日々のあわわ

● Mail Magazine 日々のあわわ 2002年02月11日(月) 第38号

〜○。今日のあわわ〜〜○。〜○。〜〜○。〜○。〜〜○。〜○。〜

プロスペローの本

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 私、昨年から、週2〜3日のわりあいで、近所の市立図書館でアルバイトを しています。仕事の内容は、図書館の職員のお手伝い。本の整理や貸し出し、 返却、簡単なレファレンスなどの窓口業務です。学生時代にとったまま持ち腐 れていた司書の資格がこんなところで役にたつとは思いませんでした。ライタ ーの仕事と図書館の仕事を両立させて、なんとか収入を確保しています。

  先月、市の図書館では蔵書点検という年に一度の一大イベントがありました。 蔵書点検とはその名の通り、図書館の蔵書を点検すること。図書館によって方 法は違うかもしれませんが、私の勤めている図書館では、館内の書架(本棚) や書庫にある本の管理用バーコードを一冊一冊、全部センサーでなぞり、蔵書 がきちんとあるかを確認していきます。

  その蔵書点検の作業では、館内にある本すべてのバーコードをなぞっていく ので、ふだんはあまり貸し出されない(知られていないとか人気がないとかで すね)本もこのときばかりは日の目をみます。なかには、「また次の蔵書点検 まで、手に取られることはないんだろうなあ」という本もあります。で、蔵書 点検をやってみて分かったのですが、図書館ってけっこう、変な本とか、いか がわしい本が眠ってるということです。そんな本を見つけては、その場にいた 係員みんなで盛り上がっちゃいました。

  たとえば、「宇宙人はもう地球に棲んでいる」(矢追純一)「月は神々の前 哨基地だったこれがUFOと異星文明のナマの映像だ!!」(コンノケンイチ) などのようなUFO本、ノストラダムスの大予言の信者の予言解釈本、丹波哲 郎さんの大霊界本や心霊写真集などなど、いわゆるトンデモ本と言われるもの です。

  また、出版された当時はそうではなかったのかもしれないが、いまとなって は失笑をかってしまうような本というのもあります。「ヤオハンの世界戦略」 とか「中内功の言葉のカンヅメ 永久革命をめざす」など、ビジネス関連のヨ イショ本に多いようです。

  ほかには、「えっ、あの人が…」というような過去恥部(過去の恥@「テレ ビブロス」)本。たとえば鈴木その子さんのデビュー当時の本の表紙はご本人 の写真なのですが、小麦色の肌に少しぽっちゃり気味のスタイル。健康的な笑 顔がすごくチャーミングです。これが、あの「白肌はお得よ」と囁く白塗りで がりがりのお姿になってしまったとは、時間はなんと残酷なんでしょう。鈴木 その子さんに限らず、タレント本は時間がたつと、過去恥部本になる可能性大 です。ほかにも受賞作だけで消えてしまった作家とか、絶版になった本もあり、 いまさらながら図書館の役割の一つである「資料収集」を再認識しました。

  バーコードをなぞり続けて疲れている係員にとっては、変な本の発見は、と きには一服の清涼剤(?)。「宇宙人が地球に来ているんだってよ」「こんな 本があったとはねえ。さすが図書館」と係員一同感心したり、あきれたりで盛 り上がりました。もっとも、一番疑問だったのは、いったい誰が、何を思って これらの本を図書館に入れたのかということでした。司書が選んだのか、利用 者がリクエストを出したのか? どちらにしろ、本を選んだ御当人に会ってみ たいなあ。以前、利用者のご意見のなかに「タレント本のような低俗な本を市 民の税金で購入するのはいかがなものか」というものがありました。この方が、 蔵書点検で出てきたトンデモ本などを見たら卒倒するかもしれません。しかし、 そういう意見もある一方で、可能なかぎり市民の要望に応えるのも市立図書館 の役目だし、トンデモ本や過去恥部本、ヨイショ本だって、利用者によっては 貴重な資料になるしなあ。

  それにしても、一地方の市立図書館に、国会図書館くらいしか残ってないん じゃないかという本がこんなにあるとは思いませんでした。みなさんも、地元 の図書館をちょっと探してみてはいかがでしょうか? 意外な本に出会えるか もしれませんよ。

〜○。あわわ後記〜〜○。〜○。〜〜○。〜○。〜〜○。〜○。〜

 昨年末、新聞に東京都が都立図書館の見直しをするという記事が載りました。 中央図書館、日比谷図書館、多摩図書館の3館それぞれで購入していた本を中 央が一括して購入する、重複する収蔵図書は原則一冊、同じ本を複数購入しな い(いわゆる「副本」を持たない)、重複する本14万冊を手放すなどです。 都立図書館は、都内の区市町村立図書館が持っていない本を貸し出すなど、都 の書庫的な役割をおっていたのに、これではスムーズな運営ができないと、職 員からも利用者からも反発の声があがっているそうです。私は、都知事は作家 だから、副本購入を止めさせたいのでは?と邪推しちゃいました。だって、図 書館で借りられるよりも、本屋で買ってもらったほうが、印税はいるもんね。 でもねえ、都知事の本だって、図書館だからこそ残ってるっていうものもある んだから、もっと図書館を大切にしたほうがいいと思いますよ。

 次回は2月24日(日)を予定しています。

 どうぞ、よろしくお願いいたします。

                            真魚

                   e-mail:92104094@people.or.jp

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