SHOH's LIVE REPORTS

Halford ( December 20, 2000, Shibuya Kokaido, Shibuya, Tokyo )



谷公会堂に着いたのは開場時間より10分ほど早かったのですが、すでに入場が始まっていてびっくりしました。開場待ちの列が長くなって、30分ではさばききれないと判断したのでしょうか。おかしかったのは道路にたくさんいたダフ屋のひとりが、もうひとりの若いのに向かって 「大丈夫だって。この外タレは有名なんだから」 と説得していたこと。そうかあ、ロブは 「外タレ」 なのかあ。ダフ屋にも太鼓判押されるほど有名なのかあ。

公会堂は2階までいっぱいで、開演前から叫び声が上がるなど、ふだんのライヴとは一味ちがう盛り上がりを見せています。やがて場内が暗転し、バックドロップに描かれたアルバムのジャケットと同じ写真のライトの部分が点滅し始めました。もちろんこちら側からライトを当てて光らせているわけですが、ちょっと照明の人の手元が狂ったら、ロブの頭が点滅しちゃうなあ、などとしょうもないことを考えてしまいました(^^;)。

ひょっとしたらオートバイで登場するかな ( PRIEST として来た最後の代々木ではやってましたよね) と期待していたのですが、やはり渋谷公会堂の狭いステージでは無理だったのか、歩いて登場。さりげなく定位置に立つなりバックの演奏が始まって、新譜の1曲目と同様 "Resurection" を歌い始めました。

2週間ほど前にビクター主催のビデオコンサートに当選して見にいってバーミンガムでのライヴを見ていたので、大体のセットリストは知っていましたが、やはり生で聴くのは大違い。ひさしぶりに聴くロブの生声 (たってマイクを通してはいますが) に感動してしまいました。声もバーミンガムの時より出ているように思えます。

全体の音のバランスもとてもよく、渋谷公会堂でここまで音がよかったのって何年ぶりかというくらいでした。ツインギターのハモリもすごくきれいに聞こえていました。ただ、欲を言えば、音が小さくて物足りなかったのも事実です。まあ、大きくするとどうしてもバランスが崩れてしまうのかもしれず、難しいところかもしれませんね。しかし、ロブは後半になると声が出にくくなってフェイクが多くなるのですから、多少音のバランスが崩れても問題なかったかも(^^;)。やはりあの手の音楽は大音量で聴きたかったです。

バックのメンバーは若いけれどみんなそれなりの実力があり、きちんとした演奏を聴かせてくれました。PRIEST の曲も原曲に忠実で、ファンの思いを壊すようなことはしていなかったのに感心。バーミンガムのライヴでは多少こなれていない面も見えたのですが、その後のライヴの積み重ねで着実に力をつけてきたと見えます。みんな若いし、素直なんでしょうね。ある程度名前の売れたミュージシャンだと自分の音へのこだわりがあるでしょうが、彼らの場合はとにかくロブと一緒にやれて、PRIEST の曲が演奏できるだけで夢のようにうれしく、一生懸命練習したんだなあ、というのが伝わってきました。そういう面ではとてもいい印象をもちました。若いだけあって、最初の3曲をまったく曲間をあけずに怒涛のように演奏していくので、それでもうオーディエンスは完全にヘヴィーメタルの世界にひきずりこまれました。あれは凄かった。

ドラマーは元 RIOT のボビー・ジャーソンペグだと友人が教えてくれましたが、スティックをくるくる回しながら叩く姿に 「落とすんじゃないか」 とハラハラしながらも目が釘付けになりました。私は素人なのでわかりませんでしたが、友人の話ではかなり難しいことをやっていたらしいです。

それにしても、"Hellion" が始まったときのオーディエンスの反応は凄かった。ほとんど全員が腕を振り上げ、ギターの音を歌う。もう待ちに待っていたという熱気が会場内にあふれていました。私はリッパーのいる JUDAS PRIEST を見たとき、この曲が原曲と変えてあってすごく失望したものですから、そのときの鬱憤がパーッとはれるような気がしました。

ロブの声はさすがに途中から辛くなっていきました。どの曲もかなり喉をいじめるタイプですから無理もありません。若い頃ならともかく、今の年齢を考えるとフルで歌いっぱなしのライヴというのは酷ですよね。ビデオ・コンサートのときも、「ロブがいつまで今のように歌えるか・・・」 「だから今回のライヴを見逃すと後がないかもしれない」 といった雰囲気のことを司会の方が言って危機感を煽っていたのですが、確かにそういう恐れはあるのかもしれません。

"Breaking The Law" や "Electric Eye" でほぼ全部のリフレインを観客にふってしまったのには戸惑いました。ひょっとしたらロブとしてはファンサービスのつもりだったのかもしれませんが、声が出ていないだけに 「高い部分が出ないからこっちに振ってくるのかな」 と思ってしまいます(^^;)。

セットリストは新譜からの曲と PRIEST の曲を半々に FIGHT の曲を2曲という構成で、なかなかまとまっていたとは思いますが、私としては新譜がとても気に入っていたので、もっと増やしてほしかったです。せっかくアルバムをひっさげての来日なのですし。ブルース・ディッキンソンと一緒に歌っている "The One You Love To Hate" が大好きなので、あれをやってほしかった。凄くラ イヴ映えすると思うんですが。ブルースがいないから出来ないのかと最初は思ったのですが、左側のギターがけっこう歌っていたので、やろうと思えば出来たと思うなあ。

  1. Resurrection
  2. Made In Hell
  3. Locked And Loaded
  4. Into The Pit
  5. Nailed To The Gun
  6. Stained Class
  7. Jawbreaker
  8. Running Wild
  9. Saviour
  10. Silent Screams
  11. Cyberworld
  12. Night Fall
  13. Hellion〜Electric Eye
  14. Riding The Wind
  15. Genocide
    - Encore 1 -
  16. Metal Gods
    - Encore 2 -
  17. Breaking The Law
  18. Tyrant

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