ホテルに帰って、少し暖かい服装に着替えてから、タクシーで駅までYを迎えにいった(バスが来ないのは きのうでこりたので)。タクシーも、値段を聞いてみると15,000リラくらいなのだ。こういうリゾート地なので、白タクでなければぼられることもないみたい。第一、タクシーがたまっている広場には、婦人警官が整理と案内にあたっていた。
このタクシーの中で、運転手がいきなり何事か叫びながら指差す方向を見ると、なんと赤々と燃える溶岩に縁取られたエトナ山が!
が、言葉が通じないというのは悲しい。
ここまできてもまだ私たちは「へぇ、活火山とは聞いていたけど、こうして少しずつ溶岩が出ているものなのね。近くに住んでる人は心配じゃないのかしら」「でも、すっご〜い。きれ〜い」などとボケたことをいっていたのだ。とほほほ。だって、新聞もTVも見てないんだもの。
さて、無事にYとも再会できた。せっかくの大晦日の夜なので、3人とも少しおめかしして食事に。しかし、甘かったね。
なにしろ大晦日だ。遊び好きのイタリー人がまじめに働いているわけがないじゃないか。
私たちが最初に目星をつけた小さなトラットリアは貸切になっていた。しかたなくミシュランにのっていた、いかにも観光客向きというレストランに入ったのだが、なんだか寒い。人が少ないせいか、暖房をケチっているのか。おしゃれのために薄着をしているせいかもしれない。
メニューを見て、温かいスープを頼もうとしたが、きょうはできないという。コックもまともに働く気がないのだ。で、オードブルとパスタを頼んだ。
「みんなで一緒に食べるから順番でなくていいわ」と言った(つもりだった)。そしたらなんと、全部一緒に出てきた!やりいかのフライ 魚介類のマリネ なすのグリル スモークした魚の盛り合わせ なすのパッパデーレ タリアテッレ・ミケランジェロ風・・・ウェイターはズッキーニと言っていたが、ペルノーの原料になってるハーブみたいのを使ってあった 白ワイン カンノーリ エスプレッソ たちまちのうちに、私たちのテーブルの上は、ビュッフェパーティの会場に。店内が寒いので、皿の上の食べ物はあっ! という間に冷めていく。結局私たちは、冷たいオードブルとパスタを食べるハメになった。
教訓:どんな変なとり合わせでもいいから、誰が何をどんな順番で食べるのかをはっきりさせること。
食事の後、街をそぞろ歩く。さすがに人通りが多く、危険な感じはまったくない。ここは、高級リゾート地なので、歩いている人々はみんな身 なりがよい。男性はスーツに上等のコート、女性は豪華な毛皮。ただし、ソレントと違うところは、どこか品がない。女性の化粧や髪型はケバイし、毛皮の下はものすご〜いミニスカートとか、胸がめちゃんこ開いたセクシードレスとかで、金色のハイヒールとか履いちゃってるし。 どう見てもマフィアと情婦なのだ。
そういえば、昼間人が集まる広場にはバイオリンを弾く人がいたが、エンドレスで演奏しているのは「ゴッドファーザーのテーマ」だった。 この曲はその後、シチリアを旅する中で何度も耳にすることになる。
ところで、大晦日ということで昼間っから爆竹を鳴らすヤツが多く、場所柄ピストルの音かと思って、そのつどドキッとしてさせられた。 で、12時ちょっと前くらいからさらにやかましくなり、私たちの泊まっているホテルでも、中庭にいきなりコック姿の男(ほら、やっぱりね!)が走り出てきて、バンバン鳴らし始めた。
やがて、12時になったとおぼしき頃から、あちらこちらで花火が始まる。そんなに大きくはないが、15連発くらいで派手めなものが多いの と、街じゅういたるところから上がるのとで、とてもきれいだ。30分くらい続いただろうか。私たちは3人ともパジャマの上にコートを着て、ホテルのバルコニーから見物していた。
ソレントで買ったレモンリキュールをおとそ代わりに、新年のご挨拶。今年もいっぱい旅ができますように(=^^=)♪