日々のあわわ

● Mail Magazine 日々のあわわ 2003年03月16日(日) 第63号

〜○。今日のあわわ〜〜○。〜○。〜〜○。〜○。〜〜○。〜○。〜

 いちご白書

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 3月12日(水)の朝日新聞夕刊に「SMAPの新曲 『反戦歌』と反響 中高 年男性にも受ける」という見出しをみつけて、ちょっと驚きました。

 このSMAPの新曲というのは「世界に一つだけの花」。作詞作曲は槙原敬之 さん。あのゲロまずな缶飲料を宣伝の道具にしていたアルバム「Drink! Sma p!」からシングルカットされた曲で、SMAPのメンバー、草なぎ(漢字が出 てきません…)剛さんが主演するドラマ「僕の生きる道」の主題歌になってい ます。

 朝日新聞の記事によると、この曲のテレビCMでメンバーが「もし、世界中 のすべての人が、ありのままの自分を好きになれたら戦争なんてなくなると思 う」という台詞を言ったことから、SMAPのファン以外の人にもアピールして いき、「戦争を考えるきっかけになった」という声が寄せられているそうです。 で、3月7日の「ニュース23」でも取り上げられ、キャスターの筑紫哲也さん が「これは反戦歌だと思う」と言ったとか。

 大ヒットしている曲なので、歌詞はご存知だと思いますが、サビと思われる 部分だけあげてみます。

そうさ 僕らも

世界に一つだけの花

一人一人違う種を持つ

その花を咲かせることだけに

一生懸命になればいい

小さい花や大きな花

一つとして同じものはないから

NO.1にならなくてもいい

もともと特別なOnly one

「世界に一つだけの花」(ビクターエンタテインメント/税抜1100円)より

 う〜ん。「反戦歌」に聞こえるかなあ。ここにあげた歌詞以外で「この中で 誰が一番だなんて/争うこともしないで」とか「それなのに僕ら人間は/どう してこうも比べたがる?/一人一人違うのにその中で/一番になりたがる?」 というところもあるけれど、反戦って感じじゃないよなあ。戦争は「おらが国 がナンバー1だ」とか「ナンバー1になりたいから」という単純な理由でおこ るものじゃないしなあ。

 テレビCMでの台詞、「もし、世界中のすべての人が、ありのままの自分を 好きになれたら戦争なんてなくなると思う」も、草なぎさんのドラマや最近の イラクや北朝鮮情勢をネタにした、たんなるあざといキャッチコピーであり、 そんなにメッセージ性は感じられないと思うのです。だって、「世界中のすべ ての人が、ありのままの自分を好きになれたら戦争なんてなくなると思う」と は思えません。だいたい、世の中の独裁者と言われる人は「ありのままの自分 を好き」な人ですよね。ブッシュさんも金正日さんも、「ありのままの自分」 が大好きだから、みんなも自分のことが大好きでついてくるものだと思っちゃ って、人それぞれに意見や立場の違いがあるなんて分からなくなって、戦争を おこしそうになっているのではないでしょうか。

 「反戦歌」もいろいろあって、作り手が明らかに反戦の意志をもって世に送 りだしたものもあれば、作り手の意図とは関係なかったり、歌詞に直接戦争を 歌っていなくても、聞き手に「反戦歌」と受け止められたというものもありま す。古い例で恐縮ですが、「教訓」(加川良)、「自衛隊に入ろう」(高田渡) などは前者の部類でしょう。「イマジン」(ジョン・レノン)や「風に吹かれ て」(ボブ・ディラン)は後者だと思います。「イマジン」は反戦以前の問題 を扱ったラディカルな思想の歌だし、「風に吹かれて」は様々な問いかけはあ るものの「その答えは風の中」と明確な回答はなく、強い反戦メッセージも発 していません。

 その伝でいけば、「世界に一つだけの花」も後者の類いと言われそうです。 実際、朝日新聞の記事の最後には発売元のビクターエンタテインメントのコメ ントも載っていて、それには「いつ戦争になってもおかしくないイラク情勢の 中、反戦歌のように取られたのかもしれない」とありました。でも、そう考え ても、「反戦歌」と取るのは強引に思えるんだけどなあ。私は「世界に一つだ けの花」は「そのままで いいがな みつを」みたいな歌で、最近の歌謡曲に ありがちな「人生への応援歌」ってやつで、特筆すべきこともない歌だと思っ たんだけどなあ。私の周りの人やネットの掲示板などでも、「この歌を聞くと 元気がでる」ととらえている人がほとんどだったしな。作詞作曲の槙原敬之さ んのことを思うと、セクシャルマイノリティに不寛容な世の中でも、ありのま まの自分で生きていこうという歌にも聞こえますが。

 歌の捉えかたは人それぞれなので、筑紫哲也さんのように反戦歌と取る人も いてもいいとは思いつつも、心の底にもやもやとした疑問が残ります。

 なんで、そう取るのかな、なんか解釈を間違いすぎていないかとか、アイド ル歌手に過剰に期待しすぎじゃないか、宣伝戦略にうかうかとのせられただけ なんじゃないか、あるいは、SMAPの歌が好きと言うとインテリジェンスを疑 われそうなので、そういう理屈でもつけないと聞けないのか、などなど。

 こんなことを考えるのは私の心が薄汚れているからでしょう。しかし、あん なとるにたりない歌を「反戦歌」ととらえて、持ち上げるやり方に何か不健全 なものを感じるのは私だけかなあ。

〜○。あわわ後記〜〜○。〜○。〜〜○。〜○。〜〜○。〜○。〜

 先日、確定申告に行ってきました。申告書を書いていて、原稿料収入があま りに少ないのでびっくり。なんで、こんなに少ないのかと不思議に思い、前年 度の申告書の控えを引っぱり出して比べてみたら、疑問が解けました。定期的 にお仕事をくれて、年間で100万円近い原稿料をいただいていた雑誌が昨年の 初めに休刊になったからです。雑誌が休刊になるってこういうことなんだなあ と改めて考えさせられました。

 それにしても、私は危機感なさすぎでしたね。もっと早く気づけよ、自分! と思いました。

 次回は03月30日(日)を予定しています。

 どうぞ、よろしくお願いいたします。

                            真魚

                   e-mail:92104094@people.or.jp

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