SHOH's LIVE REPORTS

John Norum (June 21,1997, Club Citta Kawasaki, Kanagawa)


曜のクラブチッタ川崎は8割くらいの入り。想像していたよりもずっと人が詰まっていた。やはりギターヒーローのいるバンドは動員力があるなあ。

遅れて入ったので客層がよく見えなかったのだが、メタルTシャツの客が意外に少ない。ごく普通の服装をした人が多い。たまにいるのはみんなTHIN LIZZYがらみという不思議な光景だった。ひとりくらいEUROPEを着てる人間はいないのか。

思うに、昔EUROPEが好きで来た人は、すでにメタルTシャツを着る生活からは離れてしまっていて、きょうはひさしぶりに来てみたというところか。そうでない人は、もはやノラム君を元EUROPEのギタリストとしてはとらえていず、GARY MOOREフォロ ワーと思ってるのかもしれない。

場内が暗くなり客席から歓声が上がると、スタッフによる(ひょっとしてメンバーだったりして)アナウンス。"FROM SWEDEN! JOHN NORUM BAND!"という表現はなかなか趣がある(=^^=)。あとから人に聞いた話では今回の来日メンバー全員スウェーデンから来た(ノラム君の出身はノルウェーだそうだけど)ようなので、確かにFROM SWEDENではある。

ノラム君は黒の長袖シャツに黒のジーンズ。はだけた胸元に銀の十字架のペンダントという見慣れたスタイル。客席の歓声に答えて、はにかんだように右手を上げる仕種がとってもラブリー。

ベーシストのアンダースは、黒い革ジャンに黒の革パンツというスタイルで、カールのついた金髪をリーゼントにしているので、まるでグラハム・ボネットみたいだった。

ヴォーカルのレイフはストレートな金髪で小柄な人。顔つきがちょっとブルース・ディッキンソンに似ている。髪を染めた日本人のようでもある。

ドラマーのヘンポは遠くからではゴージャスな金髪しか見えないが、かなり体がでかそうな気がする。

ヴォーカルの声質は甘い感じの子どもっぽい声で、高音がちょっとかすれ気味。GREAT KING RAT のヴォーカルに似てると思いながら聴いていたら、なんと本人だった。かなりの曲でギターを弾きながら歌っていたが、あまり得意ではないらしく、歌と両方だとどっちかがとどこおってしまう場面がけっこうあった。

彼の声そのものは好みだけど、歌い回しというか歌手としての力量はやっぱりB級かな、という気がする。ジョーイ・テンペストやグレン・ヒューズと比べてしまうのが可哀相なのかもしれないけど。声の伸びとかメリハリが足りないのよね。スローな"IN YOUR EYES"なんてやると、もろにそれが出ちゃったりして。

1曲目がいきなり"FAITH THE TRUTH"だったのにはちょっと驚いた。でも、ノラムのソロの中ではいちばん好きなアルバムだからすぐにノレてしまって、私にとってはベストのオープニングだったかも。

例によって新譜は持ってなかったんだけど、どの曲もノラムチックというか、メロディアスでギターが効いた、適当にフックのある曲なので、初めて聴いても充分楽しめた。それに、元々どの曲もWHITESNAKEやDEEP PURPLEみたいだったりするし。

ギターの音は、これはもうさすがによかった。とてもクリアに響いてた。一緒に行った連中と大同意してしまったのだが、ノラム君、年をへてさらにゲイリー入っちゃって、ギターを弾く姿のみならず顔つきまでそっくりになってきた。ほっぺが赤いのは昔ながらだけど、そのほっぺがちょっと垂れてきたのまで似てるような(^^;)。

始まって4〜5曲目くらいで、レイフが「我々の友人のために特別な曲をやるよ」と言ったので、てっきりLIZZYのカヴァーをするのかと思ってたら、なんと"WISHING WELL"! どうしてこれを?と思ったのだが、あとで友人に聞いたらゲイリーがやってて、そのヴァージョンとまさに同じだったそう。

で、肝心の(?)LIZZY カヴァーだが、「FAITH THE TRUTH」に入ってた"OPIUM TRAIL" だった。予想通りというか期待はずれというか。「LIVE IN STOCKHOLM」 に入ってた"BAD REPUTATION"でもよかったんだけどなあ。アルバムではけっこうフィルに近いヴォーカルを聴かせていたノラムだが、ライブとなるとそうもいかないのか、ヴォーカルはかなり荒かった。途中で息切れしかけたような場面もあったし。なんとか最後まで行き着いたという印象だったかも。

アンダースは、時間がたつにつれ、革ジャンを脱いで半袖のシャツになり、さらにそのシャツを脱いで上半身裸になってしまった。引き締まった体ではあるが、腕なんかみょうに細くて、あまり鍛えてるという感じではない。こうして裸になると、なんとなくブルース・スプリングスティーンみたいにも見えてきた。が、実はあとで判明したのだが、彼もGREAT KING RATのメンバーで、本来はギタリストだった。GREAT KING RATのジャケ写真では長髪で写っているので、誰ひとりとして同一人物だとは気がつかなかったのだ。

客の反応は概して大人しいが、決してノっていないというわけではなくて、促されると手拍子も熱心にするし、ノリのいい曲になると頭を動かしている。

しかし、なんといってもこの日いちばん意外だったのはEUROPEの曲。もちろん、ノラムが抜けたあとの曲をやるとは思っていなかったけど、レイフが「次はEUROPEクラシックだよ」と言ったときには、てっきり1stからの曲だと思っていた。が、始まったのはなんと"SCREAM OF ANGER"! 「WINGS OF TOMORROW」からとはねえ。そのせいか、場内の盛り上がりも思ったほどではなかった。みんなあっけにとられていたのかな。

本編の最後は、私は知らない曲だったが聞いた話では日本盤のボーナストラックだとか。変わった選曲かも〜。

でもってアンコールではまたまたカヴァー。しかもMSG の曲だという。私はMSG に関してはまったく無知なので曲名もわからなかったが、有名な曲なんだろうか?←あとでBURRN!を読んだら、レイフって今MSGのヴォーカルなのね。でもって、あの曲は彼が参加した"BACK TO LIFE"という曲だったようで・・・

アンコールラストは・・・あれ? 忘れちゃった。

最後に前に出てきたドラマーを見たら、髪はほんとにゴージャスでサイクシーみたいだったけど、体はティモ・トルキみたいでものすごくでっかい人だった。北欧の人って大人になるとほんとに大きくなるのねえ。

とっちらかっちゃって、なにがなんだかよくわかんないレポートになってしまったが、全体を通して楽しく聴けるめる内容だったと思う。ノラム君がほんとにギターが好きで、ゲイリーが好きで、ライブをすることを楽しんでいるのがわかって、ほのぼのとしてしまった。最後に汗びっしょりで手を振る彼の姿を見て、「これからもがんばってね。でも、あんまりゲイリーにならないでね」とエールを送った私なのであった。


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