ただひとつ 嵬の嵬たる 証にと 石の舞台に 足打ち付けぬ | 石舞台 |
千歳なる 淵の淀みに 風起こる さざ波渡る 水の序の舞 | 序ノ舞 |
雨風を 占いけるを 天気輪 明日を音に問う 心細さに | 天気輪 |
現なる ときの流れの 間隙に 我身あやつる 蜃気楼見る | 蜃気楼 |
鎧われて 確とは見えぬ 君なれど たがいの傷に 接触た感あり | 接触 |
誘われて 地下迷宮に 再会す 想いは踊る 操り人形に似て (パペット) | 操り人形 |
そはミハル 想い残して 帰還する 心の闇に 棲う君の名 | 帰還 |
それぞれに 想いあふるる 三界の … 何処も彼処も 火宅なりけり | 火宅 |
仕舞われて 息を潜めし 古の おもいは澱む 蔵の暗闇 | 御蔵 |
骨嵬なる 胎内廻り闇廻り 数珠と連なる連綿の嵬 | 骨嵬 |
行き行きて また塞がるる嵬の道 繋ぐ絆は如何に在りすや | 絆 |
地を穿つ 火線極めて綻びぬ 積み重ねたる千年の禁 | 綻び |
旅立ちに 後 振り向いて 今一度 捨てる人をば 父さんと呼ぶ | 旅立ち |
綾かなる 過去へ向いし 嵬の道 同行二人 病葉を踏み | 同行 |
嵬と嵬 閾に入りて今ぞ見る 我が源の蒼き哀しみ | 閾 |
我を灼く 宿業の火や 古都の空 修羅と染め抜き 夜叉と照り映え | 宿業 |
混沌の アジア極まる 十字路で 過去と今とを 負いて佇む | 混沌 |
滾りたつ 世に背を向けて裏窓の ガラスの曇り 頼みて潜む | 裏窓 |
義にて逝く 人の最期を 目に刻む 暗き海原 慟哭を吸い | 慟哭 |
動乱の 時代のうねりの直中で たった一人の面影を追う | 動乱 |
追って追う 全ての法を 踏み越えて 疾走る心の 赴くままに | 疾走 |
向き合いて 想い投げ合い それと見る 捕らわれし心 権化とぞなる | 権化 |
我が叫び 無間の闇に 立ち竦む 凍る心に響きあれかし | 無間 |
激しくも 哀れ空しい句読点 撃ちてし止まむ それぞれの秋 | 句読点 |
餓沙羅なる 遥けき便り 打ち捨てむ そは呪われし 回文にして | 餓沙羅 |
『枕草子*砂の本』 |
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