって、新曲だと紹介された"MELT DOWN" という曲では、ものすごく渋いブルーズフィーリングの歌を堪能させてくれた。"TELEPHONE WIRES" だったかしら、わりとバラードっぽい曲、これも心にしみるようなヴォーカルで、みんなじーっと聞き入ってしまい、終わったときの拍手に感動が表れてました。

ブルーズといえば、彼の吹くブルーズハープは、とてもいい。あんなに若くて、あんなふうに吹けるなんて、どんな生活送ってるんだ、という感じ。

どの子もみんな「音楽好きの不良」って感じなのがいいよね。キーボードの子は、どの曲だったかイントロの音に合わせて本気でのって踊ってるし、サンプリングの子は1リットルのミネラルウォーターの水をいきなり客席にまくし。

驚いたのは、途中でベースとギターが楽器をおろしてしまい、手ぶらでスタンドマイクに向かい、踊りながらコーラスをつけたこと。ヴォーカルがギターを弾いてはいたものの、キーボードがいるからできることかな。あれって、アルバムでは女の子が一緒に歌ってる曲だったのかもしれない。なにしろ曲とか全然覚えていないもので、聴いたことはあっても曲名がわからないの。にしても、男の子2人のコーラス隊を従えて歌うってのは、どんな気分がするものなんだろう。若くて可愛いからいいけどね。

サンプリングの子は、サックスも吹いていて、これがまた普通のバンドがサックスを使うのとはまったく違ってた。哀愁とか感じさせないのだ。ああいうの若々しくていいなあ。

本編最後の曲は、アルバム2曲目あたりに入ってたU2みたいな曲。これはものすごくかっこよかった。フロアの人たちがいっせいにジャンプを始めて、温度が一気に上昇。この曲とか特に感じるんだけど、ここのドラムスってとっても手首のバネが強くて、はねるようなリズムの叩き方がめちゃくちゃかっこいい。ふつうの人の倍くらいの速度でらくらくと手首を返してるのよね。彼とベースとのコンビネーションが意外にこのバンドの要かもしれないな、なんて思ってしまいました。

アンコールは3曲くらいだったかな、最後はヴォーカルがキーボードを一緒に弾き、サンプリングの子がマイクに向かって叫び、ステージ中央には誰もいないという異色のアレンジで終わりました。

結局1時間ちょっとくらいのショウだったけど、あれ以上やってもだれるだけだから、ちょどよかったんじゃないかと。まだまだステージでの見せ方とか、盛り上げ方とか一本調子な部分が多いけど、将来性は抜群だと思いました。


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