日々のあわわ

● Mail Magazine 日々のあわわ 2001年08月19日(日) 第26号

〜○。今日のあわわ〜〜○。〜○。〜〜○。〜○。〜〜○。〜○。〜

誘う女

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ライターも仕事によっては、書くだけでなく、取材のアポイントとりや資料 収集などの編集的な作業をすることがあります。取材のお願いは時々、断られ ることもありますが、その場合、相手が平身低頭のこともあれば、横柄だった り、けんもほろろということもあります。

 先日、ある雑誌編集部でお手伝いをしていたときのことです。ある若い男性 タレントの情報をのせたいので資料送付のお願いをしようと、マネージャーさ んに電話しました。その男性タレントは、2年程前に、雑誌の取材に応じてく れた方でしたが、最近になって事務所を移籍していました。以前は小さな個人 事務所でしたが、移籍先はスターをたくさんかかえる大手の事務所。私が電話 したのはその大手事務所のマネージャーでした。そのマネージャー氏は忙しい のか、最初からつっけんどん。資料や写真を送ってほしいというと「なんでで すか?」。以前、取材を受けてもらったことやこちらの記事の主旨を話すと、 さらに声が鋭くなって……。

 「それは、前の事務所がやったことでしょう? 大きな仕事が決まってるけ ど、まだ、公表できないんです。それに、ウチでは、もうそんな細かい仕事は させないようにしているので、掲載はしないでください」

 「細かい仕事で悪かったなあ〜」とは言えませんでしたね。たしかに、「a n an」カラーグラビア16ページ、カメラマンは篠山キシン先生というような 仕事じゃないけど、断るにしても言い方があると思いませんか? 自分の心の 声に正直な人なのかもしれませんが。

 前の仕事なんか関係ないよって迷惑そうな感じだったので、ひょっとして、 以前の事務所にいたときの経歴を消そうとしてるのかしら? 大きな仕事って のも、名前を変えて再デビューしたりするのかもなどと考えていると出かけて いた編集者が帰ってきました。掲載を断られた経緯を話すと、「うちが、メジ ャーじゃないのは分かってるけど、そこまで念おししなくてもいいよね。『今、 事情があって露出を控えているので、掲載はお断りするようにしています』く らいでいいのにね」と半分苦笑い。

 そこで、つい勢いにのって、二人でいままで受けた嫌な応対を話し合ってし まいました。

 「雑誌名を言っても、『何? それ、何の雑誌』と最初からうるさそうなの。 私が、雑誌について説明すると『出版社、どこよ』って言うから、社名いった ら、『あ、○○(会社の出している雑誌のなかでメジャーなもの)さんを出し ているところね。いつも、お世話になっています』だって。ころっと態度変え て、お愛想いいだすのよ。その時点で、『もういいよ』って言いたくなったよ。 言えないんだけど」と編集者。

 「ある女性誌の仕事で、料理研究家に取材依頼したら『そんな雑誌、見たこ とも聞いたこともありません。見本誌を見て決めるので送ってください』って 言われたんですよ。『見本誌を見て決めるので送ってください』でいいじゃな いですか。一言よけいですよね。私だって、相手が媒体を知らないってことを 想定して説明してるし、お願いするんだからって、失礼のないようにって電話 でも頭さげてるくらいなのに」と私。

 「こちらの立場が弱いからって、そこまで言うかって思うよね。マネージャ ーで横柄なのがいると、売れてんのはお前じゃなくて、タレントだろ、なんで お前が威張るんだ!って思う。忙しいのは分かるけど、外部に応対するのも仕 事の一つでしょう。それで、編集者にていねいな応対したって、損するわけじ ゃないのに。マネージャーが横柄だと、そのタレントのイメージも悪くなるよ ね。将来、どんなにお前が落ちぶれても、決して取材なんかしてやるもんか、 とまで思うこともある。でも、落ちぶれてくれないんだけどね」

