SHOH's LIVE REPORTS

Fear Factory with The Mad Capsule Market's (Feb 13,1999 at Club Citta Kawasaki,Kanagawa)


っごい迫力。もちろんそういうのを期待してはいたんだけど、想像をはるかに上回っていた。

前座のThe Mad Capsule Market'sもなかなかよくて、30分弱と短いステージながらも、ちゃんと客席を熱くして、メインアクトへとうまくつなげる前座としての役目を果たしていた。私はまったくの初見&初聴だったので、どういうバンドなのか知らなかったのだが、けっこうピコピコしたサウンドだったのでびっくり。それでいて適度にヘヴィーでノリがいい。前座にしては音のバランスもよくて、各楽器の音がきれいに聞こえていたのも○。バキバキしたベースの音が気持ちよくて、「肩凝りがほぐれる〜」と騒いでしまったのは私。

ギターのお兄さんが妙に若くて、コーラスの声が幼い感じがしたのを除けば、かなりいい線いってると思った。ベースのバンダナお兄さんは動きがちょっとKIXのドニーを思い出させて好きなタイプだったし(^_^)。

しかし、オーディエンスは凄かったなあ。なにがってダイブの嵐。会場前の貼り紙に「ステージダイブなど危険な行為は禁止」とあったのだが、どうやら前座のときはOKらしい。あとからあとから人がステージにのっては客席の海に飛び込んでいく。みんな慣れてるせいか、それほど混乱は見えない。もちろん前のほうはぐちゃぐちゃなんだろうけど。

適度なウォーミングアップをすませ、MAD目当てに来てた人たちが後ろに下げってき、FEAR FACTORY目当ての客が前に移動する。ステージではセットチェンジが行われているが、バックドロップのところに「OBSOLETE」のジャケットにあった豆もやしみたいなのがぶら下げられていて、これがプラスチック製でかなりチャチな感じなのが笑いを誘う。

「メンバーからの意向により、ステージからのダイブはご遠慮ください」とのアナウンスが入る。そりゃそうだろうなあ。あんな狭いステージでファンに上がってこられたら、迷惑以外の何者でもない。

さて、いよいよメンバーが登場したら、ステージ中央より左寄りの位置にシンセサイザーの人が立っているのにびっくり。サポートのわりには目立つ位置だ。でも、ライブが始まったら納得がいった。キーボードなしでは成り立たないものなあ、この音。バートンの切々(っていう表現も変だけど他に思いつかない)と歌い上げるときの声とキーボードの響きが一体となって、音に広がりをもたせ、会場の大きさをはるかに超えた曲の宇宙にすっぽり包まれたような気持ちになる。

そしてそこに、ギター、ベース、ドラムが一体となったヘヴィーなリズムが叩き込まれ、その宇宙全体が鳴動しているような、なんともいえない興奮に包まれるのだ。この感覚はまさにFEAR FACTORYならではのもので、今の時代で唯一無二といってよいオリジナリティなのではないだろうか。

それにしてもギターのディーノの大きさには驚いた(^^;)。黒いTシャツの胴の部分が3〜4か所くびれていて、まるで黒い焼き豚のよう(失礼!)。それでいて意外に身軽にステージを右に左にと動いたり、曲に合わせてジャンプしたりしている。ステージ前で見ていた人にはかなりの振動が感じられたのではないだろうか。表情はとてもにこやかで、すごく楽しそうにプレイしていたのが印象的だった。

バートンは、激しく体を前後に動かし、髪を振り乱して頭を振っていたかと思うと、モニターに片足をかけ、両手でマイクを握って顔を真っ赤(顔のすぐ下にある腕の白さと対照的になる)にして歌い上げるといったように、動と静を巧みに織り交ぜたパフォーマンスにインテリジェンスを感じてしまった。なぜかわからないけど「この人、頭よさそう」と思ってしまったのだ。←私って単純(^^;)?

ベースのクリスチャンは途中から上半身裸になってしまったのだが、これがもうディーノとは対照的な鍛えぬいた体。お見事というしかないような肉体に左腕から背中一面にかけて素晴らしい刺青が入っている。遠かったのでよく見えなかったのだが、西洋人がよく彫るような模様ではなくて、日本のヤ**さんたちがやるみたいな、いわゆる倶梨伽羅紋紋だった。これがすごくきれい。

途中、どの曲のときだったか、イントロで両端に立ったディーノとクリスチャンが上体を半分に折り曲げて弾くパフォーマンスがあったのだが、そのときライトに浮かび上がったクリスチャンの背中の美しさといったら・・・まるで美術館で芸術作品を鑑賞しているような気分になってしまった。

刺青といえば、バートンが両手でマイクを持って歌うと、客席からは両腕のイバラ風刺青が左右対称となって見ることができ、これまた印象的だった。ひょっとしてそこまで計算して彫った?

MCはあまりなく(あったけど何言ってるのかほとんどわからなかった)、怒涛のように曲を続けていって、1時間ちょっとで本編終了。ディーノとクリスチャンが客席に向かってまんべんなくピックを投げてから去っていった。アンコールなし。でも、アンコールを要求する声は上がらなかった。よくなかったからではなく、満足しきっていたからだ。まあ、終わったあと、メンバーがさっさと引っ込んでいたら、「ひょっとして」と思ってコールしたかもしれない。でも、あんなふうに「ご苦労さんだったね、ありがとね」という感じでニコニコとピックまいて挨拶されちゃったあとでは、なんとなく言えなくなっちゃうよね(^^;)。そういう点でも頭のいいバンドだなあ、と思った次第。自分たちがやりたいように音楽をやり、したいようにファンをコントロールできるというのはすごいよね。

今回見られなかった人たちには、ぜひ次回は足を運んでほしい。21世紀も音楽を聴き続けるつもりなら、まずは見ておきたいバンドだから。


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