日々のあわわ

● Mail Magazine 日々のあわわ 2003年09月03日(水) 第75号

〜○。今日のあわわ〜〜○。〜○。〜〜○。〜○。〜〜○。〜○。〜

 「踊る大捜査線 THE MOVIE2 レインボーブリッジを封鎖せよ!」

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 先日、映画「踊る大捜査線 THE MOVIE2 レインボーブリッジを封鎖せ よ!」(以下「踊る2」とします)を見てきました。

 ご存知の通り、1997年にヒットしたドラマの映画化作品です。98年に一度 「踊る大捜査線 THE MOVIE」として映画になっていますが、今回はその続 編です。

 私はドラマの「踊る大捜査線」は好きでした。刑事ドラマにありがちな派手 なアクションや陰謀渦巻く大事件はなく、一公務員のサラリーマンとあまり変 らない地道な日々、硬直化した組織(本庁と所轄の縦割りと官僚主義、キャリ アとノンキャリアの理不尽なまでの格差など)と個人の対立・葛藤などが事件 の地道な捜査などを通して描かれていました。織田裕二演じる主人公の青島さ ん(東京・お台場の湾岸署勤務。いわゆる所轄のノンキャリア)は、いつも持 ち前の熱血ぶりで本庁の警察官僚を出し抜き、一時はすかっとします。しかし、 それもあの巨大な官僚組織にとってはごまめの歯ぎしりにすぎないのだろうな あと、最後に哀愁を感じていたのは私だけでしょうか。

 さて、映画の「踊る2」はというと、舞台は一大観光地と化した現代のお台 場。青島さんたち湾岸署のメンバーは今日も、いろいろな事件と格闘していま す。そこに、猟奇殺人事件がおこり、湾岸署に特別捜査本部が設置されますが、 様々な事象が交錯するうえに、いままでの常識が通用しない被疑者にみんな振 り回され、事件は混迷の様相を呈していきます。青島さんたちは被疑者を捕ま えることができるのでしょうか? というのがおおまかなストーリー。

 「踊る大捜査線」を貫いているテーマの一つに、「事件に大きいも小さいも ない」というのがあると思います。小さな事件と思われるものでも、きちんと 取り組んで解決していけば、結果的には大事件を防ぐことになったり、大事件 が起きたときでもその被疑者の逮捕に繋がったりする。また、小さな事件と言 われようとも、一所懸命にやった事がめぐりめぐって自分の為になることに結 びついていく。今回も、小さいと思われている事件に日々、追われている所轄 のみんなだからこそ持ちえた情報が事件解決の糸口となったりします。それは、 いつも本庁から低く見られている所轄の勝利です。そういう一種の逆転劇など が、見ているものを心地よくさせてくれるのでしょう。話の本筋は面白いし、 ディテールなども凝っていて楽しい。

 でも、今回、私は、ある登場人物のおかげで「踊る2」を素直に楽しめなか ったのです。その登場人物とは、真矢みきさん演じる特別捜査本部の本部長、 沖田仁美さんです。「踊る2」において、沖田さんはガチガチの官僚主義を体 現する悪役です。沖田さんは被疑者たちの組織体系を見破るなど優秀なところ もありますが、現場に不慣れなためと所轄を軽く見過ぎ、信用しなかったため、 指示のミスなどが重なり、事件の解決が遅れます。「踊る大捜査線」にはいつ も、そういう悪役がでてきて、青島さんなどと対立し、ドラマを盛り上げてい ました。だから、今回もそのような悪役がいるのはいいのですが、問題はその 沖田さんの描かれかた。あまりにも類型的すぎるのです。

 沖田さんは大変、冷徹で、青島さんを初めとした所轄の人間を徹底的に見下 し、「所轄の仕事なんかどうでもいい」とか「所轄の人間はいくらでも代わり がいる」などと公言し、所轄はもとより本庁の人たちですら驚かせます。高い 地位に着くと、組織の価値観をすっかり内面化して、組織と自分を守ることに きゅうきゅうとするあまり、非人間的になるということはあります。しかし、 沖田さんがそのような人間だとしても、彼女の言動はリアリティに欠けます。 「渡る世間は鬼ばかり」じゃないんだから、たとえ本心だとしても、こんなこ と現実に言う人はいませんよね。それに、沖田さん本人や他の人物の台詞から 推察するに、沖田さんは警察官僚になったものの、どうも、花形とは縁遠い仕 事をさせられていて、随所で「だから女はダメだ」と理不尽なことを言われて きたようです。今回の本部長就任も「女性の私を捜査本部長にして広報に利用 すれば、警察に男女差別はないとアピールできる」と売り込んだ結果です。男 社会の組織の「政治」に自分を利用してもいいと、捨て身になったあげく、今 回の地位を得たのです。ここまで、立ち回る事のできる人が、たとえ目下のも のに対してでも、あのような乱暴な事を言えるでしょうか。

 つまり、沖田さんの行動は、世間知らずのお嬢さんがわがままがとおらなく てヒステリーをおこしているようにしか見えず、とても、組織の中で上昇志向 を持って仕事している人間とは思えないものです。「踊る大捜査線」で悪役と なってきた男性官僚たちは理不尽ではありましたが、ここまで、後先考えずに 物を言うようなことはなかったと思います。暴言を吐かなきゃ悪役が成立しな いなんてことはないんだから、もっと、説得力のある台詞で沖田さんの悪役ぶ りを生かしてほしかったなあ。

 もっとも、映画は所詮、作り話、登場人物にそんなにリアルなんて追求しな くてもいいのかもしれません。「こんなやつ、いないよな〜」と思いながら映 画を見るのも一つの楽しみ方ではありますが、今回ばかりは、それができなか ったんですね。私の邪推かもしれませんが、ひょっとすると、女性の悪役だか ら、一昔前のヒステリー女の類型のような描かれかたをされているのかなあ、 なんて思ったりもしました。それが邪推であってほしいことを願います。

〜○。あわわ後記〜〜○。〜○。〜〜○。〜○。〜〜○。〜○。〜

 風邪でのどをやられていて、大変つらいです。

 お世話になっている近所の病院には鯨のぬいぐるみが飾ってあります。その 鯨が、かたつむりが頭に乗っていたり、星条旗の柄だったり、ハート形のプレ ゼントを持っていたりといろいろ種類があって楽しいし、大変かわいい。看護 師さんに聞くと、ある薬の販促グッズだと教えてくれました。ネットで調べた ら、この鯨は鯨グッズ収集家の間で人気があるようで、医師、看護師につてを つくって集めている人もいるそうです。今度、病院に行ったらもらえるかどう か相談してみようなどと思っています。あ、でも病院に行くには病気にならな きゃダメだしなあ。どうしようかな。

 今回は遅れてすみませんでした。

 次回は09月14日(日)を予定しています。

 どうぞ、よろしくお願いいたします。

                            真魚

                   e-mail:92104094@people.or.jp

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