 私が掲載を断られた男性タレントは、その大きな事務所に移籍してまもない し、事務所もいいタイミングで売り出すのに、いろいろ秘策を練っているので しょう。だから出演する媒体や仕事も厳選したいのでしょう。それだけ期待さ れ、大切にされているんだろうなあとは思うけど、だからって、マネージャー が横柄になることはないですよね。

 さて、いままで、取材を断られた中で、一番、こたえたのは、ある個人から 言われた言葉でした。それは、その言葉が反論の余地もない正論だったからで す。

 私は以前、あるテーマについて独自に取材をしたいと思い、掲載する媒体が 決まっていない状態でいろいろな人に取材のお願いをしていました。その方は、 テレビのドキュメンタリーやノンフィクションの本で取材されていたこともあ ったので、ひょっとしたら私の取材を受けてくれるかもと思っていたのですが、 強い口調で断られました。その方は私が企画書を送ったことを、いきなりで無 礼だと思ったようです。また、企画書の内容も納得がいかないようでした。い ままでマスコミの取材を受けても、自分の思うところが伝わらず、取材に対し て不信感を抱いてもいました。さらにタイミングの悪いことに、その方が疲れ て具合がよくないところに電話してしまったため、なおさら、私に悪い印象を もたれたようです。たしかに、全く面識のない人からいきなり電話があって、 自分の人生の一番大変なことについて取材させてほしいと言われても、困るで しょうし、無神経だと怒りを感じることでしょう。しかも、私は、無名の人間 で掲載媒体すら決まっていないのです。

 「あなたはいったい、どこの誰なんですか? ライターだというけど、そん なの言おうと思えば誰でもいえるでしょう。私がマスコミに出る時は、それを 通じて、自分と同じ立場の人の手助けになりたいと思うからで、つまり利用さ せてもらっているのです。だから、自分がでる媒体くらい選ばせてもらいたい ですよ。媒体すら決まっていないあなたなんか何の利用価値もない」

 それは、先ほどの媒体によって態度を変えるようなマネージャー氏のケチな 態度など足下にもおよばない、まったくの正論でした。会社員が会社の名刺が なければただの人のように、ライターも媒体やそれに匹敵するような著作や経 歴がなければ、ただの人。それを分かっているつもりでも、いざ、改めて言わ れるとこたえるものですね。その方は、取材は受けてくれなかったけれど、後 で「疲れていたとはいえ、失礼な応対をしてすみませんでした」と謝ってくれ ました。

 謝ってくれたわけだし、言ってることは正しいしと、その方への怒りとか恨 みはないつもりですが、時々、「あなたなんか何の利用価値もない」という言 葉だけは思い出したりします。そのたびに「肝に命じなきゃ」と思ったりして ます。

〜○。あわわ後記〜〜○。〜○。〜〜○。〜○。〜〜○。〜○。〜

 以前、収納についてお話したと思いますが、最近、知人が収納に関する本を たくさん持っていることを知りました。知人によると、多くのテレビ番組にも 出演し、「収納の神様」と呼ばれている人もいるとか。「収納の神様」って、 すごい響きだなあ。ひょっとして「カリスマ収納師」なんて人もいるのかな。 国家試験とかあったら、すごく貧乏くさそうな資格だなあ。そこで、ふと、い がらしみきおのマンガ「ぼのぼの」に出てきた「しまっちゃうおじさん」とい うキャラクターを思い出しました。しまっちゃうおじさんとは「しまっちゃう おうね。どんどんしまっちゃうからね」などとと言いながら主人公を岩の間な のかよく分からない場所にしまっちゃう動物です。すると、「収納の神様」と 呼ばれている方は「しまっちゃうおねえさん」(女性だったので)? 「箱詰 監禁調教 しまっちゃうおねえさん おねえさんにしまわれたい…」なんてタ イトルで、収納のハウトゥビデオorアダルトビデオを一本どうでしょう?

 では、次回は9月2日(日)を予定しています。

 どうぞ、よろしくお願いいたします。

                            真魚

                   e-mail:92104094@people.or.jp

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