日々のあわわ

● Mail Magazine 日々のあわわ 2000年11月19日(日) 第6号

〜○。今日のあわわ〜〜○。〜○。〜〜○。〜○。〜〜○。〜○。〜

女がいちばん似合う職業

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 「そんなことは末端の業務をやる女の子たちが覚えればいいことで、僕はも っと、高度なことをするんです」

  仕事のためにパソコンを買ったばかりの知人(男性)に、「タッチタイプを 覚えておくと肩凝りがへるそうだよ」と言ったら、こう断言されました。たし かに、タッチタイプは別に覚えなくてもなんとかなるんだけど(私もいまだに できません。おかげで肩凝り三昧)、その知人の言う高度なことって、何かと いうと、データベース作成ソフトを使いこなすことなんですね。

 プログラムを書いて、データベース作成ソフトを作るところから始めるとい うのならともかく、既存のソフトを使ってデータベースを作成するのは、どこ のソフトでも、少し経験をつめばできることですよね。しかも、それは、たま たま知人の会社にはいなかったのかもしれませんが、「末端の業務をやる女の 子たち」の仕事だったりします。

 私も、自分がパソコンを使うまでは、人がパソコンにさわってるだけで、す ごいことしてるように見えたこともありました。だから、アプリケーションソ フトを使う=高度なことをしているという、知人のちょっとした勘違いは、初 心者にありがちな話として、ほほえましいなあと思いました。

 ただ、それよりももっと、おもしろいなあと思ったのは、知人が「末端の業 務をやる女の子たち」と言ったことなんですね。知人は「女の子」という、女 性を未熟者扱いするときの言い回しを使い、最初から、末端の業務をやるのは 女性であるとしているんですね。もちろん、知人に限らず、会社などで「では、 それはウチの女の子に持っていかせます」という言い方はよくあります。女子 社員は、「女の子」でひと括りにされ、個別の名前すら意識されない低い存在 として扱われることが多いようです。しかも、この「女の子」という言葉を使 う側には、言葉に含まれている蔑視に気付くことすらなく、ただ、慣習の一つ として使っているというのが差別の根深さをあらわしていたりします。

 そんな無関心こそが、差別を温存しているのだという言い方もありますが、 どうも、このての問題は、いざ自分が直面しないと、なかなか関心がもてない ようです。ですから、私は知人を「女性差別主義者」だと言うつもりはありま せん。主義というのは、その人が何かの問題に注目し、ある程度向き合ったと きに、出てくるものです。自分の言葉になんら疑問を持たない知人は、ただ、 多くの人と同じく男女差別の問題など眼中にないだけです。このような人に 「それは差別的な言葉使いだから、気をつけたほうがいい」と言っても、たぶ ん、「なぜ?」と聞き返されるか、怒られるだけでしょう。だって、本人は差 別しているつもりはないのですから。

 この知人は、常日ごろから世界を変えて見せるくらいの気概でもって、ラジ カルな思想信条を自力で開拓するのをモットーとしている人なので、よもや、 古色蒼然たるジェンダー・バイアス(生物学的性別ではなく、たとえば男は外 で仕事、女は家庭で家事というような、社会や文化から後天的に与えられる性 別役割によって生じる偏見)はクリアしているだろうと思っていたのですが、 たぶん、大事の前の小事なのか、身の回りの差別には無関心でした。たぶん、 たんに興味がないだけなんでしょうね。もっとも、私は、ふだんの壮大な思想 体系を綿々と語る口調からは、うかがい知ることのなかった一面がかいま見え て、ちょっとした収穫だったなあと思いました。

 その人がどのような人間観をもっているのか、というのはなかなか分からな いのですが、日常の言葉の端にひょいと現れたりするんです。ジェイン・オー スティンが「説きふせられて」のなかで「人が不用意に示すものこそ、アンに とっては生命だった」といったのは、ホントだなあと実感します。

〜○。あわわ後記(*下段の「あわわ後記の後記」も見てください)〜〜○。〜○。〜〜○。〜○。〜

最近、心の琴線に思いっきり触れてくれたのが、遺跡発掘ねつ造事件。ピル トダウン原人(1912年、イギリスで有史前人類の化石として発見されたが、 40年後になって偽物と判明した)に匹敵する事件だと思います。私は贋作や ねつ造などの事件が大好きです。贋作やねつ造をした当事者だけでなく、周囲 の人間の人間性までも暴いてくれるからです。今度はどんな贋作・ねつ造事件 がおこるのか、楽しみにしています。

 次回は12月3日(日)の予定です。

 では、また、よろしくお願いいたします。

                            真魚

                   e-mail:92104094@people.or.jp

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(*)あわわ後記の後記

 贋作・ねつ造事件については、この短い後記ではいいつくせなかった思っています。 今後の「日々のあわわ」でもっときちんととりあげる予定です。

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