日々のあわわ

● Mail Magazine 日々のあわわ 2003年05月12日(月) 第67号

〜○。今日のあわわ〜〜○。〜○。〜〜○。〜○。〜〜○。〜○。〜

 建築家の腹

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 ゴールデンウィークも終わり、そろそろ、5月病の出回る季節になりました。 進学や就職、転勤などで、引っ越しをされた方、新しい住居には慣れましたか。 前回に続いて、今回も建物に関するおもしろい本を紹介します。

 今回、紹介するのは「間取りの手帖」(佐藤和歌子/リトル・モア950円)。 一言でいってしまえば、おかしな間取り図を集めた本です。

 たとえば、三角形や平行四辺形、半円形など、住みにくそうな部屋の無理い っぱいな間取り、玄関から部屋まで無駄に長い廊下(しかもぎざぎざ)がある、 DK7帖・洋室6帖でルーフバルコニーが100帖(!)、ワンルームなのに玄関 が二つある、妙なところにデッドスペースや仕切り壁のようなものがある部屋 など、99の変な間取り図が、1ページに1〜2ずつのっています。その間取り図 の下に、著者の佐藤和歌子さんのつぶやくようなコメントが一言のっていて、 それが、またおもしろい。合間に部屋に関するコラムやライターやミュージシ ャンの方々との対談などもあります。

 実は、私は新聞に不動産の広告が入っていると必ずチェックして、家の間取 り図を見るのが好きです。別に引っ越しや家を買う予定はないのですが、間取 り図を見ていると、そこで自分が暮らすとしたらどう使うか、あるいは、そこ を買いたい/借りたいという人はどんな人なのか、その人はこの間取りをどう 使いこなすのかなど、いろいろ想像できて楽しいのです。でも、本書にあるよ うな変な間取り図はなかなかお目にかかれません。この変な間取り図をながめ ていると、なぜこんな形の部屋なのか、なぜこんな理不尽な間取りなのか、設 計者はどんな人か、誰がそこに住んでいるのかなどと、さらに想像の幅がひろ がってしまい、普通の間取り図よりも倍は楽しめます。無機質な間取り図はま さに妄想の見取り図です。

 本書には建物や部屋の写真はいっさいありませんが、それが、良かったので はないかと思います。だって、もし写真がのっていて、建物の外観や内装がお しゃれだったりすると、あまり楽しい想像はできません。写真はいくらでも修 正できるし、アングルや照明次第でいくらでも広く写せます。以前、雑誌など でちょっと流行った狭小住宅(いまでも流行ってるのか?)なんか、写真でご まかされてるよなーと思えるものが多かったしな。本書の中にも、写真にとる とおしゃれに写るのではないかと思える間取り図がいくつかありました。でも、 みてくれはおしゃれな物件でも、間取り図にすると、けっこう間抜けになるん ですよね。建築家も施主も苦労しているのか、それとも、いいかげんなのか。

 それにしても、佐藤さんはよくぞ、ここまでへんな間取り図を集めたものだ と思います。しかし、さらにびっくりさせられることがありました。本書のな かで佐藤さんはライターの石丸元章さんと対談しているのですが、その冒頭で 「実は私、いまだに引っ越しをしたことがない」と言っているのです。プロフ ィルによると佐藤さんは1980年生まれで23歳。そうなると、ずっと親御さん の家で暮らしていたとしても不思議ではないのですが、いったい、何があって、 間取り図に興味を持つようになったのでしょう? 佐藤さんご本人についても、 いろいろと想像できそうです。

〜○。あわわ後記〜〜○。〜○。〜〜○。〜○。〜〜○。〜○。〜

 以前、近所の不動産屋の前を通りかかったとき、一軒家の不動産広告に堂々 と「豪邸」と書いてあるのがありました。2階建てで、1階は2LDK、2階は4 部屋という普通の間取りで、それぞれの部屋もそんなに広くないんですよね。 敷地面積もうちの近所なら、まあまあ広いといえるかなぐらい。何をもって豪 邸とうたっているのか分からない。入居後に屋根に純金のシャチホコをのせる とか、実は合版に見せ掛けた総檜造りとか、座敷牢があるとか、忍者屋敷だと か、何か、現地に行かないと教えてもらえないような特別なオプションがある のでしょうか。

 次回は05月25日(日)を予定しています。

 どうぞ、よろしくお願いいたします。

                            真魚

                   e-mail:92104094@people.or.jp

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